「もっと安いところはないのか」。SEO対策の見積もりを見て、そう思ったことはないでしょうか。調べると月額数千円をうたうサービスまで出てきて、価格の幅がありすぎて何を基準に選べばいいのか分からなくなります。
先にお伝えすると、安いかどうかは金額だけでは決まりません。浮いた金額と、増える自社の時間を並べて初めて分かります。当社は月間4,500万セッション級メディアの支援現場で、この見方を使ってきました。
この記事では、格安のプランがなぜ安いのかを3つに分解します。そのうえで、安く済ませてよい場合とそうでない場合、契約前に確かめること、費用そのものを下げる方法をお伝えします。読み終えたときには、目の前の提案が自社にとって安いのかを自分で判断できるはずです。
コンテンツ監査からトピッククラスター設計、KPI・CVR設計まで、検索流入と問い合わせにつながるメディア戦略を整えます。記事は増えたのに成果が伸びない、という企業向けのコンサルティングです。
先に結論:安さは金額でなく自社の時間も含めて見ます
まず最初に、結論からお伝えします。格安のSEO対策は、次の3点で整理できます。
- 安さは「範囲」「時間」「設計」のどれかを削って生まれます
- 削ってよい工程と、削ると成果が出なくなる工程があります
- 比べるときは金額に自社が使う時間を足します
1つ目は、安さの正体です。SEOの費用の大半は人が動く時間の対価ですから、価格が下がる理由はやることが少ないか、動く時間が短いか、どちらかに行き着きます。この2つは、自社の状況によっては選んでよい安さです。
2つ目は、注意したい安さです。何をやるかを決める工程が入っていない場合、それは安いのではなく足りていません。決める仕事は消えたわけではなく、自社側に戻ってきているだけだからです。
3つ目は、比べ方の問題です。たとえば月5万円の提案と月15万円の提案は、そのままでは比べられません。それぞれで自社が月に何時間使うことになるのかを足して、初めて同じ物差しに乗ります。
安さを疑う必要はありません。ただ、金額だけを見て決めると、あとから時間という形で払うことになります。
格安のSEO対策が安いのは3つの削り方があるから
SEOの費用は、その大半が人の動く時間に対して払うものです。ですから安いプランには、何かを削った理由があると考えてください。削り方は大きく3つに分かれ、そのうち2つは選んでよい安さ、1つは注意したい安さになります。

作業の範囲が狭いから安い
1つ目は、やることの数が少ないから安いという削り方です。これは最も分かりやすく、そして最も健全な安さになります。
たとえば、記事を書くところだけを請け負う。サイトの内部の設定を直すところだけを請け負う。手を動かす範囲を限定すれば、そのぶん金額は下がります。
何をやるかがすでに決まっている会社にとっては、無駄のない頼み方です。
確かめておきたいのは、範囲の外に何が残るのかという点です。記事を書く部分だけを頼んだ場合、どのキーワードで書くかを決める仕事は自社に残ります。そこまで含めて安いのかどうかを見てください。
金額の相場そのものは、費用の内訳と料金体系をまとめた記事で詳しく扱いました。
手順が決まっていて時間が短いから安い
2つ目は、やり方が固まっているから速く終わるという削り方です。同じ作業を何度も繰り返している会社ほど、1件あたりの時間は短くなります。
サイトの状態を調べる手順や、記事を書く型、公開後に見る数字の並びが社内で標準化されていれば、毎回ゼロから考える必要がありません。効率化によって安くなっているのは、この形です。
ただし、型が決まっているということは型から外れた事情に合わせにくいということでもあります。業界の慣習が特殊だったり、扱う商材の説明に前提知識が要ったりすると、型に収まらない部分が出てきます。自社がその型に当てはまるかどうかで、選ぶかどうかを判断してください。
設計と判断が入っていないから安い
3つ目は、注意したい削り方です。何をどの順でやるかを決める工程が、そもそも含まれていない場合があります。
作業そのものの単価なら下げられるはずです。しかし「このサイトでは何から手をつけるべきか」を決める工程には、人が考える時間がかかります。金額を下げようとすると、ここは最初に削る候補になるのです。
問題は、その仕事が消えるわけではないことにあります。決める人がいなくなれば、判断は発注した側に戻ってきます。「安い」のではなく、自社側の仕事が増えている状態だと考えてください。
設計が削られた安さは、このあと見ていく「実質のコスト」に直結します。
| 安さの理由 | 削られているもの | 自社に残る仕事 | 選んでよいか |
|---|---|---|---|
