日本の文化体験(茶道、着物、和食づくり、座禅など)を提供するサイトを作ったのに、外国人観光客に見てもらえない、あるいは来ても数秒で離脱してしまう——インバウンド需要が高まる一方で、こうしたご相談は少なくありません。良い体験を用意していても、それがサイトの見せ方と届け方で伝わっていないのです。
つまずきの多くは、2つに集約されます。「日本人が良いと思う見せ方」で作ってしまうことと、「外国人の探し方」に合わせて届けられていないことです。日本人には魅力的でも、外国人が一目で「何を体験できるか」を理解できなければ、ページはスクロールされる前に閉じられてしまいます。
当社はデータベース型の大規模サイト設計を主力に、多言語・多地域のサイト設計を手がけてきました。その知見から、本記事では日本文化体験サイトで外国人集客を伸ばすための、届かない理由、ファーストビューで体験を一目で伝える設計、外国人の探し方に合わせた多言語対応、そして公開後の運用までを解説します。観光サイト全般は外国人向け観光サイトの作り方で扱っています。
企業サイト・LP・ECサイトを、事業の目的と顧客の動きから設計し、公開後の運用まで一貫して支援します。SEOやアクセス計測もあわせて整えたい方向けです。
先に結論:見せるのは「体験したい日本」
まず最初に、結論からお伝えします。
1つ目。見せるのは「日本人が良いと思うもの」でなく「外国人が体験したいこと」です。視点を、作り手から体験者へ移します。同じ体験メニューでも、誰の目線で見せるかで、伝わり方は大きく変わります。
2つ目。ファーストビューで「何を体験できるか」が一目で伝わるかが勝負です。外国人観光客は、スクロールする前に離脱するか読み進めるかを決めます。写真1枚と、体験の要点が命になります。
3つ目。彼らの探し方に合わせて届けます。母語での検索、地図、海外SNS——日本人とは探し方が違います。翻訳とhreflangで母語検索に出し、地図(Googleビジネスプロフィール)にも載せます。
「日本人向けの見せ方」で外国人に届かない理由

まず、日本人向けの見せ方が外国人に届かない理由を、両者の求めるものの違いで並べます。
| 日本人向けにやりがちなこと | 外国人が本当に求めるもの |
|---|---|
| 情緒的な言葉で雰囲気を伝える | 何が体験できるかを具体的に知りたい |
| 美しい風景写真を並べる | 自分が体験している姿を想像したい |
| 日本語で細かく説明する | 母語で要点を素早く知りたい |
外国人観光客がサイトに求めるのは、「これは自分にもできるのか」「何を、どれくらいの時間で、いくらで体験できるのか」という具体的な情報です。情緒よりも、まず具体。ここが、日本人向けサイトとの一番の違いです。
たとえば「茶道体験」のページで、日本人向けなら「静寂の中で、一服の茶と静かに向き合う」と書きたくなります。しかし外国人観光客に響くのは「英語ガイド付きで、抹茶を自分で点てて味わえる。所要45分、最寄り駅から徒歩5分」です。前者は雰囲気、後者は具体。どちらが予約ボタンを押させるかは、明らかです。同じ体験でも、言葉の選び方ひとつで、外国人観光客の反応は大きく変わります。
もちろん、日本らしい情緒や美しさが不要なわけではありません。ただし、それは「具体的な体験内容が伝わったあと」に効いてきます。順番を間違えて、雰囲気を先に、具体を後にすると、外国人観光客は「結局、何ができるのか分からない」と感じて離脱します。まず具体、次に情緒——この順番が大切です。
ファーストビューで「体験」を一目で伝える

ファーストビュー(ページを開いた瞬間に見える範囲)は、直帰するか読み進めるかの分かれ目です。ここに、次の4つを集約します。
1枚の写真で「体験している場面」を見せる
茶室の外観でなく、抹茶を点てている手元。庭の写真でなく、着物を着て歩く人。体験者が「自分の姿」を想像できる写真を、いちばん上に置きます。
タイトルで「何を体験できるか」を一言で示す
「本格茶道体験(英語対応・45分)」のように、何を・どんな条件で体験できるかを、母語併記で端的に伝えます。
所要時間・料金・予約ボタンをファーストビュー内に置く
外国人観光客が最も気にする「時間」「料金」と、予約ボタンを、スクロールしなくても見える位置に配置します。
スマホの1画面に収める
多くの観光客はスマホで探します。詰め込みすぎず、最重要の要素だけを1画面に。表示速度も直帰に直結します。

美しい風景写真の方が、日本の魅力が伝わる気がします。
風景写真は魅力的ですが、外国人観光客が知りたいのは「自分が何を体験するか」です。名所の絶景よりも、着物を着て街を歩く自分、抹茶を点てる自分——体験している姿が想像できる写真の方が、予約につながります。風景は補助に回し、ファーストビューには「体験の瞬間」を置きます。写真の質も重要で、暗く小さい写真は、せっかくの魅力を半減させます。表示速度はページ表示速度で確認してください。
ビジュアルの選び方には、もう一つコツがあります。体験する「人」が写っている写真は、外国人観光客が自分を重ねやすく、予約につながりやすい傾向があります。ただし、顔がはっきり写ったモデル然とした写真より、手元や後ろ姿で「体験している様子」が伝わる写真の方が、幅広い層に自分ごととして受け取ってもらえます。誰か特定の人の体験ではなく、「これから体験する自分」を想像させることが、ファーストビューの写真選びのねらいです。文字が入り込んだ画像や、実在の店名・ロゴが写り込んだ写真は避け、体験そのものが伝わる1枚を選びます。
企業サイト・LP・ECサイトを、事業の目的と顧客の動きから設計し、公開後の運用まで一貫して支援します。SEOやアクセス計測もあわせて整えたい方向けです。
外国人の「探し方」に合わせて届ける

