Googleトレンドの数字は検索回数ではない|使えるのは向きだけ

「この語はGoogleトレンドで100だから需要があります」。会議でそう言われて、なんとなく納得したことはないでしょうか。ところがその100が何件を指すのかは、誰も答えられません。

結論から言えば、トレンドの数字は検索回数ではなく、指定した期間と地域の中での相対値です。当社がトレンドと同じ0〜100へのそろえ方を自社の公開記事281本に当てたところ、実数を1本も変えていないのに、期間を変えるだけで指数が68ポイント動きました。

読み終えるころには、100と0の意味を自分の言葉で説明できるようになり、資料の作り方を直せます。会議で数字を出されたときに、期間の指定を聞き返せる状態になります。

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目次

先に結論|使えるのは向きだけです

Googleトレンドのグラフの縦軸は検索回数ではありません。指定した期間と地域の中での相対値なので、語の順位付けには使えません。使えるのは、上がっているか下がっているかという向きだけです。

そう言い切れる根拠は、Googleのヘルプにあります。数字は「対象の地域と期間における検索の合計数で割られます」と説明されていました。100が何を指すのかは、公式ヘルプからリンクされた解説のほうに書かれています。

当社でも確かめました。トレンドと同じ0〜100へのそろえ方を自社の公開記事281本に当ててみると、実数を1本も変えていないのに、切り取る期間を変えるだけで指数が最大68ポイント動きます。

ここから明日ひとつ変えられることがあります。報告資料から、トレンドのグラフとキーワードプランナーの数字の「出典としての並記」を外してください。

Googleはヘルプに「これらのソースを一緒に引用しないでください。」と書いています。出典として並記しない、という意味です。悪気なく並べている資料は珍しくありません。

プロの判断基準
  • トレンドの数字は相対値。100は「その期間の最大」で、件数ではない
  • 0と出ていても実数がゼロとは限らない。少ない語はまとめて0の側に置かれる
  • 順位付けには使えない。使えるのは向きと、Search Consoleと組み合わせた「自社だけの動きか市場全体か」の判別

なお、この記事はGoogleトレンドの数字の読み方に絞ります。キーワードの候補をどう集めるかは検索キーワードの調べ方|候補が10語で尽きる理由と6つの源泉で扱いました。

Googleトレンドの数字は検索回数ではありません

グラフの縦軸は、対象の地域と期間における検索の合計数で割った相対値です。件数ではないので、100が何件なのかという問いに答えはありません。見方を間違えると、そのまま判断を間違えます。

この章の引用は、Googleの公式ヘルプと、その公式ヘルプからリンクされているGoogle News Labの解説からです。ただし1点お断りがあります。

Googleは日本語ヘルプの末尾に「AI 翻訳には誤りが含まれている可能性があります。」と自ら書いているため、意味が問題になる箇所は英語版を原典として確かめました。

地域と期間の総検索数で割った値です

各データポイントは、対象の地域と期間における検索の合計数で割られます。正規化のしくみは、ヘルプにそのまま書かれていました。

なお本記事では、0〜100に直したあとの値を「指数」と呼びます。ヘルプ側が使っている言葉は「正規化」です。

相対的な人気度を比較するため、各データポイントが、対象の地域と期間における検索の合計数で割られます。こうした処理を行わないと、検索ボリュームの最も多い地域が常に最上位にランキングされることになるためです。
次に、その算出された数値が、すべてのトピックの総検索数に対する特定のトピックの割合に基づいて、0~100 の範囲で調整されます。

いちばん効くのは、その次に置かれた一文です。

異なる地域で特定の検索キーワードの検索インタレストが同じであっても、必ずしも検索ボリュームの合計が同じであるとは限りません。

つまり、2つの地域が同じ100でも、実際の検索件数は同じとは限りません。割り算の分母が違うからです。

出典はGoogle トレンド ヘルプ「Google トレンドのデータに関するよくある質問」(https://support.google.com/trends/answer/4365533?hl=ja)です。このヘルプには更新日の表示がないため、当社が2026年8月29日に取得した内容として扱います。

100はその期間の最大というだけです

100という数字は、選んだ期間と地域の中でいちばん高かった点に付けられるラベルです。Googleの解説にこう書かれています。

We index our data to 100, where 100 is the maximum search interest for the time and location selected.

