「いいな」と思うホームページを見つけては、ブックマークに保存する。気づけば参考サイトが何十件もたまっているのに、いざ自社サイトの相談になると、うまく言葉にできない——参考集めで、多くの方がこの壁にぶつかります。
原因は、集めた数ではありません。参考を「見た目」で集め、「見た目」のまま眺めているからです。デザイン参考の本当のゴールは、きれいなサイトを真似ることではなく、なぜそう見えるのかという「構造」を言葉にして、制作会社と共有できる状態にすることにあります。
当社はデータベース型の大規模サイト設計を主力に、月間4,500万セッション級のメディア支援の現場で、数多くのデザインを構造の面から見てきました。本記事では、その経験をもとに、参考の3系統と少なく集めるコツ、見た目でなく構造を見る4つの観点、そして真似してよい範囲と著作権でいけない範囲の線引きまでを解説します。デザインを含めた作成全体の考え方はホームページ作成で大事なこともあわせてご覧ください。
企業サイト・LP・ECサイトを、事業の目的と顧客の動きから設計し、公開後の運用まで一貫して支援します。SEOやアクセス計測もあわせて整えたい方向けです。
先に結論:参考は「少なく集めて、深く見る」
まず最初に、結論からお伝えします。
1つ目。参考は、たくさん集めるほど迷子になります。数を集めるより、3〜5件に絞り、一つひとつを深く見るほうが、自社に活かせます。
2つ目。見るべきは「見た目」ではなく「構造」です。色や飾りではなく、何が・どこに・どんな順で置かれ、どう行動を促しているかを見ます。
3つ目。真似してよいのは「構造やアイデア」、いけないのは「具体的な表現」です。レイアウトの考え方は参考にできますが、写真・文章・キャッチコピーの流用は著作権に触れます。
参考サイトの3系統と、少なく集めるコツ

デザイン参考は、目的によって大きく3つの系統に分かれます。この区別をせずに混ぜて集めると、方向性がぶれて、かえってまとまらなくなります。まずは、自分がいまどの系統を見ているのかを意識するところから始めます。
| 系統 | 何を参考にするか |
|---|---|
| 同業種のサイト | 同じ業界での見せ方や、信頼の伝え方。ただし真似すると埋もれるため、良い点の抽出にとどめる |
| 異業種のサイト | 使いやすさや導線の工夫。業界の常識にとらわれない発想が得られる |
| 制作会社のギャラリー | デザインの引き出しを増やす。ただし「作品」なので、日々の使い勝手とは分けて見る |
集めるときにやりがちな失敗が、次の3つです。心当たりがないか、確認してみてください。
- 見た目が好みというだけで、脈絡なく数だけ集めている
- 同業種ばかりを集めて、真似ると横並びで埋もれてしまう
- 集めるだけで、なぜ良いのかを一度も言葉にしていない
コツは、数を追わず、3〜5件に絞ることです。参考は多いほど良い、というのはよくある誤解です。10件をぼんやり眺めるより、3件を深く分解するほうが、自社に落とせる発見はずっと多くなります。絞った参考を、次の章の観点で分解していきます。おしゃれに見せる具体的な工夫はおしゃれなホームページの設計のコツで扱っています。

参考は、たくさん集めたほうが良いデザインになりますか?
いいえ、多いほど良くなるわけではありません。参考が増えるほど、あれもこれもと要素が混ざり、かえって軸のぼやけたサイトになりがちです。大切なのは数ではなく、一つひとつを「なぜ良いのか」まで掘り下げること。3〜5件に絞り、深く見るほうが、結果として自社らしいデザインにたどり着けます。
見た目でなく「構造」を見る4つの観点

参考を「構造」で見るとは、色や飾りをいったん外して、骨組みだけを見ることです。次の4つの観点で分解すると、「なぜそのサイトが良く見えるのか」が、はじめて言葉になります。
最初の画面で、何を伝えているか
スクロールせずに見える範囲に、何屋で・誰の・どんな悩みを解決するかが置かれているか。ここは訪問者が読み進めるか離れるかを決める、最も重要な構造です。
情報が、どんな順で並んでいるか
結論・根拠・行動、というように、読み手が迷わない順で情報が積まれているか。並び順は、そのまま説得の設計です。
視線が、どこへ誘導されているか
大きさ・余白・色の対比で、見てほしい場所へ自然と目が向く作りか。飾りではなく、視線の交通整理として色が使われているかを見ます。
次の行動が、どこで促されているか
問い合わせや資料請求のボタンが、どのタイミング・どの位置に置かれているか。行動を促す構造こそ、成果に直結します。
この4つは、そのまま制作会社に伝えられる「共通言語」になります。「なんとなくおしゃれ」ではなく、「最初の画面に要点があり、結論から並び、ボタンが追従している」と言えれば、意図は正確に伝わります。最初の画面が読み手の判断を左右することは、Googleの有用なコンテンツに関するガイダンスが示す「訪問者にとっての有用性」の考え方とも重なります。見た目の良い印象は、こうした構造の積み重ねから生まれています。逆に言えば、構造が弱いサイトは、どれだけ飾りを足しても、良く見えないのです。
企業サイト・LP・ECサイトを、事業の目的と顧客の動きから設計し、公開後の運用まで一貫して支援します。SEOやアクセス計測もあわせて整えたい方向けです。
真似してよい範囲と、著作権でいけない範囲