どれだけ良いサイトでも、外国人観光客に見つけてもらえなければ意味がありません。彼らの探し方は、日本人と異なります。それぞれに合わせて届けます。
| 外国人の探し方 | サイト側の対応 |
|---|---|
| 母語で検索する | 多言語対応+hreflangで母語版を検索に出す |
| 地図・レビューで探す | Googleビジネスプロフィールを整える |
| 海外SNSで発見する | 体験の写真・動画をSNSで発信する |
多言語対応では、hreflangで各言語版を正しく対応づけます。言語コードの誤り(日本語を jp と書くなど)や相互参照の抜けは、評価の分散を招く頻出ミスです。加えて、多くの外国人観光客はGoogleマップで近くの体験を探すため、Googleビジネスプロフィールの整備が集客に直結します。内部リンクの整え方は内部SEOで解説しています。
Googleビジネスプロフィールは、多くの外国人観光客にとって最初の接点になります。体験の写真、営業時間、多言語での説明、そしてレビューへの返信——これらが整っているだけで、地図検索からの予約が生まれます。自社サイトを細かく作り込む前に、まずここを整えるだけでも効果が出る、費用対効果の高い一手です。海外SNSでの発信も、体験の様子が伝わる写真や短い動画であれば、言葉の壁を越えて拡散のきっかけになります。
持ち帰りとして、外国人集客サイトの点検リストを挙げます。この5点を満たしているかを確認してください。
- 1枚目の写真で「体験している場面」が伝わるか
- 何を・何分・いくらで体験できるかがファーストビューにあるか
- 予約ボタンがファーストビュー内にあるか
- 母語で要点が読めるか(機械翻訳の丸投げでないか)
- Googleビジネスプロフィールに写真と説明があるか
今泉の視点:日本文化体験サイトのご相談で、私がよくお伝えするのは「あなたが見せたい日本」と「相手が体験したい日本」は違う、ということです。作り手はつい、荘厳な寺や静かな庭園の写真を選びがちです。しかし外国人観光客が予約ボタンを押すのは、「着物姿で笑っている人」や「自分の手で和菓子を作っている場面」の写真を見たときです。
視点を、作り手から体験者へ。この一つの転換だけで、同じ体験メニューでも、伝わり方はまるで変わります。まず自分のサイトのファーストビューを、外国人観光客の目で見直してみてください。
公開後に確認すること——多言語運用

小さな事業者でも、多言語の運用まで続けられるか不安です。
すべてを一度に完璧にする必要はありません。まずは一番人気の体験1つだけ、主要言語1つだけ、と絞って始めるのが現実的です。その1ページの反応を見ながら、少しずつ広げます。Googleビジネスプロフィールの写真追加やレビュー返信は、コストをかけずに続けられ、集客への効果も大きい運用です。小さく始めて、効果のあるものから広げる——これが、無理なく続けるコツです。
サイトは、公開して終わりではありません。多言語サイトは、公開後の運用で差がつきます。続けたい運用と、避けたい運用は次のとおりです。
- 主要ページの翻訳は母語話者に確認してもらう
- Googleビジネスプロフィールに写真・レビュー返信を続ける
- 季節の体験(桜・紅葉)を先回りで用意する
- 機械翻訳のまま放置し、不自然な表現を残す
- 予約後の案内が日本語だけで、当日まで不安にさせる
- 作りっぱなしで、レビューにも返信しない
外国人観光客は、予約前だけでなく予約後も不安を抱えています。集合場所や持ち物の案内を母語で用意するだけで、満足度と再来訪・口コミが変わります。総務省の情報通信白書(令和7年版)でも、インバウンド需要とデジタル対応の重要性が示されています。集客全体の設計はオウンドメディアで集客する方法、外国人採用サイトは外国人採用の求人サイト、英語対応サイトは英語対応ホームページ、他業種の例は美容室のサイト集客も参考になります。GoogleのSEOスターターガイドの基本も踏まえます。
よくあるご質問
まとめ:視点を体験者に移す
- 「日本人が良いと思うもの」でなく「外国人が体験したいこと」を見せる
- ファーストビューに体験の写真・所要時間・料金・予約ボタンを置く
- hreflangで多言語版を正しく対応づけ、母語検索に出す
- Googleビジネスプロフィールで地図・レビュー経由の集客を作る
- 予約後の案内も母語で用意し、口コミと再来訪につなげる
次の一歩は、自社サイトのファーストビューを外国人観光客の目で見直し、「何を体験できるか」が写真1枚で伝わるかを確認することです。伝わっていなければ、写真を「体験の瞬間」に差し替えるだけで反応が変わります。写真1枚、タイトル1行、そして予約ボタンの位置——この3つを外国人観光客の目で整えるだけで、同じ体験メニューでも反応は大きく変わります。凝った多言語サイトを一から作る前に、まずファーストビューの見直しから始めてください。日本文化体験サイトの設計や、外国人集客のご相談は記事制作・メディア支援で承っています。
企業サイト・LP・ECサイトを、事業の目的と顧客の動きから設計し、公開後の運用まで一貫して支援します。SEOやアクセス計測もあわせて整えたい方向けです。
