「文章を添削してと頼まれたけれど、どこをどう見ればいいのか分からない」「校正と校閲と推敲、どれを頼めばいいのか自信がない」。文章を直す場面では、この2つの迷いが同時に起こります。さらに、赤ペンを入れても相手が次から良くなる手応えがない、という声もよく聞きます。
当社は、月間4,500万セッション級メディアの支援を含め、これまで数百本規模で記事を制作してきました。社内では校正・校閲・添削を別々の工程として分け、機械の判定と人の読みを組み合わせて回しています。その現場で分かってきたのは、4語は言葉の意味の広さで分かれるのではなく、何と照らして直すかで分かれるということでした。
この記事でお渡しするのは、1枚の表で4語を見分ける方法、頼むときに伝える3つのこと、AIに渡してよい原稿の線引きの3つです。言い換えると何が変わるのかまで押さえておけば、頼み方はその場で決まります。自分の文章にも他人の原稿にも、同じ物差しが使えるはずです。
キーワード選定から構成、AIによる一次執筆、人による編集、WordPress入稿まで一括で対応します。制作リソースの不足や、記事ごとの品質差にお困りの企業向けサービスです。
先に結論:4語は「何と照らすか」で分かれる
まず最初に、結論からお伝えします。添削・校正・校閲・推敲を見分けるポイントは、次の3つです。
- 4語は意味の広さではなく「何と照らして直すか」で分かれます
- 自分の文章に対して行うのは推敲で、他人の原稿なら残りの3つです
- 終わりの判定が4語で違うので、言い換えるより見てほしい範囲を伝えます
1つ目は、4語を分ける本当の基準です。4つとも「文章を直す」点では同じで、意味の広さだけで比べると境目があいまいになります。何と照らして直すのかという見方に切り替えると、4語の境目ははっきりします。
2つ目は、誰の文章を見るかという線引きです。自分が書いた文章を自分で直すのが推敲で、主に他人の原稿を見るのが校正・校閲・添削になります。出版の現場には著者が自分の原稿を確かめる著者校正もありますが、対象が自分に限られるのは推敲だけです。
3つ目の違いは、終わりの判定にあります。校正はルールと一致したら、校閲は事実と一致したら終わりです。推敲は自分が納得したら、添削は書き手が次に書けたら終わりになります。
ゴールが違うため、言い換えて頼むと、返ってくるものも作業量も変わってしまいます。
| 見るところ | 校正 | 校閲 | 推敲 | 添削 |
|---|---|---|---|---|
| 誰の文章を見るか | 主に他人の原稿 | 主に他人の原稿 | 自分の原稿だけ | 他人の原稿 |
| 何と照らして直すか | 原稿・表記ルール | 原稿の外にある事実 | 自分が言いたかったこと | 書き手が狙っていたこと |
| どこまで手を入れるか | 誤りと表記の不統一だけ | 事実の誤りだけ | 納得がいくまで | 必要なら全体まで。ただし直さずに示すこともある |
| 機械にどこまで任せられるか | 基準が決まった範囲は任せられる | 下調べまで | 言い換えの候補出しまで | 任せられない |
| どうなったら終わりか | ルールと一致したら | 事実と一致したら | 自分が納得したら | 書き手が次に書けたら |
表は、次のように使ってください。自分の文章なら推敲、人の文章を世に出すためなら校正と校閲、人を育てるためなら添削、と分けると迷いにくくなります。この表は、社内で「どれを頼むか」を決めるときの共通のものさしとして、そのまま使える形にまとめました。
この使い分けは、言葉づかいの正しさの問題ではありません。当社では、依頼の言葉が「文章」か「文書」かの1字違うだけで、動く範囲も見積もりも変わります。何がどう変わるのかは、このあとの「言い換えで変わるもの」の章で説明します。
4語の関係でつまずく人は、実際に少なくありません。当社がこの記事について Google Search Console で取得したデータでは、2026年6月11日からの90日間に、4語の違いを尋ねる検索語だけでのべ900回以上表示されました。Google Search Console は、自社のページがどんな検索語で表示されたかを見られる無料ツールです。