だから期間を変えると、100の位置そのものが動きます。同じ解説に、期間を絞った場合の挙動も書かれていました。

If we look at search interest in only March 2016, though, we can see that March 16 has the highest search interest, because we’ve re-indexed our values for just that month.

その月だけで見直したから、順番が変わった。Googleはこれを再インデックスと呼んでいます。

出典は Google News Lab の Simon Rogers 氏による解説「What is Google Trends data — and what does it mean?」(https://medium.com/google-news-lab/what-is-google-trends-data-and-what-does-it-mean-b48f07342ee8)です。

ひとつ断っておくと、これは2016年7月1日の記事です。ただし現在もGoogleの公式ヘルプからリンクされており、100の意味を明示している数少ない一次資料になります。

当社の環境からは掲載元へ直接アクセスできなかったため、アーカイブサービス経由で本文を確認しました。

0は誰も検索していないではありません

グラフに0が並んでいても、その語が検索されていないとは限りません。ヘルプの説明はこうです。

検索したユーザーがほとんどいないもの: データの対象は人気のあるキーワードに限られるため、検索ボリュームの小さいキーワードは「0」と表示されます。

0と出ていても、実数がゼロとは限りません。人気のある語に対象が限られているため、少ない語はまとめて0の側に置かれるからです。

どこから下が0にまとめられるのか、その境目は分かりません。何回未満なら0になるのかは、今回確認した範囲では見つけられませんでした。引用は同じヘルプ(4365533)から、2026年8月29日に取得したものです。

事業に近いキーワードほど検索数は小さくなりがちです。そういう語をトレンドで調べて平坦なグラフが出ても、需要がないと結論づけることはできません。

データは全数ではなくサンプルです

トレンドが見ているのは、Google検索の全部ではありません。

Google トレンドでは、Google に対する実際の検索リクエストから、ほとんどフィルタされていないサンプルを利用できます。このサンプルは、データを匿名化(個人が特定されないようにする)し、分類(それぞれの検索クエリがどのトピックに該当するかを決める)して、集約(ひとまとめにする)したものです。

さらにGoogleは、プライバシー保護のために意図的なノイズを混ぜていると書き添えました。

このようなノイズは常に存在するものですが、検索インタレストが低いクエリやまったくないクエリの場合、特に目立ちます。つまり、そのようなクエリの場合、トレンドのデータには実際の検索インタレストではなく統計的なノイズが反映されている場合があります。

ここは実務に直結する話でした。ニッチな語でぽつんと山が立ち、急上昇しているように見えたとき、それを需要の兆しと読んではいけません。

Googleは同じ箇所で「このような明らかな 1 回限りの急増は、実際の検索アクティビティや個々の検索のエビデンスとは見なせません。」とまで書いています。

なお、サンプルが全体の何パーセントにあたるのかは、今回確認した範囲では書かれていませんでした。

この項の引用はいずれもGoogle トレンド ヘルプ「Google トレンドのデータに関するよくある質問」(https://support.google.com/trends/answer/4365533?hl=ja)からです。更新日の表示がないため、2026年8月29日に取得した内容として扱います。

集計から外れる検索があります

ごく少数の人しか検索していない語、重複した検索、特殊文字を含むクエリ、Googleのプロダクトが内部で発行する検索。この4つは集計から除かれます。同じヘルプに列挙されていました。

除かれるもの ヘルプの記述の要約
ごく少数の人しか検索していない語 検索ボリュームの小さいキーワードは「0」と表示される
短時間の重複検索 同じ人が短時間に繰り返した検索は除かれる
特殊文字を含むクエリ アポストロフィなどの特殊文字を含むものは除外される
Googleの製品・サービスによる検索 AIモードやAIによる概要が行う内部検索を含む

