「SEOの外注をやめて社内でやれば、その分は浮きますよね」。SEOの内製化は、契約更新の前に一度は検討されるテーマです。上長から言われて、うまく答えられなかった経験がある方もいるかもしれません。
先にお伝えすると、内製化で消えるのは外注費だけで、工程も期間もそのまま社内に移ってきます。当社の実測では、記事1本には7種類の部品が同居し、書き上げたあとに平均3.67回の採点と修正が続いていました。
この記事では、人件費を公的統計から自分で計算する方法と、記事1本に実際に乗る工程を当社の実測でお伝えします。読み終えるころには、内製と外注のどちらが自社に合うかを、社内で説明できる数字で判断できるようになります。
「書く人がいない」「AIの品質が不安」という段階からご相談いただけます。調査・執筆・確認・納品までの進め方と品質基準を13ページの資料にまとめました。
先に結論|内製化で消えるのは外注費だけ
SEOの内製化とは、外注していた工程を社内の人員で回すことです。インハウスSEOとも呼ばれます。
内製化しても、消えるのは外注先へ支払う費用だけです。記事1本を作る工程も、成果が出るまでの期間も、掲載したあとの維持も、そのまま社内に移ってきます。そのうえで、外注していたときには無かった仕事が新しく増えていきます。
| 内製化で消えるもの | そのまま残るもの | 新しく増えるもの |
|---|---|---|
| 外注先へ支払う制作費・コンサル費 | 記事1本を作る工程そのもの | 担当者の人件費と法定福利費 |
| — | 成果が出るまでの期間 | やり方を覚える時間 |
| — | 公開したあとの維持と手直し | 品質を揃える仕組みづくり |
| — | — | 採用と引き継ぎ |
もちろん、社内に置くことで得られるものもあるでしょう。Googleは外注する場合でも「SEO の手法について知っておくことで、SEO 業者が非推奨の手法や禁止されている手法を使おうとしているかどうかを識別できるようになります」と書いています。社内に残る知識そのものが資産になるという見方です。
- 判断の理由が社内に溜まり、外注先を見極める目が育つ
- 修正の往復が短くなり、意思決定が早くなる
- 外注を続ける場合でも、見積書と提案の妥当性を自分で判断できる
- 担当者の人件費と法定福利費が新しく発生する
- 記事1本を作る工程がそのまま社内に移ってくる
- 成果が出るまでの期間は内製にしても短くならない
ここで多いのが、「1本いくらか」で外注と社内を比べてしまう見積もり方です。外注の見積書には金額が書いてありますが、社内でやる場合の1本には金額が書かれていません。だから安く見えます。
当社の実測をひとつ出します。自社メディアの公開記事を全数集計したところ、ほとんどの記事に7種類の部品が同居していました。文章のほかに作る必要があるもの、たとえば要点をまとめた囲み、話者のふきだし、チェック印つきのリストなどです。具体的な数字はのちほど出します。
さらに、書き上げたあとに終わりが来るわけでもありません。原稿ができてから「採点して直す」を繰り返す記録を9記事ぶん残したところ、1本あたり平均3回を超える採点と修正が続いていました。具体的な数字はのちほど出します。
- 「1本いくらか」の比較をやめ、「1本に何が乗るか」で見積もり直す
- 人件費は公的統計から自分で計算する。給与額だけで終わらせない
- 内製か外注かの二択にせず、どの工程を社内に置くかで決める
この記事は「内製化はやめたほうがいい」とは言いません。安くなる会社も実際にあるでしょう。ただしその判断には、社内に移ってくる工程を数えた見積もりが要ります。以降は、費用の計算のしかたと、記事1本に実際に乗るものを、公的統計と当社の実測で並べていきましょう。
なお、内製化を「誰が・何人で回すか」という体制の話は、インハウスSEOの体制は何人か|工程の分け方と続ける仕組みで別に扱っています。この記事が扱うのはコストの側だけです。
SEO内製化で消える費用と残る費用
内製化の費用は、公的統計を使えば自分で計算できます。必要なのは給与の相場と、そこに乗る法定福利費の料率の2つです。他社の見積もりを集める前に、社内側の金額を出しておくと比較の土台ができます。
この章では、その計算に使える一次データと、Googleが内製について何と書いているかを見ていきます。