| 範囲が狭い | やることの数 | 範囲の外にある作業と判断 | 状況が合えば選べる |
| 時間が短い | 1件あたりの作業時間 | 型に収まらない部分の対応 | 状況が合えば選べる |
| 設計が入らない | 何をやるかを決める工程 | 方針を決める仕事そのもの | 受け取れる人がいるかで決まる |
安く済ませてよい場合とそうでない場合
安いプランが向くかどうかは、サービスの善し悪しではなく自社の状況で決まります。同じプランでも、噛み合う会社と噛み合わない会社があるだけです。両方の条件を並べたうえで、極端に安い価格帯についても考えてみましょう。

安さが噛み合う状況
次のような場合、安いプランはうまく機能します。決める仕事が自社側にあっても回るという共通点があるからです。
- 何をやるかがすでに決まっていて、手が足りないだけの場合
- 社内にSEOを分かる人がいて、方針を出せる場合
- まず小さく試して、続けるかどうかを判断したい場合
- 扱う商材が一般的で、説明に前提知識が要らない場合
特に3つ目は、多くの中小企業に当てはまります。いきなり大きな金額を投じるより、範囲を絞って試すほうが判断材料は集まります。安く始めること自体は、まったく悪い選択ではありません。
安さが裏目に出る状況
反対に、次のような場合は安さが裏目に出ます。決める仕事を受け取れる人が自社にいないためです。
- 何から手をつければよいか分からない状態で頼む場合
- 担当者が兼務で、確認や判断に時間を割けない場合
- 業界の事情が特殊で、型どおりの進め方が合わない場合
- すでに他社と競合が激しく、標準的な施策では届かない場合
この状態で作業だけを安く頼むと、指示がないまま作業が続いてしまいます。半年経って振り返ったとき、そもそも狙いが定まっていなかったと気づくのです。当社にご相談いただく中でも、この流れはよく見かけます。
ワンコインの価格帯で人はどれだけ動けるのか
月額数百円から数千円という価格を見かけたときは、その金額で人が何時間動けるかを考えてみてください。ここが判断の分かれ目になります。
仮に月3,000円だとすると、人件費に置き換えられる時間はごくわずかです。つまりその価格帯で提供できるのは、人が都度考えて動くものではなく、仕組みで自動的に処理できるものに限られます。ツールによる診断や、決まった形式のレポートがこれに当たります。
それが無意味だという話ではありません。自社の状態を機械的に点検する道具として使うなら、十分に役目を果たします。
ただし「何をすべきか」を人が考えて示す仕事は、その価格には含まれていないと理解したうえで使ってください。診断結果を受け取ったあと、どれから手をつけるかを決めるのは自社の仕事になります。
金額に自社の時間を足して比べる
安い提案と高い提案は、金額を並べただけでは比べられません。安いほうを選ぶと自社の作業が増えるためです。両方を同じ物差しに乗せる方法を、順にお伝えします。

安いほうを選ぶと増える自社の時間
2つの提案を並べたとき、安いほうにだけ増えるものがあります。増えるのは、御社の担当者が動く時間です。
範囲の広い提案では相手がやってくれることも、安い提案では自社に残ります。どのキーワードを狙うかを決める、原稿の方向性が合っているかを判断する、直す優先順位をつける、続けるかどうかを見極める。削られた工程のぶんだけ、こうした決める仕事が自社側に積み上がっていきます。
ここで大切なのは、2案で増え方が違うという点です。どちらにも多少の時間はかかりますが、安いほうは決める仕事まで戻ってくるため、増え方が急になります。
見積書1枚をどう読むかは費用の内訳と料金体系をまとめた記事で扱いました。ここでは2案を比べる話に絞ります。
実質のコストを出してみる
計算は難しくありません。月に発生する自社側の作業を書き出し、回数と1回あたりの時間を掛けます。そこに担当者の時給を掛ければ、金額に直せるはずです。
たとえば記事を月4本作る契約を考えます。キーワードの決定が4回、原稿の確認が4回、修正の指示が4回、公開前の承認が4回で、合わせて16回です。
1回30分なら合計8時間になります。担当者の時給を3,000円とすれば、月24,000円が自社側で発生している計算です。
この数字を契約金額に足したものが、実質のコストです。当社がお見積もりをお出しするときも、金額と一緒に御社側の想定時間を並べてお見せしています。下のような表にすると、比べやすくなります。
| 項目 | 安いプラン | 範囲の広いプラン |
|---|---|---|
| 契約金額 | ここに月額を書く | ここに月額を書く |
| 自社が使う時間 | 月に何時間か | 月に何時間か |
