「どこも戦略設計から記事制作、効果測定まで一気通貫と書いてある。結局、何を基準に選べばいいのだろう」。コンテンツSEO会社の候補を比べようとして、こう感じた方は少なくないはずです。
街中文学のライティングチームは、2023年の創業以来、顧客向け記事を累計1,000本以上納品してきました(2026年7月時点)。その現場からお伝えしたいのは、比べるべきなのは会社ではなく、渡すもの・任せるもの・自社に残るものの線引きだということです。
読み終えるころには、どこに問い合わせても同じ質問ができ、返ってきた答えを同じ物差しで並べられるようになります。稟議に必要な依頼範囲と社内工数も、ご自身の言葉で書けるはずです。
コンテンツ監査からトピッククラスター設計、KPI・CVR設計まで、検索流入と問い合わせにつながるメディア戦略を整えます。記事は増えたのに成果が伸びない、という企業向けのコンサルティングです。
先に結論:頼める範囲と残る仕事を先に決めます
まず最初に、結論からお伝えします。
- 外に出せるのは記事を作り続ける仕組みまでです
- 社内にしかない事実の確認と表示の管理は買えません
- 契約が終わった後に残るものは契約の前に決まります
1つ目は、任せられる範囲の話です。コンテンツSEO会社に出せる仕事は、記事の執筆だけではありません。何を書くかを決める工程も、公開した後に測って直す工程も外に出せます。
当社にも、原稿を1本も書かずに終えた案件があります。ただし、その仕組みを動かす材料そのものは社内にしかありません。
2つ目は、お金を払っても移せないものの話です。自社の商品仕様や過去の実績、社内で使っている呼び方は、外注先の手元にありません。外注先が持っていない事実を、外注先が確かめることはできないのです。
そのうえ景品表示法は、自社が供給する商品やサービスに関する表示について、適正に管理する体制の整備を事業者の義務としています。外注先の原稿に赤を入れられる立場の人を置く必要があるのです。
3つ目は、終わり方の話になります。記事の著作権は書いた側に残るのが、国が配っている契約書ひな形の初期値です。契約が終わった後に自社で記事を作り直すつもりなら、契約書の書き方まで踏み込んで決めておく必要があります。
制作の過程で生まれた設計資料や作業の記録も、契約が切れてから頼んでも受け取れません。
| 仕事の中身 | どちらの手に残るか |
|---|---|
| 何を書くか決める・書く・出す・測る | 外に出せる |
| 社内にしかない事実の確認と表示の管理 | 自社に残る |
| 記事の権利と制作過程の記録 | 契約の前に決める |
なお、この記事では他社の実名を並べた一覧を作りません。当社自身が候補に入る領域で順位をつければ、読者のための比較ではなく自社の営業資料になってしまうためです。代わりに、どこに頼むとしても同じように使える判断の物差しをお渡しします。
コンテンツSEO会社に任せられる仕事の範囲
コンテンツSEOの依頼と聞いて最初に思い浮かぶのは、記事の執筆ではないでしょうか。ただ、検索から人が訪れるまでには、書く前と書いた後にも仕事があります。Googleの公式ドキュメントが示す全体像と、当社が実際に請けてきた仕事の形、そして原稿の納品には含まれない作業を順に見ていきます。

記事を書く前と後にある3つの工程
記事を書く作業は、検索から人が訪れるまでの一部分にすぎません。原稿が仕上がった時点では、まだ何も始まっていないほうが実態に近いのです。
Googleは検索の仕組みを3つのステージで説明しています。ページの中身を自動プログラムが読み取るクロール、読み取った内容を解析して巨大なデータベースに保存するインデックス登録、そして検索語句に応じて情報を返す検索結果の表示です。同じページには、次の但し書きも置かれています。
「ページが Google 検索の基本事項に準拠していても、ページがクロールされてインデックスに登録され、検索結果に表示される保証はありません。」(Google 検索セントラル・最終更新日 2025年12月18日)
書けば載るとはかぎらない、という前提がここにあります。では、書く前と書いた後には何があるのでしょうか。