4つ目は、AIモードやAIによる概要というプロダクトが内部で発行する検索が集計に入らない、という意味です。AIによる概要を読んだ人が自分で入力した検索まで消えるわけではありません。

いつからこの記述があるのかは判断できませんでした。このヘルプには更新日の表示がないため、2026年8月29日に取得した時点ではこう書かれていた、という以上のことは言えません。

件数そのものの読み方は、サジェスト系のツールでも同じ問題が起きます。そちらはサジェストツールは件数で選ばない|実測71回でわかる中身と境界で扱いました。

Googleトレンドは条件で数字が変わります

実数がまったく同じでも、切り取る期間を変えるだけで指数は動きます。当社のデータで試したところ、同じ月の値が32から100まで、68ポイント動きました。

先に断っておきます。この章で出す数字は、Googleトレンドのデータではありません。

トレンドが使っている正規化の計算だけを、当社が持っている別のデータに当てて再現したものです。理由と手順は3つ目の項目で説明します。

期間の窓を変えると68ポイント動きました

同じ月・同じ本数でも、切り取る期間を変えるだけで指数は32から100まで動きました。本数は1本も変えていません。

2026年8月29日時点で公開されていた記事281本を月別に数え、その本数を「系列」に見立てて、トレンドと同じ0〜100へのそろえ方を当てた結果です。系列の最大値を100として、各点を四捨五入するだけの計算になります。

公開月 実本数 9か月ぜんぶで正規化 2025年だけで正規化
2025年6月 2本 3 10
2025年8月 17本 27 85
2025年10月 20本 32 100
2025年11月 10本 16 50
2025年12月 11本 17 55
2026年6月 63本 100 対象外

2025年10月に注目してください。9か月ぜんぶを見ると32ですが、2025年だけを切り出すと100になります。差は68ポイントです。

この「9か月」は公開があった月だけを並べたもので、連続した9か月ではありません。実際には2025年6月から2026年8月までのあいだで、公開が0本の月は系列から落ちています。

理由は単純で、100の位置が入れ替わったからです。9か月で見れば最大は2026年6月の63本ですが、2025年だけなら最大は2025年10月の20本になります。20本が100になり、同時に63本は視界から消えます

他の月も同じ向きに動きました。どれも実数は変わっていません。

比較対象を足すと100が15になりました

当社の系列にトレンドと同じ0〜100へのそろえ方を当てると、小さいほうの系列は大きい系列と並べた瞬間に最大値が100から15へ下がりました。

トレンドの比較機能も、並べた系列の最大値を100にそろえる点は同じです。

当社のカテゴリで最も記事数が多い「AI活用・記事制作」(120本)と、最も少ない「AI検索・LLMO」(9本)を並べてみました。

公開月 小さい系列の実本数 単独で正規化 大きい系列と並べて正規化
2026年6月 8本 100 15
2026年7月 1本 13 2
それ以外の7か月 0本 0 0

単独で見れば山の高さは100です。ところが大きい系列と同じ物差しに載せると、最大でも15にしかなりません。

ひとつ正確に書いておきます。0になる月は増えていません。

単独でも比較時でも7か月で同じでした。変わったのは山の高さだけです。

比較機能は便利ですが、規模差のある語を並べると、小さいほうは「ほぼ平坦」に見えます。それは需要がないという意味ではなく、物差しの取り方の結果です。

これはトレンドのデータではありません

上の2つの表は、Googleトレンドで取得した数値ではありません。当社の公開記事の本数に、トレンドと同じ正規化の計算を当てて実演したものです。

そうした理由は2つあります。ひとつは、機械的に取得できなかったことです。

当社が2026年8月29日にGoogleトレンドの公開エンドポイント(trends.google.co.jp の explore API)へアクセスしたところ、HTTP 429 が返りました。