つまずきどころは、1語ずつの意味ではなく4語の組み合わせです。覚えるなら、上の表の2行目「何と照らして直すか」だけで足ります。
添削・校正・校閲・推敲の違い

ここからは、4語を1語ずつ見ていきます。似ているようで、見ている場所も終わりの判定も別ものです。何と照らしているのかを押さえると、頼むときの食い違いが起きにくくなります。
添削とは|書き手が狙っていたことと照らす
添削とは、他人の文章に書き加えたり削ったりして、より適切な表現へ改め直すことです。当社はここに、どこがよかったのか、どう直すとよいのかを書き手に示すところまでを含めて考えています。照らす相手は、書き手が狙っていたことです。
ここが4語のなかでいちばん特殊なところです。添削では、直せるのに直さない、という判断をすることがあります。書き手の言い回しに個性があるなら、あえて残して「ここは残しました」と伝えるほうが効きます。
終わりの判定も、文章ではなく人の側にあるのが特徴です。書き手が次から自分で同じ形に書けたとき、その添削は役目を終えたと考えてください。
校正とは|原稿と表記ルールに照らす
校正とは、原稿と表記ルールに照らして、誤字脱字・文法の誤り・表記のゆれを正す作業です。印刷の現場では、原稿と刷り上がりを突き合わせて食い違いがないか確かめる作業を校正と呼んできました。
校正の判断材料は、原稿とルールブックの中で完結します。「行う」と「行なう」のどちらに寄せるか、数字は半角か全角か。基準を先に定めておけば、判断に迷う場面は少なくなります。
基準が決まっていれば、校正する作業の一部は機械に渡せます。当社が機械で判定しているのは、語尾の連続・見出しの構造・文字数・導入文の形という4項目です。ここまでを先に通してから、人が読む順番にしています。
ただし、語尾を見ている範囲は限られます。箇条書き・表のセル・見出しは、文末が名詞で終わる体言止めが正常な場所だからです。
| 原稿のどこか | 語尾のチェック |
|---|---|
| 本文の段落 | 判定する |
| 箇条書き・表のセル | 判定しない(体言止めが正常なため) |
| 見出し | 判定しない(体言止めが正常なため) |
校正を頼むときは、この表で「判定しない」になっている場所まで見てほしいのかを、先に言葉にしておきましょう。
終わりの判定は、ルールと一致したときです。読みやすさや内容の面白さは校正の守備範囲ではありません。そこまで見てほしいときは、添削と伝えて頼みましょう。
もともと印刷の現場では、行の詰まりや文字の並びといった体裁の乱れも校正で見てきました。ウェブの原稿では、体裁を別の作業として分けることが多くなっています。
なお、自分の原稿を自分で校正することもできます。出版の現場では著者校正と呼ばれますが、書いた本人には粗が見えにくい点は変わりません。
校閲とは|原稿の外にある事実と照らす
辞書では、校閲は原稿や文書の誤りや不備を調べて正すこととされています。記事制作の現場ではもう少し狭く、原稿に書かれている内容を、原稿の外にある事実と突き合わせて確かめる作業を指します。確かめるのは、人名・社名・日付・数字・引用が現実と合っているかどうかです。
校閲が校正と別物であることは、当社の失敗が分かりやすい例です。2026年7月、当社は執筆者以外が採点する社内の品質評価(100点満点)で、鉤括弧の引用が原典と一致していないという理由から記事を2本続けて減点されました。
当社の原稿:記載される傾向がある
引用元の公的資料の原文:記載されたりする傾向があります
なぜ気づけないか:意味は変わらず、誤字も文法の誤りもありません。原稿だけを読んでいるかぎり、誰にも見つけられない食い違いです。
この食い違いは、原典を開いて突き合わせて、はじめて見つかります。校正の守備範囲では拾えないので、校閲として別に時間を取る必要がありました。
そこで当社は、運用を2つ決めました。1つ目は、鉤括弧でくくる引用を原典と1文字ずつ照合することです。2つ目は、照合しきれない場合に鉤括弧を外して、地の文の要約に書き換えることです。
