囲碁のタイトルってたくさんあって、それぞれの賞金や開催日程を詳しく把握するのは難しいですよね。
日本棋士では井山裕太さんが7冠達成をして国民栄誉賞を受賞しました。
七大タイトル棋戦とは囲碁の棋戦で特に注目度の高い試合のことで、タイトル序列1位から7位までがこれらのタイトルです。
その中でも特に歴史・注目度のある3つの棋戦のことを三大タイトル棋戦と言い、タイトル序列の上位3棋戦です。
この記事を書いている僕は囲碁歴18年、囲碁の勉強で棋譜並べが大好きな人です。日本のタイトル戦だけではなく国際棋戦までも追いかけて棋譜を取り寄せては並べていました。
このページでは囲碁の七大タイトルを始め、女流タイトル棋戦やその他の国内棋戦、有名な国際棋戦についてまとめました。
色んな囲碁の棋戦について知って、もっとプロの世界を楽しんでみましょう!
\完全無料!毎日1問詰碁配信/
囲碁の七大タイトル一覧!賞金と開催時期まとめ
まずは囲碁の七大タイトルについて確認しましょう。七大タイトルには三大タイトルも含まれ、出場資格は全棋士にあります。
賞金規模も他の棋戦とは桁違いの三大タイトルにはどの棋士も一層対局への思いが強いようです。タイトル序列は1位から7位がこの七大タイトルで下の一覧で左から序列が高い順に並んでいます。
棋聖・名人・本因坊
棋聖・名人・本因坊・王座・天元・碁聖・十段
棋聖
- 主催:読売新聞社、日本棋院、関西棋院
- 開催時期:1~3月
- 賞金:4500万円
- 創設:1976年
- 決勝戦:挑戦手合い七番勝負
- 持ち時間:8時間(残り10分から60秒の秒よみ)
棋聖とは「卓越した技術を持っている棋士」のことを指し、歴史上で棋聖と呼ばれたのは本因坊道策、本因坊丈和、そして「昭和の棋聖」と呼ばれたのは呉清源さんです。
近年では本因坊秀策も棋聖の一人と数えることがあります。タイトル戦でも序列1位のタイトルとなっており、囲碁界で最も強いと称されるタイトルです。タイトル戦は各地方を巡って行われますが、2年に1度海外対局が行われています。
名人
- 主催:朝日新聞社、日本棋院、関西棋院
- 開催時期:9~11月
- 賞金:3100万円
- 創設:1974年
- 決勝戦:挑戦手合い七番勝負
- 持ち時間:8時間(残り10分から60秒の秒よみ)
織田信長が本因坊算砂の実力を認めて「そちはまことの名人なり」と言ったことから名人という言葉が誕生しました。今では様々な分野で名人という言葉が使われていますが、初めて名人という言葉が誕生したのは囲碁です。
江戸時代から昭和初期は九段が名人と定められ、名人は天下にただ一人と定められていましたが本因坊秀哉名人引退後は九段と名人が別のランクとして位置づけられました。
名人戦は1974年の名人戦騒動で資金の駆け引きを巡って日本棋院と読売新聞が対立して旧名人戦が打ち切りとなったことから1974年に朝日新聞社が新名人戦として新たに名人戦を主催しています。
【関連記事】【全棋譜あり】囲碁第43期(2018)名人戦張栩VS井山裕太!
