「コンテンツを増やそう」と決まったのに、会議では記事もSNS投稿もサービス紹介ページも同じ言葉で呼ばれている。コンテンツの種類を並べた一覧は手元にあるのに、結局うちは何から作ればいいのかが決まらない。そんな行き詰まり方は珍しくありません。
一覧の中に答えはありません。決め手になるのは、サイトの中での役割・表現の形式・置く目的という3つの軸で仕分けることです。
この記事では、Googleが公開する評価ガイドラインの分類と、当社メディア274本の全数実測をもとに、3つの軸の使い方を示します。読み終えたときには、自社サイトのページを仕分けして「次に作る1種類」を選べるようになります。
コンテンツ監査からトピッククラスター設計、KPI・CVR設計まで、検索流入と問い合わせにつながるメディア戦略を整えます。記事は増えたのに成果が伸びない、という企業向けのコンサルティングです。
先に結論|コンテンツの種類は3つの軸で分ける
コンテンツの種類は、一覧を覚えても仕事が進みません。決めるべきなのは「どんな種類があるか」ではなく、自社サイトにどれを置くかだからです。
そのために必要なのが、数える前に分け方の軸を決めることです。軸は3つあります。サイトの中での役割、表現の形式、そして置く目的。この3つを分けて考えると、社内でバラバラに使われている「コンテンツ」という言葉が整理できます。
この章では、なぜ一覧では決まらないのか、3つの軸がそれぞれ何に答えるのか、そして実際のサイトが何種類を運用しているのかを先に示します。
種類の一覧を暗記しても何も決まらない
コンテンツの種類として並ぶのは、デジタルコンテンツ、Webコンテンツ、動画コンテンツ、音声コンテンツ、画像コンテンツといった顔ぶれです。どれも間違いではありません。ただ、この並びには分類の基準が入っていないのです。
デジタルコンテンツと動画コンテンツは重なります。Webコンテンツはそのどちらも含みます。基準が混ざった一覧を持って会議に出れば、話は噛み合いません。ある人は形式の話をし、別の人は目的の話をしているからです。
Googleは検索の品質を評価する担当者向けに「General Guidelines」という文書を公開しています。そこに書かれているのは、種類そのものに優劣はないという原則でした。2026年8月時点で最新の2025年9月11日版に、こうあります。
As long as the page is created to help people, we will not consider any particular page purpose or type to be higher quality than another. For example, encyclopedia pages are not necessarily higher quality than humor pages.
人の役に立つために作られている限り、特定のページの目的や種類が他より高品質だとは考えない、という意味です。百科事典のページがユーモアのページより高品質とは限らない、という例まで添えられています。出典はGeneral Guidelinesのセクション2.2(2025年9月11日版・2026年8月25日取得)です。
種類の一覧に答えはありません。答えは、そのページが何のためにあるかのほうにあります。なお「コンテンツ」という言葉そのものの定義や法律上の扱いは、コンテンツとは?意味と種類を法律と公的統計の定義から整理で詳しく扱っています。
役割・形式・目的の3軸で仕分ける
3つの軸が答える問いは、それぞれ別物です。順に見ていくと、自分がいまどの話をしているのかがはっきりしてきます。
| 軸 | 答える問い | 分け方の例 | よりどころ |
|---|---|---|---|
| 役割 | このページの中で、どれが主役か | メインコンテンツ/補助コンテンツ/広告 | Google「General Guidelines」2.4 |
| 形式 | 文字か、動画か、音声か | 映像系/音声系/テキスト系 | 総務省「令和8年版 情報通信白書」 |
| 目的 | 誰の、どの段階に効かせたいか | 集客/比較検討/獲得/既存顧客 | 自社の運用設計 |
役割の軸は、ページの内側を見る目です。1本の記事の中でも、本文は主役で、目次や関連リンクは脇役にあたります。
形式の軸は、表現の入れ物を見る目です。同じ内容でも、文字で渡すか動画で渡すかで、作る手間も届く相手も変わります。
目的の軸は、いちばん外側から見る目です。同じ「導入事例」でも、検索から人を呼ぶために書くのか、すでに比較検討している相手に読ませるのかで、必要な長さも置き場所も違ってきます。
もう1つ、3軸の手前に置いておきたい前提があります。ページの作られ方が2通りあるという点です。1本ずつテーマを決めて書く記事型のサイトと、データベースからテンプレートでページを生成するDB型のサイト。当社は支援の現場で、この2つを別の戦い方として扱ってきました。
