「うちのメディアは example.com/media/ と media.example.com のどちらに置くべきか」。サブディレクトリかサブドメインか、この一点で立ち上げ前の会議が止まります。調べるほど答えが出ないのは、解説記事の主張そのものが割れているからです。
結論から言えば、確認した公式のページに優劣の記述はありません。あるのは「ビジネスの観点からは、ビジネス上意味があればどちらでも構いません」という一節だけです。
この記事では、その原文がどの見出しの下にあるかを示します。上位10サイトの主張の割れ方を数え、当社が両方をどう使い分けているかも実測で公開しました。読み終えれば、SEO以外の基準で置き場所を決め、その判断を社内に説明できるようになります。
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先に結論|サブドメインの優劣は公式の関心事ではない
サブドメインとサブディレクトリ、どちらがSEOに有利か。今回確認したGoogle公式のページに、この問いへの答えはありませんでした。書かれているのは「ビジネスの観点からは、ビジネス上意味があればどちらでも構いません」です。
調べても答えが出ないのは、探し方が悪いからではありません。解説記事の主張そのものが割れているからです。
この章では、公式の記述・上位10サイトの分布・当社の実測という3つの要点を先に示します。
公式は「どちらでも構わない」
Googleのスターターガイドに、そのものずばりの記述があります。置かれている場所まで含めて見てください。
サブドメインかサブディレクトリか ビジネスの観点からは、ビジネス上意味があればどちらでも構いません。たとえば、サブディレクトリに分割するとサイトの管理が容易になるかもしれませんし、サイトのトピックや業種によってはトピックをサブドメインに分割することに意味があるかもしれません。
出典: Google 検索セントラル SEO スターター ガイド(2025年12月18日更新)H2「Google が重要でないと考えること」より
この記述は「Google が重要でないと考えること」という見出しの下にあります。公式は、この問いを重要でない側に分類しているということです。
そして挙げられている判断材料は2つだけ。サイトの管理が容易になるか、そしてサイトのトピックや業種です。順位の話は出てきません。
上位10サイトの主張は割れている
読者が迷う原因は、解説記事の側にあります。2026年8月に「seoサブドメイン」「サブドメイン サブディレクトリ seo」「サブドメイン seo 不利」の3つのクエリでGoogle検索しました。上位10サイト(当社を除く)の主張を数えた結果です。
| 主張 | サイト数 | 公式の引用 |
|---|---|---|
| SEO上の優劣・有利不利はない | 6 | 確認できず |
| サブドメインは評価を一定程度引き継ぐ | 4 | 確認できず |
| サブドメインは別サイトとして評価される | 4 | 確認できず |
| メインドメインのマイナス評価も引き継ぐリスクがある | 3 | 確認できず |
| SEOの有利不利ではなくビジネスの用途で選ぶべき | 9 | 確認できず |
1つのサイトが複数の主張を書いているため、サイト数の合計は10を超えます。
「評価を引き継ぐ」と「別サイトとして評価される」は正反対で、それぞれ4サイトずつありました。表の2行目と3行目です。
しかもそのうち2サイトは、1本の記事の中で両方を書いています。読み比べて混乱するのは当然です。
さらに、複数のサイトが「Googleが明言している」と書いていました。しかしどのサイトにも、公式ページへのリンクや原文の引用が見当たりません。
決め手は技術要件と運用にある
順位への影響で差が付かないなら、何で決めるのか。当社は1つのドメインで両方を使っています。分かれ目はSEOではありませんでした。
- メディア(記事288本)/サブディレクトリ。コーポレートサイトと同じサーバー
- 自社SaaS/サブドメイン。別のIPアドレス・別のサーバーで動いている
分けた理由は、別のサーバーで動かす必要があるかどうかでした。以降の章で、この構成の実測と、サブドメインにすると何が増えるのかを見ていきます。
なお、URLの階層をどう設計するかという話は本記事では扱いません。SEOのディレクトリ構造とは?で別に整理しています。
Google公式が実際に書いていること
公式がこの問いを「重要でない」側に置いていることは、周辺の項目を見るとよりはっきりします。
この章で確認するのは、9項目の一覧・公式が挙げる判断材料・そして書かれていないことの3点です。
重要でないと考えることの9項目
「Google が重要でないと考えること」という見出しの下には、9つの項目が並んでいます。サブドメインの話はその5番目です。
- メタ キーワード
- キーワードの乱用
- ドメイン名や URL パスの中のキーワード
- コンテンツの最小長と最大長
- サブドメインかサブディレクトリか
- PageRank
- 重複コンテンツは「ペナルティ」になる