本因坊
- 主催:毎日新聞社、日本棋院、関西棋院
- 開催時期:5~7月
- 賞金:2800万円
- 創設:1939年
- 決勝戦:挑戦手合い七番勝負
- 持ち時間:8時間(残り10分から60秒の秒よみ)
本因坊とは昔の囲碁の名門家系で織田信長・豊臣秀吉・徳川家康の三英傑に仕えていたと言われています。この家系は5名の名人位を輩出し史上最強の家系でした。
本因坊家では代々本因坊という名を世襲しており、特に本因坊秀策はヒカルの碁でも登場して一躍有名になりましたね。本因坊家は21世本因坊の本因坊秀哉が引退した際に日本棋院へ譲渡し、本因坊戦が始まりました。
これは囲碁における最初のタイトル戦で、本因坊のタイトルは囲碁の棋戦の中でもひときわ重みのある地位です。当初は東京日日新聞と大阪毎日新聞の共同主催でしたが、後に二社が合併して毎日新聞社主催となりました。
本因坊戦は、第79回(2024年)より以下のように形式変更されます。
- 16名によるトーナメント戦。優勝者が挑戦手合に出場
- 挑戦手合、本戦:3時間
- 挑戦手合は五番勝負
歴史ある本因坊戦ですが、2024年分から二日制は廃止され、1日制五番勝負へと縮小になりました。
王座
- 主催:日本経済新聞社、日本棋院、関西棋院
- 開催時期:10~12月
- 賞金:1400万円
- 創設:1952年
- 決勝戦:挑戦手合い五番勝負
- 持ち時間:3時間(残り5分から60秒の秒よみ)
囲碁のタイトル戦としては本因坊戦に次ぐ2番目に長い歴史を持つタイトル戦です。1952年は全本因坊全八段戦という名称でしたが、翌1953年から王座戦とい名称でタイトル戦が行われています。
いち早く5目半コミを取り入れたり、国際棋戦の持ち時間に併せて2006年から持ち時間を3時間にするなど長い歴史を持ちながら囲碁界の最先端を意識する運営が印象に残ります。
天元
- 主催:新聞三社連合(北海道新聞、中日新聞/東京新聞、西日本新聞、神戸新聞、徳島新聞)、日本棋院、関西棋院
- 開催時期:10~12月
- 賞金:1300万円
- 創設:1976年
- 決勝戦:挑戦手合い五番勝負
- 持ち時間:3時間(残り5分から60秒の秒よみ)
前身は日本棋院選手権戦でしたが、1976年から関西棋院選手権戦(神戸新聞社主催)も統一されて天元戦が始まりました。開催時期が一年の中で最後なので一年の締めくくりのタイトル戦として注目が集まる棋戦です。
同様の十段戦・王座戦・碁聖戦に比べて本戦トーナメントの出場枠が多い(28名+α)のが特徴で、まだ実績の少ない若手にも多くのチャンスがあるため若手の活躍が期待されるタイトル戦でもあります。
碁聖
- 主催:新聞囲碁連盟(加盟12社:河北新報、新潟日報、信濃毎日新聞、静岡新聞、北國新聞、京都新聞、中国新聞、四国新聞、高知新聞、熊本日日新聞、南日本新聞、沖縄タイムス)、日本棋院、関西棋院
- 開催時期:6~8月
- 賞金:800万円
- 創設:1975年
- 決勝戦:挑戦手合い五番勝負
- 持ち時間:3時間(残り5分から60秒の秒よみ)
「碁聖」という言葉は囲碁の優れた打ち手に対して使う敬称であり、「棋聖」とほぼ同義で使われます。最初に碁聖と呼ばれたのは平安時代の寛蓮で、そこから碁聖という名称を使うようになりました。
前身は全日本第一位決定戦で、その後碁聖戦の形式になりました。長年のタイトル戦で唯一出場制限のあったタイトル戦で、日本棋院では37期まで五段以上、関西棋院では31期まで五段以上という制限がありました。
今では他の棋戦と同じく実績のある棋士(24名+α)のトーナメントという形式が取られています。
十段
- 主催:産経新聞社、日本棋院、関西棋院
- 開催時期:3~4月
- 賞金:700万円
- 創設:1961年
- 決勝戦:挑戦手合い五番勝負
- 持ち時間:3時間(残り5分から60秒の秒よみ)
