AI資料作成の進め方|任せる工程と握る工程・プロンプトの型

AI資料作成をチームで進めるオフィスの打ち合わせ

「この提案書、明日までに仕上げないと」。資料づくりに追われ、中身を考える時間がいつも足りない。そんな方は多いはずです。AI資料作成で速くなると聞くものの、どう指示すればいいのか分からず、手が止まってしまう方も少なくありません。

当社は数百本規模のAIコンテンツ制作を運用し、その延長で提案書や営業資料づくりも支援しています。その現場で見えてきたのは、AI資料作成の成否は、ツール選びよりも「どこまでAIに任せ、どこを人が握るか」の線引きで決まるという一点でした。

この記事では、AIに任せる工程と人が握る工程の分け方、プロンプトの型、出す前のリスクまでを、やさしい言葉で整理します。読み終えるころには、明日からAIを資料づくりに組み込む道筋が見えているはずです。

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目次

先に結論:AI資料作成は任せる工程と握る工程で決まる

まず最初に、この記事の結論からお伝えします。大切なポイントは、次の3つです。

  • AI資料作成は「たたき台づくり」まで任せ、目的と確認は人が握るのが基本です
  • 手順は「目的→構成→文章→体裁→確認」の5ステップで進めます
  • 品質が崩れるのは生成した瞬間ではなく、人が確認を省いたときです

1つ目は、AI資料作成でうまくいくかどうかが「どこまでAIに任せ、どこを人が握るか」の線引きで決まるということです。AIはたたき台をすばやく形にする一方で、「誰に何を伝える資料か」という判断や、数字が正しいかの確認は苦手にしています。ここを人が握れるかどうかで、速いだけの資料になるか、そのまま出せる資料になるかが分かれます。

2つ目は、AIで資料を作る流れが「目的と読み手を決める→構成を作らせる→文章を作らせる→体裁を整える→出す前に確認する」という5つのステップに整理できるということです。いきなり「資料を作って」と丸投げするのではなく、目的と構成を先に固めるほど、あとの手戻りは少なくなります。

3つ目は、資料の品質が崩れるのが「AIが文章を生成した瞬間」ではなく「人が構成と最終確認を省いたとき」だということです。私たちがAIコンテンツの運用を続けてきた実感でも、失敗の多くは生成の精度そのものではなく、できたたたき台をそのまま世に出してしまう運用のほうから生まれていました。

AI資料作成で、どこまで任せてどこを人が握るか

AIに任せる工程と人が握る工程を話し合う様子

最初に押さえたいのは、資料作成のすべてをAIに任せるのではなく、工程ごとに「任せる・握る」を分けるという発想です。生成AIはもう特別な道具ではありません。総務省の令和6年版情報通信白書によると、日本企業のうち「資料作成等」の業務で生成AIを活用している割合は46.8%にのぼります。多くの現場ですでに使われているからこそ、任せ方の巧拙が差になります。この節で見ていくのは、次の3点です。

資料作成の5工程とAIの得意・不得意

資料作成は、大きく5つの工程に分けられます。目的を決める、構成を組む、文章を書く、体裁を整える、内容を確認する、という流れです。この5つを「AIが得意か」で色分けすると、任せどころがはっきりします。

工程 やること AIの得意度
目的設定 誰に何を伝え、どう動いてほしいか 低い(人が決める)
構成づくり 話の順番・見出しの組み立て 高い(たたき台向き)
文章作成 各ページの説明文を書く 高い(たたき台向き)
体裁づくり 見出しや箇条書きへの整形 中程度
内容確認 数字・事実・言い回しの点検 低い(人が握る)

表を見て分かるとおり、AIが力を発揮するのは真ん中の「構成」と「文章」です。両端にある「目的設定」と「内容確認」は、人の判断が欠かせません。つまりAIは、資料づくりの中央部分を高速で埋めてくれる助手だと考えると、付き合い方が見えてきます。

AIに任せてよいのは「たたき台づくり」まで

AIに気持ちよく任せられるのは、ゼロから一を生み出す「たたき台づくり」の部分です。白紙のスライドを前に手が止まる時間こそ、最ももったいない時間だからです。

たとえば、伝えたい要点を3つ渡して「この3点で提案書の構成案を5パターン出して」と頼めば、数十秒で叩き台が並びます。そこから良いものを選んで直すほうが、白紙から考え始めるよりずっと速いのです。文章も同じで、箇条書きのメモを渡せば、説明文の初稿はすぐに返ってきます。ここまでをAIに任せるだけでも、作成時間は大きく変わります。