人件費は公的統計から計算できます
まず知っておきたいのは、「SEO担当者」という職種にあたる区分が、今回確認した範囲の公的な賃金統計には見当たらなかったことです。日本標準職業分類にも、賃金構造基本統計調査の公表資料にも、それにあたる区分を確認できませんでした。だから「SEO担当者の平均年収は◯円」という数字は、公的統計からは取り出せません。
代わりに使えるのが産業区分です。厚生労働省の毎月勤労統計調査(2025年分結果確報・事業所規模5人以上)によると、情報通信業の一般労働者の現金給与総額は月570,056円でした。このうち賞与などの特別に支払われた給与が132,560円です。
現金給与総額は賞与を含んだ金額なので、12を掛ければ年間の給与総額が出ます。約684万円です。ここにはまだ法定福利費が入っていません。
参考までに、令和7年賃金構造基本統計調査では情報通信業の一般労働者(男女計・年齢計)の賃金は月406.0千円とされています。570,056円との差が大きいのは、こちらが後述する「所定内給与額」であって、賞与も残業代も含んでいないからです。調査が違えば定義も違うので、2つの数字を混ぜて使わないでください。
外注側の費用相場についてはSEO対策費用の相場と内訳|料金体系の違いと見積もりの見方で扱っています。本記事が扱うのは社内側の金額だけです。
法定福利費は条件をそろえて試算します
給与を払うと、事業主はそれとは別に社会保険料を負担します。これを法定福利費と呼びます。令和8年度の料率は次のとおりです。
| 項目 | 料率(全体) | 負担のしかた | 事業主負担分 |
|---|---|---|---|
| 厚生年金保険 | 18.3% | 労使折半 | 9.15% |
| 健康保険(協会けんぽ・東京都) | 9.85% | 労使折半 | 4.925% |
| 介護保険(40歳から64歳) | 1.62% | 労使折半 | 0.81% |
| 子ども・子育て支援金 | 0.23% | 健康保険料率に加算 | 0.115% |
| 雇用保険(一般の事業) | 1.35% | 労使で負担 | 0.85% |
| 子ども・子育て拠出金 | 0.36% | 全額事業主 | 0.36% |
| 労災保険(通信業・放送業など) | 0.25% | 全額事業主 | 0.25% |
(出典: 日本年金機構「厚生年金保険料額表」令和8年度版/全国健康保険協会「令和8年度の協会けんぽの保険料率」/厚生労働省「令和8年度雇用保険料率のご案内」「令和8年度の労災保険率について」・いずれも2026年8月29日確認)
足すのは右端の列だけです。40歳未満の従業員なら、介護保険の行を除いて合計します。9.15+4.925+0.115+0.85+0.36+0.25で、およそ15.65%です。
40歳から64歳なら、介護保険の0.81%を足しておよそ16.46%になります。
左から2列目の「料率(全体)」をそのまま足すと倍近い値が出てしまいます。労使で分け合う項目があるためです。
ただしこれは東京都・協会けんぽ・一般の事業・通信業という条件をそろえたうえでの試算で、公的統計に載っている数字ではありません。
なお健康保険と子ども・子育て支援金は、協会けんぽのページに折半の明記がありません。厚生年金保険料額表の「全額/折半額」にならって折半として計算しました。
先ほどの年間684万円に当てはめると、法定福利費だけで年間およそ107万円が上乗せされる計算です。合計で年間およそ791万円。ここにはまだ、パソコンもツールの利用料も研修費も入っていません。
なお保険料には標準報酬月額や標準賞与額の上限があるため、実額はこれより小さくなる場合があります。
自社の給与水準は分かっているはずなので、この料率を自分の数字に当てはめて計算してみてください。外注の見積書と並べるべきなのは、この金額です。
- 自社の月額給与に12を掛け、賞与と残業代を足して年額を出す
- その年額に事業主負担分の料率を掛けて法定福利費を出す
- 2つを足した金額を、外注の見積書と同じ紙に並べる
月給は人件費ではありません
統計を読むときに引っかかるのが「賃金」という言葉です。調査によって指すものが違います。
賃金構造基本統計調査の用語の解説には、こう書かれています(2026年8月29日確認)。「所定内給与額 きまって支給する現金給与額のうち、超過労働給与額を差し引いた額をいう。」超過労働給与額とは、時間外勤務手当・深夜勤務手当・休日出勤手当などのことです。
