ドメインパワーに目安はない|提供元3社が明記していること

「うちはドメインパワーが弱いから、順位が上がらなくて当然です」。会議でそう説明したことはないでしょうか。あるいは上司からそう言われて、反論できずに終わったことが。

ただ、その数字には落とし穴があります。ドメインパワーはGoogleの指標ではなく、提供元3社とも絶対値では良し悪しを判断できないと明記しています。当社が自社サイトを同じ日に2つのツールで測ったところ、48.4点とDR 26という別水準の数字が返ってきました。

この記事では、そのスコアが何を測った数字なのかを提供元の説明とGoogle公式で確かめ、当社の実測を並べます。読み終えるころには、目安を探すのをやめて、次に手を入れる場所を決められるようになります。

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目次

先に結論|ドメインパワーに目安はありません

ドメインパワーに「何点なら合格」という基準は、今回確認した範囲では提供元のどこも公表していませんでした。しかもこれは調べ落としの話ではありません。そのスコアを作っている会社自身が、絶対値で良し悪しは判断できないと明記しているからです。

そもそもドメインパワーは、Googleが付けている数字ではありません。SEOツールを提供する会社が、それぞれ別の計算式で、それぞれ別のスコアを出しています。名前も別々です。

正式な指標名 提供元 日本でよく使われる言い方 Googleの指標か
Domain Authority(DA) Moz ドメインオーソリティ いいえ(提供元が明記)
Domain Rating(DR) Ahrefs ドメインレーティング、ドメインランク いいえ
Authority Score(AS) Semrush オーソリティスコア いいえ
パワーランク パワーランクチェックツール パワーランク いいえ

ここで整理しておきたいことがあります。「ドメインパワー」「ドメイン評価」「SEOパワー」「SEOの強さ」は、どれも特定の指標を指す正式な名前ではありません。上の表のどれか、あるいはその全体をまとめて呼ぶための総称です。だから「ドメインパワーはいくつ?」という問いには、どの指標のことかを決めない限り答えられません。

日本で「ドメインパワー」と呼ばれているのは、多くの場合この表のどれかです。計算に入れているものが会社ごとに違うので、同じサイトを測っても違う数字が出ます。実際、当社が自社ドメインを2026年8月21日に測ったところ、パワーランクは100点満点で48.4、同じ日のAhrefs無料版はDR 26でした。どちらも各ツールの表示値です。

この2つを並べて「うちは48点だから中くらい」と言うことはできません。満点の意味も、計算に入れているものも違うからです。

プロの判断基準
  • 資料から「ドメインパワー◯点」の単独表記を外す
  • 数字を出すときは「どのツールの・いつ時点の値か」を必ず添える
  • 他社と比べるなら、同じツールで同じ日に測った値どうしにする

そのうえで、この記事は「だから測らなくていい」とは言いません。測ると分かることはあります。ただし返ってきた数字が何を表しているのかを知らないまま上げにいくと、Googleが公式にスパムとして列挙している手法へ近づいていきます

順番としては、まず数字の正体を押さえる。次に、その数字で何を判断できて何を判断できないのかを分ける。上げ方はそのあとです。

ドメインパワーとは誰が付けた数字か

ドメインパワーは、SEOツールの提供元が独自に付けているスコアです。Googleが公表しているランキングの仕組みの一覧に、この名前のシステムは載っていません。

この章では、その根拠を一次情報で確かめましょう。Google側の公表物と、スコアを作っている会社自身の説明の両方を見ていきます。

Googleの公表一覧にその名前はない

Googleは自社のランキングシステムを公式ドキュメントで一覧にしています。現在使われているものとして17件が並んでいますが、その中に「ドメインオーソリティ」「ドメインパワー」「サイト権威スコア」に相当する名前のシステムはありません(最終更新 2025年12月18日・2026年8月29日確認)。

ドメインに関係するものとして載っているのは「完全一致ドメイン システム」だけです。しかもこれは評価を上げる仕組みではありません。公式の説明はこうです。

「コンテンツをホストするドメイン名が、特定の検索語句と完全一致することを意図して付けられている場合、完全一致ドメイン システムはそのドメインのコンテンツを過度に評価しないことになっています」。つまりドメイン名を根拠に上げないための仕組みです。

ここで気をつけたいのは、一覧に無いことと、Googleがドメイン単位の情報を一切見ていないことは違うという点です。Googleが「ドメインオーソリティを使っていない」と明言した公式文書は、今回確認した範囲では見当たりませんでした。言えるのは「公表されている仕組みの一覧には無い」ところまでです。

