「初期費用10万円と書いてあるサイトもあれば、500万円と書いてあるサイトもある」。コンテンツマーケティングの費用を調べ始めて、かえって分からなくなった経験はないでしょうか。桁が違えば、社内で誰に相談するかも変わってきます。
株式会社街中文学は、月間4,500万セッション級のメディアの支援から、2023年の創業以来1,000本以上を納品してきた顧客向け記事の制作までを手がけています。その現場で確かめてきたのは、金額のバラつきには理由があり、それを解けば自社の予算は置けるということです。
読み終えるころには、手元の見積書が高いのか安いのかを自分で判断でき、月額ではなく総額の形で社内に説明できる状態になります。
コンテンツ監査からトピッククラスター設計、KPI・CVR設計まで、検索流入と問い合わせにつながるメディア戦略を整えます。記事は増えたのに成果が伸びない、という企業向けのコンサルティングです。
先に結論:費用は総額と期間で決まる
まず最初に、結論からお伝えします。
- 解説記事に並ぶ金額は統計ではなく、各社の提示価格です
- 中小企業(法人)1社の広告宣伝費は平均で年198万円です
- だから月額ではなく、月額×月数の総額で置きます
1つ目は、金額の出どころについてです。当社が検索上位の10サイトを調べたところ、初期費用として10万円と書くサイトと500万円と書くサイトが並んでいました。9サイトには何社を調べた数字なのかが書かれていませんでした。いずれも中立の調査機関がまとめた数字ではありません。
2つ目は、自社の予算と照らす基準になる数字です。中小企業実態基本調査の統計表から当社が算出したところ、法人の中小企業1社あたりの広告宣伝費は年間で約198万円、月に直すと約16.5万円でした。しかもこれはチラシも看板もネット広告も含めた全額なので、コンテンツに回せる分はもっと小さくなります。
3つ目は、その2つを踏まえた実務の手順です。月額で考えると判断できませんが、月額に判定できるまでの月数を掛ければ、稟議に書ける総額になります。あわせて何か月目に何を見るかを先に決めておくと、途中で迷わずに済みます。
費用の相場が10倍以上に開く理由
費用を調べ始めて最初にぶつかるのが、サイトによって金額がまるで違うという壁です。当社は2026年8月7日に、上位に並んだ10サイトのページを1件ずつ取得しました。使った検索語は「コンテンツマーケティング 費用」と「コンテンツマーケティング費用 相場 料金」の2つです。
取得したページから、書かれていた金額を項目ごとに拾い出しました。結論を先にお伝えすると、同じ項目でも最小と最大で10倍から50倍の開きがありました。

初期費用は10万円から500万円まで
まず、10サイトに書かれていた金額を項目ごとに並べてみます。集計の対象にしたのは、外部に委託する前提で示されていた金額の幅です。内製を前提とした金額と、特定の会社の事例として挙げられていた金額は除いています。
| 費用の項目 | 最も低い提示額 | 最も高い提示額 | 開き |
|---|---|---|---|
| 初期費用 | 10万円 | 500万円 | 50倍 |
| 月額の運用費 | 10万円 | 100万円 | 10倍 |
| 記事1本 | 1万円 | 30万円 | 30倍 |
出典: 当社が検索上位10サイトのページを取得して集計(2026年8月7日)。外部委託を前提としたレンジのみを対象とし、内製前提の金額と個別企業の事例は除外
初期費用を「10万円から30万円ほど」と説明するサイトがある一方で、「100万円から500万円ほど」と書くサイトもありました。どちらも同じ「初期費用」という言葉で説明されています。
50倍という開きは、予算を組む立場からすると致命的です。10万円なら決裁者に相談する必要すらないかもしれませんが、500万円は役員会にかける金額でしょう。同じ言葉で呼ばれているのに、社内で誰に話を持っていくかが変わってしまいます。
記事1本は1万円から30万円まで
同じ「記事1本」でも、含まれる作業は4つの段階に分かれていました。金額の差は、この作業範囲の違いでほぼ説明がつきます。10サイトのうち1サイトが、次のように段階を分けて示していました。
| 1本あたりの提示額 | 含まれると説明されていた作業 |
|---|---|
| 1万円〜3万円 | テキストの執筆のみ |
| 5万円〜10万円 | 企画から執筆、記事の投稿まで |
| 8万円〜15万円 | 上記に加えて図やオリジナル画像の制作 |
| 15万円〜30万円 | 上記に加えて取材と専門家の監修 |