- 見出しの数や順序
- E-E-A-T をランキング要因と考える
メタキーワードやキーワードの乱用と同じ列に並んでいます。長らく議論されてきたわりに、公式の扱いはこの位置でした。
3番目の「ドメイン名や URL パスの中のキーワード」については、urlキーワードは順位のためではないで別に扱っています。同じ見出しの下にある項目なので、あわせて読むと公式の考え方の輪郭がつかめます。
判断材料は管理のしやすさと業種
公式が挙げている判断材料は2つだけでした。
- サイトの管理のしやすさ/「サイトの管理が容易になるかもしれません」
- サイトのトピック・業種/「トピックをサブドメインに分割することに意味があるかもしれません」
どちらも「かもしれません」で結ばれています。公式は断定していません。
そして2つとも、検索順位の話ではありません。管理のしやすさと、扱う話題の性質です。
引き継ぐとも別扱いとも書いていない
上位サイトが割れていた論点は、今回確認した公式の2ページでは扱われていませんでした。検索した結果が次のとおりです。
- サブドメインはメインドメインの評価を引き継ぐ
- サブドメインは別サイトとして評価される
- メインドメインのマイナス評価も引き継ぐ
記述が無いことは、その現象が起きないという意味ではありません。確かめられたのは、よく引き合いに出される根拠が、今回見た範囲の公式文書には存在しないという一点です。
参照したのはスターターガイドとサイト移転のページの2つで、公式ドキュメント全体を調べたわけではありません。ただ、この問いを扱っている主要なページで優劣に触れていない以上、優劣を前提に決めるのは無理があります。
当社は1つのドメインで両方を使っている
当社は同じドメインの中で、サブディレクトリとサブドメインを使い分けていました。自分たちの構成を実測して確かめたものです。
2026年8月30日に、DNSの解決とHTTPSの応答を直接調べました。読み取りのみで、設定は一切変えていません。
記事288本はサブディレクトリ
このメディアの記事288本は、すべてサブディレクトリに置かれています。コーポレートサイトと同じサーバーで動いていました。
- コーポレートサイト(ルート)/HTTP 200・Server ヘッダは
nginx - メディア(サブディレクトリ)/HTTP 200・Server ヘッダは
nginxでルートと同一
Server ヘッダが同じで、後述のとおりIPアドレスも同じでした。外から見える応答は、ルートもメディアも区別がつきません。中身は別のWordPressですが、同じホスト名の下に同居しています。
自社SaaSはサブドメインで別サーバー
一方、当社のSEO記事自動生成ツールはサブドメインに置かれ、まったく別のサーバーで動いています。ホスト名ごとにDNSを引いた結果が次のとおりです。
| ホスト名 | DNS | HTTP | IPアドレス | Server ヘッダ |
|---|---|---|---|---|
| ルートドメイン | 解決 | 200 | 160.251.148.55 | nginx |
www. 付き |
解決 | 200 | 160.251.148.55(同一) | nginx |
| SaaSのサブドメイン | 解決 | 200 | 69.46.46.117(別) | railway-hikari |
blog. / media. / app. / shop. / news. |
解決なし | — | — | — |
IPアドレスが違い、名乗っているServer名も違います。同じドメインに見えて、実体は別々の場所で動いているサービスです。
もう1つ、よくある名前を5つ引いてみましたが、いずれもDNSで解決しませんでした。この5つは1つも立てていないということです。引いたのは一般的な名前だけなので、当社のサブドメインがこれで全部だと確かめたわけではありません。
分かれ目はSEOではなかった
この2つを分けた基準は、検索エンジンの評価ではありませんでした。別のサーバーで動かす必要があるかどうかです。
記事は WordPress で書いて同じサーバーに置けます。一方でツールはWebアプリケーションで、別の基盤の上で動かす必要がありました。サブドメインにしたのは、その結果です。
今泉の視点:正直に書くと、置き場所をSEOで検討した記憶がありません。記事はWordPressだから同じサーバー、ツールは別基盤で動かすからサブドメイン。技術の都合で自然に決まっていました。この記事のために自社を測り直して、判断がそこにあったと初めて言語化できています。
当社は検索順位を計測していないため、サブディレクトリのほうが順位が高かった、といった比較はできていません。測ったのは構成と応答だけです。
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サブドメインにすると増える運用
サブドメインを立てると、robots.txt がもう1つ必要になります。これはSEOの有利不利ではなく、運用の実務差です。
取得日は2026年8月30日。当社の3か所で、実際のファイルを取得しました。翌31日に取り直しても結果は同じでした。