もうひとつは、他のデータと混ぜた図を作りたくなかったから。Googleがヘルプで「これらのソースを一緒に引用しないでください。」と書いているためです。

数え方は次のとおりです。公開WordPressのAPIから公開記事281本の公開月とカテゴリを読み取り、月別に集計しました。読み取りだけで、書き込みはしていません。

正規化は、系列の最大値を100として各点を四捨五入しただけです。

そして当社の公開本数は検索需要ではありません。あくまで需要に見立てた自前の系列で、正規化という計算が何をするのかを見せるための材料です。トレンドで同じ語を調べたらこうなる、という主張ではありません。

ひとつ限定を付けます。同じなのは最後に0〜100へそろえる部分だけで、トレンドはその前に総検索数での割り算とサンプリングを挟みます。正規化の完全な再現ではありません。

それでも、そろえ方の算術は同じです。期間と比較対象を変えたときに何が起きるかは、この実演で十分に伝わります。

日本語版と英語版で数字が違います

比較できるキーワードの上限が、英語版と日本語版で食い違っています。条件で数字が変わるのは、グラフだけではありませんでした。

比較できるキーワードの上限について、英語版はこう書いています。

Compare up to 8 groups of terms at once and up to 50 terms in each group.

一方、日本語版は「一度に最大 5 個のキーワード グループを比較できます。各グループには最大 25 個のキーワードを含めることができます。」となっています。

英語版には、次の注記も付いています。

Note: Classic explore supports comparing 5 groups of terms at once and up to 25 terms in each group.

5と25は旧画面の仕様として書き分けられていました。日本語版は旧仕様のまま残っていると読めます。

Googleは日本語ヘルプに「AI 翻訳には誤りが含まれている可能性があります。」と自ら書いています。

数値が絡む記述は英語版で確かめる。この記事でもそうしました。

なお当社は画面上で実際に何個並ぶかを試していないため、どちらが現在の挙動なのかは確認できていません。

出典はGoogle トレンド ヘルプ「Google トレンドの検索キーワードを比較する」(https://support.google.com/trends/answer/4359550?hl=ja/英語版は末尾を ?hl=en に変えたもの)です。更新日の表示がないため、2026年8月29日に取得した内容として扱います。

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Googleトレンドは他ツールの数字と足せません

トレンドの指数とキーワードプランナーの検索ボリュームは、同じ資料に出典として並記できません。Googleがヘルプで「これらのソースを一緒に引用しないでください。」と明記しています。

そもそも数えているものが違うため、足し引きも成り立ちません。代わりに何を使うかまで見ていきます。

一緒に引用しないでくださいと明記されています

Googleトレンドのヘルプには、Google広告と一緒に引用しないよう明記されています。次の一文です。

注: Google トレンドは Google 広告とは別のデータソースです。これらのソースを一緒に引用しないでください。

英語版も同じ内容です。

Note: Google Trends is a different data source from Google Ads. Please do not cite these sources together.

ひとつ正確に読んでおきます。これは引用(cite)についての記述です。

「トレンドを見ながらプランナーも見る」という作業自体を禁じているわけではありません。禁じられているのは、2つを同じ出典であるかのように並べて示すことになります。

とはいえ実務では、この線引きがそのまま効きます。グラフと数値を1枚のスライドに載せれば、読み手は同じ物差しの数字だと受け取るからです。

出典はGoogle トレンド ヘルプ「トレンドのデータのエクスポート、埋め込み、引用を行う」(https://support.google.com/trends/answer/4365538?hl=ja)です。更新日の表示がないため、2026年8月29日に取得した内容として扱います。

キーワードプランナーの数字も概数です

足し引きできない理由は、トレンド側だけにあるのではありません。プランナー側の数字も、そのまま足せる値ではないとGoogleが書いています。

検索ボリュームのデータは概数です。複数の地域を対象にキーワード候補を取得した場合は、各地域での検索ボリュームを足した値が期待どおりの値にならない可能性があります。

