文章と文書の違いとは?中身と入れ物で分ける考え方と使い分け

木の机に置かれた黒い表紙のノートと鉛筆。書く作業を表すイメージ

「文章を直しておいて」と頼んだのに、体裁はそのままで戻ってきた。あるいは逆に、言い回しだけ整えてほしかったのに、レイアウトごと作り替えられていた。文章と文書という似た言葉を何気なく使ったせいで、こうした行き違いが起きることがあります。

街中文学は、月間4,500万セッション級メディアの支援実績を持つ立場から、記事や資料の修正依頼を日々やり取りしてきました。そこで何度も見てきたのが、この2つの言葉のずれです。

結論をお伝えすると、文章は中身、文書は入れ物です。この記事を読めば、2つの違いがはっきり分かり、仕事の場面でどちらを使えばよいかを迷わず決められるようになります。

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目次

先に結論:文章は中身、文書は入れ物です

まず最初に、結論からお伝えしましょう。文章と文書の違いは、次の3点で整理できます。

  • 文章は言葉のつながり、文書は記録された物を指します
  • 「文書」がどこまでを指すかは場面で変わります
  • 迷ったら「本文」「体裁」「ファイル」に置き換えて確かめます

1つ目は、指しているものの違いです。文章は中身そのもので、文書はそれを記録して残すための物になります。文書の中に文章が入っている、という関係です。

2つ目は、範囲の話です。「文書」に図や写真、電子データまで含めるかどうかは、決め方によって変わります。法律の条文でさえ、場面ごとに線を引き直しています。

3つ目は、実務での対処です。どちらの語を使うか迷ったら、いっそ「本文」「体裁」「ファイル」という別の言葉に置き換えてください。そこで範囲が確定します。

言葉の意味を知ることが目的ではありません。使い分けられると、修正のやり取りが一往復で済むようになります。

文章と文書はどこが違うのか

2つの言葉は、見ているものの単位が違います。文章は言葉のつながりを指し、文書は記録された物を指すのです。それぞれを順に見ていきましょう。

開いた状態の本が壁一面に並べられている様子。言葉のつながりが集まっているイメージ

文章は言葉のつながりを指します

文章とは、いくつかの文がつながって、まとまった意味を作っているものです。小説も、日記も、この記事の本文も、すべて文章にあたります。

大切なのは、文章が中身そのものを指しているという点になります。紙に印刷されていても、画面に表示されていても、声に出して読み上げられていても、そこにある言葉のつながりが文章です。

だから文章には、決まった形がありません。1つの文だけでも、意味がまとまっていれば文章と呼べます。逆に何ページあっても、言葉がつながっていなければ文章としては成立しないのです。

文章を書く技術そのものについてはライティングとは何かをまとめた記事で扱いました。ここでは「文書」との違いに絞ってお伝えしましょう。

文書は記録された物を指します

一方の文書は、情報を記録して残すために作られた物を指します。契約書、報告書、申請書、議事録などがこれにあたります。

ここでの「物」は、紙に限りません。パソコンで作ったファイルも、社内システムに保存された記録も文書です。手に取れるかどうかではなく、あとから取り出して確かめられる形になっているかが境目になります。

そして文書には、たいてい形式があります。日付、宛名、発信者、件名といった枠が決まっているのは、後から誰が見ても同じように読めるようにするためです。

ビジネス文書の型や書き方はビジネス文書の書き方をまとめた記事で詳しく整理しました。

数え方と直し方が変わります

この違いは、数え方にそのまま表れます。物として存在するから通や部で数えられる、というわけです。次の表で並べてみましょう。

  文章 文書
指しているもの 言葉のつながり(中身) 記録された物(入れ物)
数え方 文字数・段落数 1通・1部・1件
直すときに動く範囲 言い回しと構成 体裁・レイアウト・保存形式まで
手元に残らない例 会話の中で語られた話 下書きのまま保存しなかったファイル

