Googleコアアップデートで順位が下がった|実測と回復手順

コアアップデート後の順位変動を分析する担当者

「コアアップデートの後、検索流入が3割減った」「何が悪かったのか分からないまま、とにかくリライトを始めるべきか迷っている」——Googleコアアップデートによる下落は、原因が名指しされないぶん、担当者を最も混乱させるSEOの出来事です。

最初に押さえてほしいのは、コアアップデートが「あなたのサイトへのペナルティ」ではなく「評価基準そのものの見直し」だということ。この違いが分かると、やるべきことと、やってはいけないことが整理できます。

東証上場企業を含む多くのサイトで、私はアップデート前後の分析と立て直しを支援してきました。この記事では、Google公式ダッシュボードから集計した直近9回の実測をもとに、初動・原因の切り分け・回復の実務までを手順にしてお渡しします。

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目次

先に結論:慌てて動くほど回復は遠のく

まず最初に、結論からお伝えします。

1つ目は、展開中の大規模な修正を避けることです。直近9回の実測では、展開に最短6日4時間・最長45日かかっていました。確定していない変動に手を打つと、原因分析ができなくなります。

2つ目は、回復の主戦場が「個別記事の手直し」ではなく「サイト全体の品質」だという点です。評価軸そのものの見直しなので、下がった記事だけを直しても戻らないことが多くなります。

3つ目は、最大の対策が普段の運用にあることです。私の支援経験では、変動のたびに一喜一憂するサイトと、ほぼ無風のサイトの差は、アップデート後の対応ではなく日々の品質運用で生まれます。

いま自分がどの段階にいるかで、先に読むべき章は変わります。次の表から入ってください。

いまの状況 先に読む章
下落に気づいた直後(1〜2週間以内) 被弾直後の初動
展開は終わったが、原因が分からない 3系統の切り分け
順位は変わらないのにアクセスだけ減った 順位とCTRの分離
何をどの順で直すか決めたい 回復の実務
次のアップデートまでの期間を知りたい 直近9回の実測

コアアップデートとは:ペナルティとの決定的な違い

コアアップデートとは、Googleが年に数回実施する、検索アルゴリズムの中核部分の大規模な見直しです。手動対策(ペナルティ)との違いと、混同されやすい他の更新との区別を、この節で整理しておきます。

検索アルゴリズムの評価基準が見直されるイメージ

通知が来ないことが、いちばんの混乱のもと

コアアップデートによる下落には、Search Consoleへの通知がありません。違反を指摘されたわけではないため、直すべき対象も名指しされない。この一点が、手動対策との決定的な違いです。

コアアップデートによる下落 手動対策(ペナルティ)
通知 来ない(自分で気づくしかない) Search Consoleに通知が届く
原因 評価基準の変化。違反ではない ガイドライン違反の指摘
対応 サイト全体の品質向上 違反の修正と再審査リクエスト
回復時期 多くは次回以降のアップデート時(小規模更新で戻ることも) 再審査の承認後

この表で最も重要なのは回復時期の行です。コアアップデートで大きく下がった評価は、改善を重ねても、次のコアアップデートのタイミングでまとめて見直されることがあります。「今週リライトして来週戻す」類のものではありません。

ただしGoogleは、改善の効果を確認するのに大規模なコア アップデートを待たなければならないわけではないとも書いています。発表されない小規模な更新で掲載順位が上がることもある、という説明です(出典: Google 検索のコア アップデートとウェブサイト)。

この時間感覚の社内共有が、無駄打ちと焦りを防ぐ第一歩です。実際の間隔は直近9回の実測で数字にしました。

「順位が下がった=悪いサイト」ではない

Googleはコアアップデートの公式ドキュメントで、この状況をレストランの入れ替わりにたとえています。順位が下がった店が悪くなったのではなく、ほかの店がトップ20に入っただけ、という説明です。

同じドキュメントには「一般的に、ほとんどのサイトではコア アップデートについて気にかける必要はなく、アップデートが行われたことに気づかない場合もあります」とも書かれています。

