文章推敲で字数は減らなかった|自社24本すべてが長くなった実測

「これで直したことになるのだろうか」。書き上げた原稿を前に、文章推敲の手が止まることはないでしょうか。直そうと思えばいくらでも直せるのに、良くなった実感がない。むしろ直す前のほうが読みやすかった気さえする。その迷いは珍しくありません。

結論から言えば、推敲でいちばん難しいのは削ることではなく、止めることです。当社が同じ基準で仕上げた記事24本を数えたところ、推敲を終えた原稿は24本すべてが元より長くなっていました。

この記事では、その24本と250の保存版から測った数字を示します。直りやすい項目と直りにくい項目、直したことで壊れる場所、そして手を止める条件の決め方です。読み終えるころには、自分の原稿を「もう出していい」と判断する根拠が手元に残ります。

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目次

先に結論|文章推敲は削る作業ではなく止める作業

文章推敲でいちばん難しいのは、どこを削るかではありません。どこで手を止めるかです。

当社が2026年8月に同じ品質基準で仕上げた記事24本を、全数で調べました。推敲を終えた最終版は、24本すべてが初版より長くなっていたのです。

削る作業として推敲をとらえていると、手元で起きていることとは食い違ってしまいます。

この章で示すのは、その実測の要点と、記事全体で使う3つの物差しです。

推敲で減るのは字数ではない

推敲で減るのは字数ではありません。よく見る「不要な表現を削る」という説明とは、当社の実測は逆でした。

24本の本文は、推敲を終えた時点でどれも増えていました。伸びの幅には差がありますが、短くなった記事は1本もありません。増減の内訳は次の章で表にします。

なぜ増えるのか。推敲で入る指摘の多くが、書き足す方向の要求だからです。

「専門用語に補足を足せ」「その数字の出どころを書け」「表と本文で同じ話をしているので分けろ」。読み手が引っかかる箇所を1つ減らすたびに、説明が1つ増えていきます。

削ることに意味がないわけではありません。国の文書の書き方をまとめた文化庁の『公用文作成の考え方』も、冗長さを避けるよう求めています。ただしその中身は、次のような表現の重複と回りくどい言い方の整理です。

ウ 冗長さを避ける。/(ア)表現の重複に留意する。/例)諸先生方 → 諸先生、先生方 各都道府県ごとに → 各都道府県で、都道府県ごとに(中略)(イ)回りくどい言い方や不要な繰り返しはしない。/例)利用することができる → 利用できる 調査を実施した → 調査した(後略)

出典: 文化庁『公用文作成の考え方』(令和4年1月7日 文化審議会建議)Ⅱ-5 ウ

ここで名指しされているのは言い回しです。同じ資料の解説は、書き連ねたものを見直して必要性の低い情報を削る段階にも触れています。削る対象が言い回しに限られるわけではありません。

ただし読者に必要な補足まで落とすと、疑問が残ったまま公開することになります。

難しいのは終わりを決めること

本当の難所は「もう出していい」と判断する場所にあります。推敲は、やろうと思えばいくらでも続けられてしまうからです。

当社は記事を100点満点で採点し、90点を合格ラインに置きました。24本のうち、1回目の採点でそこに届いたのは3本に1本です。

残る16本はどうなったか。そのうち14本が、2回目の採点で合格ラインに乗りました。採点と修正をひと回りさせることを、本記事では以降「ラウンド」と呼びます。

何ラウンドで届くのかは、終わり方の章で表にします。

初回で届かなかったことは、失敗ではありません。届かなかった記事のほうが、初回から最終までの伸びはむしろ大きくなっていました。

1回で終わらせようとするから、終わりが決まらないのです。次の3つを前提に置けば、推敲はスケジュールに乗る工程になります。

  • 合格ラインは書き始める前に決める
  • 初回で届くのは3本に1本だと見込んでおく
  • 届かなくても、2回目でほとんどが乗る

この記事で使う3つの物差し

感覚で「読みやすくなった」と判断しているかぎり、終わりは決まりません。この記事では、外から確かめられる3つの物差しを使います。

物差し 測るもの この記事での使い方
字数の増減 初版と最終版の本文字数の差 推敲で実際に何が起きているかを知る
機械で数えられる違反 同じ文末の3連続、一文60字超、段落の長さ 人が読む前に潰しておく
100点満点の採点 構成・独自性・根拠・読みやすさの総合点 止めてよいかを判定する