出典: 同上。10サイトのうち1サイトが4段階に分けて示していた区分を整理
つまり記事1本の値段を比べるとき、金額だけを横に並べても意味がありません。1万円の見積書と15万円の見積書は、そもそも売っているものが違います。前者は原稿だけが届き、後者は取材の手配から公開後の体裁まで含まれる、という具合です。
見積書を受け取ったら、金額の隣に「何が含まれるか」を書き写してみてください。それだけで、比べられる見積書と比べられない見積書が分かれます。1本あたりの単価をもう少し細かく見たい場合は、コンテンツ制作代行とは?費用相場と依頼範囲の決め方ガイドで依頼範囲ごとに整理しています。
金額が開く3つの理由
作業範囲の違い以外にも、金額が開く理由があります。10サイトを読み比べて見えてきたのは、次の3つでした。
1つ目は、含まれる作業の範囲が違うことです。前の見出しで見たとおり、同じ「記事制作」でも原稿だけの場合と取材つきの場合があります。初期費用も同じで、キーワードを設計するだけの金額と、サイトそのものを一から構築する金額が、同じ言葉で説明されていました。
2つ目は、想定している会社の規模が違うことです。サイトを新しく立ち上げる前提で書かれたページと、すでにあるサイトに記事を足す前提で書かれたページでは、初期費用の桁が変わります。実際に、既存サイトへのコラム追加を5万円からと案内しているページもありました。
書き手が思い浮かべている読者が、そもそも別の会社なのです。
3つ目は、その金額が統計ではないことです。ここがいちばん大きな理由なのですが、詳しくは次の見出しでお伝えします。
- その金額にどこまでの作業が含まれているか
- どれくらいの規模の会社を想定した金額か
- 何社を調べて出した数字か、それとも自社の価格か
相場ではなく各社の提示価格である
10サイトを調べていて、いちばん引っかかったのはここでした。金額を載せていた10サイトのうち9サイトには、その数字の根拠が書かれていなかったのです。
具体的には、何社の見積もりを集めたのか、いつ調べたのか、どうやって集計したのかという記載が、9つのページのどこにもありませんでした。残る1サイトはページの上部に「5,000社の相場から算出」という表示がありましたが、いつの時点で、どう集計したのかまでは書かれていません。
運営元も見ておきましょう。10サイトの内訳は、制作や運用を請け負う会社が自社で運営するサイト、発注先を紹介するマッチングサイト、そして本業が別にある事業会社のメディアでした。中立の調査機関がまとめた数字は、1件もありません。
これは各社が不誠実だという話ではありません。事業者が自社の価格帯や、紹介先の価格帯を説明するのは当然のことです。ただ、読む側がそれを「業界の相場」として受け取ってしまうと、話がずれます。
相場という言葉には、多くの取引を集めてならした値段、という響きがあります。ところが実際に並んでいるのは、その会社が「うちならこの金額でお受けします」と示した提示価格のほうです。母数のある調査結果ではありません。
だから10サイトを見比べても、平均を取ることに意味がないのです。10万円と500万円の平均が255万円だと計算しても、その金額で何かが買えるわけではありません。
では自社の予算を決めるとき、何を基準にすればよいのでしょうか。次の章では、母数のある公的な統計を見ていきます。
中小企業(法人)の広告宣伝費は年198万円
事業者の提示価格ではなく、母数のある数字を見てみましょう。中小企業庁が実施している中小企業実態基本調査には、法人の中小企業が広告宣伝にいくら使っているかが載っています。当社はこの統計表を取得して、売上高に対する比率と1社あたりの金額を計算しました。

売上に占める比率は0.51%だった
使ったのは令和7年確報で、令和6年度の決算実績をまとめたものです。2026年6月29日に公表されました。
ここで見るのは法人の中小企業に限った数字で、母集団は約170万社になります。抽出した企業への調査結果を、全体に拡大して推計したものです(e-Stat 中小企業実態基本調査 令和7年確報)。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 母集団の企業数(法人) | 1,701,437社 |
| 売上高の合計 | 664兆9,356億円 |
| 広告宣伝費の合計 | 3兆3,682億円 |
| 売上高に占める広告宣伝費の比率 | 0.51% |
| 法人1社あたりの年間広告宣伝費 | 約198万円 |