| 時間を金額に直す | 時間 × 担当者の時給 | 時間 × 担当者の時給 |
| 実質のコスト | 契約金額 + 上の金額 | 契約金額 + 上の金額 |
時給が分からない場合は、月給を160で割ったおおよその数字で構いません。正確さより、両方の提案を同じ計算で並べることに意味があります。
安いほうが高くつく逆転が起きる
この計算をすると、金額の順位が入れ替わることがあります。契約金額が安いプランのほうが、実質では高くなる場合があるのです。
作業だけを任せる契約では、方針を決める仕事が自社に残ります。決める仕事は手を動かす作業より時間がかかるうえ、多くの場合それができる人は社内で最も忙しい立場にいます。その方の時間を月に10時間使うなら、金額に直すと決して小さくありません。
さらに、時間が取れないまま契約が進むと、確認待ちで作業が止まります。止まっている間も契約は消化されますから、払った金額に対して動いた量は減ってしまうのです。
つまり「高いほうを選ぶ」ではなく「実質で安いほうを選ぶ」という判断がありうるわけです。表に数字を入れて初めて、その逆転が見えてきます。金額だけを見ていたときには、そもそも比べる土俵に乗っていませんでした。
コンテンツ監査からトピッククラスター設計、KPI・CVR設計まで、検索流入と問い合わせにつながるメディア戦略を整えます。記事は増えたのに成果が伸びない、という企業向けのコンサルティングです。
契約の前に確かめておきたいこと
安さそのものより避けたいのは、安さの理由が危うい施策にあることです。見積もり全般の注意点は見積もりの読み方をまとめた記事で扱いましたので、ここでは安さの理由に絞って3つの観点をお伝えします。

順位の保証を安さの根拠にしていないか
「この価格で1位を保証します」という提案を受けたら、そこで立ち止まってください。Googleは業者を選ぶときの注意点として、次のように述べています。
「Google で一番上に掲載されることは誰にも保証できません。サイトの掲載順位を保証すると主張する業者、Google との「特別な関係」を強調する業者、Google への「優先登録」を宣伝している業者には注意が必要です」。SEO 業者の利用を検討する(Google検索セントラル)
保証できないものを保証と書けるのはなぜでしょうか。成果ではなく作業だけを納品する前提だからです。順位が動かなくても、約束した作業さえ済ませれば契約は果たしたことになります。
つまり順位の保証は、この記事の最初に見た3つの削り方でいえば設計と判断が入っていない安さのサインになります。何をどの順でやるかを決める工程があるなら、そもそも順位を約束する必要がありません。
リンクを買う施策が入っていないか
安いプランで見かけるのが、他のサイトからのリンクを増やすという施策です。リンクが増えること自体が問題なのではありません。お金を払って設置してもらう形が問題になります。
Googleはスパムに関するポリシーの中で、リンクスパムを「検索ランキングを操作することを主な目的として、サイトへのリンクやサイトからのリンクを作成する行為」と定義しました。該当する行為として「ランキングを上げることを目的としたリンクの売買」が挙げられ、具体的には「リンク自体やリンクを含む投稿に関して金銭をやり取りする」ことが示されています。Google ウェブ検索のスパムに関するポリシー
過剰な相互リンクや、質の低いディレクトリやブックマーク サイトのリンクも同じ一覧に並んでいました。安さの理由がここにある場合、リスクを負うのは発注した側のサイトです。施策を行った会社ではありません。
自然な増やし方との線引きは、被リンクの効果と危険な集め方をまとめた記事で詳しく扱っています。
なぜ安いのかを説明できるか
3つ目は、いちばん簡単で効果のある確認方法です。「なぜこの価格でできるのですか」と聞いて、答えが返ってくるかを見てください。
この記事の最初に見た3つの削り方を思い出してください。範囲を絞っているのか、手順が固まっていて速いのか、それとも設計の工程が入っていないのか。まっとうな会社であれば、このどれに当たるかを説明できます。
- この価格は、範囲を絞った結果ですか、手順が固まっているからですか
- この価格に含まれない作業と、それを社内の誰がやるのかを教えてください
- 毎月どんな作業をして、何を提出していただけますか
- 3か月後、何がどうなっていれば順調と判断しますか
答えが曖昧なまま契約すると、成果が出なかったときに何を改善すればよいかも判断できません。Googleも、聞いた主張について批判的に考え、独自の情報を基に判断するよう勧めています。発注前に確かめる7つの観点をまとめた記事も、契約前の確認にお使いください。