記事型が1ページごとに書き直す職人仕事なら、DB型はURL構造を設計する都市計画です。求人・不動産・ECのように一覧ページを持つサイトでは、この設計側の種類が主役になります。
実際に運用している形式は多くない
形式の一覧がどれだけ長くても、1つのサイトが実際に運用している種類はごく限られます。
当社が街中文学メディアの公開記事274本を全数で数えたところ、判定した10種類のうち1記事に同居していた形式は平均6.88種類。そして動画・音声・埋め込み・フォームは1本もありませんでした。測定の中身と内訳は「実測|1記事に同居する形式は7種類」で詳しく示します。
やろうと思えば動画もインタラクティブな仕掛けも作れます。それでも実際の運用は、書ける形式に収束していきました。種類を増やす前に、いま持っている種類をどう配るかを決めるほうが先です。
役割で分けるコンテンツの種類とサイト構造
1つ目の軸は、サイトの中での役割です。同じページの中にも、主役と脇役と出口があります。この3つを分けられるようになると、どこに力を入れるべきかを判断しやすくなります。
ここでよりどころにするのは、Googleが公開している「General Guidelines」です。検索の品質を評価する担当者に向けた文書で、ページ上のコンテンツを3つに分ける枠組みが示されています。
ひとつ断っておくと、この文書は掲載順位を直接決めるルールではありません。Googleは日本語の公式ドキュメント(2025年12月更新)でこう述べています。品質評価者のデータが、ランキングのアルゴリズムに直接使われることはない、と。
そのうえで、自己診断に使うことは勧めています。分類の道具として読むのが正しい距離感です。
この章では、その3分類の中身と、関連記事の枠がどこに入るのか、そしてサイト・ページ・記事という呼び方の関係を整理します。
メインコンテンツはページの存在理由
ガイドラインのセクション2.4は、ページ上のすべてのコンテンツが次の3つのどれかに分類できると定義しました。
| 分類 | 原典の定義 | サイトでの例 |
|---|---|---|
| メインコンテンツ | ページが目的を達成するのを直接助ける部分 | 記事の本文、商品情報、料金シミュレーター |
| 補助コンテンツ | 目的達成を直接には助けないが、体験に貢献するもの | ナビゲーション、目次、関連リンク |
| 広告・収益化 | 収益を得る目的で表示されるコンテンツやリンク | 広告枠、収益化リンク |
メインコンテンツについて、ガイドラインのセクション2.4.4はこう書いています。
Main Content (MC) is any part of the page that directly helps the page achieve its purpose. MC is (or should be!) the reason the page exists.
メインコンテンツは、そのページが存在する理由そのものだという言い切りです。
見落とされやすいのは、メインコンテンツが文章に限らない点です。セクション2.4.1は、テキスト・画像・動画に加えてページ機能(計算ツールやゲームなど)もメインコンテンツになりうると明記しています。
さらに、ユーザーが投稿したレビューやコメント、そしてページのタイトルまで含まれます。
料金シミュレーターだけを置いたページがあったとして、そのシミュレーターこそがメインコンテンツです。文章量が少ないことは、それ自体では欠点になりません。
補助コンテンツは残り全部と定義される
補助コンテンツの定義は、少し変わった形をしています。「ページの目的達成を直接には助けないが、ユーザー体験に貢献するもの」とされているだけで、代表例として挙がっているのはナビゲーションリンクの1つだけです。
そのうえで、セクション2.4.2には識別方法がこう書かれています。
Sometimes the easiest way to identify SC is to look for the parts of the page that are not MC or Ads.
メインコンテンツでも広告でもない部分を探すのが、いちばん簡単な見つけ方だという説明です。つまり補助コンテンツは消去法で決まるカテゴリです。原典が示す手順は3ステップでした。
- まず、そのページのメインコンテンツがどれかを決める
- 次に、収益化のための広告を探す
- 残ったものを補助コンテンツとみなす
3つ目の広告は、収益化のために表示されるコンテンツやリンクと定義されています。ガイドラインは「あらゆる種類の収益化リンクを広告とみなす」とも明記しました。
当社はこの定義に照らして、自社サービスへ誘導するボタンも広告の側に分類して扱っています。
もう1つ、誤解されやすい記述があります。セクション2.4.3の一文です。
The presence or absence of Ads is not by itself a reason for a High or Low quality rating.