人が握るのは「目的の設定」と「事実の確認」

一方で、人が最後まで手放してはいけないのが両端の工程です。ひとつは「目的の設定」、もうひとつは「事実の確認」になります。

目的は、その資料を読んだ相手にどう動いてほしいかという意思そのものです。ここはAIには決められません。相手の状況や社内の力関係まで踏まえた判断は、担当者にしか持てないからです。もうひとつの事実確認については、後半のリスクの章でくわしく触れますが、数字や固有名詞をAIの出力のまま信じるのは危険です。任せる部分と握る部分をこうして分けておくと、AIは頼れる相棒になります。はじめてAIで文章を作る流れそのものに不安がある方は、AIライティングの始め方もあわせて読むと、全体像がつかみやすくなります。

AIで資料を作る5つのステップ

ノートパソコンでAIを使い資料の手順を進める手元

任せる工程と握る工程が分かったら、次は実際の手順です。AI資料作成は、行き当たりばったりで頼むより、決まった順番で進めるほうがはるかに安定します。ここでは、目的の言語化から出す前の確認までを5つのステップに分けて説明します。

ステップ やること 人が握る判断
①目的 誰の何のための資料か決める 相手にどう動いてほしいか
②構成 話の骨格をAIに作らせる どの流れが一番伝わるか
③文章 見出しごとに初稿を作らせる 自分の言葉に直せているか
④体裁 箇条書きや表に整える 足すべき具体は何か
⑤確認 事実と論理を点検する 出せる品質に達したか

目的と読み手を先に1行で決める

最初にやるのは、AIを開くことではありません。「この資料は、誰の・どんな判断のために作るのか」を1行で書き出すことです。たとえば「導入を迷う情報システム部長に、稟議を通す材料を渡す」といった具合に、相手と狙いをはっきりさせます。

この1行があると、以降のすべての指示に芯が通ります。逆にここが曖昧なままだと、AIはそれらしい一般論を返すだけで、相手に刺さらない資料になりがちです。急がば回れで、まずはこの一文から始めてください。

構成(ストーリーライン)をAIに作らせる

目的が決まったら、いきなり本文ではなく「構成」から作らせます。提案書なら「課題→原因→解決策→効果→費用」といった話の骨格です。ここでAIは頼りになります。

先ほどの目的の1行を渡したうえで、「この目的で、提案書の見出し構成を3案出して」と頼みます。複数案を見比べると、自分が本当に伝えたい流れが見えてくるでしょう。骨格が固まってから中身を埋めるほうが、後半の書き直しはぐっと減ります。

各セクションの文章を作らせて整える

構成が決まったら、見出しごとに文章を作らせます。全体をまとめて頼むより、1見出しずつ渡すほうが、精度の高い初稿が返ってくるはずです。

このとき、伝えたい事実やメモを一緒に渡すのがコツです。「この見出しで、次のメモをもとに3文で説明文を書いて」と指示すれば、材料に沿った文章になります。返ってきた文章は、そのまま使うのではなく、自分の言葉に直しながら整えていきましょう。

体裁を整え、足りない具体を足す

文章がそろったら、読みやすい体裁に整えます。「この説明を、3つの箇条書きに整理して」「表にまとめて」といった頼み方で、AIは形を変えてくれます。

ただし、ここで手を止めてはいけません。AIが作った資料は、どうしても一般論に寄ります。自社ならではの数字や事例、相手の状況に合わせた一言は、この段階で人が足すのです。この「具体を足す」ひと手間こそ、資料の説得力を左右します。

出す前に事実確認のレビューをする

最後は、出す前の確認です。ここを飛ばすと、速さと引き換えに信頼を失いかねません。数字、固有名詞、制度名、日付は、必ず元の資料や公式サイトで裏を取ります。

意外に役立つのが、AI自身に見直させる使い方です。「この資料に、事実として怪しい箇所や、論理が飛んでいる箇所があれば指摘して」と頼むと、批評家の目で穴を挙げてくれます。ただし最終判断は人が下すという前提は、変わりません。

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そのまま使えるAI資料作成プロンプトの型

AIへのプロンプトをキーボードで入力する場面

手順の中で何度も出てきた「AIへの指示(プロンプト)」には、うまくいく型があります。難しいテクニックは要りません。要素を押さえて指示するだけで、返ってくる資料の質は大きく変わります。この節で紹介するのは、その型と使い回し方です。

役割・目的・構成・形式を指定する

良いプロンプトは、AIに「役割・目的・構成・形式」の4つを伝えています。この4点がそろうほど、出力は実務で使えるものに近づきます。持ち帰り用に、そのまま埋めて使える型を用意しました。