参考集めで避けて通れないのが、「どこまで真似してよいか」です。ここを曖昧にすると、意図せず著作権を侵害してしまうことがあります。線引きは、意外とはっきりしています。真似してよいのは「アイデアや構造」、いけないのは「具体的な表現」です。
| 真似してよい(アイデア・構造) | いけない(具体的な表現) |
|---|---|
| レイアウトや導線の考え方 | 写真・イラストなどの素材そのもの |
| 情報を並べる順番の工夫 | キャッチコピーや説明文の文言 |
| 余白やコントラストの使い方 | ロゴや独自のアイコン・あしらい |
この線引きの根っこにあるのが、著作権の基本的な考え方です。著作権は「アイデア」そのものではなく、それを形にした「表現」を保護します。だから、レイアウトの考え方や情報の並べ方といったアイデアは参考にできても、写真や文章という具体的な表現をそのまま持ってくることはできません。詳しくは文化庁の著作権に関する解説も確認しておくと安心です。判断に迷う場合は、自社の言葉・自社の素材に置き換えられているかを基準にしてください。
具体例で考えてみましょう。あるお店のサイトを見て、「最初に大きな写真、その下にこだわり、最後に予約ボタン」という流れが良いと感じたとします。この『並びの考え方』を自社に取り入れるのは、まったく問題ありません。一方で、そのお店の写真そのものや、「素材にこだわり抜いた一皿」といった説明文をコピーして使えば、著作権の侵害になります。同じ「真似」でも、構造をまねるのか、表現をまねるのかで、意味はまったく変わります。参考を見るときは、いつも「これはアイデアか、それとも表現か」と自問する癖をつけておくと、判断に迷いません。
- 参考サイトの「情報の並べ方」を、自社の言葉で組み直す
- 使いやすいと感じた導線の「考え方」だけを取り入れる
- 気に入った写真やイラストを、そのまま自社サイトに使う
- キャッチコピーや説明文を、言い回しごと流用する

同業他社のサイトと似てしまうのは、問題ありませんか?
レイアウトの一般的な型(最初に要点、次に実績、最後に問い合わせ、など)が似ること自体は、通常は問題になりません。多くのサイトが同じ型を使っているからです。問題になるのは、写真や文章、キャッチコピーといった「表現」を流用したときです。型は参考にしても、中身は自社の言葉と素材でつくる。この切り分けができていれば、他社と似ることを過度に恐れる必要はありません。制作会社の選び方はホームページ制作会社の選び方もあわせてご覧ください。
自社に落とし込む3つの手順
集めた参考を、実際の自社サイトに活かすための手順です。この3ステップを踏むと、参考が「眺めるだけ」で終わらず、制作の指示に変わります。
3〜5件に絞り、構造を書き出す
気に入った参考を3〜5件に絞り、前章の4観点(最初の画面・並び順・視線・行動)で、それぞれ何をしているかを箇条書きにします。
共通点と、自社に合う点を選ぶ
書き出した構造を見比べ、複数のサイトに共通する型や、自社の強みに合う工夫を選びます。全部を取り入れず、自社に必要なものだけを残します。
制作会社に「構造の言葉」で伝える
『おしゃれにしてほしい』ではなく、『最初の画面に要点と問い合わせ、実績は上のほうに』と、構造の言葉で伝えます。認識のズレが一気に減ります。
持ち帰りとして、デザイン参考を集めるときの点検リストを挙げます。次の相談の前に、自分の集め方を確認してみてください。
- 参考を3〜5件に絞れているか
- 見た目でなく、構造(最初の画面・並び順・視線・行動)で見ているか
- なぜ良いのかを、自分の言葉で書き出せているか
- 真似するのは「構造」で、表現の流用をしていないか
- 制作会社に伝えられる「共通言語」になっているか
今泉の視点:デザイン参考のご相談で、私が最初にお願いするのは『そのサイトの、どこが良いと思いましたか』を言葉にしてもらうことです。多くの方は「なんとなくおしゃれ」「見やすい」で止まります。でも、その『なんとなく』を、最初の画面・情報の並び・視線の流れ・行動の促し方という構造の言葉に置き換えられると、制作会社との会話が一気に噛み合います。
私は、参考集めとは、良いサイトを真似る作業ではなく、自分が何を良いと感じるのかを構造で言語化する作業だと考えています。真似るべきは表現ではなく、その裏にある設計の考え方。そこさえ取り違えなければ、集めた参考は、迷子のもとではなく、制作会社との確かな共通言語になります。
よくあるご質問
まとめ:参考集めは、制作会社との共通言語づくり
- 参考は少なく集めて、一つひとつを深く見る
- 見るのは見た目でなく、最初の画面・並び順・視線・行動の構造
- 真似してよいのは構造やアイデア、いけないのは具体的な表現
- 著作権は「表現」を保護する。素材や文言の流用はしない
- 構造を言語化すれば、制作会社との共通言語になる
次の一歩は、いま手元にある参考を3〜5件に絞り、4つの観点で構造を書き出してみることです。それだけで、「なんとなく好き」だった感覚が、制作会社に伝えられる言葉に変わります。参考集めのゴールは、良いサイトを真似ることではありません。自分が何を良いと感じるのかを構造で言語化し、つくり手と共有すること。そこを取り違えなければ、集めた参考は、自社サイトの確かな力になります。おしゃれに見せる具体的な工夫はおしゃれなホームページの設計のコツ、制作会社の選び方は制作会社の選び方で詳しく解説しています。デザインを含めた制作のご相談は記事制作・メディア支援で承っており、発注の流れと費用は依頼の流れと費用、依頼先の検討は依頼先の選定もご覧ください。
企業サイト・LP・ECサイトを、事業の目的と顧客の動きから設計し、公開後の運用まで一貫して支援します。SEOやアクセス計測もあわせて整えたい方向けです。