前身は早碁名人戦、2011年から森ビルが協賛となって森ビル杯十段戦となりました。優勝賞金は最初は1500万円だったものの徐々に規模が縮小され、現在では700万円まで下がっています。
今後も下がる可能性があると考えられます。第49期まではタイトル戦では異例の敗者復活トーナメントが設けられていましたが50期以降は敗者復活トーナメントは廃止され、実績のある棋士(20名+α)による単純トーナメントが開催されています。
\完全無料!毎日1問詰碁配信/
女流三大タイトルの一覧
女流本因坊
- 主催:共同通信社、日本棋院、関西棋院
- 開催時期:10~11月
- 賞金:550万円
- 創設:1981年
- 決勝戦:挑戦手合い五番勝負
- 持ち時間:5時間(残り5分から60秒の秒よみ)
女流タイトルの序列1位は女流本因坊のタイトルです。前身は1952年創設の女流選手権戦(東京タイムズ主催)で女流棋戦としては最も古い歴史を持っています。
1981年に主催が共同通信社に移り、現在の女流本因坊戦の形式でタイトル戦が始まりました。5連覇すると名誉称号を獲得することができますが今のところ名誉称号を獲得したのは謝依旻さんだけです。
会津中央病院・女流立葵杯
- 主催:日本棋院
- 開催時期:6~7月
- 賞金:700万円
- 創設:2014年
- 決勝戦:挑戦手合い三番勝負
- 持ち時間:3時間(残り5分から60秒の秒よみ)
前身は女流囲碁トーナメントで日本棋院のプロ棋士青葉かおりさんが創設するためにプロデューサーとして携わりました。協賛の一般財団法人温知会の運営する会津中央病院に敬意を表してこの名称がつけられています。
前身の女流囲碁トーナメントでは決勝戦を第一回のみ二日制の一番勝負にて行い、上初の女流棋戦による封じ手が行われました。第2回から第4回は決勝戦が5番勝負、第5回以降は3番勝負となっています。
歴史の浅い棋戦ながら出場棋士は女流のトップが勢ぞろい、さらに地方開催で見学もしやすいことでで毎年大盛り上がりする棋戦です。
女流名人
- 主催:産経新聞社、日本棋院
- 開催時期:3月
- 賞金:350万円
- 創設:1988年
- 決勝戦:挑戦手合い三番勝負
- 持ち時間:3時間(残り5分から60秒の秒よみ)
主催者は第1-20期は夕刊フジで21期以降は産経新聞、日本棋院へと移りました。第1期と第2期はアマチュアも参加していましたがその後は実績のある実績のある女流棋士によるリーグ戦が行われ、史上初の女流棋戦によるリーグ戦となりました。
今では予選を勝ち抜いた16名の女流棋士によるトーナメントによって挑戦者を決定しています。
ドコモ杯 女流棋聖
- 主催:日本棋院
- 開催時期:1~2月
- 賞金:500万円
- 創設:1997年
- 決勝戦:挑戦手合い三番勝負
- 持ち時間:なし(秒よみ30秒、60秒の考慮時間10回)
三大タイトルの棋聖戦と比較すると女流棋聖戦の歴史は浅く、予選も自由参加とそこまで大きな棋戦とは言えない状態です。予選は参加女流棋士によるトーナメントが行われ、優勝者は女流棋聖タイトル保持者との三番勝負に臨みます。
挑戦手合いは囲碁・将棋チャンネル(パーフェクTVのちスカパー!プレミアムサービス)で放映されます。また、タイトルを取るとNTTドコモからdocomoの携帯電話をもらえるらしいです。
扇興杯 女流囲碁最強戦
- 主催:日本棋院
- 開催時期:7月
- 賞金:800万円
- 創設:2015年
- 決勝戦:決勝一番勝負
- 持ち時間:3時間(残り5分から60秒の秒よみ)
女流棋戦としては最高金額の賞金が与えられるタイトル戦です。扇興杯女流囲碁最強戦では前回優勝者、女流タイトル保持者、日本棋院(東京本院、関西総本部、中部総本部)と関西棋院の予選勝ち抜き者の計16名によるトーナメント戦で優勝者を決定します。2018年は万波奈穂さんが32歳で初タイトルを取り第ニュースになりましたね。
\完全無料!毎日1問詰碁配信/
その他の有名国内棋戦一覧
NHK杯テレビ囲碁トーナメント
