労働組合のホームページ作成|3つの作り方と費用を実額で比べる

ホームページ制作を象徴するWebサイトの画面

労働組合のホームページを作ろうと決めたあと、多くの担当者の方が最初につまずくのは「何を載せるか」ではありません。そもそも、どうやって作るのがうちの組合に合っているのかが分からない、というところでしょう。

先に結論をお伝えすると、作り方は汎用ツール・組合専用サービス・制作会社の3つがあり、そのうち組合専用サービスの料金は組合員の人数で決まります。一般企業のサイトとは、費用の決まり方そのものが違うのです。

この記事を読み終えるころには、自分の組合がどの作り方に向いていて初年度にいくらかかるのかを、ご自分で計算できるようになります。あわせて、その費用を誰が負担するのかという見落とされやすい論点も整理できるはずです。

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目次

先に結論:組合サイトは「誰が費用を出すか」から決まる

まず最初に、結論からお伝えします。

1つ目は、作り方が3つあるということです。汎用のホームページ作成ツールを使う、労働組合専用のサービスを使う、制作会社に依頼する、の3つで、費用も、できることも、続けやすさも違います。

2つ目は、料金が組合員数で決まるということです。見積もりを取る前に人数を当てはめれば、おおよその金額は先に分かります。

3つ目は、費用の出どころを最初に決めるということです。その費用を会社に出してもらってよいのかという論点があり、労働組合法が「経費援助」について定めを置いています。

なお厚生労働省の調査では、令和7(2025)年6月30日現在の労働組合数は22,244組合で、前年より268組合減りました。組合数は5年続けて減っており、推定組織率も16.0%と過去最低を更新しています(出典: 厚生労働省令和7年労働組合基礎調査の概況)。組合の存在を外へ伝える手段として、サイトの役割はむしろ大きくなっているのです。

組合サイトの3つの目的と、載せるべきもの

組合サイトの設計は、3つの目的を分けて考えることから始まります。目的がまざったまま作ると、誰に向けたサイトなのかが曖昧になってしまうためです。この章では目的ごとに載せるものを整理し、それぞれをどの公開範囲に置くかまで決めていきましょう。

組合サイトの3つの目的を表す、ミントグリーンと淡いモーヴのやわらかな曲面が重なる抽象的な3D

対外向け(信頼)に載せるもの

対外向けは、社会や企業に対して活動の正しさを示すための情報です。組合の理念、活動方針、執行体制、連絡先の4つが基本になります。

ここはすべて全体公開でかまいません。むしろ、誰がどんな考えで運営している組合なのか外から分からない状態のほうが、信頼を損なってしまいます。

未加入者向け(加入促進)に載せるもの

未加入者向けには、加入するとどうなるかというメリット、加入の流れ、活動の実績を載せます。この3点がそろっていないと、関心を持った人が次の一歩を踏み出せません。

この目的が重みを増している背景も、数字で説明がつきます。組合員数そのものは992万7千人と前年より増えているのに、働く人全体の伸びに追いつかず、推定組織率は前年比0.1ポイント減の16.0%まで下がりました(令和7年6月30日現在。出典: 厚生労働省令和7年労働組合基礎調査の概況)。

黙っていても人が入ってくる状態ではないからこそ、加入への入口をはっきり見える場所に置いてください。

組合員向け(情報共有)に載せるもの

組合員向けは、載せるものが最も多くなる領域になります。現場の組合が実際に扱っている情報は、次のとおりです。

  • 活動報告と、これからの予定のお知らせ
  • 機関誌のバックナンバー
  • 労働協約と、その改定の経緯
  • 春闘や労使交渉の経過報告
  • 共済や福利厚生の案内
  • 各種手続きの方法と、よくある質問

注意したいのは、これらの多くが外部に見せることを前提としていない情報だという点です。交渉の経過や労働協約は、組合員にとっては必要でも、誰でも読める場所に置くべきものとは限りません。