誰がこの確認を担うのかという設計は、記事の監修とも地続きです(記事監修とは)。
推敲とは|自分が言いたかったことと照らす
推敲とは、自分が書いた文章を、自分が言いたかったことと照らし合わせて練り直すことです。一般には、4語のなかで自分の文章だけを対象にする言葉として使われます。
ですから推敲は、他人に頼む前提の言葉ではありません。「推敲をお願いします」と頼まれたときは、相手が求めているのは校正か添削のどちらかです。そのうえで、見てほしい範囲を確かめましょう。
終わりの判定は、自分が納得したときです。判定する人が自分しかいないため、いくらでも続けられてしまいます。締め切りや読み返す回数を先に決めておきましょう。
「文章を直すこと」を何と言うか|言い換えで変わるもの
4語の違いが分かると、次は「では、何と言って頼めばいいのか」で迷います。先に答えを言うと、言い換えても得はしません。言葉を選び直すより、見てほしい範囲を3つ伝えるほうが早く済みます。
4語+修正・リライト・編集を一覧で見る
7つの言葉は、どこまで動かしてほしいかで選べば足ります。まず1枚に並べました。前の章は「4語をどう見分けるか」、こちらは「その言葉で頼むと何が返ってくるか」の一覧です。
| 言葉 | 誰の文章か | 何と照らすか | どこまで動くか | 頼むときの一言 |
|---|---|---|---|---|
| 添削 | 他人の原稿 | 書き手が狙っていたこと | 直したうえで理由まで返す | 「直した理由も書いてください」 |
| 校正 | 主に他人の原稿 | 原稿と表記ルール | 誤字と表記の直しだけが返る | 「誤字と表記のゆれだけ見てください」 |
| 校閲 | 主に他人の原稿 | 原稿の外にある事実 | 裏取りの結果だけが返る | 「数字と固有名詞を裏取りしてください」 |
| 推敲 | 自分の原稿だけ | 自分が言いたかったこと | 終わりを決めるのは自分 | 他人には頼めない |
| 修正 | どちらでも | 指示された条件 | 指示された箇所だけ | 「この3か所を直してください」 |
| リライト | 他人の原稿 | 新しい目的と読者 | 構成から書き直す | 「読者を変えて書き直してください」 |
| 編集 | 他人の原稿 | 媒体の企画と読者 | 載せるか落とすかまで | 「章ごと落として構いません」 |
選ぶときは「どこまで動かしてほしいか」だけを見ましょう。直したものだけが欲しいなら修正か校正、直した理由まで欲しいなら添削です。構成ごと変えてほしいならリライト、載せる載せないの判断まで委ねるなら編集になります。
「文章を直して」と「文書を直して」は別の依頼になる
言い換えで最も食い違うのは、4語のあいだではありません。「文章」と「文書」という1字の差です。読み方が同じで意味が別なので、口頭のやり取りではとくに取り違えが起こります。
動く範囲は、次のように変わります。文章を直す依頼なら、対象は言い回しと構成までです。文書を直す依頼なら、そこに体裁・レイアウト・ファイル形式まで加わります。
当社の実感でいうと、中身だけなら半日で済む作業が、体裁まで含むと1日半かかることがあります。同じ一言の依頼で、作業量が3倍近くまで開くということです。
ですから当社では、依頼を受けたときも出すときも、最初に「本文だけですか、体裁も含めますか」と確かめます。用語そのものの違いは文章と文書の違いに、提出前に整える型はビジネス文書の書き方にまとめました。
言い換えるより、見てほしい範囲を3つ伝える
伝えるのは、次の3点です。
- 何と照らしてほしいか(ルール・事実・書き手の狙いのどれか)
- どこまで直してよいか(誤りだけか、構成まで動かしてよいか)
- 理由を返してほしいか(次から自分で書けるようになりたいか)
この3点をそのまま文にすると、次のようになります。社内でも社外でも、そのままコピーして使える形にしました。
「添付の原稿を見ていただけますか。照らしてほしいのは表記ルールと事実の2つで、社名・数字・引用の裏取りまでお願いします。