広告があるかないか、それだけを理由に高品質・低品質の評価をつけることはない、という意味になります。「広告を置くと順位が下がる」という説明は、少なくともこの原典には書かれていません。
関連コンテンツは本文を邪魔すると低評価
記事の下にある「関連記事」の枠は、定義に照らせば補助コンテンツに入ります。ただし、原典にそう書かれているわけではありません。
ガイドライン182ページの全文を確認しても、関連記事やおすすめコンテンツという語で補助コンテンツを定義した記述は見つからないからです。補助コンテンツが「メインコンテンツでも広告でもない残り」と定義されている以上、その残りに関連記事の枠も入る、という理解になります。断定できるのは定義からの帰結までです。
ここで押さえておきたいのは、補助コンテンツは多いほど良いものではないという点でした。
セクション5.3にはこう書かれています。メインコンテンツの利用を著しく妨げる広告や補助コンテンツがあるページは、メインコンテンツの一部が有用であっても低品質と評価すべきだ、と。関連記事枠やおすすめ枠、ポップアップを積み増していくと、この記述に近づいていきます。
当社が2026年8月20日に記事263本の内部リンクを全数で数えたときは、次のような形でした。
| 項目 | 実測値 |
|---|---|
| 記事から記事へのリンク総数 | 1,785本(1記事あたり平均6.79本・中央値6本) |
| 本文の文中に置かれていた割合 | 88.9% |
| 同じカテゴリ内に向いていた割合 | 82.9% |
| 相互にリンクし合っていたペア | 1,617組中226組(14.0%) |
関連というのは、双方向ではなく方向を持った線です。86%は片道でした。本数をどう決めるかは内部リンクは本数で決めない|自社1,785本の実測と公式の線引きで詳しく書いています。
サイト・ページ・記事は入れ子の関係
サイトコンテンツ、ページコンテンツ、記事コンテンツという呼び方は、対立する概念ではありません。指している範囲が違うだけです。サイトの中にページがあり、ページの一種として記事があります。
実際にURLを機械的に数えると、記事以外の種類が姿を現します。2026年8月21日時点の当社メディアのサイトマップは全280件でした。内訳は投稿265件、固定ページ9件、カテゴリ一覧5件、著者ページ1件です。記事の本数は取得日によって動くので、あとで出てくる274本とは日付が違います。
カテゴリ一覧や著者ページは記事ではありません。それでも、読者が回遊し、書き手を確かめるための入り口として機能しています。
記事の内側も、同じように入れ子です。当社の記事は構造が固定されており、リード文、要点ボックス、結論の章、本編の章、FAQ、まとめ、誘導ブロックという順で並びます。
- 結論の章と本編の章 = メインコンテンツ
- 要点ボックス・FAQ・まとめ = 読者の理解を助ける補助コンテンツ
- 誘導ブロック = 出口
この対応を頭に入れて自社のページを開くと、「厚くすべきなのは本文で、増やすべきでないのは脇役のほう」という判断がつきます。
形式で分けるコンテンツの種類と市場の実態
2つ目の軸は形式です。文字か、動画か、音声か。分け方としては直感的ですが、市場の大きさと読者が使っている時間を並べると、印象とはかなり違う姿が出てきます。
この章では公的統計を使って、形式ごとの市場規模と、見られる機器の変化を確認します。あわせて、デジタルコンテンツとリッチコンテンツという2つの言葉の範囲も整理しました。数字はいずれも調査年と発行年を分けて示しました。
映像系・音声系・テキスト系の3分類
形式を分けるための公的な物差しは、すでに用意されています。総務省はコンテンツ市場を映像系ソフト・音声系ソフト・テキスト系ソフトの3形態に分けて集計しており、これが形式の軸の土台になります。
ただし市場規模と、読者が使っている時間は別物です。ここを混ぜると判断を誤ります。総務省情報通信政策研究所の調査で平日のインターネット利用時間を項目別に見ると、次のようになります。
| 利用項目 | 全年代(平日) | 40代 |
|---|---|---|
| 動画投稿・共有サービスを見る | 54.5分 | 55.2分 |
| メールを読む・書く | 38.0分 | 60.9分 |
| ソーシャルメディアを見る・書く | 36.2分 | 41.9分 |
| 動画配信サービスを見る | 23.8分 | 28.8分 |