robots.txtだけがホスト単位
robots.txt と sitemap.xml では、分けられる単位が違います。実測した結果を先に置きます。
robots.txt とは、検索エンジンのクローラーに「ここは見なくてよい」と伝えるテキストファイルです。sitemap.xml は逆に、ページの一覧を渡すためのファイルになります。
- robots.txt/ホストに1つだけ。サブディレクトリでは分けられず、サブドメインは自前で持たないかぎり制御できない
- sitemap.xml/どちらの置き方でも分けられる。当社も別系統を持っている
サブディレクトリの下に robots.txt を置くこと自体はできます。ただしクローラーが読むのは、ホストのルートに置いたものだけです。
Googleのrobots.txt の指定の解釈(2026年7月13日更新)にそう書かれています。当社で実際に確かめた結果は、次のH3の表にまとめました。
一方 sitemap.xml のほうは、サブディレクトリでも分かれていました。当社のメディアは別のWordPressとして入っているため、自前の sitemap を持っています。
robots.txtの中身も別になる
ファイルが分かれると、中身も別物になります。当社の3か所を実際に取得しました。
| 取得先 | HTTP | 中身の冒頭 |
|---|---|---|
| ルートドメイン | 200 | User-agent: */Disallow: /wp-admin//Sitemap の宣言 |
| メディア(サブディレクトリ) | 404 | 存在しない。ルートのものに従う |
| サブドメイン | 200 | Allow: //Disallow: /dashboard/Disallow: /admin |
ルート側はWordPressの管理画面を、サブドメイン側はアプリケーションの管理画面を除外しています。守るべき場所が違うので、中身も違って当然です。
そして検索エンジンに渡しているURLの数も分かれていました。同じ8月30日に sitemap の索引をたどり、収録URLを全数で数えた結果です。
| sitemap | 収録URL数 | 主な内訳 |
|---|---|---|
| コーポレート(ルート) | 30件 | 固定ページ19/記事9/著者2 |
| メディア(サブディレクトリ) | 303件 | 記事288/固定ページ9/カテゴリ5/著者1 |
| SaaS(サブドメイン) | 19件 | 索引を持たない単一ファイル |
同じドメインの中に、検索エンジンへ渡すURLの一覧が3つ、それぞれ規模を変えて並んでいました。
なお303件はsitemapに載っている数であって、検索結果に登録されている数ではありません。
本体からのリンクは3,124本中6本
もう1つ、置き場所を分けた結果が数字に出ていました。本体からサブドメインへの本文リンクが、ほとんど存在しません。
WordPressのREST APIでメディアの公開記事288本の本文を全数取得し、自社ドメイン宛のリンクを数えました。同じく2026年8月30日の取得です。
- 同じサブディレクトリ内(記事どうし)/2,254本・72.2%
- 同じホストのルート側(コーポレート)/864本・27.7%
- サブドメイン(SaaS)/6本・0.2%
この6本を張っていた記事も6記事でした。1記事につき1本ずつです。同じドメイン配下にありながら、本文中の導線は実質的に途切れています。
これはリンクを張っていないという編集上の事実であって、サブドメインの性質ではありません。評価がどう伝わるかは測っていません。
それでも実務では効きます。置き場所を分けると、意識して繋がないかぎり導線は繋がらない。当社は288本書いて、その事実に数えてから気づきました。
増えるものを先に数えておく
サブドメインを立てるなら、増える管理対象を先に数えておいてください。当社の実測から見えたのは次のとおりです。
| 増えるもの | サブディレクトリなら | サブドメインなら |
|---|---|---|
| robots.txt | ルートの1つで足りる | ホストごとに1つ |
| sitemap.xml | ルートと別に持てる(当社は別系統) | ホストごとに1系統 |
| SSL証明書 | 既存のものが効く場合が多い | 証明書がそのホスト名を含む必要がある(ワイルドカードや自動発行なら追加作業はほぼ不要) |
| アクセス解析の設定 | 同一ホストとして続く | 別基盤なら計測タグを別に実装する。Cookieのドメインが違えば追加設定も要る |
上の2つは当社で実測したもの、下の2つは構成によって変わるものです。いずれも順位の話ではなく、誰かが管理し続ける対象が増えるという話になります。
逆に言えば、この手間を引き受ける理由があるならサブドメインでよい、ということです。当社の場合、その理由は「別のサーバーで動かす必要がある」でした。
置き場所の決め方|3つの選択肢
迷ったらサブディレクトリを既定にし、サブドメインは条件を満たすときだけ選んでください。選択肢は3つあります。