公開範囲は「全体公開/組合員限定/役員限定」の3層で決める

組合サイトでは、公開と非公開の2つに分けるだけでは足りません。全体公開・組合員限定・役員限定の3層で考えると、置き場所の判断がぐっと楽になります。

誰向け 載せるもの 公開範囲
対外向け(信頼) 組合の理念、活動方針、執行体制、連絡先 全体公開
未加入者向け(加入促進) 加入のメリット、加入の流れ、活動の実績 全体公開
組合員向け(情報共有) 活動報告、機関誌、労働協約、春闘や交渉の経過、共済・福利厚生、各種手続き 組合員限定
役員・執行部向け 大会議案書、会議資料、出欠の確認 役員限定

判断の順番は、まず外に見せてよいかを考え、次に組合員全員に見せてよいかを考える、という流れです。なお組合員向けや役員向けの範囲を作るにはログインの仕組みが要ります。ここが一般企業のサイトとの最初の分かれ道です。

労働組合のホームページの作り方は3つある

組合サイトの作り方は、大きく3つに分かれます。なお当社はここに挙げるいずれのサービスも販売しておらず、どれかを勧める立場にはありません。お渡しするのは判断の材料だけです。

汎用のホームページ作成ツールを使う

「ホームページは自分たちで作れますか」というご質問をよくいただきます。答えは、作れます。一般向けの作成ツールなら専門知識がなくても形になりますし、月額数千円から始められるプランもあるようです。

ただし無料のプランには注意が必要です。独自ドメインが使えなかったり広告が表示されたりするため、組合の顔として出すには物足りないかもしれません。

もう一つ悩ましいのが会員限定ページです。組合員だけに見せる範囲を作るには追加のプランや拡張機能が要ることが多く、そこで結局費用が上がります。詳しくは初心者向けの作成ツール比較にまとめました。

労働組合専用のサービスを使う

労働組合だけを対象に作られたWebサービスが、複数あります。汎用ツールとの違いは、組合の実務にそのまま対応した機能が最初から入っている点です。組合のデジタル化をまとめて進めたい場合は、この選択肢が近道になります。

  • 組合員の名簿を管理し、閲覧できる範囲を設定する機能
  • 組合員だけが見られるページと、役員だけが見られるページ
  • 登録された宛先へ一斉にメールを送る機能
  • 組合員向けのアンケートを作って集計する機能
  • 回答者と回答内容を切り離す、無記名の投票や調査

最後の無記名の仕組みは、汎用ツールにはまず入っていません。組合の役員選挙や、賃金・一時金の実態調査といった、匿名性が求められる場面のために用意されているものです。

制作会社に依頼する

デザインや構成を自由に作りたいなら、制作会社への依頼が向いています。労働組合の案件を専門に扱う会社もあり、なかには組合の執行委員を務めた経験を持つ担当者が制作にあたるところもあるようです。

一方で、公開したあとの更新をどうするかは契約前に確認しておいてください。自分たちで直せる範囲がどこまでかによって、運用の負担がまったく変わります。詳しくは制作会社の選び方格安で依頼するときの注意点をご覧ください。

どれを選ぶかは3つの数字で決まる

3つの作り方を並べると、次のようになります。費用の詳しい内訳は、次の章で実額をお示しします。

作り方 初期費用の目安 月額の目安 料金の決まり方 組合固有の機能 更新のしやすさ 向いている組合
汎用ツール ほぼなし 数千円〜 プランの機能 基本的にない 管理画面から自分たちで更新できる まず情報発信だけ始めたい組合
組合専用サービス 5万円前後 1万円台〜 組合員の人数 最初から入っている 組合側が管理画面から更新できる 限定範囲を使う組合
制作会社 38万5,000円〜/55万円〜 会社により異なる 制作の範囲と規模 依頼内容しだい 自分たちで直せる範囲が契約で決まる 構成を作り込みたい組合