| ブログやウェブサイトを見る・書く | 21.7分 | 36.0分 |
出典は令和7年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査(2025年12月実施・2026年6月公表・13〜79歳1,800人)です。
ウェブサイトに使われている時間は、動画投稿・共有サービスの4割ほどしかありません。しかも年代によって倍近い開きがあり、10代では8.7分まで下がります。
ただし利用時間が最も長いのは40代で、BtoBの主な決裁層と重なる年代です。読み手の年齢によって、ウェブサイトという形式の効き方は変わります。
ここで1つ注意点があります。同じ報告書には「テキスト系サイト利用 54.5分」という、上の表とたまたま同じ数字も登場しました。別の項目なので取り違えないでください。
脚注12には、ブログやウェブサイトに加えてX・LINE・Facebookなどのソーシャルメディアの利用も含めていると明記されています。ウェブサイトを読む時間として引用してよいのは、21.7分のほうです。
デジタルコンテンツが指している範囲
デジタルコンテンツという言葉は範囲が広く、文脈によって指すものが変わります。統計で扱うときは、インターネットなどを経由して流通するコンテンツ、という線引きが使いやすい基準です。
総務省はこれを通信系コンテンツと呼んでいます。令和8年版情報通信白書に載る2024年の市場規模は6兆7,526億円で、コンテンツ市場全体のおよそ半分にあたります。
| ソフト形態 | 市場規模 | 構成比 | 最大の内訳項目 |
|---|---|---|---|
| 映像系ソフト | 3兆8,222億円 | 56.6% | ゲームソフト 1兆6,837億円 |
| テキスト系ソフト | 2兆2,736億円 | 33.7% | ネットオリジナルソフト 1兆1,007億円 |
| 音声系ソフト | 6,568億円 | 9.7% | 音楽ソフト 5,596億円 |
出典は令和8年版 情報通信白書(2026年7月発行・2024年の実績値)です。
ここで目を引くのは、テキスト系の中で最大の項目がネットオリジナルソフトだという事実です。新聞記事でも書籍でもなく、ネット上で新しく作られた文字コンテンツが、テキスト系のおよそ半分を占めています。この表の中で最大の単一項目は映像系のゲームソフトですが、文字が映像に押されて消えたわけではありません。
通信系コンテンツ市場そのものも、2020年の4.8兆円から2024年の6.8兆円へ、4年で約1.4倍に伸びました。
リッチコンテンツは動画と音声を足す
リッチコンテンツは、文字と静止画に動画や音声を足したコンテンツを指す言い方です。デジタル大辞泉(小学館)の語釈もこの線でした。近い言葉の「リッチメディア」には、読み手の操作で表示内容が変わる双方向性をもたせるものもある、と補われています。
2つを並べると境目がはっきりします。リッチの条件は動画や音声を足すことで、双方向性は必須ではありません。読み手が操作すると中身が変わるものは、リッチではなくインタラクティブと呼ぶほうが正確です。診断ツールや料金シミュレーターがこれにあたります。
インタラクティブな仕掛けは記事の付属物ではありません。先ほどのGeneral Guidelinesは、計算ツールやゲームといったページ機能そのものがメインコンテンツになりうると明記しています。通貨換算ページのように、計算機能が主役のページも例として挙げられていました。
形式を足すかどうかは、作り続けられるかで決めるべきです。当社は画像でそれを学びました。
今泉の視点:以前、フリー素材から選んだ、記事の対象を表していない画像を記事に入れていました。見た目は埋まりますが、読者にとっては情報がゼロです。そこから「公式サイトの画面を自分で撮ったものだけを使う」「出典URLと取得日を記録する」「撮れないなら画像枠を出さない」の3つを決めました。形式は増やすより、責任を持てる範囲まで減らすほうが難しい判断です。
画像を扱う具体的な手順はブログ記事の画像をAIで生成する方法|使い分けと権利注意にまとめています。
スマホでの利用時間はPCの2.4倍
形式を決めるとき、どの機器で見られるかは無視できません。作った形式が相手の画面に合っていなければ、中身の良さは届かないからです。
| 機器 | 平日 | 休日 |
|---|---|---|
| モバイル機器(スマートフォン・携帯電話) | 120.5分 | 140.7分 |