リンクそのものが軽視されているわけでもありません。ページ同士のリンクをたどって重要度を測る仕組みであるPageRankは、今も一覧に載っているコアシステムです。ただしGoogleは、SEOスターターガイドの「Google が重要でないと考えること」の中で「多数のランキング シグナルを利用しており、PageRank はその一つにすぎません」と書いています。

Moz自身がランキング要因ではないと書く

いちばん強い証拠は、Googleではなくスコアを作っている側にありました。Domain Authorityを提供するMozは、自社の解説ページにこう書いています(ページ表示の最終更新 2025年3月18日・2026年8月29日確認)。

英語の原文は「Domain Authority is not a Google ranking factor and has no effect on the SERPs.」です。ドメインオーソリティはGoogleのランキング要因ではなく、検索結果に影響を与えない、という意味になります。

Mozはさらに、よくある誤解を2つ名指しで否定しました。ひとつは「DAが直接ランキングに効く」という誤解で、原文では「In reality, DA is a predictive metric developed by Moz and is not used by Google to determine search engine rankings.」——実際にはDAはMozが開発した予測用の指標で、Googleが検索順位を決めるのに使っているものではない、と書かれています。

もうひとつは「DAはGoogleのPageRankと同じ」という誤解です。こちらも「They are separate tools with different methodologies.」——別々の手法による別々のものだ、と否定されています。

Ahrefsも同じ立場です。DRについての解説(ページ表示 2025年10月31日・2026年8月29日確認)で「Google ranks pages, not websites.」——Googleが順位を付けるのはページであってサイトではない、と書いたうえで、DRという数字自体を伸ばすことに労力を向けるべきではないと明記しています。

DA・DR・パワーランクは別の指標です

各社のスコアは、名前が違うだけでなく計算に入れているものが違います。ここが「同じサイトなのに数字が違う」の正体です。

指標 計算に入れているもの 明示的に入れていないもの 更新の頻度
Domain Authority(Moz) 被リンク元のドメイン数・リンクの質など複数要素を機械学習で 提供元ページに明記なし 提供元ページに明記なし
Domain Rating(Ahrefs) リンクのみ 検索流入・ドメイン年齢・親ブランドの知名度 提供元ページに明記なし
Authority Score(Semrush) リンクの力・オーガニック流入・スパム指標の8要素 2週間に1回
パワーランク ドメインエイジを含む7項目(2026年8月21日の測定結果画面の表示。提供元サイトに内訳の掲載は今回確認した範囲では見当たりませんでした) 提供元ページに明記なし(取得データは1週間キャッシュされる、との記載のみ)

注目したいのはドメイン年齢の扱いです。Ahrefsは「We don’t take into account things such as the search traffic of a given website, the age of its domain, or the popularity of a parent brand.」と書いて、ドメイン年齢を計算から明示的に外しています。一方でパワーランクチェックツールは、ドメインエイジを7項目のひとつとして持っています。

同じ「サイトの強さ」という言葉を使いながら、片方が外しているものを、もう片方は評価項目にしている。ドメイン年齢が順位に効くかどうかについて、Googleが肯定も否定もしている公式の記述は今回確認できませんでした。分かるのは、ツールによって扱いが割れているという事実までです。

DRの性質でもうひとつ知っておきたいのは、対数スケールだという点です。Ahrefsの説明では「the gap between DR 70 and DR 71 is much bigger than the one between DR 20 and DR 21」とされています。20から21へ上げるのと、70から71へ上げるのでは、必要な量がまるで違うということです。

そしてAhrefsは、DRについて見過ごせないことも書いています。「DR doesn’t account for backlink SPAM. In fact, large amounts of low-quality backlinks may actually increase your DR, not decrease it.」——低品質な被リンクを大量に浴びると、DRはむしろ上がることがあるという意味です。スコアが上がったことが、良い状態になったことを意味するとは限りません。

Googleはページ単位で評価しています

「ドメインパワーを上げれば全記事の順位が上がる」という前提そのものが、Googleの公式の記述と食い違います。

ランキングシステムのガイドの冒頭に、次の記述がありました。「Google のランキング システムは基本的にはページレベルで機能するように設計されており、さまざまなシグナルとシステムを使用して、個々のページのランキングを判断しています」。