※汎用ツールの「数千円〜」は各社が公開している有料プランのおおよその開始価格で、本記事では横断的な価格調査を行っていません。組合専用サービスと制作会社の金額は、次章に挙げる各社の公開情報にもとづいています。制作会社の金額のうち38万5,000円は税込表記、55万円は各社サイトの表記どおりで税区分の記載がありません。

ではどれを選ぶか。当社が組合サイトのご相談をお受けするとき、最初に確認するのは次の3つです。

プロの判断基準:作り方を決める3つの数字
  • 組合員は何人か(専用サービスの料金がこれで決まる)
  • 組合員限定・役員限定の情報を扱うか(ログインの要否)
  • 更新できる人を何人置けるか(1人なら簡単さを優先)

3つ目を軽く見ないでください。どれだけ立派なサイトを作っても、更新できる人が1人しかいなければ、その人が異動した時点で止まります。

費用の目安(料金が「組合員数」で決まる理由)

組合サイトの費用でいちばん分かりにくいのが、専用サービスの料金体系です。一般企業のサイトはページ数や機能の数で見積もりが決まりますが、組合専用サービスはそこが組合員の人数になっています。

専用サービスの料金は組織人数で決まる

労働組合向けサービスのなかには、料金表を公開しているところがあります。j.union株式会社の「ユニオンページ」がその一つで、ホームページプランの基本料金は次のとおりです。

組織人数(組合員数) 月額の基本料金
〜500人以下 9,500円
〜1,000人以下 15,000円
〜2,000人以下 30,000円
〜5,000人以下 42,000円
〜8,000人以下 51,000円
〜10,000人以下 58,000円

出典: j.union株式会社「料金表」2025年4月18日版(公開PDF)。価格はすべて税抜です。このほかに初期費用が一律50,000円、ホームページ機能が月額1,000円、保存容量500MBが月額5,000円、それぞれ別途必要になります。10,001人以上の組合と労連・産別は、利用内容に応じて別途提示とされています。

大事なのは金額そのものより、人数で区分が変わるという構造のほうです。組合員が500人と2,000人では、同じ機能を使っても基本料金が3倍以上変わります。では、組合サイトを検討する組合はどれくらいの規模なのでしょうか。

企業規模 労働組合員数 構成比 推定組織率
1,000人以上 596万7千人 68.3% 38.7%
300〜999人 106万8千人 12.2% 9.9%(2区分の合算)
100〜299人 52万6千人 6.0%
30〜99人 15万8千人 1.8% 0.7%(2区分の合算)
29人以下 2万人 0.2%

出典: 厚生労働省令和7年労働組合基礎調査の概況「企業規模別(民営企業)の状況」より作成。令和7(2025)年6月30日現在、単位労働組合。推定組織率は原表で2つの区分をまとめた値として示されているため、そのまま合算値として記載しています。

組合員の68.3%が、従業員1,000人以上の企業に集中しています。組織率で見ても1,000人以上では38.7%あるのに対し、99人以下では1%に届いていません。

つまり組合サイトを検討する組合の多くは数百人から数千人規模です。先ほどの料金表に当てはめると、月額1万円台から4万円台のあたりが現実的な価格帯になります。「月額数千円」で始まる汎用ツールとは、そもそも前提が違うのです。

制作会社に頼むときの目安

制作会社に依頼する場合は、初期の制作費がまとまって発生します。労働組合を専門に扱う制作サービスの公開情報では、次のような金額が示されています。

  • 基本制作 38万5,000円(税込)〜。特急対応は通常の1.2〜1.5倍程度
  • 初期費用 550,000円〜に月額8,000円(組合員100人まで)
  • 初期費用 700,000円〜に月額10,000円(組合員1,000人まで)