つまりこの数字には残業代が入っていません。賞与も別勘定です。同じ用語解説には「きまって支給する現金給与額」について「手取り額でなく、所得税、社会保険料などを控除する前の額である」とも書かれています。
賞与については別の定義が置かれていました。「年間賞与その他特別給与額 昨年1年間(……)における賞与、期末手当(いわゆるボーナス)等の特別に支払われた給与の合計額をいう。」(括弧内は対象期間の細目のため省略しました)年額を出すには、月額を12倍したうえで、残業代とこの賞与を足す必要があります。
だから前の項では、賞与を含んだ現金給与総額のほうを使いました。どちらの数字を使っているかを見積書に書いておくと、あとで説明を求められたときに答えられます。
Googleは自分でできると書いています
Googleは、規模によっては自分でできると公式ドキュメントに書いています。該当するのは「SEO 業者の利用を検討する」というページです(最終更新 2026年6月10日・2026年8月29日確認)。
原文はこうです。「小規模なローカル ビジネスの経営者は、おそらく、作業の多くを自分で行うことができます。SEO スターター ガイドから始めることをおすすめします。」規模によっては自分でやれる、とGoogle自身が書いています。
ただし、その続きが重要です。「最終的に SEO 業者を利用することになった場合でも、SEO の手法について知っておくことで、SEO 業者が非推奨の手法や禁止されている手法を使おうとしているかどうかを識別できるようになります。」
外注する場合でも社内に知識は要る、という書き方です。つまりGoogleは、内製か外注かの二択としてこの問題を扱っていません。
同じページには、外注する側の注意も並んでいます。「Google で一番上に掲載されることは誰にも保証できません。サイトの掲載順位を保証すると主張する業者、Google との『特別な関係』を強調する業者、Google への『優先登録』を宣伝している業者には注意が必要です。」(最終更新 2026年6月10日・2026年8月29日確認)
この記事の立場も同じです。問いは「内製か外注か」ではなく「どの工程を社内に置くか」になります。そのためには、工程に何があるのかを先に知らなければなりません。
SEO内製化で記事1本に乗るもの
社内へ移ってくるのは、文章を書く作業だけではありません。1本の記事には7種類の部品が同居していました。記事を書くというと文章のことを思い浮かべますが、実際に手間がかかるのはその外側にある部品づくりのほうです。
この章では、記事1本の実量を数字で見ます。文章量・部品の数・そして「揃わない」という事実の3つです。
1本に7種類の部品が同居しています
1記事に同居していた部品の種類数は平均6.88、中央値7、最大8でした。公開記事274本の本文HTMLを全数集計した結果です。判定したのは表・FAQ・要点ボックス・ふきだし・画像・動画・装飾リスト・番号リスト・ステップ・マーカーの10種類です。うち7種類を持つ記事が243本、全体の88.7%を占めました。
要素の数で見ると、次のとおりでした。
| 部品 | 1記事あたりの平均 | 実装率 |
|---|---|---|
| 要点ボックス | 4.65個 | 100.0% |
| 表 | 3.51個 | 99.3% |
| ふきだし | 1.64個 | 98.5% |
| 本文中の写真 | 3.11枚 | 98.5% |
| 装飾リスト | 5.71個 | 98.2% |
| FAQ | 3.86問 | 95.3% |
文章を書き終えてから、この6種類をすべて作る工程が乗ります。どれも実装率が95%を超えており、一部の記事だけの話ではありません。(出典: 当社メディアの公開記事274本の本文HTMLを全数集計 2026-08-25・読み取りのみ)
内製の見積もりで抜けるのは、たいていここです。ライターを1人確保すれば回る、という見立てが崩れるのもここになります。記事制作の工程そのものについてはSEO記事制作の進め方|順位を決める7工程と外注の判断基準で扱っています。
7割が5,000〜8,000字に収まりました
内製の1本は5,000〜8,000字に落ち着きました。公開記事262本の7割がこの帯です。