下落した担当者には冷たく響く一文ですが、ここには実務上の意味があります。

下落は「あなたが違反した証拠」ではなく「相対評価が動いた結果」だということ。犯人探しを始める前に、評価の物差しが動いたという前提に立ち戻ってください。

コア・スパム・ヘルプフルコンテンツの違い

Googleの大きな更新にはコアアップデート以外の種類もあり、対応が異なります。混同しないよう整理しておきます。

更新の種類 見直されるもの 下落した場合の対応
コアアップデート 検索全体の品質評価の中核 サイト全体の品質向上(本記事の内容)
スパムアップデート ガイドライン違反の検出精度 違反施策(不正リンク・自動生成の乱用等)の除去
ヘルプフルコンテンツ評価 「ユーザー第一」かどうかの評価(現在はコアに統合) 検索エンジン向けに量産したページの整理

ヘルプフルコンテンツの評価は、2024年3月のコアアップデートでコアランキング システムに統合されました(出典: Google 検索セントラル ブログ)。単独のシグナルではなくなった、という位置づけの変更です。

つまり現在のコアアップデートは、「ユーザーの役に立つために作られたか」という問いを、以前より強くサイト全体へ向けたもの。この前提が、後半の回復の実務にそのままつながる話です。

いつ始まっていつ終わるのか:直近9回の実測

「展開はだいたい2週間」という目安は、Google自身が告知に書いています。各コアアップデートの公表文には「The rollout may take up to 2 weeks to complete」(完了まで最大2週間かかることがあります)という一文が入ります。

ただ、当社がGoogle 検索ステータス ダッシュボード(Google Search Status Dashboard)を直近9回ぶん集計したところ、2週間以内に終わった回は半分もありませんでした。ここでは実測値だけを並べます。

コアアップデートの実施履歴(2024年3月〜2026年5月)

まず、自分のサイトがどの回で動いたのかを特定できるよう、開始日と展開所要時間を一覧にしました。Search Consoleの下落開始日と照合するときの土台にしてください。

アップデート名 開始日 展開所要時間
March 2024 core update 2024年3月5日 45日
August 2024 core update 2024年8月15日 19日4時間
November 2024 core update 2024年11月11日 23日13時間
December 2024 core update 2024年12月12日 6日4時間
March 2025 core update 2025年3月13日 13日21時間
June 2025 core update 2025年6月30日 16日18時間
December 2025 core update 2025年12月11日 18日2時間
March 2026 core update 2026年3月27日 12日4時間
May 2026 core update 2026年5月21日 11日21時間

出典: Google 検索ステータス ダッシュボード「History for Ranking」(2026年8月24日時点で当社が取得)。履歴一覧の列は Summary・Date・Duration の3つで、終了日時は各アップデートの詳細ページに「Incident began at … and ended at …」として記録されています。日数への換算と統計量は当社の計算です。

照合の注意: March 2024 と August 2024 は、同じ日に別のランキング更新も走っています(March 2024 spam update / Ranking is experiencing an ongoing issue)。日付が一致しただけで起因を断定はできません。

照合するときは、コアアップデート以外の更新も見てください。2026年だけでも、2月にDiscoverの更新、3月・6月・8月にスパムアップデートが実施されています(直近は August 2026 spam update・2026年8月18日開始/2日16時間)。

展開は「2週間」では終わらない回のほうが多い

この9回を並べると、最短は6日4時間(December 2024 core update)、最長は45日(March 2024 core update)、中央値は16日18時間でした。最短と最長の差は約39日。5週間以上の開きがあることになります。

2週間以内に展開が終わったのは、9回のうち4回だけ。突出して長い March 2024 を除いた8回で見ても、6日4時間から23日13時間まで散らばり、中央値は約15日になります。

日数への換算と中央値・平均は当社の計算値であり、原典に記載はありません。ダッシュボードの履歴一覧に載っているのは、概要・日付・展開所要時間の3列です。

導ける結論は1つ。固定日数で社内スケジュールを組まず、検索ステータス ダッシュボードの完了表示を待って動くことです。「2週間後に対策会議」と先に決めると、展開の最中に打ち手を決める会議になりかねません。

次のアップデートまで、実際どれだけ空いたか

Googleは公式ドキュメントで、回復のタイミングについてこう書いています。「数か月経ってもまだ効果が見られない場合は、次のコア アップデートまで待つ必要があるかもしれません」(出典: Google 検索のコア アップデートとウェブサイト)。