実務でいちばん効いてくるのは、3行目の「直すときに動く範囲」です。ここが揃っていないと、直したのに直っていないという行き違いが起きます。この点は後の章でくわしく扱いましょう。

「文書」の範囲は場面で変わります

「文書」がどこまでを指すかは、決め方によって変わります。法律の条文を2つ並べると、その様子がはっきり見えてきます。辞書には書かれていない部分です。

電球の明かりが連なる図書館の書棚。どこまでを収めるかの範囲を表すイメージ

図や写真まで含める決め方

1つ目は、文書に図画やデータまで含めてしまう決め方です。国の行政機関が作る記録について定めた法律に、その例があります。

公文書等の管理に関する法律は、行政文書について次のように定めています。「この法律において「行政文書」とは、行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書(図画及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)を含む。第十九条を除き、以下同じ。)であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているものをいう。」公文書等の管理に関する法律(e-Gov法令検索)

長い条文ですが、読み取りたいのは1点です。括弧の中で「図画及び電磁的記録を含む」と書かれているところになります。つまりこの法律では、図や写真、電子データまでが文書に入るのです。

あわせて「組織的に用いるもの」という条件も付いています。個人が書いたメモが自動的に含まれるわけではなく、組織として使っているかどうかで線が引かれているのです。

ここで確かめておきたいのは、これが「行政文書」という特定の言葉についての定めだという点になります。世の中の文書すべてを定義した条文ではありません。

図面や写真を含めない決め方

2つ目は、図面や写真を文書とは別に扱う決め方です。裁判で証拠を調べるときの手続きを定めた条文に、その例があります。

民事訴訟法の第231条には、こう書かれています。「この節の規定は、図面、写真、録音テープ、ビデオテープその他の情報を表すために作成された物件で文書でないものについて準用する。」民事訴訟法(e-Gov法令検索)

こちらでは、図面や写真が「文書でないもの」として並べられています。先ほどの法律とは、まるで逆の扱いに見えるかもしれません。

ただし、この条文が言っているのは排除ではありません。見出しは「文書に準ずる物件への準用」であり、文書ではないけれど、文書と同じ手続きで扱うという趣旨になります。裁判で証拠として使えないという意味ではないのです。

2つの条文を並べると、線の引き方の違いがはっきりします。

  • 公文書等の管理に関する法律は、図画や電子データを文書に含めています
  • 民事訴訟法は、図面や写真を文書でないものとして扱っています

どちらかが間違っているのではありません。その法律が何を対象にするかで、線の引き方が変わっているだけなのです。

だから範囲を先に決めます

法律でさえ場面ごとに線を引き直しているのですから、職場で自然に揃うことは期待できません。

実際、社内で「文書」と言ったときに、人によって思い浮かべるものは違います。紙の書類だけを指す人もいれば、共有フォルダのファイル全部を指す人もいるでしょう。

場面 「文書」に入りやすいもの 迷いやすいもの
紙の書類を整理する 印刷して保管しているもの スキャンしたデータ
社内の記録を残す 議事録・報告書のファイル チャットのやり取り
取引先とやり取りする 契約書・見積書 メール本文

右の列が、話が食い違いやすいところです。だから何かを頼むときや決めるときは、「文書」という言葉で済ませず、何を指しているかを一度そろえてください。

そろえ方は難しくありません。「紙とデータの両方ですか」「チャットも含めますか」と一言確かめるだけで、後の手戻りがなくなります。

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言い換えを間違えると何が起きるか

この2語を取り違えると、動く範囲がずれます。直したつもりが直っていない、残したはずのものが残っていない、という形で表に出てくるのです。3つの場面で見ていきましょう。

