初心者さんから高段者まで、囲碁の上達の方法は多くの人が頭を抱える問題です。
僕もその一人でした。
効率よく囲碁を勉強するにはどうすればいいんだろう?
しかし僕の上達は決して効率的ではありませんでした。
多くの県代表者は、囲碁を始めて一瞬で初段になっています。
僕はずっとそんな人たちを観覧席から見つめる級位者でした。
と、母親に話しては
『無理だね~』
なんて言われていました。
生まれ育ったのは九州の田舎でした。
有名な囲碁クラブも先生もいない状況の中、どうすれば強くなれるんだろう?と独りで考え、試行錯誤してきました。
初段になるまで8年。
そこから県大会で優勝するまでさらに3年。
今回はこの経験から導き出した、上達に必要な勉強方法を紹介します。
決して効率的とは言えませんが、僕の経験を通してあなたの上達に少しでも貢献できると嬉しいです。
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目次
囲碁上達の方法とは?~初心者から県代表までの道のりを全て公開~
では先に結論からお話しします。
囲碁初心者さんでも、高段者さんでも自分にあった勉強法をピックアップしてカリキュラムを立てると効率よく上達することができます。
上達に必要な勉強方法は、現時点でのあなたの棋力によって違います。
以下の表に各棋力別の必要事項をまとめました。
棋力は東洋囲碁・野狐囲碁の棋力を基準としています。
ぜひ参考にしてください。
【関連記事】ネット碁サイトまとめと評価
◎:必須
〇:優先的にすること
●:余裕があればすること
△:現時点では必要ない
項目 | 2桁級 | 1~9級 | 初段から6段 | 7段以上 |
基本死活・手筋 | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 |
詰碁集 | △ | 〇 | 〇 | ◎ |
対局 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
局後の検討 | △ | △ | ● | ◎ |
棋譜並べ | △ | ● | ◎ | 〇 |
ヨセ | △ | △ | △ | 〇 |
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棋力向上に向けて初心者の僕が勉強したこと
初心者から2桁級のときは子供囲碁教室で基礎を習う
囲碁を覚えたのは祖父の家でした。
それから1年後に、ヒカルの碁スクールへ参加しました。
囲碁教室の内容は
- 15分の講義
- 1時間半はフリー対局
でした。
2週間に1度通うだけで、家ではほとんど囲碁に触れない日々が続きました。
1年ほど経って、棋力は10級まで上がりました。
日本棋院主催で棋力は甘かったので、今考えてもネット18級でいい勝負でしょう。
10級まで上がって、僕は一向に勝てなくなりました。
今までは毎週勝ち越していたのに、10級になった途端、負け続けるようになったのです。
正直、僕はそんなに気にしていなかったけど、何かしようという気持ちはあったのでしょう。
その時からコンピュータ囲碁を始め、AIと対局するようになりました。
AIは囲碁教室の子供たちと違って、手抜きをしたり打ち込んでくることが多く、よく悩まされたのを覚えています。
大昔の話なので、最強でも5段くらいです。
こうして家でも対局するようになってすぐ、僕は10級の壁を乗り越えることができました。
この時は気が向いたときに対局する程度でした。
2日に1局くらいだったと思います。
【初心者卒業後】1桁級から初段へのきっかけは基礎死活
10級を超えてからは比較的すぐ、子供囲碁教室の初段になることができました。
ちょうどその時、地域の方のお誘いを受けて近所の和尚さんが開いていた碁会所へ行くことになりました。
子供囲碁教室で二段だった僕は、『2級から始めよう』という碁会所の席亭さん(和尚さん)に若干の不満を覚えつつ通い始めます。
しかし、子供教室の棋力は甘いのが当たり前。僕は2級を維持するのもギリギリでした。
こうして自分は初段の実力がないんだという現実を突きつけられます。
試しに打ったネット碁(幽玄の間)では、5級でぼろ負けしました。
この碁会所に通い始めて、僕は本当に強くなるために必要なことを考え始めました。
僕が考えた上達方法は次の通りです。
- 寄付ならべは毎日3局以上
- 碁会所の対局を常に真剣に打つ
- 月刊碁ワールドの付録の問題を解く