ただし、その「次」までがどれくらいかは書かれていません。そこで、先ほどの9回から実施間隔(8区間)を計算しました。

最短31日/最長164日(約5.4か月)/中央値98.5日(約3.2か月)/平均100.9日(約3.3か月)。四半期に1回のペースが中心で、半年近く空くこともある、という分布になります。

この数字は「回復までの期間」ではありません。次のコアアップデートが来るまでの間隔であり、次の回で戻ると決まっているわけでもない点に注意してください。

実務への落とし込みは単純です。回復計画は月単位ではなく四半期単位で引き、「次のアップデートまでに品質をどこまで上げきるか」を期限にする。社内の期待値も、この置き方で整います。

今泉の視点:「いつ戻りますか」と聞かれたとき、私は日数では答えません。答えるのは「次のコアアップデートまでに何を終えるか」です。直近8区間の実施間隔は中央値で約3.2か月あり、次の物差しが当たるまでに使える時間はそれだけあるということ。私は復旧計画を引くとき、順位の回復日ではなく「品質整理の完了日」を先に決めます。

被弾直後の初動:最初の2週間にやること・やらないこと

下落に気づいた直後は、動きたくなる気持ちと戦う時期です。順序の決まった4つの初動、手を出してはいけないこと、社内にそのまま出せる切り分けシートを用意しました。

まずこの4つを、この順番で

下落に気づいたら、次の順で動きます。順序に意味があり、1番を飛ばして3番から入ると、原因が分からないまま作業だけが増えていきます。

1

下落がアップデート起因かを確認する

Google 検索ステータス ダッシュボードでアップデートの実施時期を確認し、Search Consoleの表示回数・クリック数の下落開始日と照合します。時期が一致しなければ、原因は別(技術問題・季節性・競合)です。

2

影響の範囲と偏りを記録する

サイト全体か、特定のテーマ・記事群か。順位で言えば1位→3位程度の後退か、圏外への転落か。この「下落の形」が後の切り分けの材料になります。スクリーンショットと数値をスプレッドシートに残しておくと、展開完了後の分析が正確になります。

3

競合と検索結果の変化を観察する

主要キーワードの検索結果で、誰が上がって誰が下がったかを記録します。上がったサイトの共通点が、新しい評価基準のヒントです。

4

展開完了までは大規模な変更を凍結する

展開中の順位は暫定値です。記録と観察に徹し、リライト・削除・構造変更は展開完了の公式アナウンス後に判断します。

待ち方には、Googleが示している目安があります。分析は展開の完了後さらに1週間以上あけ、「コア アップデートのロールアウト開始前の 1 週間と現在の週を比較してみてください」という案内です(出典: Google 検索のコア アップデートとウェブサイト)。

下げ幅の読み方にも基準があります。「順位の低下が小さい(2 位から 4 位に下がった)場合: 抜本的な対策を講じる必要はありません」。大きく下がった場合(4位から29位など)に、詳細な評価へ進みます。

この期間にやってはいけないこと

逆に、この期間にやってはいけないことも明確です。いずれも「動いた感」は得られますが、後の分析を壊します。

  • 順位が確定する前の大量リライト・記事削除
  • 「下がったから」という理由だけのタイトル・構成の総入れ替え
  • 被リンク購入など、焦りにつけ込む営業への飛びつき
  • 日付だけ更新して新しい記事に見せかける小細工

4つに共通するのは、変動が確定する前に変数を増やしてしまう点です。順位が動いても、自分の施策の結果かアップデートの結果か区別がつかなくなります。

持ち帰り資産:初動の切り分けシート

ここまでの内容を、社内共有用のチェック項目に落としました。下落を報告する会議に、そのまま持って行ける形にしてあります。

初動の切り分けシート(最初の2週間)
  • 下落の開始日を、日付単位でGSCから特定した
  • 検索ステータス ダッシュボードの開始日と照合した
  • 展開が完了したかを、ダッシュボードの表示で確認した
  • サイト全体か、特定テーマかの偏りを記録した
  • 順位の落ち幅(数位の後退か、圏外か)を記録した
  • 上位に入れ替わったサイトを3件以上メモした
  • 展開完了までリライト・削除・構造変更を凍結した