直していただく範囲は誤りと表記の不統一までとし、構成は今回そのままで結構です。直した箇所には一言ずつ理由を添えていただけると、次から自分で直せるので助かります。」
頭に置く言葉は「添削」でも「校正」でも構いません。3点がそろっていれば、相手は迷わず動けます。逆にこの3点を伝えないまま言葉だけを言い換えると、相手が「どこまで直すか」を自分で決めるしかありません。
4語を使い分ける5つの軸

4語を使い分ける軸は5つあります。このうち「誰の文章を見るか」は前の章で、「どこまで手を入れるか」は「先に結論」の表で示しました。ここからは、実務で判断が分かれる残りの3つを1つずつ取り上げます。
何と照らすかで分ける
1つ目の軸は、照らす相手です。「先に結論」の表の2行目が、そのまま判断材料になります。照らす相手が違えば、見つかる粗も違ってくるからです。
この軸が効くのは、依頼の場面です。「誤字を見てほしい」なら照らす相手はルールなので校正、「この数字が本当か確かめてほしい」なら事実なので校閲になります。言葉から入らず、何と突き合わせてほしいのかを伝えると、話が早く進みます。
どうなったら終わりかで分ける
2つ目の軸は、終わりの判定です。ここを決めずに始めると、作業がいつまでも終わりません。
注意したいのは、終わりの判定が「書いた本人以外」にあるのは添削だけだという点です。校正と校閲はルールや事実と突き合わせれば判定でき、推敲は自分が納得したかどうかで決まります。添削だけは、相手の次の一本を見ないと判定できません。
ですから添削は、返した時点では効き目を判定できません。効いたかどうかは、相手の次の一本が上がってきたときに分かります。
機械に任せられる範囲と、人が残る範囲
3つ目の軸は、機械にどこまで任せられるかです。任せられる範囲は多くの方が思うより狭く、そのかわり境目ははっきりしています。校正のところで触れた4項目のように、判定の基準が1つに決まるものだけが機械の担当になります。
ここでいう機械とは、決められた条件に合っているかを自動で判定するチェックツールのことです。文章を書き換える生成AIについては、この章の最後で改めて説明します。
境目を知らないと何が起きるかは、当社の失敗が分かりやすい例です。
起きたこと:2026年7月、当社の機械チェックは、装飾ボックスの中の3項目が「決めます」「決めます」「決めます」と揃っていても通過しました。
なぜ通ったか:箇条書きが、はじめから語尾の判定の対象外だったからです。
どう見つかったか:あとから人が読んで、はじめて指摘が出ました。
読み取れることは1つです。機械が拾える範囲を知らないまま「チェックを通りました」と言うと、見ていない場所の粗が残ったままになります。
4語のどこまでを任せられるかは、「先に結論」の表の4行目のとおりです。分かれ目は1つで、判定の基準が原稿の中だけで決まるかどうかにあります。
この条件を満たすのは校正だけです。校閲は原稿の外にある事実を、推敲は自分の頭の中の基準を、添削は相手の次の一本を見にいくため、いずれも人が残ります。
- 判定基準が1つに決まるものは機械に任せます(表記ゆれ・語尾・数字の形式)
- 正解が文脈で変わるものは人が読みましょう(言い回し・構成・強弱)
- 原稿の外を見ないと判定できないものは、人が担当してください
ここまでは、条件に合っているかを判定するチェックツールの話でした。文章を書き換える生成AIに直させる場合も、任せられる範囲の線引きは同じです。誤字や言い回しの候補出しは任せられますが、事実に合っているか、書き手の意図に沿っているかの判断は人に残ります。
ただしAIに添削させるときは、もう一つ手前で決めることがあります。「その原稿を渡してよいか」です。書かせるときに渡すのは指示だけですが、添削では書き上がった原稿をそのまま渡すからです。
渡してよいかどうかは、その文章がどこまで世に出ているかで決まります。当社は次の3通りに当てはめて決めています。
- すでに公開している記事の直しは、そのまま渡します
- 公開前の原稿は、社名や数字を仮の言葉に置き換えてから渡します