- 主催:日本放送協会、日本棋院
- 開催時期:毎週日曜日12時から1局ずつ放送
- 賞金:500万円
- 創設:1953年
- 決勝戦:決勝一番勝負
- 持ち時間:1手30秒、60秒の考慮時間10回
1962年度第10回からNHK杯トーナメントもテレビ放送に切りかえられ、今ではすっかりNHKで放送される囲碁トーナメントとして一般への知名度も高く、NHK杯で囲碁を初めて見たという人も多いですね。
NHK杯で通算10回優勝すると、七大タイトル戦の名誉称号に相当するものとして、名誉NHK杯の称号が贈られますが、現時点で名誉称号を獲得したのは坂田栄男二十三世本因坊のみとなっています。
NHK杯に出場できるのはタイトル獲得、賞金獲得、勝率記録などで成績を残せた棋士だけなので、NHK杯に出場している棋士はトッププロばかりです。
阿含・桐山杯 全日本早碁オープン戦
- 主催:日本棋院
- 開催時期:8時間(残り10分から60秒の秒よみ)
- 賞金:1000万円
- 創設:1994年
- 決勝戦:決勝一番勝負
- 持ち時間:90分(使い切ってから60秒の秒よみ)
決勝戦は京都市の阿含宗本山・蝸牛庵(かぎゅうあん)で行われます。プロとアマが対戦する唯一のオープン戦として、1994年にアコム杯全日本早碁オープン戦が創設され、1999年第6期より阿含・桐山杯となりました。
アマチュアの参加資格は第1-2期は全日本アマチュア本因坊戦のベスト8、全日本女流囲碁選手権戦の優勝者・準優勝者、学生本因坊戦の優勝者・準優勝者、世界アマチュア選手権日本代表などその年に実績を残したアマチュア20名です。
アマチュアは四段以下のプロ棋士が参加する一次予選に参加し、本戦を目指します。また、日本の阿含・桐山杯全日本早碁オープン戦で優勝した棋士は中国の阿含・桐山杯優勝者との決勝対局を行います。
新人王
- 主催:しんぶん赤旗、日本棋院、関西棋院
- 開催時期:9~10月
- 賞金:200万円
- 創設:1975年
- 決勝戦:決勝三番勝負
- 持ち時間:3時間(残り5分から60秒の秒よみ)
予選開催年の8月1日時点で25歳以下、六段以下の棋士に出場資格があって、一度でも優勝した棋士は次の年参加できません。若手棋士の登竜門としてはNo1のタイトルで、これまでに新人王を獲得した棋士はほとんど七大タイトルを獲っています。
新人王戦は未来の日本を担う棋士が腕を競う場所なので、注目してみていると数年後にいいことがあるかもしれませんね。
王冠
- 主催:中日新聞社、日本棋院中部総本部
- 開催時期:11月
- 賞金:170万円
- 創設:1960年
- 決勝戦:挑戦手合一番勝負
- 持ち時間:4時間(残り5分から60秒の秒よみ)
中部所属の棋士による棋戦です。7期より挑戦手合となり、15期まで1年半に1度行われていました。その後1年に1度行われています。
出場資格は日本棋院中部総本部所属の棋士のみです。中部総本部所属の棋士は東京本院所属棋士に比べて少なく、中部の囲碁界を盛り上げるためにも新聞社と協力した地方限定の棋戦は魅力的ですね。
竜星
- 主催:株式会社囲碁将棋チャンネル、日本棋院
- 開催時期:8~9月
- 賞金:600万円
- 創設:1990年
- 決勝戦:決勝一番勝負
- 持ち時間:1手30秒、60秒の考慮時間10回
96名の棋士による変則トーナメントで16名の棋士を選出し、そこから通常のトーナメントによって優勝者を決定します。竜星戦はCATV、スカパー!、スカパー!光、ひかりTVなどの『囲碁・将棋チャンネル』で、毎週金曜日と日曜日に放映されています。
ただしブロック戦に出場する棋士を決定するもので、非公開で行われています。優勝者は中国の竜星タイトル獲得者との日中竜星戦に臨みます。2018年は芝野虎丸さんが世界ランク1位の柯潔さんを破って第ニュースになりましたね。
【関連記事】芝野虎丸快挙!中国囲碁メディアがその強さを分析!?