3つとも、気分ではなく数で出せるものです。以降の章では、この物差しで見えた「直すと壊れる」という現象、直す順番、そして止め方を順に見ていきます。

なお、推敲と校正・校閲・添削がどう違うのかを先に整理したい方は、添削・校正・校閲・推敲の違いと使い分けをご覧ください。本記事は違いの整理ではなく、実際に手を動かすときの判断基準を扱います。

推敲すると文章は長くなる|自社24本の実測

当社が推敲した記事は、例外なく長くなりました。推敲の解説でよく出会う「削れ」という指示とは、反対の結果です。

この章で見ていくのは3点です。24本の記事がどれだけ長くなったのか、なぜ長くなるのか、そして削って効く場所はどこなのか。

24本すべてで字数が増えた

対象は、2026年8月20日から8月30日までに当社が制作した記事24本です。各記事について、推敲を始める前の初版と、合格して確定した最終版の本文字数を比べました。

指標 初版 最終版
平均 12,999字 14,391字 +1,393字
中央値 12,811字 13,992字 +1,252字
いちばん増えなかった記事 11,492字 11,670字 +178字
いちばん増えた記事 14,585字 17,194字 +2,609字

右端の差の欄を見てください。いちばん増えなかった記事でもプラスに振れており、マイナスの記事は1本もありませんでした。24本中24本、例外なく長くなっています

構成は初版から動いていない

初版が未完成で章を後から足したから長くなった、という説明は成り立ちません。順に確かめます。

そうではありませんでした。24本すべてで、見出しの本数が初版の時点で確定していたからです。

本編の大見出しが6本、それに「まとめ」を加えた7本。この本数は初版と最終版で1本も変わっていません。

もう1つ、文の本数も確かめました。こちらも24本すべてで増えています。

ある記事は236文から252文へ、別の記事は395文から467文へ。既存の文が長くなったのではなく、新しい文が足されたということです。

今泉の視点:この確認をしたのは、自分でも「初版が雑だっただけでは」と疑ったからです。構成が同じで文の数が増えているとわかった時点で、言い訳ができなくなりました。私たちの推敲は、削る作業ではなく足す作業をしています。

増えたのは補足と根拠の文

足されたのは、専門用語の補足と根拠の文です。採点の記録に残っている指摘を読み返すと、書き足しを求めるものが大半でした。

典型は3つあります。

  • 専門用語の補足/その語を読者が知らない前提で1文足すよう求められる
  • 根拠の明示/その数字をいつ誰が測ったのかを書かせる
  • 表と本文の切り分け/同じ数字が両方にあると、片方を別の説明へ書き換えることになる

印象で言っているのではありません。24本の採点記録に残る指摘・対応の行1,008行を全数で拾い、書き足しを求める語と削減を求める語で分類しました。

指摘の方向 該当した行 割合
足す(追加・明記・追記・補足 ほか) 219行 21.7%
削る(削除・圧縮・短く・省く ほか) 61行 6.1%

比にすると足せは削れの3.59倍です。内訳でも「追加」が129行、「明記」が39行、「追記」が26行、「補足」が25行と並びます。読者が引っかかる場所を1つ減らすたびに、説明が1つ増えていく構造がそのまま数字に出ました。

なお、これは語の出現による機械的な分類で、分母は指摘そのものの件数ではなく、指摘と対応が書かれた行数です。推敲を「読者の疑問を先回りして潰す作業」と定義するなら、長くなるのはむしろ自然な結果といえます。

逆にいえば、字数が減った推敲は、読者の疑問を潰せていない可能性があります。削れたことに満足する前に、何を消したのかを確かめてください。

削って効くのは、まず冗長表現

とはいえ、削る作業に意味がないわけではありません。削って効く場所は、公的な文書の作り方を示した資料にはっきり書かれています。

文化庁の『公用文作成の考え方』は、冗長さを避けるよう求めています。挙がっている例は言い回しの整理です。

「諸先生方」を「諸先生」に、「利用することができる」を「利用できる」に、「調査を実施した」を「調査した」に。同じ意味を伝えるのに使う語数を減らせ、という指示になっています。

ここで削られているのは言い回しであって、説明の中身ではありません。もっとも、同じ資料の解説は、書き連ねたものを見直して必要性の低い情報を削る段階にも触れています。情報を削ってはいけないという話ではないのです。