7項目すべてに印が付くまでは、原因の断定も対策の実行も保留にしてください。

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それは本当にコアアップデートのせいか:3系統の切り分け

下落の時期がアップデートと重なっていても、原因が別のところにあることは珍しくありません。ここでは技術・競合・そもそもの表示状況という3系統で、確認する順番を決めます。

下落原因を切り分けるための計画とメモ

技術要因を先に潰す(確認の順序)

最初に見るのは技術要因です。理由は単純で、当てはまったときの影響が大きく、確認のコストが小さいからです。コンテンツの評価を疑うのは、ここを潰してからで遅くありません。

上から1つずつ、直近で意図しない変更が入っていないかを見ていきます。

  • noindex が意図せず出力されていないか
  • robots.txt でクロールを止めていないか
  • canonical が別のURLを指していないか
  • リダイレクトの向き先とチェーンが正しいか
  • サーバーエラーや応答速度の悪化がないか
  • Search Console に手動対策の通知が来ていないか
  • サイト構造やURLの変更を直近で入れていないか

この7項目が示すのは、確認の観点と順番までです。実際にどのタグをどう直すかはCMSやテーマの構成で手順が変わるため、ここでは扱いません。

なお、手動対策の通知が来ている場合は、この記事の手順ではなく再審査リクエストへ進んでください。コアアップデートとは別の出来事です。

競合と検索需要の変化を疑う

技術要因が白なら、次は外側の変化を見ます。順位は相対評価なので、自分が何も変えていなくても、周りが変われば位置は動きます。

見るのは2つです。1つは検索結果の顔ぶれで、上がったサイトの共通点を3件以上メモします。もう1つは検索需要そのもので、季節性や話題の沈静化によって表示回数自体が減っていないかを確かめます。

需要が減っている場合、順位を戻しても流入は戻りません。ここでの打ち手は記事の手直しではなく、対策キーワードの再設計になります。

そもそも狙った言葉で表示されていたか

3つ目は、見落とされやすい観点です。「順位が下がった」と感じている記事が、そもそも狙った言葉で検索結果に出ていたのか。ここを確認しないまま下落対応を始める現場を、私は何度も見てきました。

当社は2026年8月10日、自社メディアの公開記事244本(同日時点の全公開記事)を4つの段階に分けて実測しています。期間は90日(2026年5月10日〜8月7日)、Search Console API とキーワード台帳を突き合わせた機械集計です。

段階 本数 割合
第1段:公開した記事 244本
第2段:90日間で一度でも検索結果に出た 137本 56.1%
第3段:台帳の対策キーワードそのもので出た 33本 13.5%
第4段:その言葉で20位以内に入った 8本 3.3%
(うち)その言葉で10位以内 4本 1.6%

107本(43.9%)は、90日間で一度も表示がありませんでした。表示はあるが狙った言葉では出ていない記事も104本あります。10位以内に入った4本は、いずれもその言葉でのクリックが0件でした。

この数字には限界があります。「表示がなかった=インデックスされていない」とは言えません。

また当メディアはドメインが新しく被リンク施策を行っておらず、2026年6〜8月の集中公開で評価が固まる前の記事を多く含みます。1サイトの実測である点も、そのまま一般化できない理由の1つです。

それでも、切り分けの起点としては十分に使えます。下落を疑う前に、第2段と第3段を通過していたかをGSCで確かめる。この一手間が、存在しない下落を追いかける時間を減らしてくれます。

原因の見当がついたら、下落の形から回復の方向性を当てにいきます。

下落の形 疑うべき原因 回復の方向性
サイト全体が一様に下落 サイト全体の品質・信頼性の評価低下 E-E-A-Tの証拠整備・低品質ページの統合整理
特定テーマの記事群だけ下落 そのテーマでの専門性・網羅の不足 テーマの深掘りと関連記事の拡充・統合
検討・購入系クエリだけ下落 検索意図と記事の形のズレ 検索結果の新しい顔ぶれに合わせた意図の再分析
古い記事群だけ下落 情報の鮮度・正確性の劣化 実質的な情報更新と、更新できない記事の整理

順位は落ちていないのにアクセスだけ減ったとき

近年増えているのが、「順位は変わっていないのにクリックだけ減った」という相談です。これは順位下落とは別の現象で、打ち手も変わります。指標の組み合わせから見分けていきましょう。