| 本文字数の帯 | 本数 | 割合 |
|---|---|---|
| 〜3,000字 | 1本 | 0.4% |
| 3,000〜5,000字 | 23本 | 8.8% |
| 5,000〜8,000字 | 183本 | 69.8% |
| 8,000〜12,000字 | 36本 | 13.7% |
| 12,000字〜 | 19本 | 7.3% |
平均は6,639字、中央値は5,047字でした。(出典: 当社メディアの公開記事262本の本文を全数集計 2026-08-20)
よく言われる「3,000字以上」という目安と比べると、実運用は1.7倍から2.7倍の厚みに落ち着いています。これは目標として決めた数字ではなく、必要なことを書いた結果としてそこに収まったものです。内製の1本がどれくらいの塊になるかの目安として使ってください。
揃う項目と揃わない項目があります
同じ手順・同じ品質基準で作っていても、記事ごとに揃う項目と揃わない項目がはっきり分かれます。ここが内製の見積もりで最もつまずくところです。
ここから先は取得日の違う別の集計です。前の2項は2026年8月20日と25日時点の集計でした。以下は8月28日時点の279本を数え直したもので、同じ指標でも本数が違います。
この279本について、項目ごとのばらつきの大きさを変動係数で並べました。変動係数は標準偏差を平均で割った値で、小さいほど記事間で揃っていることを表します。品質の良し悪しを示す指標ではありません。
揃っていたのはCTAの数で、変動係数0.02(平均3.00個・最小3・最大4)。次いでH2の本数が0.14(平均7.34本)、FAQの問数が0.24でした。仕組みとして自動的に入る部分です。
揃わなかったのは、表の数が0.82(平均3.60個・最小0・最大28)、本文字数が0.52(平均7,325字・中央値5,146字・最小3,014字・最大24,286字)。字数は最小と最大で8.1倍の開きがあります。(出典: 当社メディアの公開記事279本の本文を全数集計 2026-08-28・読み取りのみ。本文字数はHTMLタグと空白を除いた値)
読み取れることは1つです。テンプレートを作っても、人が判断して作る部分の量は記事ごとに揃いません。「1本あたり何時間」という前提で月次の計画を立てると、最大28個の表が必要な記事に当たった月に崩れます。
なお当社は、1本あたりの実作業時間そのものは計測していません。字数や表の数から工数を逆算することはできないので、その点はご承知ください。
Googleが挙げる業務は8種類です
記事以外の工程も社内に移ってきます。何が含まれるかは、Googleが公式ドキュメントで列挙しています。SEO業者が提供する業務内容として挙げられている8項目です。
- サイトのコンテンツや構成の見直し
- ホスティング、リダイレクト、エラーページ、JavaScript の使用など、ウェブサイトの開発に関する技術的なアドバイス
- コンテンツの開発
- オンライン ビジネス促進キャンペーンの管理
- キーワードに関する調査
- SEO のトレーニング
- 特定のマーケットや地域に関する専門知識
- 生成 AI 向けに最適化
(出典: Google 検索セントラル「SEO 業者の利用を検討する」最終更新 2026年6月10日・2026年8月29日確認)
内製化するということは、この8項目を社内で抱えるということです。記事を書くだけの話ではありません。技術的な判断も、キーワードの調査も、社内へのトレーニングも入っています。
全部を同時に社内へ戻す必要はありません。どれを社内に置いてどれを外に出すかを工程ごとに決めるのが現実的です。工程ごとの外注判断はSEO外注は何を任せるか|費用の考え方と失敗しない選び方で整理しています。
「書く人がいない」「AIの品質が不安」という段階からご相談いただけます。調査・執筆・確認・納品までの進め方と品質基準を13ページの資料にまとめました。
書き上げたあとに残る工程のほうが多い
記事は書き上げた時点では終わりません。原稿ができた時点は、工程の折り返し地点にすぎませんでした。しかも直した先で点が下がることもあります。
ここでは、書いたあとに何が起きるのかを4つの実測で示します。内製の見積もりから最も抜けやすい部分です。
1本に平均3.67ラウンドかかりました