集計の単位も違いました。プランナーの月間平均検索ボリュームは「指定した月単位の期間と検索ネットワーク上の地域で、キーワードとその類似パターンが検索された平均回数」と定義されています。

こちらも期間と地域の指定に依存し、そのうえ表記ゆれや近い言い回しをまとめた数字です。

片方は期間と地域で割った相対値、もう片方は類似パターンを束ねた概数。そもそも数えているものが違います。

出典はGoogle 広告 ヘルプ「キーワード プランナーの予測について」(https://support.google.com/google-ads/answer/3022575?hl=ja)です。

このページも日本語版にはAI翻訳の注記が入るため、英語版の「Your search volume statistics are rounded.」も確かめました。更新日の表示がないので、2026年8月29日に取得した内容として扱います。

プランナー側の数字の読み方はキーワードプランナーとは?無料での使い方と数字の読み方を解説で詳しく扱いました。

2つは補完関係として説明されています

Googleは2つを優劣ではなく、目的の違いとして説明しています。

Google 広告の検索語句レポートは、特に広告主向けとして、月間の検索ボリュームや平均の検索ボリュームについて分析情報を提供するものです。一方、Google トレンドは、より詳細なデータをリアルタイムでさらに掘り下げることを目的としています。

この記述はトレンド側のヘルプ(4365533・2026年8月29日取得)にあります。なお英語版は旧名称の「AdWords」のままで、日本語版だけが「Google 広告」に置き換わっていました。

つまり、規模を知りたいならプランナー、動きを知りたいならトレンド。この役割分担で使い分けます。

ここまでを整理すると、トレンドで決めてよいことと、決めてはいけないことがはっきりします。

トレンドで決めてよいこと トレンドでは決められないこと
上がっているか下がっているかの向き 語の検索回数と、その多い少ない
山や谷がいつ来るかという時期 語どうしの優先順位づけ
Search Consoleで特定したクエリが、自社だけの動きか市場全体の動きかの判別 ニッチな語に需要があるかどうか

右側を決めたいなら、別の数字が必要でしょう。

引用するときは帰属表記が要ります

トレンドの画面を載せるなら、出所として「Data source: Google Trends」とURLを添えます。Googleが書き方まで指定していました。

Example: To use a screenshot of Trends data, add “Data source: Google Trends (https://www.google.com/trends).”

スクリーンショットを使うなら、この一行を添えてくださいという指定です。社内資料でも、外部に出る記事でも同じように扱っておくほうが安全でしょう。

あわせて英語版には、次の記述もあります。

You can use any information from Google Trends, subject to the Google Terms of Service. If you reuse Trends data, attribute the information to Google with a citation.

使ってよいが、出所は明示する。それがGoogleの求めている形です。

出典はGoogle トレンド ヘルプ「トレンドのデータのエクスポート、埋め込み、引用を行う」(https://support.google.com/trends/answer/4365538?hl=ja/英語版は末尾を ?hl=en に変えたもの)です。更新日の表示がないため、2026年8月29日に取得した内容として扱います。

使えるのは「向き」だけです

絶対値が要らない用途なら、トレンドは十分に働きます。Googleが公式ドキュメントで挙げているのは、自社だけの落ち込みなのか市場全体なのかを見分ける使い方です。

決めてよいのは向きと時期の2つで、それ以外は別の数字が要ります。この章ではその2つを具体化します。

自社だけの下落か市場全体かを見分ける

アクセスが落ちたとき、原因が自社にあるのか市場全体なのかを切り分ける。これがGoogleの挙げるトレンドの使い道です。検索セントラルにこう書かれています。

パフォーマンス レポートを使用して、一度に 1 つだけクエリを含める(最もトラフィックの多いクエリを選択します)ようにフィルタを適用することで、クリック数とインプレッションが減少したクエリを見つけます。次に Google トレンドで、その減少が自分のウェブサイトに関してだけなのか、すべてのウェブサイトに共通して起こっていることなのかを把握してください。