そして続けて、こう書かれています。「サイト全体に良いシグナルがあるからといって、そのサイトのすべてのコンテンツが常に上位にランク付けされるわけではありません」。逆も同様で、サイト全体に悪いシグナルがあっても全コンテンツが低く評価されるわけではない、とされています。

サイト全体のシグナルを使っていないとは書かれていません。「サイト全体のシグナルと分類器もページの理解に活用しています」という一文もあります。使ってはいるが、それで全ページが決まるわけではない、というのが公式の説明です。

この点はAhrefsの「Google ranks pages, not websites.」とも一致しています。ツールを作っている側とGoogle側が、同じことを別の言葉で書いているわけです。

実務に落とすと、こうなります。ドメイン全体のスコアが上がらないことを、個別の記事が上がらない理由にしない。記事が上がらないなら、その記事の中身と検索意図の一致を先に見る。順番を逆にすると、手が届かないもののせいにして止まってしまいます。

ドメインパワーの目安が成立しない理由

「ドメインパワーの目安は◯点」と書かれた記事は数多くありますが、その数字を出している提供元のうち Moz・Ahrefs・Semrush の3社は、絶対値では良し悪しを判断できないと明記しています。何点なら合格という数値の基準は、今回確認した範囲ではどこも公表していませんでした

ここでは、目安が成立しない理由を4つの角度から見ていきましょう。当社の実測と、提供元自身の文言と、提供元が公開しているデータを使います。

同じ日に同じサイトで2つの数字が出た

2026年8月21日、当社は自社メディアのURLを2つのツールに入れました。返ってきたのは、パワーランクが100点満点で48.4、Ahrefs無料版のDomain Ratingが26です。どちらもそのツールの表示値であり、Googleが公表した数字ではありません。

同じドメインを、同じ日に測っています。それでも数字は別の水準になりました。仮に他社の記事が言うような「目安は50点」という線を引いたとしたら、当社は48.4なので惜しくも届いていないことになります。ところがDRで見れば26で、まったく別の話になります。どちらの物差しで語るかを決めない限り、目安という言葉が意味を持ちません。

さらに、パワーランク側の内訳を見ると、同じ画面の中で辻褄が合っていない箇所がありました。

評価項目 配点
提供元の独自配点 5/10
ドメインエイジ 0/10(「評価できませんでした」と表示)
被リンク元サイトのスパムに対する安全性 10/10
被リンク元サイトTOP3と上位20の品質 6/10
被リンク元サイトのリンク品質 5/10
被リンク元サイトのリンクパワー 8/10
被リンクIP数 4/10

この画面は同時に「ドメイン年齢 3年7ヶ月」とも表示していました。年齢を表示しながら、年齢の配点は0点。

ツール側の告知には「Wayback Machineのサービスは仮復旧中です。ドメインエイジなど一部データが測定できない場合は時間を空けてお試しください。」とありました。

外部のデータ源が止まると、測れない項目が0点のまま総合点に含まれることになります。計算式は提供元が公表していないため、総合点への影響の大きさまでは分かりません。

総合点だけを見ていたら、この0点には気づけません。48.4という数字の中に、測定できなかった項目が含まれていたことになります。(出典: 自社ドメインの実測 2026-08-21・パワーランクチェックツールの表示値・読み取りのみ。DR 26 は同日のAhrefs無料版の表示値)

ツールごとに数字がどうズレるのかを詳しく知りたい場合は、被リンクチェッカーの数字が合わない理由|同じ日に5通りで実測で5通りの数字を並べています。この記事ではこれ以上ツール間の比較には入りません。

提供元が絶対値で判断するなと書く

スコアを作っている3社とも、絶対値で良し悪しを判断できないと明記しています。目安を探している読者にとって、これがいちばん重要な事実になります。

Ahrefsの表現がもっとも直接的です。「It’s not possible to say that a Domain Rating of 30 is good, or 50, or 60, or 70. It’s all relative.」——DRが30なら良い、50なら、60なら、70なら良いとは言えない。すべては相対的だ、という意味になります。

Mozも同じです。「There’s no universal "good" or "average" Domain Authority score because it’s a relative metric.」——相対的な指標なので、普遍的に良いとか平均的といったスコアは存在しない。そのうえで「検索結果で競合しているサイトと比べて自分がどうか」を見るように書いています。