出典: ユニオンパートナー(1点目・税込表記)、株式会社アーバン企画(2点目と3点目)。いずれも2026年8月時点で各社サイトに公開されている金額です。アーバン企画の金額は同社サイトに税区分の記載がないため、表記のまま掲載しています。

注目したいのは、制作会社に頼む場合でも月額が組合員数で区切られていることです。組合サイトは会員管理が前提になるため、作り方を問わず人数が費用に効いてきます。依頼の進め方は依頼の流れと費用もあわせてご覧ください。

最小構成でいくらかかるか試算する

いちばん小さく始めるといくらになるでしょうか。組合員500人以下の組合が、先ほどのユニオンページを必須項目だけで契約した場合を計算してみます。

  • 基本料金(〜500人以下)9,500円/月
  • ホームページ機能 1,000円/月
  • 保存容量 500MB 5,000円/月
  • 合計 15,500円/月(すべて税抜)

年額にすると186,000円です。これに初期費用の50,000円を足すと、初年度は236,000円という計算になります。2年目以降は186,000円です。

これは当社が公開料金表をもとに計算した金額であり、実際の見積もりは使う機能や独自ドメインの有無で変わります。桁を把握するための目安としてお使いください。

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その費用は誰が出すのか(労働組合法の「経費援助」)

労働組合には、一般企業のサイトにはない論点があります。その費用を会社に出してもらってよいのか、という問題です。「労働組合でやってはいけないことは何か」という形で調べる方も多い部分ですが、予算の限られた組合ほど会社に負担してもらう案は出てきます。

条文が実際に何と書いているかを確認しておきましょう。

労働組合法が定めていること

関係するのは2つの条文です。1つ目は、労働組合の定義を定めた第2条になります。

この法律で「労働組合」とは、労働者が主体となつて自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体をいう。但し、左の各号の一に該当するものは、この限りでない。
二 団体の運営のための経費の支出につき使用者の経理上の援助を受けるもの。但し、(後略。但書の全文はこのあとに引用します)

労働組合法(昭和24年法律第174号)第2条(e-Gov法令検索

読み方に注意が必要です。この条文は「してはいけない」と書いているのではなく、会社から運営経費の援助を受ける団体は、但書に挙げられた例外を除いて、この法律でいう労働組合に当たらないと定めています。労働委員会に救済を申し立てるといった、法律上の保護の前提から外れることを意味するのです。

2つ目は、会社の側を規制する第7条になります。

使用者は、次の各号に掲げる行為をしてはならない。
三 労働者が労働組合を結成し、若しくは運営することを支配し、若しくはこれに介入すること、又は労働組合の運営のための経費の支払につき経理上の援助を与えること。ただし、(後略。第2条第2号とほぼ同じ但書が続きます)

労働組合法(昭和24年法律第174号)第7条第3号(e-Gov法令検索

こちらは不当労働行為を定めた条文で、会社が組合の運営経費を援助することが禁止される行為として挙がっているのです。

条文の例外に挙がっているのは「事務所の供与」

ただし、どちらの条文にも但し書きがあります。そこに何が書かれているかが、この論点の核心です。

但し、労働者が労働時間中に時間又は賃金を失うことなく使用者と協議し、又は交渉することを使用者が許すことを妨げるものではなく、且つ、厚生資金又は経済上の不幸若しくは災厄を防止し、若しくは救済するための支出に実際に用いられる福利その他の基金に対する使用者の寄附及び最小限の広さの事務所の供与を除くものとする。

労働組合法 第2条第2号 但書(強調は当社による)

例外として名指しされているのは、労働時間中の協議・交渉、福利のための基金への寄附、そして最小限の広さの事務所の供与の3つです。

ここに、ホームページの制作費もサーバー代もドメイン代も書かれていません。組合の事務所を会社が貸すことは条文に明記されている一方で、組合のサイトを会社が用意することは、条文の文言としては例外に挙がっていないのです。

会社に費用を出してもらってはいけない、ということですか?