Googleは「最も影響が大きい対策」を7つ挙げています。最初に置かれているのは、有用で信頼性の高い、ユーザー第一のコンテンツを作ることでした。記事の中身がまず土台になるという順番です。
注目したいのは、そのすぐ後に続く2つの項目になります。1つは、ユーザーが検索に使う単語を選び、ページのタイトルや見出しに配置する作業です。もう1つが、サイト内のリンクをクローラーがたどれる状態にしておく作業になります(Google 検索の基本事項・最終更新日 2025年12月18日)。
前者は書く前の設計にあたり、後者はサイトの作りそのものを指しています。どちらも原稿用紙の上では終わらない仕事です。
書いた後には、測る仕事と直す仕事が控えています。測るほうで使うのは、検索結果での見え方を調べる無料ツールのSearch Consoleです。Googleは毎日ログインする必要はないとしたうえで、データが安定していることを確認するため月に1回程度のチェックをすすめています。
直すほうは、検索からの流入が減ったときに原因を切り分ける作業から始まります。サーバーが止まっていたり、検索エンジンに読み取りを断る設定が入っていたりする技術的な問題なのか、それとも流行や季節によって検索する人自体が減ったという外側の事情なのか。この2つは対処がまったく違います。
依頼の範囲を「記事を書くこと」だけで捉えていると、この前後がどちらの仕事なのか決まらないまま契約が始まります。会社の業態そのものによる違いはSEO会社の4つの型と選び分け方で整理していますので、あわせてご覧ください。
執筆以外だけを請けている実際の形
外に出ていく仕事は、執筆とはかぎりません。当社がこれまでに請けてきた案件にも、原稿を1本も書いていないものがいくつもあります。
| 支援した現場 | 当社が担当した範囲 |
|---|---|
| 東証プライム上場企業の金融系サイト | すでに公開されている記事のリライト提案書の作成 |
| 月間4,500万セッション級のニュース系サイト | 記事構成の作成とリライト提案書の作成 |
| 新規に立ち上げるサイト(IT・不動産) | 公開前のサイト構成とSEO戦略の設計 |
3つ目の案件では、記事がまだ1本もない段階から関わりました。書く材料がそろっていない時期にも、外に出せる仕事はあります。反対に、原稿を書ける人が社内にいる会社でも、何を書くかを決める工程だけを外に出す形は成り立ちます。執筆そのものをどこまで任せられるかは記事制作の外注はどこまで任せられる?で詳しく扱いました。
専門の仕事を外に出すこと自体、日本の企業では珍しい選択ではありません。総務省の令和7年版情報通信白書によると、システム開発を外部ベンダー主体で進めている日本企業は55.7%でした。主に外部ベンダーへ委託している層と、ほぼすべての開発を委託している層を合わせた数字で、白書のデータ集から算出されています。
自社主導が8割から9割を占める米国・ドイツ・中国とは対照的な結果です(日本の回答企業515社。総務省「令和7年版 情報通信白書」および同データ集)。
ただし白書自身は、この数字を内製化の遅れという課題として扱っています。またこれはシステム開発について尋ねた調査であって、コンテンツ制作の外注比率ではありません。それでも、専門領域を外の人に任せる形が日本では一般的だとは読み取れます。
問い合わせの前に確かめておきたいのは、自社に足りないのが書き手なのか、何を書くかを決める人なのか、それとも判断そのものなのかという点です。助言だけを外に出す形についてはSEOコンサルティングとは?何をどこまでやるのかで扱いました。
原稿の納品に含まれていない作業
原稿を受け取っても、その記事が検索結果でどう見えるかは、まだ誰も決めていないことがあります。当社の自社メディアで実際に起きたことをお伝えします。
2026年8月4日に調べたところ、公開していた235本すべてで、検索結果に表示される説明文と、SNSで共有されたときに使われるタグが出力されていませんでした。説明文の原稿そのものは235本すべてに書かれており、記入率は100%です。