Semrushは「Authority Score is best used for domain comparison, and not for determining good/bad on an absolute scale.」——ドメイン同士の比較に使うもので、絶対的な尺度で良し悪しを決めるためのものではない、としています。

ただしSemrushは、点数ではなく Low authority/Average/Good といった評価ラベルとその意味を公開していました。これは合格ラインではなく、リンクを獲得する相手として見るときの目安です。

パワーランクチェックツールについては、目安や基準に相当する記述が提供元サイト内に見当たりませんでした。公表していないものを、外部の記事が「◯点が平均」と決めている状態です。

ではどう使えばいいのか。3社が共通して書いているのは「同じ物差しで、競合と比べる」という使い方です。絶対値ではなく差分を見る。これなら、ツールが違っても計算式が変わっても、比較の中では意味を持ちます。

公開ランキングは1か月で59ポイント動いた

スコアがどれくらい動くのかは、提供元が公開しているデータから確かめられました。パワーランクチェックツールは掲載許可を得たサイトのスコアをランキングとして公開しており、2026年8月29日時点で7,724ドメインが載っています。更新は月に1回です。

そのページに、前回値も併記されています。上位の動きを見ると、こうなっていました。

今回の順位 今回のスコア 前回のスコア 前回の順位
1位 85.6 55.3 69位
5位 79.8 83.1 1位
14位 76.3 17.4 1353位

14位のサイトは、1か月でおよそ59ポイント動いています。上がる側だけではありません。前回1位だったサイトは順位を落としています。1か月のあいだに、上にも下にもこれだけ動く数字です。(出典: パワーランクチェックツールの公開ランキング 2026-08-29 取得・掲載時点の値)

1か月でこれだけ動く数字に、目安を設けて合否を判定する意味は薄いでしょう。そして、この変動が何によって起きたのかは公開データからは分かりません。被リンクが実際に増えたのか、計算方法が変わったのか、外部データ源の復旧なのか、判断する材料がありません。

あわせて覚えておきたいのは、パワーランクチェックツールが「取得したデータは1週間キャッシュされますので、取得から1週間以内は同じデータが表⽰されます。」と書いている点です。測り直しても、1週間は同じ値が返ってくる可能性があります。

順位の変動幅は中央値で4位あります

スコアの上下と順位の上下を結びつけたくなりますが、順位のほうが、それ以上に日々動いています

当社は自社を含む5サイト・97キーワードの順位を11日連続で記録しました。100位以内に入った188本について、期間中の変動幅を数えたところ、中央値で4位、平均で5.8位、最大で52位動いていました。(出典: 自社を含む5サイト・97キーワード・11日連続の順位記録 2026-08-25)

11日のあいだに中央値で4位ぶん動く数字を、月に1回しか更新されないスコアと突き合わせても、因果は取り出せません。スコアが上がった週に順位も上がっていたとしても、それは偶然の重なりかもしれないという前提で見る必要があります。

なおこの記録は5サイトを合算した分布で、自社1サイトの動きを表したものではありません。元データは順位計測サービスからの通知を集計したもので、Googleが公表している順位でもありません。順位の変動そのものについてはキーワード検索順位は3つの数値|5,335件で分かった変動幅で詳しく扱っています。

スコアが低くても取れている語があります

パワーランク48.4、DR 26という数字の当社にも、1ページ目を取れている語があります。ただし取れているのは、検索ボリュームが表示されない語のほうでした。ここからは当社の弱点も含めて開示します。

順位追跡している97語のうち、検索ボリュームが「n/a」と返る語は38語で全体の39%です。2026年8月26日時点でTOP10に入っていたのは、当社はn/a語で4語、割合にして11%。数字が出る語では0語でした。比較対象のサイトは逆で、数字が出る語で27語(46%)、17語、17語、16語と取っています。(出典: 自社の順位追跡97語の集計 2026-08-26・読み取りのみ)

今泉の視点:この数字は、当社が数字の出る語で勝てていないことを示しています。書いていて気持ちのいいデータではありません。それでも載せているのは、スコアが低い状態でも取れる場所があると分かるからです。順位が付いてから追跡に加えた語が多いので、n/a語だから取れたという因果ではありません。ただ「まずスコアを上げないと何も始まらない」という思い込みは、これで外せます。

読み方としては、相関であって因果ではありません。それでも実務の判断には使えます。スコアを上げるより先に、まだ誰も丁寧に答えていない語を探すほうが、手が届く距離にあります。