そう単純ではありません。実務では、その援助によって組合の自主性が実際に失われるかどうかを、事情を踏まえて判断すると考えられています。

金額の大小や会社側の意図によっても評価は変わります。ここでお伝えできるのは、条文がこう書いてあるという事実までです。

組合サイトの費用をどう考えるか

そのうえで、進め方として整理できることがあります。まず考えたいのは、その費用を組合の予算のなかに置けるかどうかです。

前の章で見たとおり、専用サービスを最小構成で使えば初年度は20万円台からです。組合費の収入と照らして自前でまかなえるかを先に確認してください。ここで収まるなら、そもそもこの論点は発生しません。

自前では難しい場合は、次の3つを組合内で整理したうえで進めるとよいでしょう。

  • 誰の名義で契約し、誰が支払うのかを書面で残す
  • ドメインとデータの所有者が組合であることを明確にする
  • 判断に迷う点は、労働委員会や専門家に確認する

とくに3つ目は省かないでください。労働組合法の適用は個別の事情に強く左右されるため、一般論だけで結論を出すのは危険です。所轄の労働委員会は相談を受け付けているので、迷ったらそこで確認しておくと安心です。

作成の6ステップ

方針が決まったら、実際の作成に進みます。次の6ステップで進めると、迷わず形にできます。順番を飛ばさないことが、後戻りを防ぐコツです。

準備:目的・公開範囲・費用の出どころを決める

1

目的と読み手を決める

組合員向け・未加入者向け・対外向けのうち、どれを主軸にするかを決めます。すべてを詰め込まず、優先順位をつけます。

2

載せる情報・公開範囲・費用の出どころを整理する

何を載せ、どの層に置くかを一覧にします。あわせて、費用を組合の予算でまかなえるかをこの段階で確認します。

ステップ2で費用の出どころまで決めておくのが、組合サイトならではの進め方です。作り始めてから予算の話が出ると、前の章で見た論点に後から向き合うことになります。サイト作り全般の基本はホームページ作成で大事なこともあわせてご覧ください。

設計:構成と依頼先を決める

3

構成(ページの骨組み)を作る

トップから各ページへの導線を、紙に書き出します。3つの目的への入口が、分かりやすく並んでいるかを確認します。

4

3つの作り方から選ぶ

汎用ツール・組合専用サービス・制作会社のどれにするかを、組合員数・限定範囲の要否・更新できる人数で判断します。

この段階で、独自ドメインは組合の名義で取得することも決めておきます。担当者個人の名義にすると、その人が抜けたときにサイトごと失いかねません。

公開と運用開始

5

小さく作って、公開する

最初から完璧を目指さず、必要なページだけで公開します。組合サイトは、完成を待つより、公開して育てるほうが現実的です。

6

運用体制を決めてから、育てる

誰が、いつ、どう更新するかを決めます。ここを決めずに公開すると、更新は止まるでしょう。詳しくは後の章で扱います。

載せてよい情報・避ける情報の線引き

組合サイトで、企業サイト以上に注意したいのが情報の公開範囲です。組合には組合員の個人情報や、対外的に見せるべきでない内部資料があります。ここを曖昧にしたまま公開すると、思わぬトラブルにつながりかねません。

情報の公開範囲を表す、ピーチ色のなめらかな襞が幾重にも流れる抽象的な3D

個人情報の扱い

誰に何を見せるかを、公開前に線引きすることが欠かせません。判断の目安は次のとおりです。

  • 組合の理念・活動方針・実績など、対外的に見せてよい情報
  • 加入案内や、一般的なお知らせなど、広く届けたい情報
  • 組合員の氏名・連絡先など、個人が特定できる情報
  • 内部の議事録や、対外的に扱いを慎むべき資料

組合員だけに届けたい情報は、組合員限定の範囲に置くのが基本です。ただし限定の範囲でも個人情報の掲載は最小限にとどめてください。適切な取り扱いは個人情報保護委員会の個人情報保護に関する解説が参考になります。

組合員名簿を、組合員限定のページに載せてもよいですか?