そのまま使えるプロンプトの型
  • 役割:あなたは〇〇(業界)の提案が得意な営業担当です
  • 目的:〇〇(相手)に〇〇(動いてほしいこと)を促す資料を作りたい
  • 構成:課題→原因→解決策→効果→費用の順で
  • 形式:各項目を3文以内、専門用語には補足をつけて

この4つを埋めるだけで、指示は見違えます。特に「役割」を与えると、AIはその立場になりきって書くため、言葉づかいが実務に近づきます。

長い依頼はステップに分けて渡す

やってしまいがちなのが、あれもこれもと一度に詰め込むことです。指示が長く複雑になるほど、AIはどれかを取りこぼします。

そこで、大きな依頼はステップに分けます。まず構成だけを頼み、合意できたら次に各見出しの文章、その次に体裁、という順です。会話を重ねながら少しずつ完成に近づけるほうが、結果的に速く、狙いどおりの資料になります。より体系的なプロンプトの原則を知りたい方は、AI記事作成のプロンプトの書き方も参考になります。

使えたプロンプトはテンプレートとして蓄積する

うまくいったプロンプトは、その場限りで捨てず、テンプレートとして残しておきましょう。次に似た資料を作るとき、ゼロから考えずに済みます。

個人のメモに貯めるだけでも効果はありますが、チームで共有のリストにすると、資料づくりの底上げが一気に進みます。誰か一人が磨いた良い型が、部署全体の標準になっていくからです。プロンプトは「一度書いて終わり」ではなく、育てていく資産だと捉えると、使うほど楽になります。

AIに任せると資料の品質が崩れるポイント

AIが作った資料の品質を人が確認する様子

ここまでは任せ方の話でした。次は、任せたときに品質が崩れる境目を見ていきます。その運用を重ねてきた経験から言える判断基準を、そのままお伝えしましょう。この節では、どこで質が落ちるのか、どこに時間をかけるべきかを整理します。

品質が崩れるのは生成時ではなく確認を省いた時

多くの人は「AIの生成精度が上がれば、良い資料になる」と考えがちです。ですが現場の実感は少し違います。品質が崩れるのは、AIが文章を出した瞬間ではなく、その後に人が構成の意図と最終確認を省いたときです。

当社が数百本規模のAIコンテンツを運用してきた中でも、失敗のほとんどは生成の精度そのものではなく、たたき台をそのまま出してしまう運用から生まれていました。裏を返せば、AIの出力を人がひと目通して整えるだけで、多くの事故は防げます。ここは精度ではなく、段取りの問題だと考えたほうが実態に近いはずです。

AIが出せるのは「基本」まで、驚きは人が足す

資料の価値は、4つの段階で考えると分かりやすくなります。問いへの答えという「基本の価値」、分かりやすさという「期待の価値」、先回りという「願望の価値」、そして相手が思わず引き込まれる「予想外の価値」です。

AIが速く形にできるのは、このうち基本から願望までの一般的な部分です。一方で、その相手・その商談にしか刺さらない予想外の価値、たとえば自社の実データや現場の生々しい具体は、人が足すしかありません。ここを人が握れるかどうかが、ありふれた資料と、選ばれる資料の分かれ目になります。AIに一般論を任せて浮いた時間を、この「驚き」を作ることに回すのが、賢い付き合い方です。

作らせる時間より、見直す時間を確保する

AIを使うと、作る時間は劇的に減ります。だからこそ、浮いた時間の一部を「見直し」に回してほしいのです。ここを削ると、速いだけで危うい資料になります。

実際に当社で公開前のレビューを事実確認・法令・中立性の3つの目で行ったところ、記事10本から重大なもの3件を含む68件の修正点が見つかったことがあります。AIの出力は、作らせて終わりではなく、見直しの工程こそが成果物の本体だと考えるくらいがちょうどよいです。「速く作れた」で満足せず、「きちんと見直せた」を合格ラインにしましょう。

今泉の視点:恥ずかしい失敗を1つ話します。以前、AIで作った資料で、名称が変わった補助金を古いままの呼び方で載せてしまったことがありました。AIは学習した時点の情報で、それらしく自信を持って答えます。数字や制度名、固有名詞ほど、AIの出力を疑って人が裏を取る。私はこれを、速さと引き換えに失ってはいけない一線だと考えています。