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ドメインパワーを無料で測ると何が返るか

無料ツールに自社のURLを入れたとき、当社の実測で返ってきたのは入力したページの数字ではなく、ドメイン全体の数字でした。この章では、どのツールが正確かではなく、無料で測ったときに自分が何を見せられているのかを整理します。

当社の実測と、提供元が自分で書いている注意書きを並べていきます。

入力したURLはドメインに丸められます

当社が3つ目の無料ツールとしてLYNX被リンクチェックツールを使い、書き方の違う4つのURLを入れたところ、4つとも同じ数字が返りました。表の「参照ドメイン」は、リンクをくれているサイトの数のことです。同じサイトから100本もらっても1と数えます。

入力したURL 被リンク 参照ドメイン トップページへのリンク nofollow
machibun.co.jp 6,093 91 4,223 71
https://machibun.co.jp/ 6,093 91 4,223 71
https://machibun.co.jp/media/ 6,093 91 4,223 71
個別記事のURL 6,093 91 4,223 71

4つとも完全に同じ数字が返りました。念のため総務省のサイトを入れてみると被リンク5,723,762・参照ドメイン70,489とまったく違う値が出たので、固定値やキャッシュではありません。入力したURLをドメイン単位に丸めているのが分かります。(出典: 自社ドメインの実測 2026-08-21・LYNX被リンクチェックツールの表示値・読み取りのみ)

この挙動は、メディアをサブディレクトリで運用している会社にとって見過ごせません。当社のメディアは会社サイトの下の /media/ にあります。メディアのURLを入れたつもりでも、返ってくるのは会社サイト全体の数字です。ツールの用語定義にも「対象ドメインに向けられた被リンクの総数」と書かれていました。

もう一方のツールでも同じ現象が確認できます。メディアのディレクトリを入力したのに、結果画面のドメイン表示は会社ドメインのほうになっていました。今回試した2つの無料ツールでは、記事単位・ディレクトリ単位の数字は返ってきませんでした(2026年8月21日・読み取りのみ)。

自分のサイトに実際どこからリンクが来ているかは、Googleが自分で把握しているデータを見られるSearch Consoleのリンクレポートで確認できます。使い方はサーチコンソールの使い方は3画面で足りる|265本の実測と公式にまとめています。

設定を切り替えるだけで結果が反転します

ツールをまたがなくても、同じツールの中で数字は変わりました。

Ahrefsの無料版には、入力欄の右にモードの切り替えが付いています。Subdomains と Exact URL の2択です。ここを変えただけで、当社の結果は次のように変わりました。

Backlinks は約6,400から0へ、Linking websites は314から0へ反転しました。Domain Rating はどちらのモードでも26のままです。Exact URL のときの画面表示は「There are no backlinks in our index for your URL」でした。(出典: 同日・Ahrefs無料版の表示値 2026-08-21・読み取りのみ)

これは有料版と無料版の違いではありません。同じ無料版の中で、設定ひとつで結果が別物になるという話です。ツール自身も、Subdomains モードの表示に「Domain including subdomains. One link per domain」と書いています。無料版の一覧は1ドメインにつき1本しか出さない、という説明です。

見出しには入力したURLがそのまま出るのに、数字はドメイン全体のもの。この組み合わせが、勘違いを生みます。スクリーンショットを資料に貼るときは、どのモードで測ったかも一緒に残してください。

データは1週間キャッシュされます

測り直しても数字が動かないことがあります。仕様です。

パワーランクチェックツールの注意事項には「取得したデータは1週間キャッシュされますので、取得から1週間以内は同じデータが表⽰されます。」と書かれています。施策を打った翌日に測り直しても、前回と同じ値が返ってくる可能性があるということです。

利用回数の制限もあります。「ゲストユーザー(未会員様)は1⽇3回まで利用できます。無料で登録できる弊社ID管理システムのAJIDに登録することで1⽇10回まで利用可能です。」という記載です。さらに「URLは正確に入力してください(httpsやwww有り無し等)。入力ミスも1回としてカウントされます。」とも書かれています。

実務としては、測る日を決めて月に1回にするのが現実的です。毎日測っても新しい情報は返ってきません。

提供元は参考値として使えと書いています

提供元は自分のスコアを「参考値」と位置づけています。注意事項に書かれているのですが、ここを読んでいる人は多くありません。

パワーランクチェックツールの注意事項にはこう書かれています。「データの取得に関して、異常値が発⽣する場合もあり得ますので、参考値としてご利⽤ください。」提供元が参考値だと言っているものを、外部の記事が合否の基準に使っているのが現状です。