順番の問題だと考えてください。

  • 先に/言い回しを整える。同じ意味を短い語数で言えないかを見る
  • それでも長ければ/情報そのものの取捨に進む

逆にすると、読者に必要な補足のほうから先に消えてしまうのです。

直した箇所が新しい欠陥を生む理由

直したあとに「前のほうが良かったのでは」と感じるなら、その感覚は当たっていることがあります。

直したこと自体が新しい欠陥を作った記録は、当社の台帳に繰り返し出てきました。今回数えた範囲だけで12件です。

この章では、その中身と頻度、そして防ぎ方を順に見ていきます。

台帳に12件記録されている

「直した結果として新しい欠陥が生まれた」という記録は、今回数えたところ12件ありました。10本以上の記事にまたがっており、実際の件数はこれより多いはずです。

当社は記事ごとに、制作中に起きた失敗を台帳へ書き残してきました。12件のうち、代表的な8件を挙げます。

直した内容 生まれた欠陥
出典がないと指摘され、出典を追記した 次の採点で「その出典名が違う」と判定された
専門用語に補足を足した 同じ文が「一文が長い」で減点された
長い段落を減らすため、表を装飾リストへ変えた 同じ種類のリストが3つ続く、別の違反が出た
分量を削るため「前章で見た値」と書き換えた 参照先が2つ前の章になり、直前の章に数字が無かった
数値の言い回しを直した 12.2語と13.2語を取り違えた計算ミスが生まれた
言い方を具体的にしようと言い換えた 測っていない範囲まで断定する文になった
本文を打ち直した 「確」の字が、見た目の似た別の言語の文字に置き換わった
指摘に応じて章に説明を追記した 別の章の記述と二重になった

共通点があります。壊れているのは直した場所そのものではなく、その周辺だという点です。

文末の重複は5回に1回再発する

もっとも再発しやすいのは、同じ文末が3文続く問題でした。当社は原稿を保存するたびに機械で数えています。24本ぶんで機械チェックの記録が残っているのは250版です。

版から版への移り変わりは226回。そのうち46回で、直前の版ではゼロだった文末の3連続が復活していました。

割合にすると20.4パーセント、およそ5回に1回です。同じ期間に解消できたのは63回でした。

250の版のうち、文末の3連続を含む版は101版。全体の40.4パーセントを占めます。

ここだけ覚えるなら
  • 文末の3連続は、直した5回に1回は次の版で復活する
  • 生まれる場所は、直した箇所の周り
  • だから加筆したら、その都度もう一度数える

点数が下がるのは合格した後

点数が下がるのは、合格ラインを超えたあとの修正でした。24本の採点はのべ71ラウンド、ラウンドからラウンドへの移り変わりは47回あります。

前より点数が下がったのは2回、率にして4.3パーセントです。多くはありません。

ただし内訳が示唆的でした。2件とも、すでに合格ラインを超えたあとに直しを足した回で起きています。95点から93点へ、97点から96点へ。

よくしようとした修正で、点数が下がりました。

今泉の視点:95点から93点に下げたのは私です。合格が出たあとに「ここも直せる」と手を入れて、新しい指摘を作りました。以来、合格したらその版で確定し、残った減点は次のリライトの候補として記録に回しています。いちばん危ないのは、惜しいと思う気持ちのほうでした。

直したら同じ場所を測り直す

ここまでの3つは、同じ対策に行き着きます。直したら、もう一度測るという対策です。

手順は3つに分けられます。

  • 記事全体をもう一度機械で数える/文末の3連続は目視ではまず見つかりません
  • 同じ型の誤りを全文で検索する/1か所指摘されたら、同じ形が他に無いかを探します
  • 直した箇所の参照先を確かめる/「前章」「この表」が何を指すかは、書き換えで簡単にずれます

いずれも数分で終わる作業です。直した直後にやるか、公開後に読者に見つけてもらうかの違いだと考えてください。

公開前の確認手順を具体的に決めたい方は、AI記事の公開前チェックリストもあわせてどうぞ。機械に任せる項目と人が見る項目の分け方を整理しています。

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先に直す項目と後回しにする項目

推敲には、直せば直る項目と、何回やってもほとんど動かない項目があります。チェックリストは10項目や15項目で並んでいることが多く、全部やる時間はまずありません。

文章を整えるといっても、手をつける場所で効き方が違うということです。この章では優先順位の付け方と、よく言われるコツの根拠がどこまであるのかを整理します。

一文の長さはほとんど動かない

一文の長さは、推敲では大きく動きませんでした。当社は一文が60字を超えたものを社内の目安として数えており、250の版で見ると平均9.5パーセントを占めています。

問題はここからです。初版から最終版までの変化が、次のとおりでした。

項目 推敲で直るか 実測
同じ文末の3連続 直る。ただし再発する 前章のとおり、およそ5回に1回は次の版で復活
表と本文の重複 直る 指摘されたラウンドでほぼ解消
一文60字超の割合 ほとんど動かない 初版→最終で平均−2.14ポイント。2本は悪化し、悪いほうは+2.05ポイント