壁に取り付けられた吹き出し形のネオンサイン。言葉のやり取りを表すイメージ

「文章を直して」と「文書を直して」

いちばん起きやすいのが、修正依頼の場面です。同じ「直して」でも、前に付く言葉で動く範囲が変わります。

「文章を直してください」と言われたら、手を入れるのは言い回しと構成です。読みにくい一文を分ける、順番を入れ替える、といった作業になります。

「文書を直してください」なら、範囲はもっと広がります。表の見た目、余白、フォント、ファイルの形式まで入ってくるのです。

当社が記事や資料の修正をお受けするときは、どちらの意味かを最初に確かめるようにしています。以前、体裁まで直してほしいご依頼を言い回しの修正だと受け取り、お戻ししてから「表のほうも整えてほしかった」と伺ったことがありました。どちらの言葉を使うかで、想定される作業量も変わってきます。

直すときの観点そのものは文章添削と校正・推敲の違いをまとめた記事で整理しました。

保存と共有の対象が変わる

次に起きやすいのが、残す作業での行き違いです。「この文書を保存しておいて」と言われたとき、何を保存すればよいのでしょうか。

文書として保存するなら、ファイルそのものを残します。ところが依頼した側が中身だけを求めていた場合、テキストをコピーして貼っておけば足ります。

残し方 残るもの あとからできること
ファイルごと残す 体裁・表組み・添付された図 元と同じ形で開き直せる
中身だけ残す 言葉のつながりのみ 検索や引用がしやすい

どちらを選ぶかは、その資料をあとで人に見せる予定があるかどうかで決めてください。見せる予定があるならファイルごと、引用して使うだけなら中身だけで足ります。

依頼を受けたら「形のまま残しますか、中身だけでよいですか」と一言確かめてください。この確認はひと言で済みますが、後の作業時間を大きく変えます。

AIに指示するときの言葉

3つ目は、AIへの指示です。ここでも同じずれが起きます。

AIに「この文書を直して」と頼むと、多くの場合は中身の言葉が返ってきます。テキストだけを貼って渡した場合は、体裁やレイアウトの情報が渡っていないため直しようがないのです。

ですからAIに頼むときは、「文章」の側の作業だけを渡すほうが噛み合います。次のように切り分けてみてください。

  • AIに渡すのは、言い回しを整える作業と、順番を入れ替える作業です
  • 人がやるのは、表組みの調整と、余白や書式をそろえる作業になります

逆に体裁を整える作業は、人が元のファイルを開いて行うほうが早く終わります。ここを切り分けておくと、AIに何を任せて何を自分でやるかがはっきりしてくるのです。

Web向けの文章をどう書くかについてはSEOライティングの手順をまとめた記事で扱っています。

迷ったときの決め方

最後に、その場で使える判断の手順をお伝えします。覚えることは1つだけで、あとは置き換えて確かめるだけです。

書類の上でスマートフォンの電卓を操作している手元。内容を確かめる場面のイメージ

中身の話か、物の話か

迷ったら、いま話しているのが中身なのか物なのかを考えてください。この一点で、たいていは決まります。

読み手に何がどう伝わるかを話しているなら、それは中身の話ですから文章です。何部作るか、どこに保管するか、誰に渡すかを話しているなら、物の話ですから文書になります。

判断に迷いやすいのは、両方が混ざる場面です。「報告書を分かりやすくしたい」という相談には、中身を整える作業と、体裁を整える作業の両方が入っています。

そういうときは、分けて考えてください。中身を組み立てる工程については記事構成の作り方をまとめた記事で扱いました。考える順番を決めておくと、混ざったままの相談も整理できます。

置き換えて確かめる

もっと確実なのは、「文章」「文書」という語を使わずに言い換えてみることです。当社では、迷ったときに3つの語へ置き換えるようにしています。

「本文」「体裁」「ファイル」の3語です。どれに置き換わるかで、相手に伝わる範囲がはっきりします。

言いたいこと 置き換える語 相手に伝わる範囲
言い回しを整えてほしい 本文を直してください 言葉づかいと構成だけ
見た目も整えてほしい 体裁も直してください 表・余白・書式まで
形のまま残してほしい ファイルを保存してください 開けば元の形で見られる状態