この章では3択それぞれの判断基準と、決める前に確かめる4項目を示します。
| 選択肢 | 選ぶ条件 | 増える管理対象 | 当社の例 |
|---|---|---|---|
| サブディレクトリ | 特別な事情がない。本体と同じサーバーで動かせる | なし | メディア(記事288本) |
| サブドメイン | 別のサーバーで動かす必要がある/扱う話題が本体と大きく違う | robots.txt・証明書・アクセス解析 | 自社SaaS |
| 別ドメイン | ブランドを分ける/将来切り離す予定がある | 上記に加えて内部リンクと共通導線 | 該当なし |
サブディレクトリを既定にする
特別な事情がないなら、サブディレクトリを既定にしてください。理由は運用側にありました。
前の章で見たとおり、サブディレクトリなら robots.txt はルートの1つで足ります。SSL証明書もアクセス解析も、既存の設定がそのまま効くことが多いはずです。管理する対象が増えません。
公式が挙げていた判断材料の1つも「サイトの管理が容易になるかもしれません」でした。当社が記事288本をサブディレクトリに置いているのも、同じ理由です。
サブドメインを選ぶ2つの条件
サブドメインを選ぶ理由になるのは、次の2つです。どちらかに当てはまるなら、増える手間を引き受ける意味があります。
- 別のサーバーで動かす必要がある/Webアプリケーションや、CMSと基盤が違うサービス。当社のSaaSがこれにあたる
- 扱う話題が本体と大きく違う/公式が判断材料として挙げているほうの観点
2つ目については、公式も「サイトのトピックや業種によってはトピックをサブドメインに分割することに意味があるかもしれません」と書いています。
逆に、「SEOに有利だから」はここに入りません。前の章で見たとおり、確認した公式のページに優劣の記述がないからです。
1つ目は、追加の構成をどこまで引き受けるかという条件です。別のサーバーで動くものをサブディレクトリに載せること自体はできます。
ただしリバースプロキシのような中継の仕組みを挟む必要があり、その設定と保守を誰かが持つことになります。当社はその手間を取らず、SaaSをサブドメインに置きました。
別ドメインは切り離す前提で
別ドメインは、本体と切り離す前提のときだけ選んでください。example.net のように、まったく別の名前を取る選択です。
ブランドを分けたい、将来的に事業ごと譲渡する可能性がある。そうした事情があるなら成立する選択です。
ただし、次のものはすべて自前で用意し直すことになります。
- SSL証明書
- アクセス解析の設定
- サイト管理ツールへの登録
加えて本体からの内部リンクや共通の導線も、そのままでは使えません。
なお、ドメインの評価スコアを気にして別ドメインを避ける、という判断を聞くことがあります。スコアの読み方についてはドメインパワーに目安はないで、提供元3社が何を明記しているかを整理しました。
決める前に確かめる4項目
会議で決める前に、次の4つを確かめてください。順に答えれば置き場所は決まります。
| 順番 | 確かめること | 答えで決まること |
|---|---|---|
| 1 | 本体と同じサーバーで動かせるか | 動かせないなら、中継の設定を持つかサブドメインにするかの二択になる |
| 2 | 扱う話題は本体と地続きか | 地続きならサブディレクトリでよい |
| 3 | robots.txt を別に管理する担当がいるか | いないならサブディレクトリに寄せる |
| 4 | 将来、本体から切り離す予定があるか | あるなら別ドメインを検討する |
1と2は公式が挙げていた観点に対応します。3は当社の実測から出た項目です。4だけは事業側の判断になります。
この4つに「SEOに有利かどうか」は入っていません。入れられるだけの根拠が、確認した公式のページにも当社の実測にもないからです。
seoサブドメインについてよくあるご質問
置き場所を決めるときに迷いやすい点を4つ選びました。なお、移すことになった場合の転送そのものはリダイレクトとは?で別に扱っています。
まとめ
サブドメインとサブディレクトリの優劣は、確認した公式2ページには書かれていませんでした。あるのは「ビジネスの観点からは、ビジネス上意味があればどちらでも構いません」という一節だけ。しかも「Google が重要でないと考えること」の一覧にあります。
決め手は技術要件と運用です。本体と同じサーバーで動かせるか、robots.txt を別に管理する担当がいるか。当社はこの基準で記事をサブディレクトリに、SaaSをサブドメインに置きました。
- 確認した公式2ページに、優劣の記述はない
- 公式が挙げる判断材料は、管理のしやすさと扱う話題の性質
- 別のサーバーで動かす必要があるならサブドメイン
- robots.txt を別に管理する担当がいないならサブディレクトリ
これから立ち上げるメディアやサービスの置き場所を決めきれない場合は、当社のSEO相談で一緒に整理します。
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