出典: 中小企業実態基本調査 令和7年確報(令和6年度決算実績)の統計表から当社が算出。法人企業の集計値
1社あたり年198万円を12で割ると、1か月あたり約16.5万円になります。ここで思い出していただきたいのが、前の章で見た月額の提示価格です。低いほうで月10万円、高いほうで月100万円という数字が並んでいました。
仮に月30万円で1年続けると、支出は年360万円です。これは中小企業1社あたりの広告宣伝費の平均の、約1.8倍にあたります。
しかもこの198万円は、コンテンツマーケティングだけの金額ではありません。チラシも看板もネット広告も展示会も、広告宣伝に分類されるものすべてを合わせた額です。そのなかからコンテンツに回せる分となると、さらに小さくなります。
ひとつ注意点があります。この統計の広告宣伝費には、自社の社員が記事を書いた場合の人件費は入っていません。会計上、人件費は別の科目に計上されるためです。つまり198万円は、社外に支払った金額だけを集めた数字だと考えてください。
従業者5人以下の平均は年42万円
平均値だけでは、自分の会社に当てはまるのかが分かりません。同じ統計を従業者の規模で分けると、景色がはっきり変わります。
| 従業者の規模 | 企業数 | 売上高に占める比率 | 1社あたり年間 | 月あたり |
|---|---|---|---|---|
| 5人以下 | 1,134,765社 | 0.44% | 約42万円 | 約3.5万円 |
| 6〜20人 | 366,437社 | 0.40% | 約135万円 | 約11万円 |
| 21〜50人 | 121,673社 | 0.45% | 約449万円 | 約37万円 |
| 51人以上 | 78,562社 | 0.59% | 約2,347万円 | 約196万円 |
出典: 同上。月あたりの金額は年額を12で割った当社の計算値
いちばん上の行が、法人全体の3分の2を占める層です。ここで記事を1本、上限の3万円で外注すると、それだけで月あたりの平均をほぼ使い切ることになります。
2行目の6人から20人の層も事情は変わりません。上位サイトの多くが最も小さい予算帯の上限として置いていた月10万円は、この規模の会社にとって広告予算のほぼ全額にあたります。
ここから言えるのは、相場表の金額が高すぎるということではなく、多くの中小企業にとって相場表は自社と別の規模を前提に書かれているということです。月30万円の提案が妥当かどうかは、その金額が自社の売上に対してどの位置にあるかで決まります。
- いま置こうとしている金額は、自社の売上の何%にあたりますか
- その比率は、同じ規模の会社の平均と比べて高いですか、低いですか
業種によって14倍の開きがある
もうひとつ、規模と同じくらい効いてくるのが業種です。同じ統計を業種別に見ると、広告宣伝費の比率は大きく散らばっていました。
| 業種 | 売上高に占める比率 | 1社あたり年間 |
|---|---|---|
| 情報通信業 | 1.87% | 約503万円 |
| 小売業 | 1.24% | 約397万円 |
| 生活関連サービス業、娯楽業 | 1.08% | 約375万円 |
| 不動産業、物品賃貸業 | 0.96% | 約161万円 |
| 学術研究、専門・技術サービス業 | 0.56% | 約67万円 |
| 製造業 | 0.30% | 約175万円 |
| 卸売業 | 0.26% | 約296万円 |
| 建設業 | 0.21% | 約56万円 |
| 運輸業、郵便業 | 0.13% | 約74万円 |
出典: 同上。法人企業の集計値から当社が算出。11業種のうち主な9業種を抜粋
最も高い情報通信業の1.87%と、最も低い運輸業の0.13%では、14倍以上の開きがあります。売上が同じ1億円の会社でも、情報通信業なら年187万円、運輸業なら年13万円が平均という計算になるわけです。
広告費は売上の1%から3%が目安、と説明されることがあります。ただしこの統計とは合いません。法人全体で0.51%、最も高い情報通信業でも1.87%ですから、3%という水準に届いている業種はありませんでした。
とはいえ、自社の業種の平均に合わせるべきだ、という話でもありません。平均は各社の判断の結果であって、目標値ではないからです。使えるのは、自社が置こうとしている金額が、同じ業種・同じ規模の会社と比べてどのあたりかを知るという一点になります。
ここまでで、金額の桁は掴めたはずです。次に必要なのは、その金額を何か月払い続けるのかという話になります。