AI資料を出す前に確認する3つのリスク

資料を出す前にリスクを確認するデスクの様子

最後に、資料を世に出す前の安全確認です。生成AIの活用には期待が集まる一方で、総務省の令和6年版情報通信白書でも75%以上の企業がセキュリティ上の懸念を挙げています。便利さの裏にあるリスクを知り、線引きを持っておくことが、安心して使い続けるための条件です。ここでは特に大切な3つを確認します。

リスク 起きること 対策
情報漏えい 入力が学習に使われる場合がある 匿名化してから渡す
著作権 生成物が既存の作品に似てしまう 作品名を入れない・類似を確認
ハルシネーション 古い情報や誤りをもっともらしく出す 数字・固有名詞を裏取り

機密情報をそのまま入力しない

まず気をつけたいのが、入力する情報です。顧客名や未公開の数字、個人情報などを、そのままAIに打ち込むのは避けます。サービスによっては、入力内容が学習に使われる場合があるからです。

実務では、社名を「A社」に置き換える、具体的な金額を「数百万円規模」とぼかすなど、匿名化してから渡すのが基本です。会社としてどのサービスを、どんな情報まで使ってよいのかを決めておくと、判断に迷いません。入力してよい情報の線引きは、AIライティングと個人情報の実務でくわしく整理しています。

著作権に配慮する(文化庁の考え方)

次に、著作権への配慮です。生成AIが作った文章や画像が、既存の作品とよく似てしまうことがあります。そのまま使うと、意図せず権利を侵害する恐れがあるのです。

文化庁は「AIと著作権に関する考え方」やチェックリストを公表しており、利用者が気をつけるべき点を整理しています。実務としては、特定の作家名や作品名を指示に入れない、生成されたものが有名な作品に似ていないかを確認する、といった配慮が現実的です。判断に迷う資料は、法務や専門家に相談すると安心でしょう。

数字と固有名詞は人が裏取りする

最後は、事実の裏取りです。AIは、実在しない統計や古い制度名を、もっともらしく出すことがあります。これはハルシネーションと呼ばれる、AIが事実と異なる内容を作り出す現象です。

資料に載せる数字、日付、制度名、他社名などは、AIの出力をそのまま信じず、元の資料や公式サイトで確かめます。特に相手に提出する提案書では、たった一つの誤りが信頼を大きく損ないます。作成を速めるためにAIを使うのですから、その分の時間を裏取りに回すくらいの意識でちょうどよいでしょう。

AI資料作成のよくある質問

AI資料作成とは何ですか?

AI資料作成とは、生成AIを使って提案書や営業資料、報告書などのビジネス資料を作ることです。AIは構成や文章のたたき台づくりが得意で、目的の設定と事実の確認は人が担います。この役割分担を守ると、速さと品質を両立できます。

AIが作った資料はそのまま使ってよいですか?

AIが作った資料をそのまま出すのは避けるのが基本です。出力は一般論に寄りやすく、数字や固有名詞に誤りが混じることもあります。自社ならではの具体を足し、事実を裏取りしてから出すことで、はじめて相手に出せる資料になります。

AIにうまく資料を作らせるコツはありますか?

コツは、指示に「役割・目的・構成・形式」の4つを含めることです。さらに、長い依頼は一度に渡さず、構成から文章へと段階を分けて頼むと精度が上がります。うまくいった指示はテンプレートとして残すと、次から楽になります。

機密情報をAIに入力しても大丈夫ですか?

顧客名や未公開の数字などの機密情報は、そのまま入力しないのが基本です。サービスによっては入力内容が学習に使われる場合があります。社名を伏せ字にする、金額をぼかすなど匿名化し、会社として使ってよい範囲を決めておくと安全です。

まとめ

  • AIに任せるのは「たたき台づくり」まで、目的と確認は人が握る
  • 手順は「目的→構成→文章→体裁→確認」の5ステップで進める
  • プロンプトは「役割・目的・構成・形式」で指定し、蓄積して育てる

AI資料作成は、ツールの優劣より「任せる工程と握る工程の線引き」で決まります。まずは次に作る資料で、目的と読み手を1行に書き出すところから始めてみてください。その一行が、AIへのすべての指示に芯を通してくれます。

生成AIを社内の資料づくりや業務にどう組み込むか、体制から相談したい場合は、街中文学の生成AI導入支援がお役に立てるはずです。速く作ることより、出せる品質を保ちながら定着させることを一緒に設計します。

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この記事を書いた人

株式会社街中文学 代表。DBSEO(データベース型SEO)・LLMO(AI検索最適化)・コンテンツマーケティングを専門に、東証上場企業や月間4,500万セッション級メディアのSEO支援を行ってきました。AIライティングSaaS「buncraft」を開発・運営。本メディアの全記事を執筆・監修しています。

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