数字の出どころについても明記があります。「パワーランクチェックツールはいくつかの有料ツールを利用しています。メンテナンスが行われている場合正常な結果が表示されませんので時間をあけてご利用下さい。」つまり無料ツールの数字が、そのツール自身の計測結果とは限りません。他社の有料データを経由している場合があります。

前の章で見たドメインエイジ0点も、これと同じ構造でした。外部のデータ源が止まれば、測れない項目が0点のままこちらの総合点に含まれます。自分のサイトは何も変わっていないのに、スコアだけが動くということが起こり得るわけです。

ここまでを踏まえると、無料ツールの使いどころは限られてきます。自分の数字を毎月同じツール・同じモードで記録し、競合と同じ日に測って差分を見る。それ以上のことは、この数字からは読み取れません。

ドメインパワーの上げ方より先に見ること

「ドメインパワーの上げ方」として世の中に流通している手法の一部は、Googleが公式にスパムとして名指しで列挙しているものと重なります。上げにいく前に、どこまでが正規のやり方でどこからが違反かの線を引いておく必要があります。

そのうえで、当社が実際にどこからリンクをもらっていたのかと、上げる前にやるべきことの順番を見ていきましょう。

Googleのスパムポリシーに載る手法

Googleは「スパムに関するポリシー」で、リンクスパムを「検索ランキングを操作することを主な目的として、サイトへのリンクやサイトからのリンクを作成する行為」と定義しています。そして具体例が列挙されていました。

次の表は、左右の行に対応関係はありません。左はスパムポリシーの列挙、右は「主なベスト プラクティス」7項目のうち5項目です。

Googleがスパムの例として列挙している行為 Googleが「主なベスト プラクティス」に挙げている項目(7つのうち5つ)
ランキングを上げることを目的としたリンクの売買 有用でユーザー第一のコンテンツを作る
過剰な相互リンク、相互リンクのみを目的としたパートナーページの作成 検索に使われる単語をタイトルや見出しなど目立つ場所に置く
自動化されたプログラムやサービスによるリンクの作成 リンクをクロール可能にする
質の低いディレクトリやブックマークサイトのリンク サイトに関する情報を発信し、同じ志向のコミュニティに参加する
さまざまなサイトのフッターやテンプレートに埋め込まれて広く配布されるリンク 画像・動画・構造化データ・JavaScriptのベストプラクティスを実践する

右の列に注目してください。Googleが上位表示への効果が大きいと明示している対策リストに、「被リンクを増やす」も「ドメインを強くする」も入っていません。入っているのは「リンクをクロール可能にする」というテクニカルな項目と、「コミュニティに参加する」という活動のほうです。

誤解しないでほしいのは、リンクの売買がすべて違反というわけではない点です。Googleは「リンクの売買も、広告やスポンサー活動を目的として行われる限り、ウェブ上での通常の経済活動の一環だということを理解しています」と書いたうえで、rel=”nofollow” や rel=”sponsored” を付けていれば違反にならないとしています。問題になるのは、ランキング操作を目的として評価を渡すリンクを買う場合です。

中古ドメインについても同じ考え方が示されています。Googleが違反としているのは「期限切れのドメイン名を主に検索ランキングを操作する目的で購入し、ユーザーにとってほとんどまたはまったく価値がないコンテンツをホストするために再利用すること」です。中古ドメインの利用そのものが違反と書かれているわけではありません。

高評価リンクの正体は一覧への掲載でした

当社の評価が高い被リンクは、すべて団体や事業の一覧への掲載でした。実際に自社の被リンクを開いて確かめた結果です。

Ahrefs無料版の一覧で、DRの高い順に見ていったところ、上位はすべて同じ形をしていました。「参画団体一覧」「加盟企業一覧」「パートナー企業・団体一覧」「メンバー一覧」への掲載です。

内訳は、厚生労働省系のサイトがDR93、あるサービスのメンバー一覧がDR71、スポーツ庁系がDR69、肝炎対策の国民運動事業系がDR57、企業コンソーシアムの加盟企業一覧がDR54、公的キャンペーンがDR43でした。いずれもAhrefsの表示値です。(出典: 自社ドメインの被リンク実測 2026-08-21・読み取りのみ)