費用そのものを下げる3つの方法
予算に限りがあるなら、安い会社を探す以外にも道があります。必要な費用そのものを下げるという方法です。どれも自社の側で決められることばかりで、業者選びより先に手をつけられます。

任せる範囲を絞る
1つ目は、やってもらうことを絞り込む方法です。全部を任せる前提で見積もりを取るから高くなるのであって、範囲が決まっていれば金額は自然と下がります。
当社が支援のご相談をいただくときも、最初に確認するのは「どこまで任せるか」です。ここが決まっていないまま各社に問い合わせると、前提の違う提案が並び、金額だけで比べることになってしまいます。
絞り方の目安は、自社でやると時間がかかりすぎるものから外に出すことです。記事を書く作業は時間がかかりますが、どのテーマで書くかを決める判断は社内のほうが速い場合があります。任せ方の種類については、依頼前に決める3つと任せ方の違いをまとめた記事で整理しました。
期間を区切って試す
2つ目は、最初から長い契約を結ばない方法です。3か月なら3か月と決めて、その間に何がどこまで進むのかを見ます。
気をつけたいのは、長期の縛りがある契約です。途中でやめられない条件になっていないか、解約するときに何が必要なのかを、契約前に確かめておいてください。試すつもりで始めたのに1年動けない、という事態は避けられます。
ただしSEOは成果が出るまでに時間のかかる取り組みですから、短すぎる期間では判断がつきません。期間を区切るときは「何をもって続けると決めるのか」を先に握っておくことが大切になります。順位が上がったかどうかではなく、予定した作業が予定どおり進んだかで見るほうが、短い期間では判断しやすくなります。
内製と外注を分ける
3つ目は、自社でできることを自社でやる方法です。これがいちばん費用は下がるものの、その分だけ時間を使うことになります。
Googleは「小規模なローカル ビジネスの経営者は、おそらく、作業の多くを自分で行うことができます」と述べており、始め方としてSEO スターター ガイドを案内しています。小規模なローカル ビジネスの経営者なら作業の多くは自分でできるだろう、というのがGoogleの見立てです。当てはまる規模なら、まず手を動かしてみてください。
分け方の考え方はシンプルです。繰り返し発生して時間のかかる作業は外に、判断が必要で自社の事情を知らないとできない仕事は中に置きます。自社で書いてみたい場合は、検索で読まれる記事の書き方をまとめた記事を入口にしてください。
| 費用の下げ方 | 向いている状況 | 注意したいこと |
|---|---|---|
| 任せる範囲を絞る | 自社でやると時間がかかる作業がはっきりしている | 範囲の外に残る判断を誰がやるかを決めておく |
| 期間を区切って試す | 続けるかどうかをまず見極めたい | 長期の縛りと、続ける判断の基準を先に確かめる |
| 内製と外注を分ける | 社内に手を動かせる時間が少しでもある | 費用は下がるが、そのぶん自社の時間を使う |
今泉の視点:「安くしてほしい」とご要望をいただいたとき、私は金額を下げる前に、任せる範囲のほうを一緒に見直します。金額だけを削ると、削られた仕事がそのままお客様側に移るだけだからです。
以前、ご予算に合わせて範囲を狭くしたことがありました。結果として、原稿の確認や方針の判断がお客様側に増え、担当の方が兼務のために手が回らなくなってしまったのです。安くなったはずが、進まない時間だけが過ぎていきました。
それ以来、範囲を狭めるときは「この部分は御社でどなたが、月に何時間かけますか」を先に確かめるようにしています。答えられないなら、そこは狭めてはいけない場所だと考えるようにしました。
格安のSEO対策についてよくあるご質問
まとめ
格安のSEO対策が安いのは、範囲・時間・設計のどれかを削っているからです。範囲と時間を削った安さは自社の状況次第で選べますが、設計と判断を削った安さは、その仕事が自社側に戻ってくるだけになります。
提案を比べるときは、契約金額に自社が使う時間を足してください。同じ計算で並べると、安く見えたほうが実質では高いという逆転が見えることもあります。
まずは手元の提案について、自社側で月に何時間かかるのかを数えてみてください。その数字が出せないうちは、金額だけで決めないほうが安全です。範囲の決め方から迷われている場合は、そこからご一緒します。
コンテンツ監査からトピッククラスター設計、KPI・CVR設計まで、検索流入と問い合わせにつながるメディア戦略を整えます。記事は増えたのに成果が伸びない、という企業向けのコンサルティングです。
