海外の取引先や、日本にいる外国人に向けて、英語対応のホームページを作りたい——そう考えて「まず全ページを英語に翻訳する」ところから検討を始めると、多くの場合、費用も維持も破綻します。翻訳するページが増えるほど費用は膨らみ、日本語を更新するたびに、英語側も直す二重の手間がかかるからです。
大切なのは、英語対応は、翻訳作業ではなく設計から始めるという考え方です。どのページを、誰に向けて、どこまで英語にするか。ここを設計せずに翻訳から入ると、費用がかさむ割に成果につながらない英語サイトができあがってしまいます。
当社はデータベース型の大規模サイト設計を主力に、月間4,500万セッション級のメディア支援の現場で、多言語・多地域のサイト設計に取り組んできました。本記事では、その知見をもとに、英語で「誰に、何屋として」見つかりたいかの決め方、目的別の3つの対応レベル、URLとhreflangの基本、そして費用と運用体制までを解説します。訪日外国人向けの観光サイトは外国人観光客向けサイトの作り方で扱っています。
企業サイト・LP・ECサイトを、事業の目的と顧客の動きから設計し、公開後の運用まで一貫して支援します。SEOやアクセス計測もあわせて整えたい方向けです。
先に結論:全ページ翻訳から考えない
まず最初に、結論からお伝えします。
1つ目。英語対応は「全ページ翻訳」から考えないことが出発点です。まず、英語で誰に、何屋として見つかりたいかを決め、必要なページから対応します。
2つ目。英語対応には、目的別に3つのレベルがあります。会社の目的と予算に合ったレベルを選ぶことが、破綻しないための第一歩です。
3つ目。多言語サイトには、hreflangなどの技術的な基本と、翻訳の質を保つ運用があります。作って終わりにせず、公開後も信頼を保つ設計が欠かせません。
英語で「誰に、何屋として」見つかりたいかを決める

英語対応を考えるとき、最初に決めるべきは翻訳の範囲ではありません。決めるべきは、英語で、誰に、何屋として見つかりたいかです。ここが定まらないまま、日本語サイトの人気ページから順に訳していくと、何を強みにした会社なのかが英語圏に伝わらないまま、ページ数だけが増えていきます。
たとえば、日本の技術を海外の取引先に売りたいのか、訪日外国人に来店してほしいのか、日本にいる外国人に問い合わせてほしいのか。相手が変われば、訳すべきページも、伝え方も、見せるべき強みも変わります。「海外の製造業に、精密加工の会社として見つかりたい」と決まって初めて、どのページを英語にすべきかがはっきりします。日本語で磨いてきた「何屋か」という看板を、英語でも一貫して掲げること。これが、成果につながる英語対応の起点です。
逆に言えば、英語対応で最初にやるべきことは、翻訳会社を探すことではありません。自社が英語圏で何屋として認識されたいかを、一文で言えるようにすることです。それが決まれば、訳すべきページは自然と絞られ、限られた費用を最も効く場所に集中できます。看板が曖昧なまま量を訳すより、看板を一言で定めてから必要なページだけを訳すほうが、はるかに成果につながります。

まずは日本語サイトを機械翻訳で全部英語にすればいいのでは?
その方法には、2つの問題があります。1つは、機械翻訳そのままの文章は品質が伴わず、検索でも評価されにくいこと。もう1つは、日本語サイトの構成をそのまま訳しても、「何屋として見つかりたいか」が英語圏の読者に伝わらないことです。翻訳は出発点ではなく、設計を決めたあとの工程です。まず看板を決め、その看板に必要なページを選び、それから、文化に合わせて丁寧に訳す。この順番が、費用を抑えながら成果を出す近道です。
目的別・英語対応の3つのレベル

「誰に、何屋として」が決まったら、次はどこまで英語にするかです。英語対応は、目的別に大きく3つのレベルに分けられます。
| レベル | 対応の範囲 | 向いている目的 |
|---|---|---|
| レベル1(最小) | 会社概要・連絡先・主要サービスのみ英語 | まず存在と何屋かを知ってもらう |
| レベル2(中核) | 集客・問い合わせにつながる主要ページも英語 | 英語圏から問い合わせを得る |
| レベル3(全面) | 英語サイトとして独立して運用 | 海外を本格的な市場にする |
多くの中小企業にとって現実的なのは、レベル1から始めて、成果を見ながらレベル2へ広げることです。いきなりレベル3の全面英語化を目指すと、費用と運用の負担で息切れします。まず、会社概要と主要サービス、問い合わせ先を英語にし、「何屋で、どう連絡すればよいか」が伝わる状態を作る。そこから、反応の大きいページを英語に広げていく。この段階的な進め方なら、無理なく英語対応を育てられます。自作か外注かの判断は無料ツールと外注の使い分けも参考になります。
レベルを上げる判断は、感覚ではなく数字で行います。レベル1で公開したあと、英語ページへのアクセスや、英語での問い合わせがどれくらいあるかを見ます。反応のあるページ、問い合わせにつながっているページから、レベル2へと英語化を広げる。逆に、まったく反応のない領域を無理に訳しても、費用がかさむだけです。英語対応は、一度に完成させるものではなく、反応を見ながら育てていくものだと考えてください。
企業サイト・LP・ECサイトを、事業の目的と顧客の動きから設計し、公開後の運用まで一貫して支援します。SEOやアクセス計測もあわせて整えたい方向けです。
URL設計とhreflang、翻訳品質の基本