原稿はあるのに、それが表示に使われていない状態が続いていました。この記事を書いている時点でも、まだ直せていません。
説明文がなくてもGoogleは本文から自動で文章を抜き出して表示しますので、検索結果に何も出ないわけではありません。正確に言えば、読者が最初に読む一文を自社で決められていない状態でした。記事の中身には毎日手を入れていたのに、読者が最初に目にする画面だけは一度も見ていなかったのです。
原稿を書く仕事と、その原稿をサイトに出す設定の仕事は別物です。契約書に「記事の納品」とだけ書かれていれば、後者が誰の担当なのかは決まりません。自社ですら抜け落ちる種類の作業ですから、会社をまたげばなおさら宙に浮きます。
見積もりを受け取ったら、納品されるのは原稿ファイルなのか、サイトに公開された状態なのかを一度確かめてみてください。この一言で、公開作業と表示設定が誰の手に残るかがはっきりします。
会社を探す前に自社で用意するもの
依頼した後の成果は、会社を選んだ瞬間ではなく、渡した材料の量である程度まで決まります。用意するのは、外注先の手元には最初から無いもの、法律の上でそちらへ移せないもの、そして各社の返答を同じ物差しで比べるための土台の3つです。先に手元をそろえておくと、問い合わせの質そのものが変わります。

外注先には照合できない社内の事実
原稿の正しさには、外注先にはどうしても確かめようのない部分があります。まず、当社で起きた失敗からお話ししましょう。
2026年7月末、自社メディアの記事が2本続けて品質評価で減点されました。原因はどちらも同じで、外部の資料から引いた一文が、原典と数文字ずれたまま公開直前まで残っていたのです。
文章としては自然に読め、誤字も文法の誤りもありません。原稿の中だけを探しても、決して見つからない種類の粗でした。気づけたのは、原典を開いて突き合わせたときです。
ここに線が1本あります。原稿だけを見て正しさを判定する作業が校正で、原稿の外にある事実と突き合わせる作業が校閲です。引用の逐語照合は後者にあたります。
そして、原稿の外にある事実のうち、自社の商品仕様・過去の実績・社内で使っている呼び方は、外注先の手元にありません。持っていないものとは突き合わせようがありませんので、この確認は発注側に残ります。校閲にあたる時間を社内工数として見込んでいないと、公開直前になって誰も確かめていない原稿が机の上に残ることになるのです。
Googleが2022年に検索品質評価ガイドラインへ「経験」を加えたときに挙げた例も、実際に製品を使っている、実際にその場所を訪問しているという類のものでした。同じ発表の中でGoogleは、このガイドラインが評価者向けであってランキングに直接影響することはないとも明記しています。制度上の効き方はそのとおりだとしても、経験を書けるのは経験した側だけという事実のほうは動きません。
表示を管理する担当者を置く義務
記事の制作を外に出しても、表示を適正に管理する責任は発注した側に残ります。これは商習慣ではなく、法律に書かれていることです。
「事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、景品類の提供又は表示により不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害することのないよう、(中略)商品又は役務の品質、規格その他の内容に係る表示に関する事項を適正に管理するために必要な体制の整備その他の必要な措置を講じなければならない。」(e-Gov法令検索・不当景品類及び不当表示防止法)
この条文を受けて、消費者庁は事業者が講ずべき措置を指針の形で示しています(令和6年4月18日改正版)。表示の作成を他の事業者に委ねる場合について書かれた部分を、記事制作の発注に置き換えると次のように整理できます。
| 指針が求めていること | 発注側で用意するもの |
|---|---|
| 景品表示法の考え方の周知 | 委託先にも自社の方針を伝える手段 |
| 表示の根拠となる情報の確認 | 数値や効能の裏づけになる社内資料 |
| 表示等管理担当者を定める | 委託先の原稿に指示・確認ができる立場の人 |