棋譜並べは「囲碁の棋譜並べを効率的に行う方法」に従って、なるべく多くの棋譜を並べるようになりました。
僕はとにかく棋譜並べが好きでした。
1手1手並べる感覚が、まるで小説を読んでいるようで、次はどこに打つんだろうとワクワクしながら並べていたのを覚えています。
碁会所に行っても、席亭さんの本棚を勝手に漁って本を取り出し、隅で棋譜ならべをしている変な子でした。
よくおじさんたちに『対局しようよ!』引っ張りだされていましたね。
お気に入りの棋士は張栩さんだったので、張栩さんの棋譜だけをたくさん並べました。
碁会所では張栩さんの布石を試してみたり、時には仲の良い碁会所のおじさんたちの打ち方を真似してみたり。
自分に合う布石、あんまり好きになれなかった布石などありますが、試していくうちに僕の勝率は徐々に上がってきました。
棋譜並べをしていたので、置き碁よりも互先に近い対局のほうが勝っていた気がします。
そうして囲碁の面白さに引き込まれ、棋譜ならべをメインに勉強していましたが、棋力は1級に上がったくらい。
初段になるには、棋譜並べのほかに足りないものがあると考えました。
ちょうどその頃、僕が大好きな張栩さんは詰碁が得意だということを知りました。
僕が一番好きなのはこの本です。
そして詰碁を読み進めるうちに、自分は詰碁の力が全く足りていなかったことに気付きました。
当時は小6の卒業式直後。
僕は暇な時間を利用して、棋譜ならべと基礎詰碁に多くの時間を割きました。
するとわずか1か月後。碁会所に通い始めて3か月。
僕は初段になることができました。
初段から五段へのステップアップ【基本死活はまだまだ初心者だった】
初段になった後、五段までは半年で昇段することができました。
碁会所には週1回しか通っていなかったので、ほぼ負けなしで勝ち上がった記憶があります。
この期間、特別なことはしていません。
級位者の頃と同じように、一人で基礎詰碁と棋譜ならべだけを続けていました。
どうして勝率が劇的に上がったのか?
その答えは、基礎死活を理解したことだと言えます。
「囲碁の詰碁のやり方・考え方を徹底解説」でも紹介しましたが、基礎詰碁は対局中のすべての死活のベースとなります。
ある部分の死活を考えるにしても、その基本形を知っている人と知らない人ではヨミや形勢判断に大きな差が生まれます。
僕は初段突破を目的として基礎死活をやりこみましたが、結果としてこれは高段者へレベルアップする一番の近道だったように感じます。
この時期に一つだけ、僕が新たに始めたことがあります。
それは、自分の棋譜を付けることです。
3段くらいの時に始めて、碁会所の対局をノートに記録しました。
最初の頃は全くできなくて、20手や30手でギブアップ。
それでもいいや~と、続けていくうちに書ける手数が増えていきました。
あるとき席亭さんに見つかって、褒められたのはすごく嬉しかったです。
【初心者にもおすすめの勉強法】高段者への上達の秘訣はネット対局
初段になってから順調に勝ち進んでいきましたが、五段になったところでスランプが訪れました。
初めて五段になってから半年ほど、ずっと五段で勝ったり負けたりという状態でした。
なかなか勝ちきれないし、自分の碁が打てなくて
と思っていました。
そんな時に、席亭さんが
『五段で満足したらダメだよ』
と言ってくれて、ある人を連れてきてくれました。
その子は僕と同い年で、昔その碁会所に通っていた七段の子でした。
僕は大会に出たことがなかったので知らなかったですが、当時中学生の県大会の優勝常連者で、大人の大会でもトップレベルだったようです。
僕は五段だったのですが、互先で打つことに。
あまりのレベルの差に驚きました。
と衝撃を受けるとともに、もっと強くなりたい!と思いました。
まず僕が始めたのはネット碁です。
強くなるためには、強い人が多い場所で鍛える必要があると感じたためです。
【関連記事】囲碁無料おすすめゲーム、ネット碁サイトを本気でまとめてみた
当時の棋力は幽玄の間で二段。
対局数は多くありませんが、ネット対局で鍛えられたおかげで普段の勉強にも熱が入りました。
幽玄の間で四段を超えたころ、碁会所でも五段甲から六段レベルになりました。
六段から県大会優勝までの差は詰碁力【詰碁初心者】
碁会所で六段になったころ、ちょうど高校1年でした。
高校生になると大会のレベルは一気に上がりますが、それでも県大会では13位でした。
初めて参加した大人の大会では1回戦負け。
このままではいられないと、ある先生の囲碁教室へ参加しました。
