仲邑菫さんは2019年度からプロ入りが決まっている9歳の最年少棋士(2019年4月には10歳0ヶ月)で、注目の新初段シリーズの相手は黒嘉嘉(Hei jiajia)七段に決定し、2019年2月20日に対局が行われます。
先日行われたAIとの対局は「プロ棋士1年目の最年少棋士仲邑菫VS強化学習1日目人工知能AQZ」で解説しています。
新初段シリーズとは、その年にプロ入りする人がトッププロと行うお祝い的な記念対局です。新初段シリーズ自体は毎年行われていて、囲碁ファンの間では話題もちきりになっています。海外の棋士が登場するのはなかなかなくて、今回は今まで以上の注目が集まっています。
今年の仲邑菫新初段VS黒嘉嘉七段の対局に注目が集まっているのは以下のポイントです。
- 最年少棋士仲邑菫の登場
- 美人で大人気の台湾トッププロ黒嘉嘉七段が登場
- 囲碁新初段シリーズ初の対局生中継
仲邑菫新初段はこれまで、張栩名人・井山裕太棋聖・崔精九段・曺薫鉉九段という超有名トッププロとの記念対局を行いました。この記事ではそれらの対局の棋譜も併せて紹介しています。
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目次
週刊碁新初段シリーズ仲邑菫新初段vs黒嘉嘉七段(台湾最強の女流棋士)
週刊碁新初段シリーズ
黒番:仲村菫 新初段
白番:黒嘉嘉 七段(台湾)
手合い:定先(コミなし)
持ち時間:各10分(使い切ったらNHK方式1手30秒+60秒の秒読み10回)
対局会場:日本棋院東京本院
結果:白中押勝ち
(→コミとは)
- 序盤のピンチをしのいだ仲村新初段の底力(プロも絶賛)
- 劣勢に立たされながらも一気に逆転した黒嘉嘉七段の安定感
- 仲村新初段、終盤に急失速…序盤の成功で緊張してしまった?
序盤右下の変化では、ここで勝負か決まるほどお互いに緊迫した状況でした。解説の棋士も「この変化をよめているのならすごい」とコメントするほど難しい変化の中、仲村菫新初段は上手くピンチを交わして優勢な状況を作りました。しかしその後、形勢判断に誤りがあったのか、作戦通りに進んでいたように見えて実は白番の黒嘉嘉七段が有利な結果となってしまいました。最後は盤面でも白が10目ほど勝っている形勢で、仲村菫新初段は投了となりました。残念な結果となってしまいましたが、序盤の戦いでは光るものがあり、今後の成長にかなり期待させてくれる内容だったと思います。
仲邑菫新初段のプロフィール
名前 | 仲邑菫(なかむら すみれ) |
---|---|
生年月日 | 2003年3月2日 |
出身地 | 大阪府出身 |
所属 | 日本棋院 |
「囲碁のプロ棋士になるには?プロ試験の年齢・制度を解説!」で紹介した通り、英才特別採用棋士第1号です。
3歳で囲碁を始め、6歳の頃にはアマ六段ほどの実力に達していた。7歳で韓国に囲碁留学。父親は日本棋院所属プロ九段の実力者。日本の小学校に通いながら、毎週末日本から片道3時間かけて「韓鐘振(ハンジョジン)囲碁道場」に通った。
ーーー経歴ーーー
2019年 入段
第4回(2018年7月)パンダネットレディース囲碁トーナメント 優勝
(参加年齢制限のない女性の全国大会です)
黒嘉嘉七段のプロフィール
名前 | 黒嘉嘉(hei jiajia/くろ かか/ヘイ ジャージャー) |
---|---|
英語名 | Joanne Missingham(ジョアンヌ ミシンガム) |
生年月日 | 1994年5月26日 |
出身地 | オーストラリア クイーンズランド州ブリスベン |
所属 | 台湾棋院 |
ーーー経歴ーーー
2010年 入段
二段へ昇段
2011年 成績優秀者特例により五段へ昇段
2015年 七段へ昇段
2010年 穹窿山兵聖杯世界女子囲碁選手権 準優勝
2011年 台湾女流棋士初のリーグ入りを達成
2015年 台湾女流最強戦 優勝
2016年 台湾女流最強戦 優勝(二連覇)
2018年 SENKO CUPワールド碁女流最強戦 準優勝
その他
トップモデルとして活躍中
【人気記事】強く、そして美しく!盤上で輝く黒嘉嘉の物語!