| パソコン | 50.3分 | 24.8分 |
| テレビ(ネット接続) | 18.5分 | 26.4分 |
| タブレット | 9.2分 | 11.6分 |
出典は先ほどと同じ令和7年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査です。2025年12月に実施し、2026年6月に公表されました。13〜79歳1,800人への日記式調査にあたります。
平日でモバイルはパソコンの約2.4倍、休日は約5.7倍でした。パソコンの利用時間は2020年から2025年まで50分前後で横ばいが続いており、伸びているのはモバイルとネット接続テレビのほうです。
同じ調査(2025年12月実施・1,800人)では、スマートフォンを利用している人の割合が全年代で95.9%に達しました。保有率ではなく利用率の数字です。10代から60代では90%を超え、70代でも83.8%まで上がっています。読み手がスマートフォンを持っていない前提は、もう成り立ちません。
ただし、パソコンの利用時間が休日に半減する点は、BtoBの読み手を考えるうえで見逃せません。仕事で調べる人はパソコンの前にいます。スマホで読める形に整えつつ、平日の業務時間に読まれる前提で設計するのが現実的です。
コンテンツ監査からトピッククラスター設計、KPI・CVR設計まで、検索流入と問い合わせにつながるメディア戦略を整えます。記事は増えたのに成果が伸びない、という企業向けのコンサルティングです。
実測|1記事に同居する形式は7種類
ここまでは分け方の話でした。ここからは、実際に運用しているサイトが何をどれだけ置いているのかを、当社の実測でお見せします。
2026年8月25日に、街中文学メディアとコーポレートサイトの公開コンテンツを公開APIから全数取得し、機械的に数えました。読み取りのみで、記事の書き換えは一切していません。1回の観測なので「常にこうなる」という話ではなく、1つのサイトのある時点の断面だと受け取ってください。
動画も埋め込みもフォームも0件だった
公開記事274本の本文に、どの形式がどれだけ入っていたかがこちらです。
| 形式 | 実装している記事 | 割合 |
|---|---|---|
| 要点ボックス | 274本 | 100.0% |
| 表 | 272本 | 99.3% |
| ふきだし | 270本 | 98.5% |
| 画像(ふきだしのアイコンを含む) | 270本 | 98.5% |
| 装飾リスト | 269本 | 98.2% |
| FAQ(構造化データ付き) | 261本 | 95.3% |
| マーカー強調 | 258本 | 94.2% |
| ステップ | 5本 | 1.8% |
| 番号リスト | 3本 | 1.1% |
| 動画 | 0本 | 0.0% |
上位7つがほぼ全記事に入り、下の3つはほとんど使われていません。この10種類とは別に、音声・外部サービスの埋め込み・フォームの有無も数えました。動画・音声・埋め込み・フォームは、いずれも274本すべてで0件でした。
この0件は、記事本文のHTMLに静的に書かれている範囲の話です。「動画を作っていない」ではなく、「記事という置き場所には動画を置いてこなかった」と読むのが正確です。記事と動画をどうつなぐかはAI記事と動画の連携でSEO強化|滞在時間と追加流入の設計で扱っています。
資料という形式は、少し違う形で存在していました。自社ドメインに置いた資料へのリンクが120本、官公庁の資料など外部PDFへのリンクが52本。記事の中にダウンロードの導線として埋まっています。
記事1本の中にも形式は同居している
形式は、記事とページを分けるためだけのものではありません。1本の記事の内側にも、複数の形式が同時に入っています。
- 表:平均3.51個(中央値3個・最大28個・1つも無いのは2本)
- FAQ:平均3.86問(総数1,057問・無いのは13本)
- 要点ボックス:平均4.65個(274本すべてが3個以上)
- 本文中の写真・図:平均3.11枚(最大5枚・無いのは26本)
- 装飾リスト:平均5.71個(総数1,565個)
- ふきだし:平均1.64個(総数448個)
1記事に同居していた形式の種類数は、平均6.88種類。7種類の記事が243本で88.7%を占め、8種類は4本だけでした。増やせば良いというものでもなく、7種類あたりで落ち着いています。