コンテンツ監査からトピッククラスター設計、KPI・CVR設計まで、検索流入と問い合わせにつながるメディア戦略を整えます。記事は増えたのに成果が伸びない、という企業向けのコンサルティングです。
費用は月額ではなく総額で置き直す
見積書に書かれているのは月額です。ところが社内で予算を通すときに問われるのは、この施策に結局いくら使うのかという総額のほうでしょう。この章では、月額を総額に変換する手順と、そのために必要な期間の考え方をお伝えします。

効果が出るまでにかかる期間
コンテンツマーケティングは、始めてすぐに数字が動く施策ではありません。当社が調べた10サイトのうち5サイトも、成果が出るまでに時間がかかる点に触れていました。ただし具体的に何か月なのかとなると、途端に根拠が薄くなります。
当社の実測をお出しします。2026年3月に公開した自社の新しいサイトを7月に測ったところ、外部からのリンクはSearch Console上で0件でした。
掲載している企業の会社名に「口コミ」を足した検索語で順位を測ると、46位から95位です。公開から4か月が経っても、1ページ目には届いていませんでした。
1つのサイトの実測なので、これがどの会社にも当てはまるとは申し上げません。ただ、立ち上げから数か月は費用だけが出ていき、数字はほとんど動かないという時期が存在することは、予算を組む段階で織り込んでおく必要があります。
もうひとつ、期間について当社が経験した失敗に近い例があります。2026年7月、自社メディアのある記事のタイトルを変えました。変更前の28日間で、その記事の主要な検索語は38回表示されてクリックが0件だったためです。
その後の数字を見ると、90日間の累計でも表示は49回でした。つまり変更後に増えた表示は、多くても11回にとどまります。
この回数では、良くなったのか悪くなったのかを判定できません。当社はこれを失敗ではなく判断保留として扱い、数字がたまるまで結論を出さないことにしました。
ここが予算の話とつながります。効果が出なかったから止める、という判断は正しい場合があります。けれどもまだ測れていないのに止めるのは、答えが出る前に席を立つのと同じです。
予算を組むときは、判定できるだけの期間を最初から確保しておく必要があります。
月額に月数を掛けて総額にする
ここからが実際の作業です。手元の見積書の月額に、判定できるようになるまでの月数を掛けてください。それがこの施策の意思決定の規模になります。
| 月額 | 6か月の総額 | 12か月の総額 | 18か月の総額 |
|---|---|---|---|
| 10万円 | 60万円 | 120万円 | 180万円 |
| 20万円 | 120万円 | 240万円 | 360万円 |
| 30万円 | 180万円 | 360万円 | 540万円 |
| 50万円 | 300万円 | 600万円 | 900万円 |
この表を前の章の統計と重ねると、判断しやすくなります。法人1社あたりの年間広告宣伝費は約198万円でした。月20万円を12か月続けると240万円ですから、広告宣伝の予算をすべてコンテンツに振り向けても足りない計算になります。
では、その月額で実際に何を頼めるのでしょうか。前の章で見た1本あたりの提示価格から、おおよその見当をつけられます。
| 月額 | この金額で頼める範囲の目安 |
|---|---|
| 10万円 | 原稿だけを納品してもらう形で月3本前後。企画と公開作業は自社で行う |
| 20万円 | 企画から執筆、公開までを含む形で月2本から3本 |
| 30万円 | 上記に図やオリジナル画像を加えて月2本、または取材つきの記事を月1本 |
当社が集計した提示価格からの試算。ディレクション費や分析の費用が別に必要な場合もあります
コンテンツマーケティング費用を総額で置くというのは、この本数と期間をセットで決めるということでもあります。月10万円で12か月なら、原稿がおよそ36本たまる計算です。
そう考えると、選択肢は3つに絞られてきます。1つ目は月額を下げること、2つ目は他の広告費を削ってこちらに回すこと、3つ目は内製の比率を上げることです。どれを選ぶかは会社の状況によりますが、月額だけを見ていると、この3択が視界に入りません。
稟議に書くときも同じです。「月30万円でお願いしたい」より「12か月で360万円、6か月目に一度見直します」のほうが、決裁する側は判断しやすくなります。金額の大きさより、いつ確かめるかが決まっていることのほうが安心材料になるからです。
見直す時期を先に決めておく