フマキラー 囲碁マスターズカップ
- 主催:日本棋院
- 開催時期:5~7月
- 賞金:500万円
- 創設:2011年
- 決勝戦:決勝一番勝負
- 持ち時間:1時間(残り5分から60秒の秒よみ)
50歳以上の現役七大タイトル経験者による棋戦です。参加人数が16名に満たない場合はタイトル保持経験がなくとも50歳以上の棋士であれば予選を行なって参加することができます。
第4回からは、前期優勝者及び準優勝者は七大タイトル保持・経験がなくとも本戦より出場となりました。
最近の囲碁界では若手の台頭が目立つなか、これまでの日本囲碁界を盛り上げてきたいわゆる囲碁界のレジェンドたちが集って競い合う、ファンにはたまらない棋戦です。趙治勲さん名誉名人、小林光一名誉三冠を始め数々のベテラン棋士が惜しみなく出場しています。
広島アルミ杯・若鯉戦
- 主催:日本棋院、日本棋院広島県本部
- 開催時期:11月
- 賞金:300万円
- 創設:2006年
- 決勝戦:決勝一番勝負
- 持ち時間:1手30秒、60秒の考慮時間10回
日本棋院所属、30歳以下・七段以下の棋士によって争われるタイトル戦です。広島で開催されるこの棋戦は観戦も自由で毎年多くの囲碁ファンが対局場を訪れています。
参加するには各棋院の予選を勝ち抜く必要があり、関東男性・関東女性・関西男性・中部男性・関西中部女性の枠があります。参加しかくが七段以下なのでタイトル戦経験棋士は出場できないので、まだ日の目を見ていない棋士が新たなチャンスを手にする可能性もあります。
ただし女流棋士は女流タイトルを獲得しても八段にならないため女流タイトル保持者が活躍することも十分に期待できます。
おかげ杯囲碁トーナメント戦
- 主催:日本棋院
- 開催時期:5月
- 賞金:300万円
- 創設:2010年
- 決勝戦:決勝一番勝負
- 持ち時間:1手30秒、60秒の考慮時間10回
日本棋院所属、30歳七段以下の棋士によるトーナメント戦です。予選は参加資格を満たす全棋士によって行われ、そこから16名の棋士が本戦に出場します。
本戦は独特な雰囲気に中行われ、一般アマチュアが間近で観戦することも可能です。また、敗者棋士による指導碁も行われているためプロの棋戦に興味がある方はぜひ参加してほしいイベントです。参加しているのは若手トップ棋士が多いためかなりのチャンスです。
SGW杯中庸戦
- 主催:日本棋院
- 開催時期:10~12月
- 賞金:200万円
- 創設:2018年
- 決勝戦:スイス方式変則リーグ戦
- 持ち時間:1手30秒、60秒の考慮時間10回
中庸戦は日本棋院所属の31歳以上60歳以下かつ七大棋戦、竜星戦、阿含桐山杯の優勝経験が無い棋士のみに参加資格が与えられます。まだ日の目を見ていない棋士の魅力を引き出す新企画の棋戦です。
予選はネット対局「幽玄の間」でトーナメントを行い、順位はスイス方式によって決定されます。スイス方式とは4回戦を行い、勝ち数が同率の場合は対戦相手の勝ち数によるポイントで順位を決定します。
これも同率の場合は対戦相手のポイントの合計を算出して第2ポイントとして比較します。スイス方式はアマチュアの大会でも多く採用されていて僕たちにも親近感のある大会ですね。
\完全無料!毎日1問詰碁配信/
特に注目すべき囲碁の国際タイトル一覧
テレビ囲碁アジア選手権
- 主催:NHK、CCTV、KBS、日本棋院、中国棋院、韓国
- 開催時期:5月
- 賞金:250万円
- 創設:1989年
- 決勝戦:決勝一番勝負
- 持ち時間:1手30秒、60秒の考慮時間10回
日本ではNHK杯、中国韓国では同等のテレビ選手権での優勝者と準優勝者、そして前回優勝者の計7名が参加できる、事実上世界早碁チャンピオンを決める重要な棋戦です。最近では2005年張栩さん、2013年井山裕太さんが優勝しています。
最近は特に韓国勢の勢いが強く、日中はやや押され気味です。対局は日中韓で順番に開催地を回していくのですが、中国開催の時だけルールが変わるため注意が必要です。
グロービス杯世界囲碁 U-20
- 主催:日本棋院
- 開催時期:4月
- 賞金:300万円
- 創設:2014年
- 決勝戦:決勝一番勝負
- 持ち時間:1手30秒、60秒の考慮時間10回
前回優勝者を除き、20歳未満とし、日本6名、韓国3名、中国3名、中華台北1名、欧州1名、北米1名、アジア・オセアニア1名の棋士によるトーナメント戦が行われます。