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仲邑菫新初段の過去の特別対戦結果
仲邑菫新初段VS張栩名人
棋譜再生
黒番:仲邑菫新初段
白番:張栩 名人
手合い:定先白番6目コミ出し(→コミとは)
結果:持碁(引き分け)
- 序盤は張栩名人が圧倒
- 中盤に仲村新初段が反撃、形勢を互角に戻す
- 仲村新初段の終盤の正確さには張栩名人も絶賛
▼張栩のプロフィール▼
1980年1月20日台湾台北市出身。日本棋院東京本院所属。
1986年来日。林海峰名誉天元門下。
1994年 入段
史上初の五冠達成
史上二人目のグランドスラム達成
通算七第タイトル獲得数 41
棋道賞最優秀棋士賞受賞 7回
賞金ランキング1位 7回
仲邑菫新初段VS井山裕太棋聖
棋譜再生
黒番:仲邑菫新初段
白番:井山裕太棋聖
手合い:定先コミなし
結果:打ち掛け(結果なし)
- 序盤から仲村新初段が積極的に仕掛ける
- 仲村新初段のパンチが決まるが井山棋聖が華麗にかわす
- 本気になった(?)井山棋聖が強烈な攻めで黒がほぼK.O.になった
▼井山裕太のプロフィール▼
1989年5月24日大阪府東大阪市出身。日本棋院関西総本部所属。
石井邦生九段門下。
2002年 入段
2016年4月21日〜11月3日 193日に渡って七冠所持
2017年10月18日〜2018年8月3日 290日に渡って七冠所持
2018年国民栄誉賞受賞
囲碁将棋で初めて2度の七冠所持、史上初の年間グランドスラムを達成。
七第タイトル獲得数歴代1位。
史上2人目の大三冠達成者。史上3人目のグランドスラム達成者。
賞金ランキング1位受賞 8年連続8回目(2019年現在更新中)
仲邑菫新初段VS崔精九段
棋譜再生
黒番:仲邑菫新初段
白番:崔精 九段
手合い:定先コミなし
結果:白中押し勝ち
- 序盤から崔精九段圧倒
- 劣勢の仲村新初段は焦った攻めが目立った
- 攻めすぎを逆襲され最後は大差で崔精の勝ち
▼崔精九段のプロフィール▼
1996年10月7日生まれ。韓国棋院所属
劉昌赫九段門下
2010年 入段
2011年 GGオークション杯女流対シニア連勝対抗戦で8連勝を記録
2011年 女流棋聖戦 準優勝
2012年 女流名人戦 優勝
2012年 スポーツアコードワールドマインドゲームズ女子個人戦 銅メダル
2012年 スポーツアコードワールドマインドゲームズ男女ペア戦 金メダル
2013年 女流名人戦 優勝
2014年 穹窿山兵聖杯世界女子囲碁選手権 優勝
2016年 七段へ昇段、韓国プロ賞金ランキング1位
2017年 穹窿山兵聖杯世界女子囲碁選手権 優勝
2018年 穹窿山兵聖杯世界女子囲碁選手権 優勝
仲邑菫新初段VS曺薫鉉九段(チョフンヒョン)
棋譜再生
黒番:仲邑菫新初段
白番:曺薫鉉九段
手合い:定先コミなし
結果:白中押し勝ち
- 序盤から仲村新初段は積極的だった
- 曺薫鉉九段はひたすら冷静に対処していく
- 途中までは互角の勝負をするも終盤一気に攻められて大差となった
▼曺薫鉉九段のプロフィール▼
1953年3月10日生まれ。囲碁棋士・韓国国会議員
瀬越憲作九段(日本)門下。日本棋院、韓国棋院に所属。
1966年 入段
1989年 応昌杯世界プロ選手権 優勝
1994年 世界囲碁選手権富士通杯 優勝
1994年 東洋証券杯世界選手権 優勝
1997年 東洋証券杯世界選手権 優勝
2000年 世界囲碁選手権富士通杯 優勝
2001年 世界囲碁選手権富士通杯 優勝
2001年 三星火災杯世界マスターズ 優勝
2001年 テレビ囲碁アジア選手権 優勝
2003年 三星火災杯世界マスターズ 優勝
2003年 テレビ囲碁アジア選手権 優勝
2016年 総選挙でセヌリ党比例代表で立候補して当選、囲碁棋士初の国会議員となった
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仲邑菫新初段の今後の可能性
対局者(黒番) | 対局者(白番) |
---|---|
仲邑菫 | 張栩名人 |
仲邑菫 | 井山裕太棋聖 |
仲邑菫 | 崔精九段 |
仲邑菫 | 曺薫鉉九段 |
仲邑菫 | 黒嘉嘉七段 |
注)赤色は勝者
中村菫初段VS張栩名人は持碁(引き分け)
仲村菫初段VS井山裕太棋聖は打ち掛け
打ち掛けとは対局の途中で中止することで、勝負の結果はつきません。
こちらの結果が示すように、仲邑菫新初段はまだまだ世界トップの棋士とは対等に戦えるレベルにありません。しかし、日本棋院がこれほどまでに力を入れて若手育成に励んでいること、世界中の棋士がそれに協力していることから、きっと未来の可能性は大きいと思います。
私も仲邑菫新初段の成長をゆっくり見守ろうと思います。
以上、「仲邑菫VS黒嘉嘉の新初段シリーズ【過去の記念対局の結果・棋譜もあり】」でした!
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