対応レベルを決めたら、技術と品質の基本です。まず決めるのが、日本語版と英語版のURL構造です。サブディレクトリ、サブドメイン、別ドメインのいずれにするかは、後から変えにくいため、早い段階で決めます。
次に、多言語サイトで欠かせないのがhreflangです。これは、Googleの多地域・多言語サイトの管理ガイドに沿って、日本語版と英語版がそれぞれ対応していることをGoogleに伝える仕組みです。正しく設定すれば、日本語の利用者には日本語版、英語の利用者には英語版が検索結果に出ます。ただし実装ミスが起きやすく、たとえば日本語の言語コードを「jp」と書く(正しくは「ja」)、自分自身への参照を忘れる、片方向でしか参照していない、といった誤りが評価の分散を招きます。実装は技術担当と相談しながら進め、公開後はサーチコンソールでエラーを確認します。
そして、見落とされがちなのが翻訳の質です。翻訳とは、言葉を置き換えることではなく、文化に合わせて伝え直すことです。機械翻訳をそのまま載せたページは、不自然な表現で不信感を招き、検索でも評価されにくくなります。少なくとも主要ページは、意味だけでなく、伝わり方まで見直します。ホームページ作成の基本はホームページ作成で大事なことも参考になります。
文化に合わせるとは、具体的にはこういうことです。日本語では丁寧で回りくどい言い回しが好まれても、英語では結論を先に、簡潔に伝えるほうが信頼されます。日本では当たり前の商習慣やサービスが、海外の読者には説明を要することもあります。逆に、日本語では長く書いていた自己紹介を、英語では強みを一言で言い切るほうが伝わることもあります。言葉を訳すのではなく、相手の文化で伝わる形に置き換える。この一手間の有無が、同じページでも問い合わせにつながるかどうかを分けます。
持ち帰りとして、英語対応の点検リストを挙げます。着手前に確認してみてください。
- 英語で「誰に、何屋として」見つかりたいかが決まっているか
- 対応レベル(1〜3)が、目的と予算に合っているか
- 日本語版と英語版のURL構造を、最初に決めているか
- hreflangで各言語版を、正しく対応づけているか
- 翻訳が機械任せでなく、文化に合わせて見直されているか
今泉の視点:英語対応のご相談で、私が最初に確認するのは、翻訳の範囲でも予算でもなく、「英語で何屋として見つかりたいか」が決まっているかです。ここが曖昧なまま人気ページから訳し始めると、何が強みの会社なのか分からないサイトが、英語圏にもう一つ増えるだけになります。
日本語で磨いてきた「何屋か」という看板は、そのまま英語圏に持ち出せる資産です。大切なのは、全部を訳すことではなく、その看板に必要なページを選び、文化に合わせて伝え直すこと。私は、英語対応とは翻訳作業ではなく、日本語で築いた強みを、別の言語の市場へ届け直す設計だと考えています。
費用の見方と、作った後の運用体制
英語対応の費用は、翻訳するページ数と翻訳の質、そしてhreflangなどの技術対応の範囲で変わります。見落としがちなのが、作った後の「運用」にかかる費用と体制です。英語サイトは、作って終わりではありません。社会のデジタル化と国際化が進むなか、その傾向は総務省の情報通信白書などでも示されています。
| 費用・体制の項目 | 見るべきポイント |
|---|---|
| 初期制作費 | 翻訳するページ数と、翻訳の質(機械/人手/監修) |
| hreflang等の技術対応 | URL設計と実装、公開後のエラー確認 |
| 更新の仕組み | 日本語を更新したとき、英語側も更新できる体制か |
| 問い合わせ対応 | 英語の問い合わせに、誰がどう対応するのか |
特に大切なのが、最後の「問い合わせ対応」です。英語で問い合わせが来ても返せなければ、かえって信頼を損ないます。実際、英語での問い合わせに数日返信がないだけで、海外の相手は「この会社は対応できない」と判断して離れてしまいます。翻訳の美しさより、届いた一通に返せる体制のほうが、信頼を大きく左右します。英語対応を始める前に、問い合わせにどう応じるかまで決めておくことが、成果につながります。制作会社を選ぶときは、多言語サイトの実績と、公開後の運用支援まで見て比べます。費用の相場観はホームページ制作費用と進め方、依頼先の選び方は制作会社の選び方が参考になります。
よくあるご質問
まとめ:英語対応は翻訳作業ではなく設計
- 英語で「誰に、何屋として」見つかりたいかを先に決める
- 目的別の3レベルから、目的と予算に合う範囲を選ぶ
- URL構造を早めに決め、hreflangを正しく対応づける
- 翻訳は文化に合わせて伝え直し、機械任せにしない
- 作った後の更新と問い合わせ対応まで、体制を決める
次の一歩は、翻訳会社に見積もりを頼む前に、「英語で、誰に、何屋として見つかりたいか」を一文で書いてみることです。それが定まれば、訳すべきページも、かけるべき費用も、おのずと絞られます。英語対応は、翻訳作業ではありません。日本語で築いた強みを、別の言語の市場へ届け直す設計です。英語対応ホームページの設計や、多言語サイトのご相談は記事制作・メディア支援で承っています。
企業サイト・LP・ECサイトを、事業の目的と顧客の動きから設計し、公開後の運用まで一貫して支援します。SEOやアクセス計測もあわせて整えたい方向けです。