文末の重複は、指摘すれば直ります。一方で一文の長さは、何ラウンド回しても2ポイントほどしか動きませんでした。9.5パーセントが7.4パーセントになる程度の変化という意味です。

理由の1つは前章のとおりで、補足を足すと文が伸びるからです。

だとすれば、順番はこうなります。機械で見つかる項目を先に潰し、一文の長さは直す項目ではなく、書くときに気をつける項目として扱う。推敲の時間を、動く場所に寄せるという考え方です。

公用文の考え方が示す確認項目

機械的に見る項目は、文化庁の『公用文作成の考え方』が具体的に挙げています。国の文書の書き方をまとめた資料です。

これは2022年1月7日の文化審議会建議です。約70年使われてきた旧要領に代えて、政府内で活用されることを目指してまとめられました。

文の書き方については、次のような項目が並びます。

  • 一文を短くする
  • 三つ以上の情報を並べるときには、箇条書を利用する
  • 主語と述語の関係が分かるようにする
  • 同じ助詞を連続して使わない
  • 受身形をむやみに使わない
  • 二重否定はどうしても必要なとき以外には使わない
  • 係る語とそれを受ける語、指示語と指示される語は近くに置く

先頭の「一文を短くする」については、解説に補足があります。ここは推敲で潰す項目ではなく、書くときの目安として読んでください。

適当な長さは一概に決められないが、50~60字ほどになってきたら読みにくくなっていないか意識するとよい。

出典: 文化庁『公用文作成の考え方』(令和4年1月7日 文化審議会建議)解説 Ⅲ-3 ア

上限を決めた規定ではありません。意識する目安として示されている点は、押さえておいてください。

文の単位だけでなく、文書全体で揃える項目もあります。こちらは判断が要らないぶん、機械的に片づく場所です。

揃える対象 建議が示していること 確認のしかた
文体 一つの文・文書内では、常体と敬体のどちらかで統一する 「である」と「です」の混在を検索する
読点 句点は「。」読点は「、」が原則。横書きは「,」も可だが一つの文書内でどちらかに統一する 「,」の有無を検索する
専門用語 言い換える/説明を付けて使う/普及を図るべき語は工夫してそのまま用いる、の3つで対応する 初出の語に処理が入っているか見る
「等」「など」 慎重に使う。前には代表的・典型的なものを挙げる 「等」「など」を検索し、中身を書けるか確かめる

読点についての例も実務的です。解説はこんな例を挙げています。「当課は時間を掛けて課題解決に取り組む団体を支援する。」という文は、読点をどこに打つかで意味が変わる、と。

時間を掛けるのが当課なのか、団体の取り組みなのか。自分の原稿で同じことが起きていないかは、その場で確かめられます。

時間を置く効果はどこまで確かか

時間を置いてから読み返す、という定番のコツを支える根拠は、今回探した範囲では1本しか見つかりませんでした。

文化庁の『公用文作成の考え方』を全文で探しても、時間を置くことを勧める記述は見当たりません。文部科学省の小学校学習指導要領とその解説も同じでした。今回確認できたのは、学会誌の論文1本だけです。

清道亜都子氏の研究は、高校生を対象に、書いた直後の推敲と一定期間後の推敲を比べました。高校1年生27名が1日後と1か月後に推敲した結果、こうなっています。

1日後の推敲では総文字数や作文の評価にほぼ変化がなかったが,1ヶ月後の推敲では大幅に向上し,内容に関する推敲も多く見られた。

出典: 清道亜都子「推敲時期の違いが高校生の作文に及ぼす効果」日本教科教育学会誌 32巻4号(2010年3月30日発行)