| 根拠資料の事後的な保管 | その商品やサービスを提供している間、資料を残す場所 |
とりわけ要になるのは3行目です。指針は表示等管理担当者について、表示の作成を他の事業者に委ねる場合には、その事業者が作成する表示に関して指示・確認の権限を持っていることと定めているためです。外注先の原稿に赤を入れられる立場の人が社内にいなければ、この要件は満たせません。
ただし、限定が2つあります。1つ目は対象の範囲です。この義務がかかるのは自社が供給する商品やサービスについての表示であり、自社商品に触れない一般的な解説記事のすべてが直ちに対象になるわけではありません。
2つ目は規模への配慮です。指針は個人事業主などの小規模企業者やその他の中小企業者について、代表者が表示等を管理している場合には、代表者をその担当者と定めることも可能だとしています。大企業と同じ体制を組まなければならないという話ではないのです。
同じ資料を渡して答えを並べる
材料がそろったら、問い合わせる会社すべてに同じ形で渡してください。渡す情報がバラバラだと、返ってきた提案を比べようがなくなります。
当社が相談の席でうかがうことのうち、その日のうちに答えが出ないと話が進まないものは2つだけです。1つ目は、いまこの瞬間、社内にサイトを触れる人がいるかどうかになります。これから体制を整える話ではなく、現状として「制作会社に頼まないと1文字も直せない」で構いません。
2つ目は、いつまでに何かを変えたいかという時期の希望です。数値目標のほうは決まっていなくても進められます。
1つ目を先に確かめるのは、これだけは相手が代われないからです。原稿は書けても、発注側のサイトに手を入れる権限を外注先が自分で用意することはできません。
そのうえで、各社から持ち帰るものを先に決めておきます。提案書の厚さや見積もりの安さではなく、次の3点を会社ごとに書き取ってください。
| 持ち帰る3列 | 確かめ方 |
|---|---|
| 自社の何を見たか | サイトのどこを開き、どの数字を見たうえでの話か |
| 何を問題だと言ったか | 最初に直すべきだと挙げた箇所はどこか |
| 根拠に何を挙げたか | その判断が公的資料・実測・経験のどれに基づくか |
3社に同じ材料を渡したのに、指摘された箇所がばらばらだったとします。その食い違いこそが、自社の課題を絞り込む手がかりになります。逆に3列とも埋まらない返答しか来なかったのであれば、渡した材料のほうが足りていなかった可能性を先に疑ってください。
今泉の視点:正直にお伝えすると、無料の相談で当社が出せるのは、いま何が起きているかの見立てと、進め方の方向までです。具体的な実行計画と対策キーワードの一覧はお出ししていません。そこが仕事そのものだからであり、無料でお受けしているのは営業の場でもあるからです。
この線引きはどの会社にもあります。ですから私は、返ってきた答えがどこまで具体的だったかで比べないほうがよいと考えています。大事なのは見立ての中身と、根拠の挙げ方の2つです。こちらのほうが、実際に一緒に働いたときの差になって出てきます。
依頼したあとに自社へ残る仕事
稟議に書く社内工数は、たいてい少なく見積もられがちです。原因は気合いの問題ではなく、数え方にあります。見落とされやすいのは、契約の構造上こちらに残る作業、修正の往復回数、そして指示の書き方で動く時間の3つです。順に見ていきましょう。

納品物の検査は発注した側の仕事
納品された記事を確かめる作業は、発注した側に残ります。文化庁が公開している契約マニュアルにも、はっきり書かれていることです。
「『著作物の創作』のように、ある仕事を完成させることを契約の目的とする契約においては、納入された成果物によって『仕事の完成』があったと評価してよいかどうかについて依頼者側が検査する必要があります」(文化庁「誰でもできる著作権契約マニュアル」PDF)
問題は、その検査を目で読むだけで済ませられるかどうかです。当社の自社メディアで見つかった例をお話しします。
2026年7月14日、公開済みの43記事で、よくある質問の部分がテーマ純正の部品を使わずに手書きされていたことが分かりました。見た目を似せて作ってあったため、画面上はそれらしく表示されます。