1記事あたりのラウンド数は平均3.67でした。当社は原稿ができたあと「採点して、直して、また採点する」を合格するまで繰り返しており、その記録が残っている9記事・のべ33ラウンドを全数集計した結果です。
| 項目 | 実測値 |
|---|---|
| 1記事あたりのラウンド数 | 平均3.67(中央値3・最小2・最大6) |
| 保存したドラフト | 合計119版・1記事平均13.2版 |
| 初回ラウンドの点数 | 平均86.1点(最低80・最高91) |
| 初回で合格ライン90点に届いた記事 | 9本中2本=22.2% |
| 最終ラウンドの点数 | 平均94.4点(最低92・最高98) |
| 初回からの伸び | 平均+8.3点 |
注目してほしいのは最終行ではなく、その上の行です。9本のうち7本は、書き上げたあとにもう一度以上の作り直しが入っていました。(出典: 当社メディアの記事9本の品質評価ループの記録を全数集計 2026-08-25)
この9記事は当社1社のものです。業界の傾向として読まないでください。それでも、「書き上げれば納品できる」という前提で工数を見積もると足りなくなることは、この数字から言えます。
初稿の半分は残りませんでした
書き直しの量は、初稿のおよそ半分にのぼりました。品質評価に入る前の原稿と、公開した確定版を段落単位で比べた結果です。
9記事ぶんで995段落のうち、一字も変わらずに残ったのは485段落=48.7%でした。記事ごとの残存率は32.0%から60.3%に散らばっています。段落の数は9記事すべてで増え、本文の文字数は平均で13.9%増えました。(出典: 当社メディアの記事9本について、品質評価前の原稿と公開版を段落単位で全数比較 2026-08-25)
数え方を明記しておきます。ここでいう「残った」は段落の文字列が完全に一致したものだけです。一字でも直せば「書き換えた」に入れています。
もうひとつ。この「初稿」は品質評価ループに入る前の原稿であって、生成AIが最初に出力した文章のことではありません。人が手を入れたあとの原稿を起点にして、それでも半分が書き換わっています。
見積もりに落とすと、こうなります。書き上げた原稿がそのまま公開できる前提で工数を組まず、初稿と同じ量の書き直しが入る枠を最初から取ってください。
指摘が最も多いのは文章ではありません
品質評価ログの指摘408行を分類すると、最も多かったのは表・箇条書き・視覚ブロックの129件でした。直しの中身を見ると、内製の準備で何を用意すべきかが変わります。
| 指摘の分類 | 件数 |
|---|---|
| 視覚ブロック・表・箇条書き | 129 |
| 事実・数値・出典 | 86 |
| 構成・見出し・目次 | 80 |
| 段落・一文の長さ | 79 |
| 独自ナレッジ・一次情報 | 39 |
| 重複・再掲 | 32 |
| 語尾・文体・NG表現 | 25 |
| 導入文・タイトル | 21 |
| 結論ファースト・納得感 | 20 |
| 匿名化・競合表現 | 4 |
分類は機械的な割り当てなので、1行が複数の分類に該当することがあります。そのため各項目を足しても408にはなりません。(出典: 当社の記事9本ぶんの品質評価ログ408行を機械分類 2026-08-25)
それでも、最も多い指摘が文章そのものではなく、表・箇条書き・視覚ブロックという誌面づくりだったという事実は動きません。語尾や文体の指摘は25件で、視覚ブロックの5分の1です。
内製の準備を考えるとき、多くの会社は「書ける人がいるか」から入ります。実際に最も多く指摘されたのは、書けたあとに読める形へ組み直す部分でした。
だから要件の定義を変えてください。「書ける人」ではなく「表や箇条書きや要点ボックスまで作れる人、または作る工程」を要件に入れて数える。ここを外すと、採用しても外注しても同じ場所で詰まります。
直した先で点が下がることがあります
やり直しは1回で終わりません。しかも、直すこと自体が次の欠陥を作ります。
今泉の視点:いったん95点で合格が出た記事を、指摘に応じて直して再採点したら93点に下がりました。点数に関わらず公開を止める種類の欠陥(当社では「ブロッカー」と呼んでいます)も1件出ています。原因は2つ分かっています。出典を後から足す作業が、新しい誤りの発生源になること。もうひとつは、字数を詰めたあとに、その段落が満たすべき要件を確認し直していなかったことです。内製の工数が線形に減らないのは、この往復があるからです。