ここから言えることは1つです。一晩寝かせるという広く知られたやり方に、この研究は根拠を与えていません。むしろ1日後はほぼ変わらなかった、と報告しています。

ただし限界も明記しておきます。対象は高校1年生27名と高校3年生30名の授業実践で、社会人の実務文書を扱った研究ではありません。

時間を置く効果に期待するなら、単位は日ではなく月で考える必要がある。今回確認できた範囲で言えるのは、そこまでです。

音読は根拠ではなく習慣づけ

音読も同じように扱う必要があります。誤りが見つかりやすくなることを数字で示した研究は、今回確認した範囲では見つかりませんでした。

今回確認できた範囲で、音読と推敲を結びつけている公的な資料は、文部科学省の小学校学習指導要領解説でした。小学校低学年の指導について、音読には自分が理解しているかどうかを確かめる働きがあると説明しています。そのうえで、書くことの推敲の指導と関わらせることを例示しました。

これは効果を測定した記述ではなく、指導上の位置づけです。音読に意味がないという話ではありません。読み返す習慣を作る手段として挙げられていると理解しておけば、期待の大きさを間違えずに済みます。

実務の文書で同じ考え方を使いたい方は、ビジネス文書の書き方もどうぞ。提出前の確認をどう組み立てるかを扱っています。

1ラウンドで回す推敲の手順

当社が1ラウンドで実際に踏んでいる順番は、次の6つです。原稿の前でそのまま使えます。

順番 やること その工程を終える条件
1 文体・読点・「等」「など」を文書全体で揃える 混在がゼロになる
2 同じ文末が3文続く箇所を機械で数えて潰す 検出0件
3 初出の専門用語に、言い換えか説明を入れる 処理していない初出語がゼロ
4 数字と引用の出どころを本文に書く 出典のない数字がゼロ
5 表と本文で同じ数字を言っていないか探す 重複がゼロ
6 直した箇所の周辺を、もう一度2から測り直す 新しい検出が出ない

順番には理由があります。1から3は判断が要らず、迷う余地がありません。4と5は読み返しが必要なので後ろに置きます。

そして最後の6が、この記事でいちばん伝えたい工程です。前の章で見たとおり、文末の3連続は5回に1回の割合で再発します。

直したら測り直す。これを省くと、直した労力がそのまま欠陥として残ります。

一文の長さがこの表に入っていないのは、意図的です。実測で動かないと分かっている項目に、推敲の時間を使わないという判断をしています。

推敲の終わり方|文章採点で止める手順

推敲の終わりは、原稿が完璧になった時ではなく、先に決めた条件を満たした時です。当社はこれを、文章採点という形で運用してきました。

この章で扱うのは、合格ラインの決め方、何ラウンドを見込むか、そして止めたあとに触らないという判断です。

合格ラインを書く前に決める

文章採点の狙いは、点数をつけること自体ではありません。止めてよい位置を、書き始める前に決めておくことです。

当社は100点満点で90点を合格ラインに置き、さらに必須の条件を5つ設けました。

  • 本文が5,000字以上ある
  • 同じ文末が3文以上続かない
  • 自社にしかない情報が入っている
  • 読み終えた読者が納得できる
  • 導入文のルールを守っている

この5つは点数とは別枠で、すべて満たさないと合格になりません。90点を超えても、1つ欠けていれば不合格。

先に決めておく理由は単純で、原稿を読んだあとだと基準のほうが動いてしまうからです。

自分が書いたものを読み返せば、直したい場所はいくらでも出てきます。書く前に決めた条件を満たしたかどうかで判定すれば、その日の気分に左右されません。

国の文書の作り方をまとめた文化庁の建議も、文書構成の工夫として「分量の限度を決めておく」ことを挙げています。終わりを先に決めるという発想は、公的な文書づくりでも同じでした。

初回で届くのは3本に1本

合格ラインを決めたら、次は届かないことを前提にします。24本の実測では、1回目の採点で90点に届いたのは3本に1本でした。

指標 初回ラウンド 最終ラウンド
平均点 87.6点 94.6点
中央値 88.0点 94.5点
最低点 80点 91点
最高点 93点 99点
90点以上の本数 8本 / 24本 24本 / 24本