ところが実際には、枠線も背景色も余白も、テーマ側の設定が何ひとつ効いていませんでした。書いた本人からは最も気づきにくい種類の不具合で、見つけたのは別の担当者が実機で中身を解析したときです。
目で読んで分かるのは、誤字と事実誤認と読みにくさまででしょう。それ以外を検収の項目に入れておかないと、静かに通ってしまうものがあります。
| 検収の観点 | そこで見つかること |
|---|---|
| 読めば分かる | 事実の裏づけ・社内での呼び方・誤字 |
| 読んでも分からない | 装飾がテーマの機能で作られているか |
| 別の端末で開くと分かる | スマートフォンでの表示崩れ |
| 公開してから分かる | 検索結果での見え方・リンク先の正しさ |
4行のうち下の3行は、原稿ファイルを眺めているかぎり、まず見つかりません。検収の日を決めるときは、公開前に実機で開く時間と、公開直後に見え方を確かめる時間を分けて押さえておくほうが安全です。
修正は1往復では終わりません
レビューの工数を「記事の本数 × 1回」で見積もると、まず足りなくなります。直すこと自体が、新しい粗を作るからです。
当社では、直した直後にその範囲だけをもう一度チェックにかける運用をとっています。きっかけは2026年7月28日の出来事でした。
4つの文からなる段落を、読みやすさのために2つへ分けたときのことです。その分割によって、同じ語尾の3連続が新しく1件生まれていました。直す前には無かった粗が、直したことで生まれたのです。
そのため、章を書き終えた直後にその章だけを点検し、全部を組み立ててからまとめて直すやり方は取っていません。発注側のレビューも同じ構造です。修正を依頼したら、戻ってきた原稿をもう一度読む時間まで含めて数えておいてください。
さらに、直した効果が検索結果に現れるまでにも時間が必要です。Googleは、公開したページのクロールに数日から数週間かかることがあるとしています。
サイト全体が有用なコンテンツを提供しているとシステムが学習し確認するまでには、数か月かかることもあるという説明です。しかも、変更を加えても目に見えて変化が現れる保証はないとまで書かれています。
この時間軸を着手前に社内で共有しておかないと、成果を待つ期間が「何も進んでいない期間」として扱われてしまうのです。
指示の書き方で工数が変わります
同じ「直してください」でも、書き方ひとつで動く範囲が変わります。受注する側から見た実感をお伝えします。
本文の言い回しを直してほしいのか、体裁やレイアウトまで含めて整えてほしいのか。依頼文の一言でここが分かれます。当社では依頼を受けたとき、本文だけなのか体裁も含むのかを最初に確かめるようにしています。
2026年7月にも、本文の手直しだけのつもりで受けた依頼が、確かめてみると体裁とファイル形式まで含んでいたことがありました。先に聞いていなければ、日程ごと組み直しになっていたはずです。
発注側から見れば、この差はそのまま見積もりのぶれになって返ってきます。修正を依頼するときは、直してほしい範囲と、触らないでほしい部分をあわせて書いてみてください。それだけで往復が1回減ります。
ただし、細かく指示すればするほどよいという話ではありません。文化庁のマニュアルは、契約書に業務委託と書かれていても、当事者間に使用従属関係があれば実質的に雇用契約と判断されることがあると注意を促しています。その場合は労働基準法などが適用されます。指示するのは成果物の範囲までにとどめ、働き方そのものは管理しないことです。この線引きは、発注側の身を守る意味でも押さえておきたいところになります。
契約が終わったときに手元に残るもの
関係が終わる日のことを契約の前に考える会社は、あまり多くありません。ただ、記事の権利と作業の記録は、終わってから取り決めようとしても間に合わないものです。国が配っているひな形を手がかりに、何が自社に残り、何が残らないのかを確かめておきましょう。

著作権は書いた側に残るのが初期値
料金を払って作ってもらった記事だから自社のもの、とはかぎりません。文化庁の契約マニュアルには、次のように書かれています。