4つの指標の組み合わせで見分ける

Search Consoleの4指標——表示回数・クリック・CTR・平均掲載順位——は、単体ではなく組み合わせで読みます。次の早見表で、いま起きていることの名前を先に決めてください。

表示回数 クリック CTR 平均掲載順位 起きていること
横ばい 悪化 順位下落。この記事の主題にあたる
横ばい〜増 低下 横ばい CTR低下。検索結果の見た目かタイトルの問題
横ばい 横ばい 検索需要の減少。季節性や話題の沈静化
横ばい 低下 悪化 下位クエリで表示が増えた、見かけ上の変化

判断の分かれ目は、平均掲載順位が動いたかどうかではありません。見るべきは表示回数とクリックが同じ向きに動いたかで、同じ向きなら順位か需要、逆向きならCTR側を疑います。

4行目は誤読が起きやすい形です。新しいキーワードで下位に表示され始めると、表示回数は増え、平均掲載順位は悪化し、CTRは下がります。中身は悪化ではなく裾野の拡大なので、慌てて手を入れる必要はありません。

AI Overviews が出るクエリでの読み方

検索結果の上部に「AI による概要」(AI Overviews)が表示されるクエリでは、オーガニックの掲載位置が画面のさらに下へ押し下げられます。同じ「3位」でも、画面上の見え方は以前と同じではありません。

そのため、AI Overviews が出るクエリでは平均掲載順位の読み方が変わりうるという前提で数字を見ます。順位が保たれているのにCTRだけ落ちたなら、記事の中身より先に検索結果の構成の変化を疑ってください。

なお、AI Overviews がCTRを何割下げるかは、当社で計測していないため数値を出しません。他社の観測値を持ち込むと、自社の状況と合わない判断を招きます。

まずは主要クエリを手元で検索して「AI による概要」が出るかどうかを記録し、その2群に分けてSearch ConsoleのCTR推移を突き合わせてください。Search Console 側にこの区分は用意されていないため、確認は手作業になります。

AI検索向けの小手先より、引用される中身を増やす

AI検索への対応として、専用の書き方や記法を追加する動きがあります。ただ、コアアップデートで下落した状態から立て直す局面で、そこに時間を割く優先度は高くありません。

AIに引用されるかどうかを分けているのは、記法よりも中身です。一次情報・具体的な数字・出典の明示——引用したくなる要素は、そのまま検索エンジンが評価する要素と重なります。

やることを1つに絞るなら、「この記事にしか書けない事実」を1つ足すこと。小手先の最適化より、こちらのほうが効きます。

回復の実務:足す前に引く

展開が完了し、原因の系統も見えたら、いよいよ手を動かす段階です。ここで順番を間違えると、作業量のわりに何も動きません。回復の実務は「足す」より先に「引く」から始めます。

低品質ページの整理がいちばん効く

回復の実務でまず手を付けたいのは、地味ですが「低品質ページの整理」です。どのサイトにも、誰にも読まれず、薄く、重複した記事が溜まっています。これらはサイト全体の品質評価の分母を下げる荷物です。

統合・リダイレクト・削除で身軽にする作業は、Googleの有用で信頼性の高いコンテンツに関するガイダンスが示す「ユーザー第一のサイト」への近道になります。整理の考え方はメディアサイトの記事統合運用、意図の再分析は検索意図の調べ方を参照してください。

整理そのものについては、Googleも「有益性の低いコンテンツを削除すると、サイト上の有益なコンテンツのパフォーマンスが向上する可能性があります」と書いています(出典: Google 検索のコア アップデートとウェブサイト)。効果を保証する書き方ではありませんが、公式に言及のある数少ない打ち手です。

ただし、削除は最終手段です。同ドキュメントは「変更を加える際に注意すべきこと」として「ページ要素を削除するような『その場しのぎの修正』は避けましょう」「コンテンツの削除は最終手段であり、そのコンテンツが修正不可能だと判断した場合にのみ検討すべきことです」と書いています。

同ドキュメントが先に挙げるのは、サイト全体の自己評価、影響を受けたページの詳細な分析、コンテンツの書き換えや再構成です。消す判断は、この工程のあとに残ったページへ下します。