限定のページであっても、名簿のように個人が特定できる情報の掲載には慎重な判断が要ります。ログインで守られていても、情報が漏れる可能性はゼロではありません。掲載するなら本当に必要な項目だけに絞り、組合員の同意を得たうえで目的の範囲内にとどめてください。

内部資料の扱い

内部資料は、組合員限定と役員限定のどちらに置くかで判断が分かれます。目安として、審議前の資料や個別の交渉経過は役員限定に、決定した内容は組合員限定に置くとよいでしょう。どちらか決められないものは、いったん役員限定に置いて後から範囲を広げるほうが安全です。

幅広い年齢の組合員に読まれる配慮

組合サイトは、若い組合員から年配の組合員まで幅広い年齢の方が閲覧します。文字の大きさや色のコントラストなど、誰にとっても読みやすい配慮も欠かせません。この点はデジタル庁のウェブアクセシビリティ導入ガイドブックが参考になります。

組合員限定のページほど、ログインの手順が分かりにくいと使われなくなります。入口の説明も丁寧に用意してください。

担当者が交代しても止まらない設計

組合サイトで最も多い失敗は、デザインでも費用でもありません。担当者が交代した瞬間に、更新が止まることです。

組合は数年で担当者が代わります。これは気合いで防げるものではなく、作り方で防ぐものです。

止まらない運用を表す、クリーム色のらせんがやわらかく巻く抽象的な3D

更新を「ひとり」に集中させない

更新できる人を、複数用意してください。1人に依存すると、その人の異動や退任ですぐに止まってしまいます。あわせて、ログイン方法やお知らせの追加手順を簡単な手順書にして残しておくと、次の担当者が迷わず引き継げるでしょう。

共通部分を1か所にまとめる

ここは見落とされやすいのですが、続くかどうかを実際に左右する部分です。当社の自社メディアでの実例をお話しします。

当社は、全記事に共通で載せる案内を本文に直接書かず、中身を1か所にまとめて各記事からは呼び出すだけにしています。2026年7月21日にその案内の遷移先を全面的に変更したとき、公開している175本のうち161本の差し替えが1日で完了しました。本文に直書きしていれば、175本×3か所で525か所を個別に開くことになっていた作業です。

組合サイトでは、この差がもっと大きく出ます。役員が改選されるたびに、執行委員の氏名・年度・任期が全ページで変わるためです。共通部分が1か所にまとまっていれば1回の修正で済みますが、各ページに直接書いてあればページ数だけ作業が発生します。

ですから、ツールやサービスを選ぶときの実質的な基準は装飾の多さではありません。ページが増えたあとに、一括で直せるかどうかです。見た目の好みは1年で変わりますが、一括修正の可否は運用が続くかぎり効き続けます。

所有権を組合名義で持つ

独自ドメインとサイトのデータは、担当者個人ではなく組合の名義で持ってください。組合で持っていれば、担当者が代わっても依頼先を変えてもサイトは手元に残ります。

逆にここが個人名義だと、その人が抜けた瞬間に連絡が取れなくなり、作り直すしかなくなることもあるのです。

次の担当者に引き継ぐ持ち物リスト

当社がサイト制作を伴う支援に入るときは、公開日に発注側へ何が渡るかを契約前に一覧にしていただいています。同じ考え方を組合サイトに当てはめると、次のようになります。

タイミング 確認・受け取るもの
契約前 ドメインとサーバーの契約名義を組合にできるか。組合側で更新できる範囲はどこまでか。解約するときにデータを引き渡してもらえるか
公開日 管理画面のIDとパスワード(組合名義のメールアドレスで作る)。アクセス解析と検索の管理画面の権限。制作の過程で作られた資料
引き継ぎ時 更新の手順書。更新できる人の一覧。年間の更新予定(大会・春闘・役員改選の時期)

