今回は中国囲碁界のエース、世界ランク1位の柯潔九段の演説を全訳してみました。
この演説は、柯潔九段が大学生を前に行ったものです。
これからの世界を背負う一人の青年の人生をみなさんもお楽しみください。
>> プロ棋士特集
\完全無料!毎日1問詰碁配信/
目次
“新青年”柯潔の囲碁人生「情熱なしは少年べからず!」
新華社2018/05/05
概要
原文;不狂不少年!“新青年”柯洁的“围棋人生”
新華社記者;鼎博・周勉・徐昱・陶亮・孟鼎博・宋为伟
五冠王の柯潔は全国の数百名の大学生に対して自らの物語を語った。
柯潔は新華社で“新青年2018夏季演讲”(新青年2018年夏期演説という意味)のパックボードにサインをした。
5月4日、青年の日である今日
世界史上最年少で五冠を達成した柯潔は、新華社の新青年2018年夏期演説の舞台上で全国から集まった数百人の大学生に向かって、腹を割って自分の物語を語った。
柯潔は新華社の『新青年2018夏期演説』で演説をした。
中国のエース、柯潔の決意。いくら絶望しても碁を打ち切る
舞台中央に立つ柯潔は、白いシャツを着ている。
後ろの大スクリーンには皆によく知られている泣き顔の写真が並べられている。
こんなに多くの人の前で自分の『泣き虫』な過去を紹介して、柯潔は少し恥ずかしそうに、また緊張しているように見えた。
『僕は一度勝利の光を見つけたのだけれど、それでもアルファ碁はとても素晴らしかった。』
彼はそう話した。
AIとの対局の細かなことまで、彼は鮮明に思い出した。
『第3局の中盤で、僕はどうしても自分の気持ちが落ち着かなくて対局室を離れました。すぐに誰もいない場所に行って、辛くて耐えられなくて、僕は初めて対局中に涙を流しました。』
電脳戦第3局で、彼は対局中に涙を拭った。
柯潔は
『あの対局の過程と結果は、自分は頼りない子供だと思えるほど絶望するものだった。僕を慰めに抱擁してくれた人にさえ、体を震わせ、力なく【もうできない。僕は勝てない。】と言ったのです。』
どれだけ泣いたのだろう。
目を真っ赤にしながらも、それでも柯潔は対局室に戻ってあの対局を打ち終えた。
あの場に居合わせた友人に対して柯潔は
『棋士という職業は、いくら絶望しても、どんな困難に出会っても、目の前の1局は打ち終えなければならない。これが棋士のあるべき姿だ。』
と言った。
柯潔の日常。まじめにひたむきに
自分はいったい天才なのか、一般人なのか?
この話題を振ったとき、柯潔は謙虚すぎず、またおごりもなく
『僕は自分はバカではないと思っています。1%くらいは天から与えられた才能があるでしょう。でも、僕もコツコツ真面目に自分の仕事をこなします。残りの99%の汗水の中で、僕は妥協をしたことはありません。』
と答えた。
柯潔のこの平然としていながら、気持ちのこもった言葉に会場の人々は、にっこり微笑んで聞いていた。
柯潔は幼少期、自分を常に追い込む『棋魔』であった。
昼間は棋院でライバルたちと共に練習し、家に帰ったらネットで訓練の続きをした。
6歳の頃から今まで、彼はネットで2万以上の対局を重ねた。毎局平均1時間として計算すると、今年21歳になる柯潔は
三年近く、飲まず食わず、睡眠さえ取らず打ち続けたことになる。
『これはただ単に自分がネットで訓練しただけです。普段は詰碁、棋譜並べ、大会などあります。
囲碁は流す汗こそ少ないですが、この訓練にも汗水を流すのと同じほどの努力があり、これは自分のみがわかることです。』
柯潔はそう言った。こんなに頭を酷使する種目に身を置きながら、自分はまだこんなに髪の毛が生えてるのは理解できない。
柯潔の想いは?『情熱』は若者があるべき姿である。
アルファ碁との対局でみんなに覚えられている以外で、柯潔の『情熱』は、彼がよく知られている重要な理由だ。
2015年、夢百合杯世界囲碁オープン戦で、韓国の伝説的棋士のイセドルとの決勝戦前、柯潔は
『イセドルさんは前に、自分が勝つ確率は50%だと言いました。僕は僕が勝つ確率が100%だと思いましたが、彼は50%だという。ならば彼の伝説は閉幕後の劇場です。』
『もし多くの人が僕を夢想家、無知、うぬぼれだと言っても、我々棋士にとっては先生やスター選手に勝つということが、彼らへの最高の敬意なのです。』
柯潔は言った。
情熱なしは少年べからずだという。(原文の表現は不狂不少年)
彼の激しさの一部は性格由来の天然成分だろうが、その『情熱』の多くの部分は彼のように熱意にあふれた若者が持つべきものということであってほしい。
また、みなさんの囲碁という優れた伝統文化へのイメージを変えるこの場を以って彼は一言付け加えた。
『囲碁は活気に満ち溢れていて、面白みがあり、青春そのものです。』
柯潔は中国の人工知能、星阵と対決した。
人工知能と打つとき、いまの柯潔はとっくに思考の整理がついているようだった。
彼は、人工知能はやはり強いが、囲碁が人々にもたらす面白みにとって代われるものではないと思ったようだ。
『全ての進歩を嬉しく思うために、全ての失敗を悔やむために、この体と心を持ち合わせた感覚は、機械には人間の代わりはできない。』
柯潔はそう言った。
だがテクニックの面では、アルファ碁の技術が多くの不可能を可能にすることを望んでいる。
なぜなら、これは人類の現在を見つめ直すこととと再建につながるだからだ。
\完全無料!毎日1問詰碁配信/
柯潔、魂の演説まとめ
いかがでしたか?
世界ランク1位の柯潔九段ですが、以前
『努力努力再努力』
というメモが拡散されて話題になっていましたね。
これは日本語と全く同じ意味です。
彼の努力家の一面、情熱の強さの一面がよく表れていますね。
僕も、柯潔九段の情熱に負けないようにこれからも
『努力努力再努力』
をしていこうと思います。
柯潔九段のプロフィール
名前 | 柯潔(カ ケツ/クー ジエ) |
---|---|
生年月日 | 1997年8月2日 |
出身 | 浙江省麗水市 |
所属 | 中国囲碁協会 |
ニックネーム | 大帝 |
>> プロ棋士特集
\完全無料!毎日1問詰碁配信/