- 発表前の企画そのものが書かれているものは、渡さずに自分で読み直します
迷ったときの目安は、その文章が今この瞬間に外へ出たら困る人がいるかどうかです。AIへの渡し方と指摘の取捨選択は文章添削AIを無料で使うときの手順にまとめました。事実確認の回し方はAI記事のファクトチェック方法をご覧ください。
キーワード選定から構成、AIによる一次執筆、人による編集、WordPress入稿まで一括で対応します。制作リソースの不足や、記事ごとの品質差にお困りの企業向けサービスです。
文章添削で見るべき基本の観点

添削で見るところは、正しさ・伝わりやすさ・書き手の成長の3つに分かれます。やみくもに読んでも、粗は拾いきれません。この3つの層に分けて順に確かめましょう。
この章では前の2つを扱い、書き手の成長は次の章でまとめて説明します。
| 層 | 見るもの・伝えるもの | 直すかどうかの判断 |
|---|---|---|
| 正しさ | 誤字脱字・表記ゆれ・数字・固有名詞 | 誤っていれば直す |
| 伝わりやすさ | 主述の対応・修飾語の位置・一文の長さ・結論の位置 | 読み手が迷うなら直す |
| 書き手の成長 | 直した理由・良かった点 | 直さずに伝えることもある |
迷ったら、上の層から順に見てください。正しさが残ったまま伝わりやすさを直しても、あとで戻ることになります。
誤字脱字・表記・固有名詞の正しさ
まず見るのは、正しさです。誤字脱字はもちろん、表記のゆれ(「行う」と「行なう」が混在していないか等)もそろえます。小さな誤りでも読み手の目にとまり、内容への信頼を損なうことがあるからです。
Googleは、制作者が自分のコンテンツを自己点検するための質問リストを公開しています。そのなかには「コンテンツに誤字やスタイルに関する問題はありませんか。」という一問があります(Google検索セントラル)。表記は、制作の丁寧さを測る観点として扱われているということです。
とくに注意したいのは、数字と固有名詞です。人名や会社名、商品名の間違いは、失礼にあたるだけでなく、大きなトラブルにもつながりかねません。思い込みで読み飛ばさず、一つひとつ確かめてください。
主語と述語の対応・修飾語の位置
次に見るのが、文の構造です。一文が長くなると、主語と述語がねじれてしまうことがあります。「誰が」「どうした」がまっすぐつながっているかを確認しましょう。
あわせて、修飾語の位置も見ましょう。「かわいい犬のぬいぐるみ」のように、どこにかかるか分かりにくい表現もあります。修飾する言葉と、修飾される言葉を近づけると誤解が減ります。
誤読を防ぐ位置に読点を打つことも効果的です。
主語と述語のねじれは、たとえば次のように直します。
直す前:私がこの企画で伝えたいことは、SNSでの発信を強化すべきだと考えています。
直した後:私がこの企画で伝えたいのは、SNSでの発信を強化すべきだということです。
なぜ直したか:「〜ことは」で始めたのに、述語が「考えています」でねじれていました。書き手が「伝えたいこと」を前に出したかった意図は残したまま、述語だけを対応させています。
このように、直した文章だけでなく「どこがどうねじれていたか」まで見えることが大切です。書き手は、次から自分で気づけるようになります。AIが書いた文章にありがちな不自然さの直し方は、AI特有の不自然さを直すコツでも紹介しています。
一文一義と結論先出しで読みやすく
最後に見るのが、伝わりやすさです。当社が記事制作で大切にしているのは、一文一義です。一つの文に入れる内容を一つに絞り、詰め込みすぎた文は思い切って分けます。
そして、結論を先に置くことも大切な観点です。これはマナーではなく、読み手の時間を守る配慮です。
文化審議会が2022年(令和4年)1月7日に建議した「公用文作成の考え方」にも、同じ考え方が示されています。一文一義に直接あたるのは「一文の論点は、一つにする。」という項目です。あわせて「一文を短くする。」も挙げられています(文化庁「公用文作成の考え方」)。