見出しの構造も同時に測りました。H2は平均7.34本、最小5本、最大12本。そしてH3を1本も持たない記事が148本、全体の54.0%あります。当社は階層を深くしない方針で書いており、その結果が数字にも出ました。
記事以外のページは37枚しかない
記事の外側も数えました。当社はメディアとコーポレートサイトを別々のWordPressで運用しているため、合算するときはその前提が必要です。
| サイト | 種類 | 件数 |
|---|---|---|
| メディア | 記事(投稿) | 274 |
| メディア | 固定ページ(サービス紹介・無料診断・著者・申込ほか) | 9 |
| コーポレート | 固定ページ(サービス・実績・会社情報ほか) | 19 |
| コーポレート | 投稿(導入事例・インタビュー・お知らせ) | 9 |
| 合計 | 311 | |
記事以外はわずか37枚で、記事が全体の88.1%を占めます。数の偏りは極端です。それでも、この37枚がなければ問い合わせは発生しません。本数の多さと役割の重さは比例しないということが、この表の意味になります。記事と自社サービスページのつなぎ方はAI記事とLPの連携でCV改善|メッセージマッチの設計手順で扱いました。
種類が違えば、必要な情報量も桁で変わります。
- 記事コンテンツ274本:平均7,459字/中央値5,449字/最大24,553字
- サービス紹介ページ(コーポレート8枚):1,365〜7,148字
- 会社概要:281字
- 代表プロフィール:88字
- 採用情報:47字
会社概要を5,000字にしても意味はありません。逆に、プロフィール88字と採用情報47字は当社の手つかずの場所です。著者が誰かを確かめようとした読者に、渡せるものがほとんどない状態だと自覚しています。
事例コンテンツは全体の1.1%だった
記事という1つの種類の中でも、何を書くかには偏りが生まれます。2026年8月20日に取得した公開記事264本のタイトルを機械分類した結果がこちらです。
| 記事タイプ | 本数 | 割合 |
|---|---|---|
| 手順・ノウハウ | 81本 | 30.7% |
| その他 | 72本 | 27.3% |
| 定義・用語解説 | 39本 | 14.8% |
| 比較 | 37本 | 14.0% |
| 費用・相場 | 27本 | 10.2% |
| ツール紹介 | 5本 | 1.9% |
| 事例 | 3本 | 1.1% |
母集団が274本ではなく264本なのは、取得日が5日ずれているためです。それでも傾向ははっきりしています。集客のための記事に寄り、比較検討の段階で効く事例コンテンツがほとんど作られていません。これは当社の偏りであり、直すべき課題として認識しています。
最後に、出口の実装も数えました。274本のうち273本が誘導ブロックを3個持ち、残る1本が4個。そして1記事に載る誘導先の種類は274本すべてが1つだけでした。
9種類の誘導先を記事のテーマごとに出し分け、同じ記事の中に複数の目的を混ぜていません。1本の記事に複数の出口を並べたくなったときは、たいてい記事のテーマが絞れていないサインです。
目的から決めるコンテンツ種類の選び方
3つ目の軸は目的です。役割と形式を整理したら、最後は「誰の、どの段階に効かせたいか」で置く種類を決めます。ここが決まれば、作る順番を判断する材料もそろうはずです。
この章では、段階ごとに何を置くか、使用率と成果のズレ、有料コンテンツの実態、そして増やす判断と増やさない判断を順に見ていきます。最後の2つが、この記事でいちばん持ち帰ってほしい部分です。
集客・比較検討・獲得で置く種類が違う
読者の段階が変われば、届く種類も変わります。検索から初めて来た人にサービス紹介ページを読ませても届きません。逆に、すでに見積もりを取り始めた人へ用語解説を出すのは遅すぎます。
- 集客:課題に名前が付いていない読者へ、用語解説・手順記事・調査データ
- 比較検討:やり方の候補を絞った読者へ、比較記事・導入事例・資料
- 獲得:依頼先を決めようとしている読者へ、サービス紹介・料金・無料診断
- 既存顧客:すでに取引がある相手へ、運用ノウハウ・レポート・更新情報
当社の場合、獲得までを4階建てで並べています。1階が検索から人を呼ぶ記事、2階が無料のLLMO診断。3階が5万円から10万円の入口診断で、4階が月20万円から50万円の運用代行です。