この用途に絶対値は要りません。必要なのは、市場全体の線が下を向いているかどうかだけだからです。相対値でも判断できます。

ただし手順をよく読んでください。まずSearch Consoleで落ちたクエリを特定し、そのうえでトレンドを見るという順番です。トレンドだけを開いても、自社の何が落ちたのかは分かりません。

出典はGoogle 検索セントラル「Google 検索トラフィックの減少をデバッグする」(https://developers.google.com/search/docs/monitor-debug/debugging-search-traffic-drops?hl=ja)です。ページ内の表記は最終更新日 2025-12-18 UTC で、当社は2026年8月29日に取得しました。

季節の山がいつ来るかを見る

もうひとつの使い道が、山と谷の時期をつかむことです。同じドキュメントが、季節性を検索トラフィックが動く要因として挙げていました。

新しい流行や季節によりユーザーの行動が変化することで、特定のクエリの需要が変わることがあります。つまり、トラフィックは外部的な影響の結果として減少することがあります。

そしてGoogleは、その強さが一律ではないとも書き添えました。「季節性の度合いは業界によって異なります。」という一文です。

時期を知るだけなら、指数で足ります。何件かは分からなくても、11月から上がり始めるのか、12月に一気に来るのかは読めるからです。

季節性の強さは業態で違います

業態で振れ幅が違うことは、日本の公的統計でも確かめられます。2025年の月次データで、12月が年平均の何倍になるかを見ると次のようになりました。

対象 12月÷年平均 12月÷最小月
百貨店の販売額 約1.38倍 約1.57倍
ネットショッピング支出 約1.17倍 約1.32倍
小売業計の販売額 約1.13倍 約1.22倍

同じ12月でも、百貨店とネットと小売全体では山の高さが違います。自分の業態がどれに近いかで、身構える月も変わってきます。

出典は3つです。経済産業省「商業動態統計」の「業種別商業販売額」小売業計(単位10億円)と、同「百貨店・スーパー商品別販売額」の百貨店合計(単位百万円)。

3つ目が総務省「家計消費状況調査」のインターネットを利用した支出総額(二人以上の世帯・単位円)です。いずれもe-Stat(https://www.e-stat.go.jp/)および総務省統計局から2026年8月29日に取得しました。

倍率はいずれも当社が算出したもので、原典に載っている数値ではありません。

3つの系列は単位も母集団も別なので、金額そのものを横並びに比べることはできません。比べてよいのは倍率だけです。家計消費状況調査は二人以上の世帯が対象で、商業動態統計は2025年1月に水準の調整があったため、年をまたぐ比較も避けました。

そしてこれは実際の販売額の季節変動であって、検索の季節変動ではありません。12月に売れているからといって、12月に検索が増えるとは限らない。検索側の季節性はGoogleの記述を根拠にし、この表は実需要の裏づけとして並べています。

結論ではなくデータポイントの1つです

Google自身が、トレンドを「結論を出す前の、数あるデータポイントの1つ」と位置づけています。

Google Trends data should always be considered as one data point among others before drawing conclusions.

結論を出す前の、数あるデータポイントの1つ。同じページには「このデータが検索アクティビティの実態を完璧に反映したものではないこと」という注意も置かれています。

いずれもGoogle トレンド ヘルプ「Google トレンドのデータに関するよくある質問」(https://support.google.com/trends/answer/4365533?hl=ja)からで、2026年8月29日に取得した内容です。

作った側がここまで慎重に書いている道具を、順位付けの根拠に使うのは無理があります。向きを見る、時期を見る。それ以上を求めない使い方が結局いちばん長持ちします。

今泉の視点:企画会議で「この語はトレンドで100だから需要がある」と言われたら、期間の指定を聞いてください。窓を変えれば100はいくらでも作れます。当社の実演でも、20本の月が100になりました。