(出典: 当社が2026年8月に制作した記事の品質評価ログの記録)
この現象は1回きりではなく、当社の記録に繰り返し残っています。だから当社は、修正したあとに必ずもう一度全体を機械チェックにかける手順にしています。直した箇所だけを見ないという決めごとです。
内製に移すときは、修正のあとに全体をもう一度機械チェックにかける手順を用意してください。直した箇所だけを見ない、という決めごとです。
SEO内製化が続くかは供給で決まる
内製化が失敗する形は、たいてい「できなかった」ではありません。最初の数本は出るが、そのあと止まるという形です。当社にも4か月連続で1本も公開できなかった期間があります。
この章では、供給が止まるときに何が起きるかと、成果をいつ判定すべきかを見ます。数字はすべて当社の実測と公式の記述です。
- 当社は4か月連続で公開0本でした
- 実記事の下書きは平均152.8日眠る
- 上限を先に決めて止めています
- Googleは反映に数か月かかると書きます
- 単日の順位では判断できません
- ドメイン力は時間でしか買えません
当社は4か月連続で公開0本でした
当社の264本は、わずか50日に集中して載っていました。公開日ごとに数え直した結果です。
| 項目 | 実測値 |
|---|---|
| 公開記事 | 264本 |
| 実際に記事が載った日 | 50日 |
| 2本以上公開した日 | 78.0% |
| 1日の最多公開数 | 39本 |
| 公開が0本だった期間 | 2026年1月から4月まで4か月連続 |
| 直近4か月への集中 | 全体の77.3% |
264本がわずか50日に載っていました。毎週決まった本数が出ていく形ではなく、まとめて作ってまとめて出す運用になっていたわけです。(出典: 当社メディアの記事一覧(2026年8月20日取得・公開264本)を公開日ごとに集計 2026-08-25)
上の表は公開があった日だけを数えたものです。公開が1本も無かった月は、2026年1月から4月まで4か月続きました。毎月コンスタントに載っていたわけではありません。
内製化の計画は「月4本」のような本数で立てられがちです。当社の実績は、その前提が崩れうることを示しています。
実記事の下書きは平均152.8日眠る
止まった工数は、公開できた記事にだけ現れるわけではありません。着手したまま出ていない在庫にも、すでに時間が投じられています。
投稿297件のうち、下書きは33本で11.1%でした。このうちスラッグが空でタイトルが検証用に見えるものが14本あり、実記事の下書きは19本です。この19本の滞留日数は平均152.8日、中央値45日、最長309日でした。(出典: 当社メディアの下書き33本の滞留日数を集計 2026-08-25。2026年8月20日取得のデータ)
検証用に見える14本は、タイトルの文字列で機械的に切り分けたものです。実際の用途までは確認していないので、この14本が無駄だったと決めつけることはできません。
それでも、最長309日眠っている書きかけがあるという事実は残ります。内製の予算を組むときは、公開できた本数だけでなく、この在庫も勘定に入れてください。
上限を先に決めて止めています
供給を安定させるために当社が置いている歯止めは、増やす方向ではなく止める方向のものです。
複数メディアの運用にあたって、放置の判定は全サイト一律で30日、作業量は毎週5件で固定としています。回すサイトの数が増えても、週あたりの作業件数は増やしません。(出典: 当社が複数メディア運用で置いている運用上の歯止め・2026年8月時点)
この決め方の要点は、「何本やれるか」ではなく「何件で止めるか」を先に決めているところです。やれる本数から計画を立てると、忙しい月に全部が後ろへずれます。件数を固定しておけば、ずれるのは計画のほうではなく着手の順番だけになります。
内製に移すなら、走り出す前にこの上限を決めてください。止め方を決めていない計画は、止まったときに再開の合図がありません。
Googleは反映に数か月かかると書きます
変更が検索結果に反映されるまでに、数か月かかることがあります。内製に切り替えた効果をいつ判定できるかは、まずここから逆算することになります。