歩留まりの目安も持っています。診断から運用代行へ進むのは、運用上の見込みとして3割から5割。アプローチ100人あたり1件が受注の目安で、紹介経由の受注確率は逆算値として10倍程度で見込んでいます。
正直に書いておくと、自社サイトは6つのチャネルのうちの1本にすぎません。コンテンツの種類を増やせば獲得が増える、という単純な構造ではありませんでした。
よく聞かれる「人気コンテンツ」も、この軸から生まれます。読まれる記事は、書き手が書きたかったものではなく、読者がその段階で知りたかったことに答えた記事でした。比較検討の段階で効く資料の作り方はホワイトペーパー事例の型と選び方|検討段階とSEO記事連携にまとめています。
使用率と成果の順位は一致しない
形式を選ぶとき、多くの会社が使っているものを真似したくなります。ところが調査を見ると、使用率と成果は一致していません。
| 形式 | 使った割合 | 成果が出たと回答 |
|---|---|---|
| 短い記事・投稿 | 92% | 43% |
| 動画 | 76% | 58% |
| 導入事例・顧客ストーリー | 75% | 53% |
| 電子書籍・ホワイトペーパー | 51% | 45% |
| 調査レポート | 36% | 45% |
| インタラクティブコンテンツ | 27% | ― |
出典はContent Marketing Institute と MarketingProfs による年次調査「B2B Content Marketing Benchmarks, Budgets, and Trends: Outlook for 2025」(2024年10月公表)です。2024年6月から8月に実施し、BtoBマーケター980人が回答しました。回答者は北米が中心になります。
短い記事のズレがいちばん大きく出ています。ほぼ全員が使っているのに、成果が出たという回答は半分に届いていません。成果率が公表されている5形式の中では、この開きが最大です。
逆に調査レポートは、使っている会社が少ないのに成果の順位では上位に食い込みました。インタラクティブコンテンツにいたっては9形式中で最も使用率が低く、手を出す会社が少ない分だけ差別化の余地が残っています。
形式を足すだけでは足りない、という証拠は当社にもあります。メール配信のファネルを2026年6月4日時点で数えた結果です。
見込み客6,674件のうち送信できたのは436件。その436件に対して開封が154件(35.3%)、クリックが25件(5.7%)、そして登録は0件でした。
開封も反応も悪くありません。それでもクリックの先にある受け皿が弱ければ、数字は最後まで動かないのです。
有料コンテンツの47%はゲーム
有料コンテンツと聞くと記事の有料販売を思い浮かべる方が多いのですが、市場の実態はかなり違います。
| 分類 | 2024年 | 前年比 |
|---|---|---|
| オンラインゲーム | 1兆2,553億円 | ▲0.58% |
| 電子出版(電子書籍・電子雑誌) | 6,722億円 | +0.58% |
| 有料動画配信 | 4,873億円 | +3.31% |
| 有料音楽配信 | 1,233億円 | +5.84% |
| その他 | 1,395億円 | +6.00% |
| デジタル系分野 合計 | 2兆6,776億円 | +1.02% |
出典は経済産業省令和6年度 電子商取引に関する市場調査(2025年8月公表・2024年の市場規模)です。オンラインゲームだけで約47%を占め、金額が大きい分野ほど伸びが鈍いという逆転も起きています。
同じ調査の他分野と並べると、もう1つ見えるものがあります。物販系は前年比3.70%増、旅行やチケットなどのサービス系は9.43%増でした。それに対してデジタル系の伸びだけが1%台にとどまっています。有料のデジタルコンテンツは、市場としてすでに成熟しています。「有料にすれば売れる」という前提は、この数字の前では通りません。
増やしてよい種類を見分ける3つの条件
新しい種類に手を出してよいのは、次の3つがそろったときだけです。
- 続けられる:担当が1人替わっても回る仕組みがある
- つながる:既にある種類から行き来する導線が引ける
- 測れる:どの指標が動けば成功かを先に決められる
3つのうち1つでも欠けるなら、着手を後ろに回してかまいません。特に3つ目が曖昧なまま始めた種類は、半年後に「やめる根拠がない」という理由だけで残りやすくなります。
どれだけ作るかは、いちばん薄い場所から逆算します。手順は4段です。