結論の位置についても、同じ建議に「結論は早めに示し、続けて理由や詳細を説明する。」という項目があります。対象にしているのは国の府省庁が作る公用文ですが、当社は同じ考え方を社外向けの記事や資料にも当てはめています。一文一義と結論先出しは、公用文のためだけのルールではありません。
結論を先に置き、一文は短くします。この2つは、添削の効き目が大きいポイントです。伝わる文章の型は、PREP法などの文章の型の記事も参考になります。
文章添削の進め方4ステップ

観点がわかったら、次はどんな順番で見ていくかを決めます。いきなり細かい誤字から入ると、全体の流れを見失ってしまうからです。ここでは、大きく見てから細かく直す4つのステップを紹介します。
| ステップ | このステップで決めること | 終わりの合図 |
|---|---|---|
| 1 目的と読み手を確認する | どこまでを直すべき点として扱うか | 読み手と目的を1行で言える |
| 2 通読して全体の流れを見る | 構成を動かすかどうか | 話の順番に迷いがなくなる |
| 3 細部の誤りと表現を直す | 正しさと伝わりやすさのどちらの話か | 観点ごとに一通り当たり終える |
| 4 時間を置いて読み返す | 直したことで新しい粗が出ていないか | もう一度かけて指摘が出ない |
この表の2列目のとおり、各ステップで決めるのは作業ではなく判断です。迷ったら、いま自分がどのステップの判断をしているのかに戻ってください。
ステップ1 目的と読み手を確認する
最初のステップは、直し始める前の確認です。その文章が「誰に」「何を伝えるため」のものかをはっきりさせます。ここがずれていると、良かれと思った添削が的外れになってしまいます。
たとえば、社内向けのメモに社外文書のような丁寧さを求めても、意味がありません。目的と読み手という物差しを先に持つと、直すべき点とそうでない点の線引きができます。
ステップ2 通読して全体の流れを見る
2つ目のステップは、まず一度、通して読むことです。細部に手を入れる前に、話の順番は自然か、結論は伝わるか、大きな流れを確かめます。細部より先に、全体の形を確かめるイメージです。
全体の構成に問題があるのに、先に語尾を整えても、あとで大きく直すことになりかねません。まずは流れを整え、それから細部へ進みます。この順番が、手戻りを防ぐコツです。
ステップ3 細部の誤りと表現を直す
3つ目のステップで、いよいよ細部に入りましょう。先ほどの観点、つまり誤字脱字・主述の対応・一文の長さを一つずつ確認していきます。全体を整えた後なので、安心して細かく見られます。
このとき、直す量が多くても焦らないでください。観点を分けて通すと、抜けが減ります。
- 1周目は正しさ:誤字脱字・表記のゆれ・数字・固有名詞
- 2周目は伝わりやすさ:主述の対応・修飾語の位置・一文の長さ
- 3周目は声に出して読み、リズムの悪さを拾う
ステップ4 時間を置いて読み返す
最後のステップは、少し時間を置いてからの読み返しです。書いた直後は自分の文章に慣れてしまい、粗が見えなくなります。一晩置くだけでも、同じ文章の読み方は変わります。
もうひとつ、直した直後にこそ起きる落とし穴を挙げておきましょう。2026年7月、当社が4文続いた段落を読みやすさのために2つに分けたところ、分割によって同じ語尾の3連続が新しく1件生まれました。
直す前にはなかった粗が、直したことで生まれました。ですから当社では、機械にかけ直すのは章を書き終えた直後、人が読み返すのは時間を置いてから、と分けています。
書き手が育つ添削の仕方

最後に、他人の文章を添削するときの、もう一歩踏み込んだ視点です。同じ直しでも、伝え方しだいで書き手の成長は変わります。返し方と、受け取った側の処理の仕方まで見ていきましょう。
直すだけでなく理由を添える
書き手を育てる添削の第一歩は、理由を添えることです。直った文章を返すだけでは、書き手は「なぜ直されたのか」が分かりません。次も同じところでつまずきやすくなります。
「主語が途中で変わって読みにくいので分けました」と一言添えるだけで、書き手はその観点を覚えます。理由の共有は少し手間ですが、次の一本に効いてくる投資です。