日本では毎年1月に予選が行われ、6つのブロックトーナメントを勝ち抜いた棋士が国際戦へ参加します。国際戦はまずダブルエリミネーション方式(3回戦のうち2勝した時点で枠抜け、2敗した時点で敗退)による合同予選を行い、予選を抜けた棋士による決勝トーナメントによって優勝者を決定します。
2014年に開催された第1回大会では日本の一力遼さんが優勝し、この棋戦の知名度が一気に広がりましたね。
農心辛ラーメン杯 世界囲碁最強戦
- 主催:韓国棋院
- 持ち時間:8時間(残り10分から60秒の秒よみ)
- 賞金:5億ウォン
- 創設:1999年
- 決勝戦:各国5名のチームによる勝ち抜き戦
- 持ち時間:1時間(使い切ってから60秒の秒よみ1回)
数少ない団体戦の世界戦です。各国5名のチームによる勝ち抜き戦を行い、勝った棋士は連続して次に違う国の棋士と対局をおこないます。
負けた棋士は復活できず、チーム全員が負けるとその国は負けです。より最後まで残っていた国の順位が高くなる方式で、毎年どこの国の棋士が何連勝を打ち立てるかに注目が集まっています。
ちなみに范廷鈺九段(中国)はこの棋戦と相性が良くて毎年すごい連勝を重ねるのですが何故か朴廷桓九段(韓国)に連勝を止められるというのがお決まりになりつつあります。
LG杯朝鮮日報棋王戦
- 主催:朝鮮日報社
- 開催時期:2月
- 賞金:3億ウォン
- 創設:1997年
- 決勝戦:決勝三番勝負/li>
- 持ち時間:3時間(使い切ると40秒5回の秒読み)
前身の韓国国内棋戦だった棋王戦から発展して世界的に有名な国際棋戦となりました。世界で一番を決めると言っても良いほど大きな世界戦となり、毎年優勝者には注目が集まります。
日本勢は1998年の王立誠さん、2005年の張栩さんのみの優勝で、決勝進出者も他にいないという状況で日本勢は海外勢にかなり押し込まれています。そんな中で2018年井山裕太さんが決勝進出を果たし、最近また期待が集まっています。
三星火災杯世界囲碁マスターズ
- 主催:中央日報/韓国放送公社(KBS)
- 開催時期:12月
- 賞金:3億ウォン
- 創設:1996年
- 決勝戦:決勝三番勝負
- 持ち時間:2時間(使い切ってから60秒の秒よみ5回)
1回戦は予選としてダブルエリミネーション方式(3回戦のうち2勝した時点で枠抜け、2敗した時点で敗退)、2回戦以降はトーナメント方式、準決勝と決勝は三番勝負で行います。
日本勢では第1回の依田紀基さんの優勝のみとなっていますが、そもそも中国韓国は10名以上参加しているのに日本は毎年3名とかなり少ないです。ちなみに三星は「サムスン」と読み、後援の三星火災海上保険株式会社は韓国の有名なサムスングループの一角です。
応氏杯世界選手権(応昌期杯世界プロ囲碁選手権戦)
- 主催:応昌期基金会
- 開催時期:4年に一度の8月
- 賞金:40万ドル
- 創設:1988年
- 決勝戦:決勝五番勝負
- 持ち時間:3時間(使い切ると20分ずつ2目コミだし)
囲碁のオリンピックみたいなもので、台湾経済界の重鎮であった応昌期が僕財を使って創立した棋戦です。ルールがかなり特殊で、「計点制ルール(応昌期ルール、台湾ルール、SSTルール)」というものが採用されています。
これは中国ルールを改良したものですがちょっとややこしくて囲碁を知っている人でもよくわからないかもしれません。タイトルの知名度としては大きな棋戦なのですが、日本人参加者も少なく日本ではそれほど盛り上がりのない棋戦です。
第1回大会では韓国の曺薫鉉さんが優勝し、韓国に囲碁ブームを巻き起こしたことがあります。日本人にも優勝してほしいですね。
呉清源杯世界女子囲碁選手権
- 主催:中国棋院、福州市人民政府
- 開催時期:4~8月
- 賞金:50万元
- 創設:2018年
- 決勝戦:決勝三番勝負
- 持ち時間:2時間(残り5分から60秒の秒よみ)
囲碁界のレジェンド、呉清源九段の故郷福州にて、呉清源の意志を受け継いで囲碁の世界的発展を目的に、2018年に設立されました。
出場選手は、中国8、欧州6、日本・韓国・北米4、中華台北2の、28名で、中国ルールコミ7目半で対局が行われます。世界各国からトップ女流棋士が集まり、第1回からかなり注目度の高い棋戦となっています。
日本からもオールスターが参戦しており近いうちに優勝してくれると期待しています。
\完全無料!毎日1問詰碁配信/