- 自社のページを4段階に振り分け、段階ごとの本数を数える
- 戦略上いま狙わない段階を、理由を書いて除外する
- 残った段階のうち手薄なものを1つ選ぶ。段階ごとに分母をそろえて数える(獲得はサービス1つにつき紹介ページと料金・診断が1枚ずつあるか、集客と比較検討は狙うキーワード群1つあたり何本あるか)
- その段階の中で、置く種類ごとの本数を見て最も薄い種類を1つに絞る
当社を当てはめてみます。記事は2026年8月20日に取得した264本のタイトル分類が元です。ページ枚数は8月25日に取得した311URLが元なので、取得日の違う2つの数字を並べている点は先にお断りしておきます。
| 段階 | 本数・枚数 | 内訳 |
|---|---|---|
| 集客 | 120本 | 手順81本+定義39本 |
| 比較検討 | 67本 | 比較37本+費用27本+事例3本 |
| 獲得 | 11枚 | コーポレートのサービス紹介8枚+メディアのサービス・診断ページ3枚(別々のWordPressの合算) |
| 既存顧客 | 0本 | ― |
記事264本のうち、段階を判定できなかった「その他」72本と「ツール紹介」5本の計77本は、この振り分けから外しました。振り分けられたのは187本です。
手順に沿って絞っていきます。既存顧客向けは0本ですが、いまは新規獲得を優先しているため理由を書いて除外しました。
残った獲得と比較検討を、分母をそろえて比べます。獲得は8つのサービスに対して紹介ページが8枚あり、加えて診断を含むページが3枚。分母は満たしています。手薄なのは比較検討のほうでした。
その中を種類別に見ると、いちばん薄いのは事例です。次に増やすべきは記事ではなく事例という結論になりました。
既存が3本しかないので、下限は制作キャパから決めます。事例1本にはお客様への確認を含めて2週間ほどかかるため、3か月で3本。これが次の四半期の下限です。
どこまで手をかけるかも、あらかじめ決めておきたいところです。当社はコンテンツの価値を4段階で見ています。1段目は質問への答えがあり誤情報がないこと、2段目は読みやすく整理されていること。3段目は周辺の疑問まで拾えていること、そして4段目がそこまでやるのかと驚かれる独自データです。
すべての種類で最上段を狙うと手が止まります。看板になる種類だけを最上段に置き、残りは3段目までで十分です。着手の順番そのものについてはオウンドメディアSEOは順番で決まる|自社266本の全数実測で詳しく書きました。
増やさないほうがよい3つの場合
増やす条件と同じくらい大事なのが、増やさない判断です。
- 今ある種類がまだ薄い:土台が弱いまま横に広げると、どちらも中途半端で終わる
- 担当が1人しかいない:同時にフルパワーで回せる本数には限りがある
- 成果の測り方が決まっていない:やめる判断ができなくなる
2つ目については、当社も自社サイト・広告・広報の3本を同時に全力で回すのは難しいと結論を出しました。いま何が詰まっているかを見て、ボトルネックから順に強化するという進め方に切り替えています。置き場所は自社サイトの中だけではないという整理はオウンドメディアとSNSの違い|置き場所と測り方で決めるにあります。
増やさない代わりに、増えすぎたものを整理する視点も持っておきたいところです。当社は既存記事を「残す」「リライトして統合する」「削除する」の3つに分け、成果・需要・鮮度の3軸で判断しています。種類を決めるというのは、足す判断と引く判断の両方を指す言葉です。
コンテンツの種類についてよくあるご質問
コンテンツの種類を整理していると、周辺の言葉で引っかかることがあります。あわせて調べられることの多い4つに答えます。
まとめ
コンテンツの種類は、役割・形式・目的の3つの軸で分けると判断がつきます。役割はGoogleの定義に沿って主役と脇役と出口に分け、形式は続けられるものだけに絞り、目的は読者の段階から逆算する。当社の実測でも、1記事に同居していた形式は7種類に収束していました。
まずは自社サイトのURLを一覧にして、3つの軸で仕分けるところから始めてみてください。どれを優先するかは事業の段階や体制によって変わります。仕分けた先の判断に迷うときは、オウンドメディアの設計からご一緒に整理します。
コンテンツ監査からトピッククラスター設計、KPI・CVR設計まで、検索流入と問い合わせにつながるメディア戦略を整えます。記事は増えたのに成果が伸びない、という企業向けのコンサルティングです。