みなさんは囲碁でグランドスラムという言葉を聞いたことがありますか?
あんまり聞いたことないって人もいるかもしれませんね・・・
実は囲碁でグランドスラムを達成したことがあるのは歴代たった3人で、なかなかニュースにならないのが原因でしょう。
この記事では、普段あまり聞かない囲碁のグランドスラムについて、詳しく解説します!
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目次
囲碁のグランドスラムとは
wikipediaによると、グランドスラムの言葉には次のような定義がされています。
グランドスラム(英: Grand Slam)とはプロスポーツなどにおける主要大会の優勝を独占すること又は大会そのもの。
wikipediaより引用
囲碁でもグランドスラムの意味は同じです。
囲碁でのグランドスラムの意味は、「七大タイトルをそれぞれ1回以上経験したことがある」ことです。
このように、生涯をかけてグランドスラムを達成することを「生涯グランドスラム」と呼ぶこともあります。
囲碁のグランドスラムと七冠王の違い
グランドスラムとよく間違われるのが、七冠王です。
- グランドスラム・・・七大タイトルを1回以上経験。同時に保持している必要はない
- 七冠王・・・七大タイトルを全て同時に保持している
このように、難易度でいうと七冠王の方が圧倒的に高いです。
グランドスラムは「タイトル保持経験」があればいいので、10年かけても20年かけても、1回ずつ取れればOKです。
年間グランドスラムとは
年間グランドスラムとは、言葉の通り、1年間で七大タイトル全てを獲得することです。
みなさんの想像通りこれは滅多に達成できることではありません。
達成者は囲碁・将棋界を含めて歴代1人、井山裕太さんのみです。
グランドスラム達成者の称号は
グランドスラム達成者に対して、特別な称号はありません。
普通タイトルを取ると、そのタイトル名を棋士の名前の後ろにつけて呼びます。
例えば、「張栩名人」とかですね。
また、名誉となる成績を達成した時も同じように名誉称号を棋士の名前の後ろにつけて呼びます。
例えば、「趙治勲名誉名人」
名誉称号は七大タイトルを5連覇するか、通算10回優勝すると、60歳以上で使用することが許されます。(10連覇すると60歳未満でも可)
一方で、グランドスラム達成者に対してこのような呼び方はしません。
グランドスラム達成時は何かしらタイトルを取った瞬間であるはずなので、そのタイトル名をつけて呼びます。
張栩さんはグランドスラム達成後無冠になってしまいましたが、「張栩九段」という風に呼ばれていましたね。
60歳を超えても、グランドスラムは呼び名にはならず、一つの成績として扱われます。
グランドスラムに対する賞金は特にありませんが、グランドスラム達成者は「年間最優秀棋士」の受賞確率が高いので、実質何かしらの賞金はもらえると予想されます。
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グランドスラムを達成した3人の棋士
それではグランドスラムを達成した囲碁棋士3名を紹介します。
グランドスラム達成者は以下の3名です。
- 趙治勲
- 張栩
- 井山裕太
名前を見ても偉大な棋士ばかりですね。グランドスラムの名誉さを説明するには、この名前を並べるだけで十分かもしれません。
趙治勲
趙治勲さんは1956年6月20日生まれ、韓国釜山広域市出身。
日本棋院東京本院所属の棋士です。
1968年に11歳9ヶ月で入段、22歳の時に最年少で本因坊獲得を果たしました。
グランドスラムとなったのは1987年に第13期天元戦で小林光一天元を3-2で破り天元位を獲得した時で、史上初のグランドスラム達成者となりました。
その後本因坊を10連覇し、特例として60歳未満ながら25世本因坊の称号を付与され、60歳の時に名誉名人を名乗るようになりました。
張栩
張栩さんは1980年1月20日生まれ、台湾台北市出身。
日本棋院東京本院所属の棋士です。
1994年に13歳で入段、2003年に本因坊・王座を獲得しました。
グランドスラムとなったのは2010年2月に山下敬吾棋聖の持つ棋聖戦に初挑戦し、4-1で奪取した時で、趙治勲さんに続く史上2人目のグランドスタム達成者になりました。
しかしその後は井山裕太さんの前に敗れ続け、無冠となってしまいます。全く勝てなくなって台湾へ一時帰国したり囲碁普及へ方向転換してみたり、本人もいうように苦しい時間が続きました。
2016年にNHK杯テレビ囲碁トーナメントで優勝し、復調の兆しを見せるとそのわずか2年後
2018年には9年ぶりに名人戦挑戦手合いへ登場し、9年前に敗れた井山裕太名人との激闘を制し、10年ぶりに名人に返り咲きました。
令和の時代に入っても強さを見せ続ける平成四天王の一角です。
井山裕太
井山裕太さんは1989年5月24日生まれ、大阪府東大阪市出身。
日本棋院関西総本部所属の棋士です。
2002年13歳で入段、2005年16歳で前記し出場トーナメント(阿含桐山杯)で優勝、史上最年少記録を打ち立てました。
グランドスラム達成となったのは2013年3月に張栩棋聖の持つ棋聖戦に挑戦し、4-2で奪取した時で、史上3人目のグランドスラム達成者となりました。
また、井山裕太さんは生涯グランドスラムの他に、年間グランドスラムを達成した唯一の棋士としても知られます。
年間グランドスラムを達成したのは囲碁将棋界で井山裕太さんだけで、しかも井山裕太さんは年間グランドスラムを2回も達成するという偉業を成し遂げています。
その他にも大三間、国民栄誉賞などを受賞し、名実ともに日本のトップの棋士です。
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グランドスラムにあと一歩の囲碁棋士
グランドスラムを達成したのは以上の3名のみですが、実はあと少しで達成できるという棋士もいます。
グランドスラム達成まであと一歩の棋士は以下の3名です。
棋士名(敬称略) | 残りタイトル |
---|---|
林海峰 | 棋聖 |
小林光一 | 本因坊 |
山下敬吾 | 十段 |
囲碁のグランドスラムが持つ意味
この記事では囲碁のグランドスラムについて紹介しました。
囲碁のグランドスラムには「生涯グランドスラム」と「年間グランドスラム」があり、達成者はわずかのみです。
囲碁の七大タイトル経験者は数多くいる中で全てを一度経験するというのは、本当に難易度が高いことがよくわかりますね。
2019年現在はまだまだ期待できる若手も多く、今後この記録が塗り替えられるように祈っています。
以上、「囲碁のグランドスラムってすごいの?達成棋士は過去に3人のみ!」でした。
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