営業をかけて獲得したものは1本もありません。購入したものもありません。事業として団体に参加したり、事業に取り組んだ結果として一覧に載ったものです。

ここから読み取れる実務の指針は単純です。リンクを増やしたいなら、リンクを求めるのではなく、載る資格のある場所に載る。所属している団体の会員一覧に自社が入っているか、参加した事業の実施団体一覧に名前があるか。まずそこを確認してください。

掲載前に確かめておきたいのは nofollow の有無です。当社の経験では、公的機関からのリンクは nofollow が付いているケースとそうでないケースが半々程度でした。

なおGoogleは2019年9月10日の公式ブログで、sponsored・ugc・nofollow のリンク属性をランキング目的では「ヒント」として扱うと告知しています。クロールとインデックス登録の目的で「ヒント」になるのは2020年3月1日から、と書き分けられていました。

ただし同じ記事には「In most cases, the move to a hint model won’t change the nature of how we treat such links.」——ほとんどの場合、ヒント方式への変更でこうしたリンクの扱いが変わるわけではない、とも書かれています。nofollow が付いていても一覧に載っている事実そのものは残りますが、リンクとしての評価が渡る前提では考えないほうが安全です

被リンクの質をどう見分けるかは被リンクとは?SEO効果の実測と質を見分ける5つの物差しで扱っています。この記事では獲得の手順までは踏み込みません。

否認はほとんどのサイトで不要です

スコアが低いと分かったとき、「悪い被リンクが付いているのでは」と考えて否認ツールに手を伸ばす人がいます。Googleは、ほとんどのサイトでは不要だと書いていました。

公式ヘルプ(日本語版)の手順は「手順 0: 必要性を判断する」から始まります。そこにこうあります。「ほとんどの場合、Google は詳しい情報を提供されなくても、どのリンクが信頼できるものかを評価することができます。そのため、ほとんどのサイトではこのツールを使う必要はありません。」

否認が必要なのは、スパム的なリンクが多数あり、かつそれが手動による対策の原因になっている、またはなり得る場合に限られると書かれています。同じページの英語版には、日本語版に表示されないさらに強い警告があります。「If used incorrectly, this feature can potentially harm your site’s performance in Google Search results.」——誤って使うと、Google検索でのサイトのパフォーマンスを損なう可能性がある、という意味です。

当社の運用でも、順位が下がったときに否認を真っ先にやると逆に評価を落とすという落とし穴を明記しています。健全なリンクまで否認してしまうからです。順序は次のとおりです。(出典: 当社の順位下落時の調査手順)

  • 手動による対策を受けているかを確認する
  • リンク元に削除を依頼する
  • 削除できないものだけを最後に否認する

下落の原因を疑うなら、否認より先に見る数字があります。参照ドメイン数の推移と、流入が落ちたタイミングが一致しているかどうかです。一致していなければ、原因は被リンクの外にあります。

ドメイン力は短期では埋まりません

当社は順位を決める要因を、コントロールしづらい「定数」と、担当者が動かせる「変数」に分けて考えています。実測値ではなく、運用の中で整理してきた考え方です。

定数にあたるのが、原稿の本数とドメイン力の2つです。ドメイン力は被リンクの蓄積で決まるため、中長期の時間がかかります。一方の変数はテーマ性・独自性・ユーザー体験・テクニカルSEOで、こちらは短期でも手が入るところです。

リソースの配分としては、短期は変数、中期は独自性とコンテンツ、中長期でドメイン力の蓄積、という順に置いています。落とし穴として明記しているのが「ドメイン力の強化に短期で期待しすぎる」です。(出典: 当社の順位決定要因の整理。実測値ではなく運用上の考え方)

大手との差は、多くの場合このドメイン力にあります。短期で埋めることはできません。だから同じ土俵で戦わず、条件を掛け合わせたキーワードのように競合が手薄な領域から入る。前の章で見た「スコアが低くても取れている語がある」という実測は、この方針と符合しています。

置き場所で評価の引き継ぎが変わります

新しくメディアを立ち上げるなら、どこに置くかで評価の引き継ぎ方が変わります。選択肢は3つです。

選択肢 URLの例 SEO評価の引き継ぎ ブランドの独立性 運用の負担
サブディレクトリ example.com/blog/ 高い 低い 低い
サブドメイン blog.example.com 中程度 中程度 中程度
別ドメイン exampleblog.com なし 高い 高い