総額を置いたら、最後にもうひとつ決めておくことがあります。いつ、何を見て判断するのかを、始める前にカレンダーに置いておくことです。
当社が支援の場でお願いしているのも、この順番になります。うまくいっていないときは自然と見直しの話が出ますが、判断が難しくなるのは、むしろ順調に見えているときだからです。数字が少しずつ動いていると、もう少し続ければという気持ちが働いて、区切りが先送りされていきます。
- 総額:月額 × 判定できるまでの月数を稟議の金額に置きます
- 見直しの時期:何か月目に確認するかを着手前に決めます
- 見る指標:その時点で見る数字を1つか2つに絞ります
費用対効果を計算したくなるのも、ちょうどこのあたりです。ただし母数がたまっていない時期に割り算をしても、出てくるのは誤差でしかありません。費用対効果は「計算できるようになってから計算する」ものだと考えてください。
3つ目の「見る指標」については、注意点があります。立ち上げから半年の時点で問い合わせ件数を見ても、母数が小さすぎて判断できないことがほとんどです。
そこで最初の見直しでは、順位や問い合わせではなく検索結果に表示された回数のように、数がたまりやすい指標を置くほうが実用的です。表示が伸びているなら、少なくとも認識はされ始めているということでしょう。伸びていなければ、記事の中身よりも先に確かめるべきことがあると分かります。
費用対効果の測り方をもう少し踏み込んで整理したい場合は、何を分母に置くかで結論が変わる話をSEO対策の費用対効果は分母で決まる|勘定科目と期の決め方にまとめています。
内製にしても消えない費用がある
月額が予算に収まらないとき、多くの会社が最初に考えるのが内製です。社内で書けば外注費はかかりません。ただ、外注費が消えても総額が同じだけ下がるわけではないところに、この判断の難しさがあります。
この章では、内製に切り替えても残る費用と、削ると逆に高くつく工程を扱います。

編集者1人の年収は約673万円
内製の費用は、ほとんどが人件費です。その水準は厚生労働省の賃金構造基本統計調査で確かめられます。令和7年の調査は約7万9千の事業所を対象にしたもので、2026年3月に結果が公表されました(厚生労働省 賃金構造基本統計調査)。
| 職種 | 月々の給与 | 年間の賞与など | 年収に換算すると |
|---|---|---|---|
| 著述家、記者、編集者 | 45.0万円 | 133.3万円 | 約673万円 |
| デザイナー | 37.6万円 | 88.9万円 | 約540万円 |
出典: 令和7年賃金構造基本統計調査(職種別・一般労働者・企業規模10人以上・男女計)。年収換算は月々の給与を12倍して賞与を足した当社の計算値
記事を書く仕事に近い「著述家、記者、編集者」という区分で、年収に換算すると約673万円でした。ここに社会保険料の会社負担分や採用にかかる費用が乗るので、実際に会社から出ていく金額はさらに上回ります。
月に直すと56万円ほどです。前の章で見た月額の提示価格が10万円から100万円でしたから、専任を1人採用するのは、月額50万円台の外注と近い水準の支出になります。
もちろん専任を置く必要がない場合も多いでしょう。既存の社員が業務の一部として書くなら、支出は増えません。
ただしその場合は、その人が本来やるはずだった仕事が止まります。金額として見えないだけで、費用が消えたわけではないところは押さえておきたいところです。
無料で始めるのと無料で続くのは別
人件費のほかにも、内製で残る費用があります。サイトを動かすためのサーバー、記事を管理する仕組み、写真やイラストの素材、そして分析のためのツールです。
これらは無料で始められるものが多く、だからこそ見落とされます。当社が2026年8月に、無料で配布されているテンプレート6件の入手条件を1件ずつ確かめたところ、「無料で始められる」と「無料で使い続けられる」は別物でした。
たとえばある作図ツールは、アカウントを作れば無料で使えます。ただし無料のままだと編集できるファイルの数に上限があり、高い解像度で書き出すには有料の契約が必要でした。制約に気づくのは、たいてい社内で共有しようとした段階です。
費用を見積もるときは、始めるための金額ではなく1年使い続けたときの金額で並べてください。無料のまま運用できるのか、何人で使うと有料になるのか、この2点を確認しておくと、後から予算が膨らむ事態を避けやすくなります。
検品を削っても総額は下がらない
費用を抑える話になると、工程を減らす提案が出てきます。当社も自社メディアの制作費を下げる取り組みをしていますが、削らないと決めている工程がいくつかありました。いずれも、削った結果として実害が出た経験があるからです。