原文はこうです。「変更した結果が Google 側に反映されるまでにはある程度の時間がかかります。数時間かかる変更もあれば、数か月かかる変更もあります。一般的には、数週間待ってから Google 検索の検索結果に良い影響があったかどうか確認することをおすすめします。」
続けて「ただし、変更すれば必ず目に見える変化が現れるというわけではありません」とも書かれています。(SEO スターター ガイド・最終更新 2025年12月18日/2026年8月29日確認)
ここで正確を期しておきます。これは「検索結果への反映にかかる時間」についての記述です。
施策の成果が出るまでの期間を数値で示した公式の記述は、今回確認した範囲では見当たりませんでした。「Googleが効果は半年かかると言っている」という説明についても、裏づけを取れていません。
実務としては、内製に切り替えて数週間で判断しないということです。その数週間ぶんの人件費は、成果が出る前から発生し続けます。
単日の順位では判断できません
順位はそもそも日々動くものです。成果を測るときにも注意が要ります。
当社を含む5サイト・97キーワードを11日連続で記録した5,335データ点から、単日の順位が期間中央値からどれだけ離れるかを数えました。
2,068の観測点のうち、5位以上ずれたのが250で12.1%。10位以上ずれたものも118あり、5.7%を占めました。
隣り合う2日1,880組のうち、順位が同じだったのは72.1%です。(出典: 当社を含む5サイト・97キーワードを11日連続で記録した5,335データ点の集計 2026-08-25)
この記録は5サイトを合算した分布で、自社1サイトの動きを表したものではありません。元データは順位計測サービスからの通知を集計したもので、Googleが公表している順位でもありません。
実務に落とすと、単日の順位を見て内製の成否を判断すると、およそ8回に1回は5位以上ずれた値で判断することになります。期間で見るか、移動平均を重ねてください。順位の変動についてはキーワード検索順位は3つの数値|5,335件で分かった変動幅で詳しく扱っています。
ドメイン力は時間でしか買えません
内製化で短期に動かせるのは、順位を決める要因のうち一部だけです。以下は実測値ではなく、当社が運用の中で整理してきた考え方になります。
当社は順位の決定要因を「定数」と「変数」に分けています。定数にあたるのが原稿の本数とドメイン力で、どちらも中長期でしか動きません。変数はテーマ性・独自性・ユーザー体験・テクニカルSEOで、こちらは短期でも手が入ります。
落とし穴として明記しているのが「ドメイン力の強化に短期で期待しすぎる」です。(出典: 当社の順位決定要因の整理・2026年5月時点。実測値ではなく運用上の考え方)
内製化に置き換えると、こうなります。社内に移して短期に効くのは変数の側だけです。定数の側は、内製にしても外注にしても時間を買うしかありません。ここを混同すると、「内製にしたのに順位が上がらない」という評価になります。
- 人件費に法定福利費を乗せた年額を出し、外注の見積書と並べる
- 週あたりの作業件数の上限と、止まったと判定する日数を先に決める
- 成果を見る期間を数週間より長く取り、単日の順位では判断しない
SEO内製化についてよくあるご質問
まとめ
SEOの内製化で消えるのは外注費だけです。記事1本を作る工程も、成果が出るまでの期間も社内に残り、そこへ人件費と学習の時間が新しく乗ります。安くなる会社もありますが、それは計算してみないと分かりません。
当社の実測では、書き上げた原稿が初回の採点で合格ラインに届いたのは9本中2本、22.2%でした(出典: 前掲・2026-08-25の全数集計)。内製の見積もりで抜けるのは、たいてい書いたあとの工程です。
- 自社の給与水準に法定福利費の料率を乗せて、年額を出す
- 直近3か月に自社サイトへ何本公開できたかを数える
- 社内に置く工程と外に出す工程を、8種類の業務から選ぶ
外注を続ける場合でも自社に残る仕事があります。その線引きはコンテンツSEO会社に頼める範囲と自社に残る仕事の線引きで整理しました。工程の切り分けからご相談を受けることもあります。
「書く人がいない」「AIの品質が不安」という段階からご相談いただけます。調査・執筆・確認・納品までの進め方と品質基準を13ページの資料にまとめました。