「著作権法では、現実に著作物を創作した人(執筆者)が著作者となり、その著作者が著作権を持つものと定められています。依頼者が報酬を支払ったからといって、それだけで著作権を取得することにはなりません。」(文化庁「誰でもできる著作権契約マニュアル」PDF)
このマニュアルの第3節は、まさに記事制作の外注を想定して書かれています。原稿の執筆を依頼する場面の例として挙げられているのが、広報誌に載せる文章やウェブ記事の執筆をフリーライターに依頼するようなケースだからです。
ただし、このマニュアル自体は契約に慣れていない個人どうしの契約を想定して作られており、企業間の業務委託の標準書式ではありません。それでも、初期値の考え方は会社が発注する場面でも十分に参考になります。
そこに載っている契約書のひな形では、第3条に「本著作物の著作権は甲に帰属する」とあります。甲は執筆者、乙は依頼者です。依頼者が受け取るのは、続く第4条の利用許諾になります。印刷物への利用、ウェブサイトにおける掲載、掲載するサイト名と掲載期間、そして翻訳の可否を書き込む形式です。
国が配っているひな形の初期値は、著作権は書いた側に残り、発注側は範囲を区切った利用許諾を受けるという形になっています。もちろんこれはひな形の一例であって、法律がこうしなければならないと定めているのではありません。それでも、掲載期間の欄が空白で用意されているという事実は、契約が終わった後を考えるうえで示唆に富んでいます。
27条と28条を書かないと移らないと推定されます
では「著作権はすべて譲渡する」と契約書に書けば安心でしょうか。実は、それだけでは足りません。著作権法61条2項に、こうあります。
「著作権を譲渡する契約において、第二十七条又は第二十八条に規定する権利が譲渡の目的として特掲されていないときは、これらの権利は、譲渡した者に留保されたものと推定する。」(e-Gov法令検索・著作権法)
27条は翻案する権利、つまり元の記事をもとに作り変える権利です。28条は、そうしてできた二次的な著作物を利用する権利にあたります。記事で言えば、受け取った原稿をリライトしたり、要約して資料や別の媒体に転用したりする場面がここに関わってきます。契約が終わった後に自社で記事を作り直すつもりなら、まさに必要になる権利でしょう。
| 契約書の書き方 | 記事の権利がどうなるか |
|---|---|
| 権利について何も書かない | 著作権は執筆した側に残る(国のひな形の形) |
| 「著作権を譲渡する」とだけ書く | 27条・28条は譲渡した側に留保されたと推定される |
| 27条・28条を含むと明記する | 作り変えて使う権利まで発注側に移る |
文化庁の令和8年度著作権テキストも、この2つの権利について実務上の書き方を示しています。契約書に「すべての著作権(著作権法第27条及び第28条の権利を含む)を譲渡する」と記載しておく必要がある、という説明です。ただし条文は「留保されたものと推定する」という書き方であり、絶対に移らないと決めつけているわけではありません。
もうひとつ、著作権を譲り受けても移らないものがあります。著作者人格権です。文化庁のマニュアルは、財産権としての著作権を譲渡された者であっても、著作者の了解なく勝手に修正することはできないとしています。行使しない旨を契約で定める例もあると紹介されていますが、書いた側に不利益が生じるため注意が必要だとも添えられています。
では、譲り受けたいときはどう進めればよいのでしょうか。ここで参考になるのが、2026年6月24日に公正取引委員会・中小企業庁・特許庁の3機関連名で公表された知的財産権・ノウハウ・データの適切な取引のための優越的地位の濫用等に関する指針です。
取引上の地位が受注者に優越している発注者が、正当な理由がないのに無償での譲渡を求めたとします。受注者のほうは、今後の取引への影響を懸念して受け入れざるを得ませんでした。この場合には優越的地位の濫用として問題となるおそれがある、と書かれています。挙げられている事例も、映像・音声・文字情報制作業での出来事でした。