初回の不合格は例外ではなく、標準的な状態です。ここを知らないでいると、1回目の指摘を受けた時点で「一から書き直したほうが早いのでは」と考えてしまいます。

実際には違います。初回で届かなかった16本に限れば、初回から最終までの伸びは平均8.4点でした。その原稿は、8点ぶんの伸びしろを残しているだけです。

推敲は3ラウンドで見積もる

スケジュールに落とすなら、3ラウンドで見積もるのが現実的でした。ここは数字を2つに分けて見る必要があります。

数えるもの 平均 中央値 最大
初めて90点に届いたラウンド 1.75回 2回 3回
実際に回した採点ラウンド 2.96回 3回 5回

合格そのものは、遅くとも3回目までに出ています。それでも実際には3回近く回しているのは、当社が合格後も上を目指して採点を続けているからです。初回で90点を超えた8本のほうが、平均3.38回と多く回っていました。

保存した版の数も参考になります。24本で合計253版、1記事あたり平均10.5版が残っていました。1ラウンドの中でも、何度か直して測り直しているということです。

この見積もりが効くのは、締切から逆算するときです。推敲を1回ぶんしか見ていないと、2回目の指摘が出た時点で予定が崩れます。3ラウンドを前提に組んでおけば、崩れるのは例外的な記事だけで済みました。

合格したら触らないと決める

最後の判断が、合格した版を触らないことです。前の章で見たとおり、点数が下がった2回はどちらも合格ラインを超えたあとの修正で起きました。

当社はこの2件を受けて、合格した版でその記事を確定させています。残った減点は次のリライトの候補として記録に回し、その場では直しません。

惜しいと感じることはあります。それでも、直せば直るという保証がない以上、確定させるほうが安全だと判断しました。

推敲を止める3つの条件
  • 先に決めた合格ラインに達している
  • 点数と別枠の必須条件をすべて満たしている
  • 最後に直した箇所の周辺を、もう一度測り直した

3つそろったら、その版で確定してください。推敲の終わりは、原稿が完璧になった瞬間ではなく、決めた条件を満たした瞬間です。

採点を運用として回す方法は、AI記事の品質を上げる方法でも扱っています。原因の切り分けから改善手順までを続けて読めます。

文章推敲についてよくあるご質問

推敲を実際に進めるときに迷いやすい点を4つ選びました。なお、直しをAIに任せる範囲についてはaiリライトで直るのは半分で別に扱っています。

文章推敲は何回すればよいですか

文章推敲の回数に、決まった正解はありません。当社が同じ基準で仕上げた記事24本では、90点の合格ラインに初めて届いたのが平均1.75回でした。中央値は2回、最も遅い記事で3回です。実際に回した採点はそれより多く平均2.96回で、合格後も精度を上げているためです。回数を決めるより、満たすべき条件を先に決めて満たすまで回すほうが安定します。

推敲すると文章は短くなりますか

推敲で文章が短くなるとは限りません。当社の記事24本では、推敲を終えた最終版が24本すべてで初版を上回りました。増分は平均1,393字です。専門用語の補足や根拠の追記が入るためで、削る対象は説明の中身ではなく言い回しだと考えるほうが実態に合います。

一晩置いてから読み返すと効果がありますか

一晩という長さを支持する根拠は、今回確認した範囲では見つかりませんでした。高校生を対象にした学会誌の研究があります。そこでは1日後の推敲で文字数も評価もほぼ変化がなく、1か月後に大幅な向上が報告されました。ただし高校生の授業実践なので、実務文書へそのまま当てはめることはできません。

文章採点は何から始めればよいですか

文章採点は、合格ラインと必ず満たす条件を書き始める前に決めるところから始めます。そのうえで、機械で数えられる項目から直してください。当社の実測では、同じ文末の3連続は指摘すれば直りましたが、5回に1回は次の版で再発します。一方で一文60字超の割合は、初版から最終版まで平均2.14ポイントしか動いていません。

まとめ

文章推敲は、削る作業ではありませんでした。当社の記事24本は全部が推敲後に長くなり、増えたのは補足と根拠の文でした。直すこと自体が新しい欠陥を生んだ例も12件あります。

まず決めるべきは、手を止める条件です。何点を合格とし、どの項目を必ず満たすかを書き始める前に決めてください。初回で届かないのが標準だと分かれば、推敲は3ラウンドの工程として予定に組めます。

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この記事を書いた人

株式会社街中文学 代表。DBSEO(データベース型SEO)・LLMO(AI検索最適化)・コンテンツマーケティングを専門に、東証上場企業や月間4,500万セッション級メディアのSEO支援を行ってきました。AIライティングSaaS「buncraft」を開発・運営。本メディアの全記事を執筆・監修しています。

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