なお、Googleはこの点について「Google が重要でないと考えること」の中に「サブドメインかサブディレクトリか」を挙げ、「ビジネスの観点からは、ビジネス上意味があればどちらでも構いません」と書いています。上の表はGoogleの見解ではなく、評価の引き継ぎと運用負担を天秤にかけたときに当社がどう置いているかという整理です。

そのうえで、中小企業がメディアを立ち上げる場合、当社はサブディレクトリを基本的に有利と考えています。本体サイトの評価を活かせて、運用の負担も小さいからです。当社のメディア自体もこの形にしています。(出典: 当社の新規メディア設計の整理。実測値ではなく運用上の考え方)

落とし穴も2つあります。ひとつは親サイトの評価が低いのに、サブディレクトリに置けば救えると期待すること。前の章で見たとおり、無料ツールで測ればディレクトリごとの数字は返ってこないので、確認もできません。

もうひとつは後から統合しようとして、大規模なリダイレクトで評価を失うことです。置き場所は、あとから変えるコストが高くつきます。

上げにいく前に決める3つ
  • 測る日を月に1回に決め、同じツール・同じモードで記録する
  • 所属団体や参加事業の一覧に自社が載っているかを確認する
  • 順位が落ちたら、否認より先に参照ドメイン数の推移と時期の一致を見る

ドメインパワーについてよくあるご質問

ドメインパワーの目安は何点ですか?

ドメインパワーの目安は、提供元が公表していない数字です。今回確認した範囲では、点数で合否を示す基準はどこも見当たりませんでした。Moz・Ahrefs・Semrushの3社とも、絶対値で良し悪しを判断できないと明記しています。Ahrefsは「DRが30なら良い、50なら、60なら、70なら良いとは言えない」と書いています。3社が共通して挙げる使い方は、同じ物差しで競合と比べて差分を見ることです。

ドメインパワーはGoogleの評価ですか?

ドメインパワーはGoogleの指標ではなく、SEOツールの提供元が独自に付けているスコアです。Googleが公表しているランキングシステムの一覧に、この名前のものはありません。Moz自身も「Domain Authorityはランキング要因ではなく検索結果に影響しない」と書いています。ただしGoogleが「使っていない」と明言した公式文書は、今回確認した範囲では見当たりませんでした。

ドメインパワーは無料でどこまで測れますか?

無料で測れるのはドメイン全体の数字までです。当社が2026年8月21日に試した2つの無料ツールでは、記事単位・ディレクトリ単位の数字は返ってきませんでした。書き方の違う4つのURLを入れたところ、記事のURLでも同じ値が返っています。記事単位やディレクトリ単位の数字は返ってきません。加えて取得データが1週間キャッシュされるツールもあるため、施策の翌日に測り直しても値は動かない場合があります。

ドメインパワーを上げれば順位は上がりますか?

スコアを上げることと順位が上がることは別です。Googleは「サイト全体に良いシグナルがあるからといって、そのサイトのすべてのコンテンツが常に上位にランク付けされるわけではありません」と公式に書いています。Ahrefsも「Googleが順位を付けるのはページであってサイトではない」として、DRを伸ばすことに労力を向けないよう書いています。

まとめ

ドメインパワーはGoogleが付けた数字ではなく、提供元それぞれが別の計算で出しているスコアです。だから何点なら合格という目安を、提供元のどこも公表していません。同じサイトを同じ日に測っても、ツールが違えば別水準の値が返ってきます。

測ること自体は無駄ではありません。使えるのは、同じツール・同じ設定で記録した値の差分だけです。当社は48.4点・DR 26という数字でも、検索ボリュームが表示されない語で4語が1ページ目に入っています(出典: 前掲・2026-08-26の集計)。

明日からやること
  • 資料から「ドメインパワー◯点」の単独表記をやめる
  • 測る日を月1回に固定し、同じツール・同じモードで記録する
  • 所属団体や参加事業の一覧に自社が載っているかを確認する

手元で動かせる打ち手から始めるなら、内部リンクは本数で決めない|自社1,785本の実測と公式の線引きも参考になります。順位が伸びない原因の切り分けからご相談を受けることもあります。

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この記事を書いた人

株式会社街中文学 代表。DBSEO(データベース型SEO)・LLMO(AI検索最適化)・コンテンツマーケティングを専門に、東証上場企業や月間4,500万セッション級メディアのSEO支援を行ってきました。AIライティングSaaS「buncraft」を開発・運営。本メディアの全記事を執筆・監修しています。

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