過剰なCTA・広告を削る

品質を削る要素の除去も効きます。当社が改善を請け負ったサイトでは、1記事に問い合わせボタンやバナーが12個も挿入されていた実例がありました。

過剰な広告・CTAは、ユーザーを第一に考えたページかどうかを見るときのマイナス材料になります。この案件では3個に整理しました。

「足す改善」の前に「引く改善」——下落からの回復では、この順番が特に重要になります。次の2つの節では、その「足す改善」がどれだけ効かないかを、当社の実測で示します。

装飾や図表を増やしても順位は動かない

下落後にまず手が出やすいのが、表や装飾ボックスを増やす作業です。読みやすさは上がりますが、順位を動かす作業ではありません。

当社は2026年8月5日、自社メディア239本(5日前の集計なので母数が244本と異なります)の記事内デザイン要素を全数カウントしました。表・装飾ボックス・ふきだし・手順ブロック・FAQ・装飾リストを本文HTMLから機械的に数えたもので、1記事あたりの中央値は17個(最小5個・最大35個)です。

このうち、期間中に検索表示のあった110本から本文を5,000〜8,000字にそろえた57本(10位以内22本・21位以下35本)を比べました。結果は、視覚要素が17個と18個でほぼ同じ。表2個・装飾ボックス4個・画像5枚まで一致しています。

この比較にも限界があります。クリックは全体で11件しかなく、クリック数での比較は成立していません。数えたのは個数だけで要素の質は測っておらず、同一の編集基準で作った自社サイト内の比較でもあります。

それでも、「装飾が足りないから下がった」という仮説を置く前に、この数字を思い出す価値はあります。装飾は読者のために足すもので、順位のために足すものではありません。

キーワードを本文に足すのも効かない

もう1つの典型的な無駄打ちが、対策キーワードを本文に増やす作業です。こちらも当社で数字を取りました。

2026年8月9日、GSCの90日間(2026年5月9日〜8月6日)で表示回数が10回以上あった自社15本の、平均掲載順位と対策キーワードの出現率・出現回数を並べました。

平均掲載順位が上位の5本のうち3本は、狙った言葉がその並びのまま本文に1度も出てきません(出現率0%)。そして、出現回数が最も多かった65回の記事が、この15本でいちばん低い順位(81.8位)でした。出現回数と平均掲載順位の順位相関は+0.45で、回数が多いほど順位が下という向きです。

断定してよい範囲は、ここまでです。15本という数で因果は言えません。書けるのは「この15本を並べた限りでは、出現率が高い記事ほど上位という並びにはならなかった」までで、それ以上ではありません。

ただ、下落後の限られた時間の使い道を決める材料としては十分です。本文にキーワードを足す時間があるなら、読者の疑問に1つ多く答えるほうへ回してください。

YMYL領域は体制づくりが先

Googleは「人の健康や安全、経済的安定、社会の福利厚生に大きく影響する可能性のあるトピックについては、E-E-A-T が優れたコンテンツを特に重視します」と書いています(出典: 有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成)。医療・金融・法律などが、この領域にあたります。

したがって、専門家の執筆・監修体制と根拠の明示は、この領域で取り組む価値が高い打ち手になります。体制に手を付けないまま記事の手直しを重ねても、評価の土台は動きにくいままです。

該当する場合は、コンテンツ改善より先に体制づくりを検討してください。

この章の内容を、やることとやらないことの対で整理しておきます。

  • 読まれていない薄い記事を統合・整理する
  • 過剰なCTA・広告・バナーを本数から見直す
  • 影響を受けたページを1本ずつ詳細に分析する
  • 書き換えや再構成で、記事の中身を作り直す
  • 装飾や図表の個数を増やして体裁を整える
  • 対策キーワードを本文へ機械的に足す
  • 検討を飛ばして、下がったページを削除する
  • その場しのぎの小さな修正を積み重ねる

プロの判断基準:動くか、静観するか

ここまでの手順を、私が実際の案件で使っている判断軸の形にまとめます。下落対応で迷ったときは、この5つに照らして順番を決めてください。

プロの判断基準
  • 下落直後は、個別ページのリライトから始めない
  • 技術トラブル系の確認を、どの仮説よりも先に置く
  • 仮説は影響度・検証コスト・復旧コストの3軸で並べる
  • 経営層へは3〜6か月単位の中長期復旧計画として説明する
  • E-E-A-Tは、信頼性の担保から着手する

