囲碁にはボケ防止の効果があるって聞くけど、僕たちは本当に囲碁によって認知症のリスクを減らすことができるのでしょうか?
囲碁は特別な道具も必要ないし、お金もかからないのですごくお手軽に取り組める趣味です。囲碁というとちょっと難しいイメージがあるかもしれませんが、実は3歳4歳で始めれるくらいルールの理解は簡単なんです。仲村菫さんも3歳で囲碁を始めたと言っていましたが、僕が教えていた囲碁教室でも3歳の生徒さんは珍しくありませんでした。
囲碁のルールはさておき、この記事では「囲碁を打つと本当にボケ防止に効果があるのか?」について紹介します。
この記事を書いている僕は、大学の研究室でアルツハイマー病について研究している囲碁歴18年の大学生です。
研究室ではアルツハイマー病創薬について神経細胞の細胞レベルでの働きを調べるのが専門です。この記事ではそんな僕が考える囲碁が持つ効果について詳細に紹介していきます。
最後には囲碁だけではない、誰でもすぐ取り組める認知症予防について紹介しているので、この記事を読んだみなさんは今日から実践してくださいね!
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目次
囲碁はボケ防止に効果がある?
結論から言うと、囲碁は認知症予防にかなり効果があると期待できます。
みなさんご存知の通りかもしれませんが、今ではたくさんの研究で囲碁を打つ人は記憶力の向上が認められることが報告されていますね。
ただ、細胞レベルでの詳しいメカニズムは今のところわかっていません。囲碁を打つ人とそうでない人の統計データをもとに出された結論なので、「なぜ囲碁が効果的なの?」と聞かれても正確に答えることはできません。
そもそも囲碁はお薬と違って細胞に直接影響を与えるわけじゃないので、正確にその効果を説明するのは難しいかもしれません。もしやるなら脳に電極を埋め込んだりして脳波を測るなどの研究が必要です。
囲碁がボケ防止に効果的な理由
詳しいことは説明できないとしても、なぜ囲碁がボケ防止に効果的なのかはある程度予想が立てられています。
囲碁がボケ防止として注目されている理由は、「囲碁はボードゲームの中で使う脳の領域が一番広いこと」です。
囲碁には「布石」「中盤」「終盤」と3段階あって、それぞれ局面に応じて使われる脳の場所が違ってくるのです。
例えば「布石」では広い局面で構想を作り上げ、その先をイメージする作業があります。もちろん初心者のうちは難易度の高い作業に思えますが、正解手を打つことと脳の活性化は全く関連がないので自分の思うように打てばなんでもOKです。
最近は布石を研究し尽す人が増えてきていて、布石段階から「左脳の記憶領域」を使う人が増えてきている気がします。スポーツの囲碁と脳トレの囲碁は違う効果があるかもしれないですね。
以上のような考え方も十分に脳の活性化に効果があるのですが、実は囲碁が持つ認知症予防は空間認識能力が最も注目されているんです。
認知症患者では空間認識能力が低下していることが目立っていて、空間認識能力を鍛えることは認知症予防との関連性が強いと考えられています。
囲碁では下の図のような局面になった時
こんなに抽象的な状況で黒の陣地と白の陣地を認識します。この局面であれば黒と白の陣地がある程度分かれているので
こんな感じで黒の陣地と白の陣地があるなとわかります。僕たちは普段囲碁を打つとき、この黒と白の陣地の認識を頭の中でしています。
これを正確にできるのはプロでも少ないのですが、先ほども書いたように正解を導くことと脳の活性化は全く関係ありません。自分なりに考えてこんな感じだなって思えれば十分効果があるんです。
ちなみにこの作業を囲碁では「形勢判断」と言うのですが、これは15級くらいになればちょっとだけできるようになります。15級は囲碁を覚えて1ヶ月くらいでしょうか。
- 囲碁はボードゲームの中で使う脳の領域が最大
- 囲碁は「布石」「中盤」「終盤」で違う脳の働きが必要になる
- 認知症患者で機能低下が顕著に見られる空間認識能力は囲碁で鍛えられる
認知症とその予防を考えよう!
では、次に囲碁だけにこだわらず認知症を予防する方法を考えてみましょう。
65歳以上の3人に1人は認知症を発症する日が来ると言われていますが、実はちょっとした工夫をするだけで認知症になるリスクを下げることができると言う研究報告は非常に多いです。
認知症(アルツハイマー病)の原因
まず、認知症の原因を紹介します。認知症は別名「アルツハイマー病」とも呼ばれていて、アルツハイマー病の有名な原因はアミロイドベータと言うタンパク質です。(タウタンパク質という説もあります)
アミロイドベータは記憶システムで排出されるゴミなのですが、異常な大きさのアミロイドベータができると排出されずに脳内に蓄積され、記憶システムを妨害します。
今熱心に研究されている認知症のお薬も、アミロイドベータの増加を抑える目的のものが多いです。しかしアミロイドベータの蓄積を抑える臨床実験では効果が証明されなかったりと、前途多難な研究結果が続いています。
(※タウタンパク質が原因だという説もあります)
すぐに試せる認知症予防の方法
認知症の予防はアミロイドベータの過剰生産を抑えれば良いのですが、アミロイドベータは正常な脳内でも存在するし必要なタンパク質でもあるので一概に悪者とは言えません。
僕たちが一番気をつけなければいけないのは、生活のサイクルを規則正しくすることです。
- 食事のバランスを正しくする
- 適度に運動する
- おしゃべりをする
最近の研究で面白いと思ったのは、腸内環境がアミロイドベータの過剰産生に関わっているということです。腸内環境が悪くなると悪玉菌が排出するアミロイドベータが増えて、それが脳へ移行して凝集してしまうというもので、森永乳業を始め各企業が熱心に研究していてかなり信憑性は高いようです。
腸内細菌のバランスを整えるには毎日の規則正しい食事が必要ですので、規則正しい食生活は認知症予防につながると考えられます。
おしゃべりをしたり、イベントなどで生活に刺激を与えてワクワクした気分になるのも良いと聞いたことがあります。
この辺は統計データなので正確にどうか証明できませんが、楽しく笑って生活している方が健康でいられる可能性が高そうです。
世界で注目される囲碁の効果
さて、話を囲碁に戻しますね。
囲碁はボケ防止の効果の期待が高いということは日本だけではなく世界中で注目されています。
韓国で囲碁の授業が導入され、日本の大学でも東大慶應早稲田を始め囲碁の授業が積極的に取り入れられているのは有名な話ですよね。僕が所属していた囲碁部にも、授業で囲碁を始めてハマったという子が入部してきました。
囲碁というとアジア勢がほとんどですが、最近ヨーロッパでは囲碁がブームになりつつあるようです。
「ヨーロッパ囲碁連盟(European Go Federation)」は国際囲碁連盟に加入している囲碁団体で、2014年にはヨーロッパ初のプロ制度が誕生しました。ヨーロッパの囲碁人口も増加していて、かなり強い人もいるようです。近い将来、ヨーロッパ出身の棋士が世界チャンピオンになる日も来るかもしれません。
囲碁を通して年齢に囚われないたくさんの友達を作ることができますよ。
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