| 削らないと決めた工程 | 削らない理由になった出来事 |
|---|---|
| 公開前の品質評価 | ある記事は1回目の評価で合格点に届かなかった。この工程を省いていれば、そのまま公開していた |
| 引用の1文字ずつの照合 | 引用の言い回しがわずかに原典と違っていた記事が4本続いた。目視では見つけられなかった |
| 公開済み全記事との重複確認 | 関係が強そうな数本に絞って確認したところ、別の記事との重複を見落とした |
| 独自データの収集 | ここを削ると、他社の記事と同じ内容しか書けなくなる |
共通しているのは、削っても目の前の作業時間しか減らず、問題は後から出てくるという点です。公開してから誤りに気づけば、修正して確認し直す手間が発生します。重複に気づかないまま公開すれば、2本の記事が同じ検索語を取り合って、どちらも伸びません。
一方で、当社が削ったものもあります。工程を2つの区切りに分けること、大きな資料を丸ごと開かず必要な部分だけ取り出すこと、事実確認を別の担当に切り出すことの3つです。いずれも品質基準は1つも下げていません。
もうひとつ、費用が読めなくなりやすい工程があります。調べる作業です。関連資料は探せばいくらでも出てくるので、時間の上限だけを決めても「あと1件だけ」で伸びていきます。
そこで当社は、調べる工程に時間と本数の2つで止める条件を置くようにしました。かける時間の上限と、確認する資料の本数の上限を、着手前に両方決めておくやり方です。片方だけだと、もう片方から抜け道ができてしまいます。
見積書を比べるときも、この区別が使えます。安い見積書が本当に効率的なのか、それとも確認の工程を抜いているのかは、金額を見ても分かりません。聞けば分かります。
手戻りは工程の後半ほど高くつく
もうひとつ、費用が膨らむ経路があります。やり直しです。
当社の記事制作で、実際にこんなことがありました。書き始める前に社内の仕様書を読まないまま4つの章を書き上げたところ、見出しの体裁や表の形式など、決められていた作りがすべて抜けていたのです。結果として全章を書き直すことになりました。
同じ記事では、もうひとつ手戻りが起きています。小見出しごとの分量を決めずに書き進めた結果、全体が想定を大きく超えてしまいました。短くする作業だけで4回のやり取りが発生しています。
どちらも、原因は作業そのものではなく着手前に決めていなかったことにありました。この経験から当社は、書き始める前に小見出しの本数だけでなく1本あたりの分量まで決める運用に変えています。
発注する立場からすると、ここは費用を下げられる数少ない場所です。やり直しの回数は、渡す情報の量で減ります。
渡しておきたいのは、誰に読んでほしいのか、どんな言葉で呼んでいる商品なのか、社内で使ってはいけない表現があるかどうかの3点です。これらを最初に共有しておくだけで、後半の往復が目に見えて減ります。
今泉の視点:見積書を拝見するとき、私が最初に見るのは金額の欄ではありません。まず確かめるのは、この金額に何が含まれるかが書かれているかどうかです。項目が細かく分かれている見積書は、それだけで信用できる材料が1つ増えます。
逆に一式いくら、とだけ書かれている場合は、内訳をうかがうようにしています。安くしたい気持ちは当然ありますが、削られていたのが確認の工程だったと後から分かるのが、いちばん高くつくパターンです。金額の交渉より先に、何が入っているかの確認だと考えています。
コンテンツマーケティング費用のよくあるご質問
予算を組む場面で実際によくいただく質問を4つ選びました。
まとめ
- 相場表の金額は統計ではなく各社の提示価格です
- 中小企業の広告宣伝費は法人1社あたり年198万円です
- 予算は月額×月数の総額で置き直します
金額が10倍以上ばらついて見えるのは、含まれる作業も想定する会社の規模も違うものが、同じ言葉で並んでいるからです。比べる相手を探すより、自社の売上と規模に照らして置くほうが早く決まります。
次の一歩は決まっています。手元の見積書の月額に、判定できるまでの月数を掛けてみてください。その総額が年間の広告宣伝費に収まるかどうかで、続けられる規模かが分かります。置いた総額に迷いが残るときは、街中文学へお気軽にご相談ください。
コンテンツ監査からトピッククラスター設計、KPI・CVR設計まで、検索流入と問い合わせにつながるメディア戦略を整えます。記事は増えたのに成果が伸びない、という企業向けのコンサルティングです。