良い点も具体的に伝える
もう一つ大切なのが、良い点も伝えることです。悪いところの指摘ばかりが続くと、書き手は書くこと自体に自信を持ちにくくなります。どこが良かったのかが分かれば、その強みを伸ばせます。
「この具体例は読み手がイメージしやすい」と、良かった点を具体的に伝えてみてください。直すべき点と伸ばすべき点の両方が見えると、書き手は前向きに次へ進めます。
なぜ書いた本人には粗が見えないのか
自分の文章を直しにくいのには、理由があります。書いた直後は頭の中に意図が残っているため、実際には書かれていないことまで「伝わっているつもり」になるからです。読み手は、書かれた文字だけを頼りに読みます。
そこで当社は、記事を書いた本人には採点させません。執筆に関与していない担当が100点満点で採点します。
90点以上で、なおかつ落としてはいけない項目をすべて満たさなければ公開しません。仕組みとして「別の人の目」を挟んでいるわけです。
時間を置いてから読み返せば、自分も部分的にはこの「別の人」に近づけます。
今泉の視点:添削というと、どれだけ鋭い指摘ができるかを競いがちです。でも当社が記事の採点を執筆者本人にやらせないのは、鋭さが理由ではありません。書いた人ではない、という一点が効くからです。
同じ人が書いて同じ人が見ると、頭の中の意図が文章に書いてあるように見えてしまいます。指摘の質を上げる前に、まず「誰が見るか」を替えてみてほしいのです。
そして添削は、返して終わりではありません。受け取る側にも手順が要ります。校正の指摘は正しいか誤りかで決着しますが、添削の指摘は理由に納得できるかどうかで決めるからです。
当社では、返ってきた指摘を読む前に「直す」「直さない」「保留」の3つの箱を用意します。読みながら箱に入れていくと、考える対象が保留だけに絞られます。最後の1件まで同じ集中力で見られるのは、そのためです。
- 直す:理由に納得できた指摘は、その場で反映する
- 直さない:意図があって選んだ表現は、理由を添えて残す
- 保留:判断がつかないものは、半日置いてから開く
それでも決まらなければ、直さない側へ寄せます。この手順があると、添削は「言われたとおりに直す作業」ではなくなります。
- 誤字脱字・表記ゆれ・数字や固有名詞の誤りはないか
- 主語と述語が対応し、一文が長すぎず読みやすいか
- 結論が先にあり、読み手が迷わず読み進められるか
- 直した理由を添え、良かった点も具体的に伝えたか
機械と人でチェック項目を分ける考え方は、AI記事の公開前チェックリストにも整理しました。
関連する記事
- 記事監修とは:事実の確認を誰が担うかを決める
- 文章添削AIを無料で使うとき:渡す前に決める3つ
- AI記事の公開前チェックリスト:機械と人で分ける20項目
- 文章と文書の違い:依頼で動く範囲が変わる理由
- ビジネス文書の書き方:提出前に確かめる型がわかる
- ライティングとは:書く仕事の全体像をつかめます
- オウンドメディアライター募集:要件設計と外注の見極め方の解説
文章添削のよくある質問
まとめ
- 4語は意味の広さではなく「何と照らして直すか」で分かれます
- 終わりの判定が相手側にあるのは、4語のうち添削だけです
- 言い換えるより、見てほしい範囲を3つ伝えたほうが早く済みます
添削・校正・校閲・推敲は、どれが上でどれが下という関係ではありません。照らす相手と終わりの判定が違うだけです。
ですから頼むときは、言葉選びで悩む必要はありません。何と突き合わせてほしいのか、どこまで直してよいのか、理由を返してほしいのかを伝えましょう。この3点だけで、返ってくるものと作業量のずれは小さくなります。
どんな体制で記事や資料の品質を保つかは、扱うテーマや運用の仕方で変わります。プロの視点での添削や、記事制作の品質管理をご検討の際は、株式会社街中文学にご相談ください。
キーワード選定から構成、AIによる一次執筆、人による編集、WordPress入稿まで一括で対応します。制作リソースの不足や、記事ごとの品質差にお困りの企業向けサービスです。