権利を譲り受ける契約そのものが悪い、という話ではありません。公正取引委員会の役務の委託取引に関する指針では、権利の譲渡に対する対価を別途支払うか、その対価を含む形で交渉していると認められるときは問題にならないとされています。
ただし同じ指針は、対価が不当に低い場合や、譲渡を事実上強制する場合には、対価を払っていてもなお問題になると書き添えています。金額を1行載せれば済むという話ではないわけです。
先ほどの3機関連名の指針には、著作権を譲渡する場合としない場合の2通りの見積書を示すという実践例が載っています。これは制作を請ける側の取組として紹介されているものです。受注側にすでに前例のある形ですから、発注側から見積りの段階でお願いしても、無理な注文にはなりません。権利の値段が数字になって見えてきます。
なお、ここまでは一般的な説明にとどまります。実際の契約書の文言をどうするかは個別の事情によって変わりますので、弁護士など専門家にご確認ください。
記事のほかに受け取っておく記録
記事のファイルを受け取っただけでは、次に何を書けばよいのかまでは分かりません。契約の期間中に受け取る取り決めをしておきたいものが3つあります。
1つ目は、キーワードの設計と公開実績が1枚になった資料です。当社では、これから書く設計図と、すでに書いた記録を同じ表で管理しています。左側に狙う言葉や検索意図といった設計の列を、右側に公開したURLと公開日を並べる形です。
公開URLの列が空欄なら、まだ書いていないという意味になります。以前は設計と実績を別のファイルに分けていたのですが、記事を公開したときに手を入れるのは実績側だけですので、設計側が半年ほど更新されないまま止まりました。
2つ目は、サイトに手を入れた作業の記録です。当社では日付・変更した場所・元に戻せるかどうかの3項目を、1行だけ残すようにしています。順位が下がったとき最初に開くのはGoogleの発表ではなく、この記録だからです。
下落した日と作業した日が重なっていれば内側の原因を、離れていれば外側の要因を疑う順番になります。記録が無ければ関係者に聞いて回ることになり、切り分けだけで数日を使ってしまうのです。
3つ目は、記事をまとめて直せる状態そのものです。所有権が自社にあることと、自社で直せることは別の話になります。契約が終わった後に問い合わせ先やサービス名が変わったとき、その案内が各記事の本文へ直接書き込まれていれば、記事の数だけ開いて回ることになるからです。
当社の自社メディアは共通の案内を1か所にまとめる作りにしていたため、2026年7月に遷移先を全面的に変えた日も、対象記事の差し替えは1日で終わりました。納品時に確かめておきたいのは、記事が100本を超えた後でも一括で直せる作りかという一点です。
この3つに共通しているのは、どれも契約の終わりに慌てて頼んでも間に合わないという点です。制作の途中で自然に生まれる資料ばかりですから、月次の定例で一緒に受け取る形にしておくと、負担なく手元にたまっていきます。
コンテンツ監査からトピッククラスター設計、KPI・CVR設計まで、検索流入と問い合わせにつながるメディア戦略を整えます。記事は増えたのに成果が伸びない、という企業向けのコンサルティングです。
コンテンツSEO会社についてよくあるご質問
相談の場でいただくことの多い質問を4つ選びました。
まとめ
- 外に出せるのは記事を作り続ける仕組みまでです
- 社内にしかない事実の確認と表示の管理は残ります
- 終わった後に手元に残るものは契約の前に決まります
会社の一覧を眺めても決められないのは、比べる物差しが手元にないからでした。渡す材料をそろえ、同じ形で各社に渡せば、返ってきた見立てと根拠がそのまま比較の材料になります。
次の一歩として、いまこの瞬間、社内にサイトを触れる人がいるかどうかだけ確かめてみてください。これは相手が代われない、たった1つの前提条件です。どこまでを任せてどこを自社に残すかで迷われたときは、街中文学へお気軽にご相談ください。
コンテンツ監査からトピッククラスター設計、KPI・CVR設計まで、検索流入と問い合わせにつながるメディア戦略を整えます。記事は増えたのに成果が伸びない、という企業向けのコンサルティングです。