この表は、そのまま次の担当者への引き継ぎ資料としてお使いください。とくに公開日の欄にある組合名義のメールアドレスは忘れられがちで、個人のアドレスで管理画面を作ると退職時に一切触れなくなります。

今泉の視点:組合サイトのご相談で、私がいつも最初にうかがうのは『次に担当が代わったとき、このサイトは続きますか』です。以前は、これを体制の問題だと思っていました。更新できる人を増やしましょう、手順書を残しましょう、と。
けれど自社のメディアを175本まで育ててみて、考えが変わりました。続くかどうかを決めているのは、人の数より作り方のほうです。人が減ったから止まるのではなく、1回の修正に何時間もかかる作りだから、忙しい担当者の手が止まってしまう。
だから私は、デザインより先に「役員が代わったとき、何か所直すことになりますか」と質問するのです。ここに即答できる作りなら、担当が代わってもたいてい続きます。

よくあるご質問

労働組合のホームページは、自分たちで作れますか?

労働組合のホームページは、一般向けの作成ツールを使えば自分たちで作れます。専門知識がなくても形になりますし、月額数千円から始められるプランもあるようです。ただし組合員だけが見られるページや無記名のアンケートを使いたい場合は、労働組合専用のサービスを検討したほうが早く整います。

無料で作ることはできますか?

無料プランでも作ること自体は可能です。ただし独自ドメインが使えなかったり広告が表示されたりする制限があり、組合の顔として出すには物足りない場合があります。とくに独自ドメインは組合の資産になるため、無料にこだわらず取得しておくと安心でしょう。

ホームページの費用は、会社に出してもらってもいいですか?

労働組合法は、会社が組合の運営経費を援助することについて定めを置いています。条文が例外として挙げているのは最小限の広さの事務所の供与などで、ホームページの費用は書かれていません。実務では個別の事情で判断されるため、迷う場合は労働委員会や専門家にご確認ください。

担当者が交代しても更新を止めないためには、何をすればいいですか?

更新を止めないためには、作り方の工夫が要ります。更新できる人を複数置くこと、全ページに共通する部分を1か所にまとめて一括で直せるようにすること、ドメインとデータを組合名義で持つことの3つが柱です。役員改選のたびに何か所直すことになるかを、契約前に確認してください。

まとめ:小さく公開して、続けられる形にする

  • 作り方は汎用ツール・組合専用サービス・制作会社の3つ
  • 専用サービスの料金は、組合員の人数で決まる
  • 最小構成なら、初年度20万円台から始められる
  • 費用の出どころは、作り始める前に決めておく
  • 公開範囲は、全体公開・組合員限定・役員限定の3層で決める
  • 独自ドメインとデータは、組合名義で持つ
  • 共通部分を1か所にまとめ、一括で直せる作りにする

次の一歩は、自分の組合の人数を料金表に当てはめて年間いくらになるかを出してみることです。金額が見えると、3つの作り方のうちどれが現実的かも自然に絞られてきます。

組合サイトは、一度作って終わりではなく担当者が代わっても続いていくものです。だからこそ、立派に作ることより続けられる形を優先してください。

ツール選びは初心者向けの作成ツール比較、費用や進め方は依頼の流れと費用、制作会社に頼む場合は制作会社の選び方で解説しています。費用を抑えたいときの注意点は格安で依頼するときの注意点、記事づくりやメディア運用のご相談は記事制作・メディア支援で承っています。

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この記事を書いた人

株式会社街中文学 代表。DBSEO(データベース型SEO)・LLMO(AI検索最適化)・コンテンツマーケティングを専門に、東証上場企業や月間4,500万セッション級メディアのSEO支援を行ってきました。AIライティングSaaS「buncraft」を開発・運営。本メディアの全記事を執筆・監修しています。

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