1つ目と2つ目は、順番の話です。下落の相談で最初にリライト対象を選び始めるチームは多いのですが、そこは最後の工程にあたります。技術要因は確認コストが小さく、当たれば影響が大きいため、常に先頭へ置きます。

3つ目は、仮説の並べ方です。思いついた順に検証すると時間が溶けます。影響度・検証コスト・復旧コストの3軸で点を付け、影響が大きく検証が軽いものから潰していきましょう。

4つ目は、社内向けの設計です。回復は、次の物差しが当たるまで結果が見えにくい取り組みになります。先に示した実施間隔(中央値で約3.2か月)を根拠に3〜6か月単位の中長期計画として位置づければ、月次の順位報告で判断が揺れません。

5つ目は、E-E-A-Tの入口の決め方です。Googleは公式ドキュメントで、エクスペリエンス・高い専門性・権威性・信頼性(E-E-A-T)のうち「中でも、信頼性は最も重要なものです」と明記しています(出典: 有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成)。

同じドキュメントは「E-E-A-T 自体はランキングに直接影響する要因ではありません」とも書いているので、順位への直行便としては扱いません。それでも、着手の順番を決めるうえでは有効な指針になります。

なおGoogleは「ウェブサイトに変更を加えても、検索結果に目に見えて変化が現れる保証はありません」とも書いています(出典: Google 検索のコア アップデートとウェブサイト)。だからこそ、順位そのものではなく「やる順番」と「完了の定義」で計画を管理します。

変動に強いサイトの条件:実例から

最後に、コアアップデートのたびに強くなるサイトの共通点を、実例と観察から示します。回復の先にある「揺れない状態」の設計図です。

上場企業DB型サイトの事例

私が支援してきた中で、コアアップデートのたびに強くなっていくサイトには共通点があります。実例を紹介します(守秘義務のため社名・実数値は伏せます)。

東証上場企業のDB型サイト(ライフエンディング業界)では、派手なコンテンツ施策ではなく、①サイト構造と内部リンクの技術的健全性、②テーマを絞った専門特化、③検索意図とページの一致率、という基本の徹底を開発チームと共同で続けました。その結果、モニタリング対象カテゴリの1位獲得数が9倍に。注目してほしいのは、この間に何度もコアアップデートが実施されているのに、伸び続けたことです。

※支援の内容・期間・体制はサイトごとに異なります。同じ結果を保証するものではありません。

アルゴリズム変動に強いサイトづくりを進める様子

予測を当てにいかない、評価される側に居続ける

もう1つ、観察からの学びを共有します。アップデートのたびに検索結果で入れ替わる顔ぶれを見ていると、「どこかで見たような記事の寄せ集めサイト」が沈み、「その分野を本業にしている事業者のサイト」が浮上する傾向が回を追うごとに強まっています。

評価基準の細部は毎回変わっても、向かう方向は一貫して「本物の専門性」です。だからこそ、アップデートの予想に時間を使うより、自社にしか書けない中身を増やすほうが、後から効いてくる投資になります。

アルゴリズムの変動に強いとは、「変動を予測して当てる」ことではありません。Googleがどの方向に精度を上げても、評価される側に居続けることです。

ユーザーの課題に深く答え、専門性の証拠があり、技術的に健全——この状態を保つサイトにとって、コアアップデートはむしろ競合をふるい落とす追い風になりえます。先の上場企業の案件でも、何度もコアアップデートを挟みながら伸びが続きました。土台づくりはE-E-A-Tの高め方SEOの内部対策で解説しています。

下落してから3ヶ月、改善を続けていますが順位が戻りません。方向性が間違っているのでしょうか……。

3ヶ月で結論を出すのは早すぎます。コアアップデート起因の下落は、次のアップデートで評価が見直されるまで、改善の成果が順位に反映されにくいためです。ただしGoogleは、発表されない小規模な更新で順位が上がることもあるとしています。

方向性の確認は、順位ではなく先行指標で行ってください。具体的には、①新規記事や更新記事のインデックス速度、②クリック率の変化、③検索結果での競合との顔ぶれ比較の3つです。

これらが良化していれば、順位が動く前でも方向は合っています。数字の追い方はKPI設定の記事も参考にどうぞ。

今泉の視点:アップデート被弾の相談で、私が最初に見るのは下落のグラフではなく「直近1年で何をしてきたか」の作業ログです。品質より量を優先した時期、外注記事をチェックなしで公開した時期——下落の種は、たいていアップデートの何ヶ月も前に蒔かれています。グラフが答えを教えてくれることは少なく、作業ログが教えてくれることは多い。逆に言えば、種を蒔かない運用を続けるサイトにとって、コアアップデートは怖いイベントではなく、ただの定期試験です。

よくあるご質問

コアアップデートで順位が下がったら、まず何をすべきですか?