この置き換えの良いところは、相手が同じ理解をしているかを確かめずに済む点にあります。「文書」という語のままだと、相手の頭の中を想像するしかありません。3語のどれかに変えれば、そこで範囲が確定します。

頼まれる側に回ったときも同じです。「文書を直して」と言われたら、「本文だけでよいですか、体裁も含めますか」と返してみてください。

社内で呼び方を揃える

最後は、個人の使い分けを職場の決めごとに変える段階です。1人が気をつけていても、相手が違う意味で使えばずれは残ります。

揃えるといっても、辞書のような定義を作る必要はありません。次の3つを決めておくだけで足ります。

  • 共有フォルダのファイルを文書と呼ぶかどうか
  • チャットのやり取りを記録として残すかどうか
  • 修正依頼のときに使う言葉を何にするか

とくに効くのは3つ目です。修正依頼の言葉を「本文」「体裁」の2語に決めておくと、やり取りの往復が目に見えて減ります。

そして、この決めごと自体を書き留めておいてください。口頭で共有した取り決めは、担当が変わると消えてしまいます。文書として残しておけば、次に入る人も同じ言葉を使えるのです。

今泉の視点:言葉の違いを知っておくと得をするのは、テストのときではなく、頼むときと頼まれるときだと考えています。

保存の場面でも同じことが起きます。以前「この資料を残しておいて」と伺い、中身のテキストだけを控えておいたことがありました。あとから「元の形で見たい」と言われたのですが、見た目の情報がどこにも残っていませんでした。作り直しに半日かかってしまったのです。

この経験から学んだのは、見積もりのずれ方です。中身だけの作業だと思って半日で見込んでいた仕事が、体裁まで含むと1日半かかることがあります。言葉ひとつで、作業量が3倍近く変わってしまうのです。

文章と文書についてよくあるご質問

メールの本文は文章と文書のどちらですか。

読み手にどう伝わるかを話しているなら文章、送った記録として残すことを話しているなら文書として扱うのが自然です。同じメールでも、書いている最中は文章の話をしており、あとから探し出すときは文書の話をしていることになります。場面で呼び分けて構いません。

「書類」という言葉との違いは何でしょうか。

書類は、文書のうち手続きに使うものを指す言い方として使われることが多くあります。申請書や証明書のように、提出や保管が前提になっているものです。文書のほうが広く、書類はその一部と考えると整理しやすくなります。

紙に印刷していなくても文書と呼べますか。

紙でなくても文書と呼んで差し支えありません。国の行政機関の記録について定めた法律でも、電子的な方式で作られた記録を文書に含めると書かれています。手に取れるかどうかではなく、あとから取り出して確かめられる形になっているかどうかが境目になります。

社内で使い分けを揃えるには何から始めればよいですか。

修正依頼のときに使う言葉を決めるところから始めてみてください。「本文」と「体裁」の2語に絞るだけで、やり取りの往復が減ります。定義を文書にまとめるのは、その効果を実感してからでも遅くありません。

まとめ

文章は言葉のつながりという中身を指し、文書はそれを記録して残すための物を指します。文書の中に文章が入っているという関係で捉えると、迷いにくくなるはずです。

ただし「文書」がどこまでを含むかは、決め方によって変わります。法律の条文でも、図画を文書に含める書き方と、図面を文書でないものとして扱う書き方の両方があるほどです。職場で自然に揃うものではないと考えておいてください。

まずは次に修正を頼むとき、「文書を直して」ではなく「本文を直して」または「体裁も直して」と言い換えてみてください。それだけで、やり取りが一往復で終わるようになります。

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この記事を書いた人

株式会社街中文学 代表。DBSEO(データベース型SEO)・LLMO(AI検索最適化)・コンテンツマーケティングを専門に、東証上場企業や月間4,500万セッション級メディアのSEO支援を行ってきました。AIライティングSaaS「buncraft」を開発・運営。本メディアの全記事を執筆・監修しています。

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