そこは元中国のプロの先生が開いていた囲碁教室でした。
その先生曰く『力強さが全く足りない』とのことでした。
僕が通っていたお寺の碁会所は、棋理を大切にする席亭さんの影響で穏やかな棋風の人が多く、僕も戦わずにヨセで勝つ碁を目指していました。
しかし、より上のレベルを目指すには力強さが必要だと気付きました。
そこで取り組んだのは詰碁です。
片道1時間半の通学時間を利用して、僕は毎日のノルマ表を作成しました。
- 棋譜並べ3局
- 詰碁100問
- 対局1勝以上
詰碁100問とはいえ、同じ本を繰り返し解いていたので答えは暗記していました。
本の取り寄せには3週間かかるし、通販嫌いの親の影響でAmazonも使えなかったので、持っている本をやりこもうとしていただけです。
詰碁は繰り返し解くのも大事ですが、実は多くの種類を解く方がもっと大事です。
通販が使える方は、ぜひ「お手軽に強くなる級位者詰め碁5選」などを参考に詰碁を解いてくださいね。
休日は囲碁教室に通い、先生と打って検討します。
午後は碁会所へ通って棋譜並べ、対局するという生活でした。
しかし残念ながら碁会所では相手が少なくなりすぎて、ほとんどはネット碁で対局するようになりました。
そんな生活を続けて一年後。
僕は県大会でも上位に入れるようになりました。
この期間で最も心掛けたのは、ヨミの力を鍛えることです
棋風に関しては地に辛かったり、堅実と言われたり、力碁と言われたり。
正直自分でも、棋風は定まっていないなと感じました。
しかし一貫して感じたのは、勝負所でのヨミの力は明らかに強くなっていたことです。
攻め合いやヨセなど、読み勝負の場面で負けることは少なくなりました。
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県大会優勝からプロ棋士に定先レベルまで【初心を忘れず】
「yukiのプロフィール」でも少し書きましたが、大学に入ってすぐ有名な道場へ通い始めました。
地方では少しだけ有名だった僕も、東京に出てくると普通の人でした。
自分よりずっと年下なのにすごく強い子もいます。
この道場で、本当に強くなるとはどういうことなのかを学ぶことができました。
「囲碁で不調になった時の3つの打開策」を提案してくれたのもこの先生です。
この道場では、強くなるために以下のことを徹底していました。
- 最重要項目は詰碁でヨミを鍛えること
- ライバル同士で常に競い合う気持ちを持つこと
- 人として成長すること
まずは、詰碁でヨミを鍛えることです。
アマチュア高段者と院生で最も意識が違うところが、ヨミの訓練です。
詰碁は単調だし考えるの面倒だし、好き好んでやるのは珍しい人です。
大体の人はやりこみたくないし敬遠してしまいがちです。
しかし、勝負に直結するのはヨミの力です。県代表クラスにもなればそれは十分に経験することでしょう。
道場では毎日詰碁の問題が配られていました。
時には1か月に1000問以上の課題を出したこともあります。
僕も1か月1650問チャレンジに参加しました。
実はその時に出された詰碁は「初段からのおすすめ詰め碁8選」で紹介した本がメインだったのです。
2つ目はライバルと競い合うことです。
この道場では生徒の棋力によってクラスを分け、リーグ戦だけでなく普段の勉強でも競い合うことが多かったです。
たとえば、詰碁も点数で順位付けたり、他の人の採点をして間違った手を探させたりするなど、常に競い合う精神を植え付けていたように感じます。
こうして競い合って勉強することで『相手』がいることを実感し、『強くなりたい!』、『負けたくない!』という気持ちはより高まっていました。
それが自然と勉強する雰囲気を作り出し、道場生の囲碁に対する気持ちの強さにもつながっていたのでしょう。
このような環境は道場という特別な場所があるがゆえの有利さではありますが、実は自分一人でも作り出すことはできます。
ネット碁ではチャットが盛んで自然と友達ができ、彼らが道場のライバルと同じようにあなたを引き上げてくれます。
全ては自分から積極的に切磋琢磨のグループへ踏み込むことがポイントになります。
初心者から高段者までの囲碁上達法とは
ここまで、僕の実体験をもとに囲碁の上達法を紹介してきました。
ぜひこの記事で紹介したコツをもとに、日々の訓練に励んでいきましょう!
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