最初の2週間は、大規模な修正をせず記録と観察に徹してください。具体的には、下落がアップデート起因かの確認、影響範囲の記録、検索結果で上がったサイトの観察の3つです。展開中の順位は暫定値のため、慌てたリライトは原因分析を壊します。

下がった記事をリライトすれば回復しますか?

個別記事のリライトだけでは戻らないことが多いです。コアアップデートはサイト全体の評価軸の見直しであるためです。低品質ページの統合・整理、E-E-A-Tの証拠整備、テーマの専門特化など、サイト単位の品質改善を軸に据えることをおすすめします。

回復までどのくらいかかりますか?

回復までの期間は、Googleも保証していません。改善の成果は次回以降のコアアップデートでまとめて見直されることがあり、数ヶ月単位の取り組みになります。ただし、大規模なコア アップデートを待たなければ効果が分からないわけではなく、発表されない小規模な更新で戻る場合もあります。なお直近8区間の実施間隔は中央値で約3.2か月でした(回復期間ではありません)。

コアアップデートはいつ終了しますか?

コアアップデートの終了時期は、Google 検索ステータス ダッシュボードの完了表示で確認します。直近9回の実測では、展開に最短6日4時間・最長45日かかっており、2週間以内に終わったのは4回でした。日数を決め打ちせず、完了表示を見てから対策を判断してください。

コアアップデートの影響はどのくらいの範囲に出ますか?

コアアップデートは、特定のサイトや個々のページを狙い撃ちするものではなく、検索全体の評価基準の見直しです。そのため評価はサイト単位で動きますが、下落の出方はテーマや記事群に偏ることがあります。Googleは、ほとんどのサイトでは気にかける必要がなく、変化に気づかない場合もあるとも説明しています。

コアアップデートに事前に備える方法はありますか?

普段の運用が最大の備えです。ユーザーの課題に深く答える記事づくり、低品質・重複ページの定期整理、著者情報や出典などE-E-A-Tの証拠整備、過剰な広告・CTAの抑制を続けているサイトは、変動の影響を受けにくく、競合の下落で相対的に浮上しやすくなります。

まとめ:定期試験に強いサイトをつくる

  • コアアップデートはペナルティではなく評価基準の見直し
  • 展開日数は回ごとに違う。完了表示を見てから動く
  • 次のアップデートまでの間隔は中央値で約3.2か月
  • 回復の主戦場は個別記事ではなくサイト全体の品質
  • 「足す」前に「引く」。装飾もキーワードも順位を動かさない
  • 基本を徹底したサイトは変動の中でも伸びる(1位獲得数9倍の実例)

次の一歩は、Search Consoleを開いて、下落の開始日とアップデートの実施時期を照合することです。実施履歴の表に9回ぶんの日付を並べてあります。

時期が一致するなら、この記事の切り分けの順序を使ってください。一致しないときは、まず同時期のスパムアップデート等を確認し、それでも合わなければ技術問題や競合動向を疑います。

ただし、どこから着手するかの優先順位付けは、サイトの規模や下落の形、社内の体制によって変わります。個別の状況に強く依存する部分なので、判断に迷うときはご相談ください。

下落の分析・回復計画の設計・品質整理の実務はSEO診断・メディア支援で承っています。サイト構造から見直す場合はサイトリニューアルのSEOもあわせてどうぞ。

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この記事を書いた人

株式会社街中文学 代表。DBSEO(データベース型SEO)・LLMO(AI検索最適化)・コンテンツマーケティングを専門に、東証上場企業や月間4,500万セッション級メディアのSEO支援を行ってきました。AIライティングSaaS「buncraft」を開発・運営。本メディアの全記事を執筆・監修しています。

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