運用のどこに置くかを先に決めます

トレンドを開く前に決めておくのは、期間・地域・比較対象の3つです。開いてから動かすと、都合のいい形が出るまで触り続けることになります。

トレンドを開く前に決める3つ
  • 期間(何か月を見るのか。毎回同じ窓にそろえる)
  • 地域(全国か、事業エリアか)
  • 比較対象(並べるのか、単独で見るのか)

会議でそのまま口に出せる質問文にすると、次の3つです。

決める項目 そのまま聞ける質問
期間 「その100は、何か月で切ったときの100ですか」
比較対象 「並べている語の規模は、だいたい同じくらいですか」
使い道 「この数字で決めたいのは、順位ですか、それとも時期ですか」

3つ目の質問が効きます。順位を決めたいなら、トレンドでは足りません。

どのツールをどの工程に割り当てるかはキーワードツールの使い分け|工程への割り当てと調べ終わりに整理しました。

Googleトレンドについてよくあるご質問

企画会議や資料づくりの場面で出てきやすい質問を4つ置きました。いずれもこの記事で扱った範囲での回答です。

Googleトレンドの100は何件の検索を意味しますか?

100は件数ではなく、選んだ期間と地域の中で最も高かった点に付くラベルです。この定義は、公式ヘルプからリンクされたGoogle News Labの2016年の解説にあります。期間を変えれば100の位置も動くわけです。当社がトレンドと同じ0〜100へのそろえ方を自社の公開記事281本に当てた実演でも、期間を切り替えるだけで20本の月が100になりました(Googleトレンドのデータではありません)。

0と表示された語は誰も検索していないのですか?

0と表示されても、実数がゼロとは限りません。Googleは「検索ボリュームの小さいキーワードは「0」と表示されます」と書いており、少ない語はまとめて0の側に置かれます。何回未満で0になるのかは、今回確認した範囲では見つけられませんでした。

キーワードプランナーの数字と一緒に使えますか?

トレンドの指数とキーワードプランナーの検索ボリュームは、Googleが別々のデータソースとして扱っている数字です。ヘルプには「注: Google トレンドは Google 広告とは別のデータソースです。これらのソースを一緒に引用しないでください。」と明記されています。作業として両方を見ること自体は妨げられていませんが、出典として並記はしない、という線引きです。

Googleトレンドは何を決める材料になりますか?

向きと時期の2つです。Googleの公式ドキュメントは、Search Consoleで落ちたクエリを特定したうえで、その減少が自社だけのものか他のサイトにも共通しているかを見分ける用途を挙げています。どちらも絶対値が要らない判断です。逆に、語の優先順位づけには使えません。急上昇しているように見えても、それだけで需要の大きさは読めません。

まとめ

Googleトレンドの数字は検索回数ではなく、期間と地域の中での相対値です。100はその期間の最大というだけです。0も「誰も検索していない」とは限らず、検索ボリュームの小さい語がまとめて0の側に置かれた結果のこともあります。

当社が同じ0〜100へのそろえ方を自社データに当てたところ、実数を変えずに期間を切り替えるだけで、20本の月が100になりました。順位付けの根拠にはできない数字です。

明日、資料を開いてやること
  • トレンドのグラフとキーワードプランナーの数字を、出典として並記しない
  • 載せるなら「Data source: Google Trends (https://www.google.com/trends)」を添える
  • 期間・地域・比較対象を、開く前に決めて毎回そろえる

どの語をどう狙うかは事業の状況で変わるため、そこは個別に詰めていきましょう。キーワード選定の全体像はSEOキーワード選定のやり方|勝てる選び方と手順・ツールにまとめています。判断に迷う段階でも構いませんので、運用の設計から当社にお声がけください。

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この記事を書いた人

株式会社街中文学 代表。DBSEO(データベース型SEO)・LLMO(AI検索最適化)・コンテンツマーケティングを専門に、東証上場企業や月間4,500万セッション級メディアのSEO支援を行ってきました。AIライティングSaaS「buncraft」を開発・運営。本メディアの全記事を執筆・監修しています。

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