SEOを外部に頼むことが決まり、SEO会社を調べ始めたところ、候補として並ぶのは十数社を挙げた記事ばかりでした。どれも似たことが書いてあり、社内からは「大手なら安心では」という声も出ています。そんな段階にいる方は少なくありません。
先にお伝えすると、会社の看板が保証するのはその会社が続くことであって、自社の成果ではありません。当社は月間4,500万セッション級メディアの支援現場で、この見立ての違いが結果を分ける場面を見てきました。
この記事では、SEO会社を業態で4つに分け、それぞれが得意な領域を整理します。そのうえで「大手」「上場」といった情報の読み方と、自社に合う型の絞り方をお伝えします。読み終えたときには、社内に説明できる根拠が残るはずです。
コンテンツ監査からトピッククラスター設計、KPI・CVR設計まで、検索流入と問い合わせにつながるメディア戦略を整えます。記事は増えたのに成果が伸びない、という企業向けのコンサルティングです。
先に結論:SEO会社は業態で4つに分かれます
まず最初に、結論からお伝えします。SEO会社選びは、次の3点で整理できます。
- SEO会社は、もともとの本業によって4つの型に分かれます
- 「大手」「上場」が示すのは、会社が続く見込みです
- 選ぶ基準は、自社の課題と業態が合っているかどうかです
1つ目は、会社の分類です。「SEO会社」「SEO業者」「SEO対策会社」と呼び方はさまざまですが、中身は広告が本業なのか、検索が本業なのか、制作が本業なのかで分かれます。同じ看板でも、届くものは同じではありません。
2つ目は、会社の属性情報の読み方です。上場していることや知名度があることは、事実として意味を持ちます。ただしそれが示すのは会社の継続性や対応できる規模であって、自社の案件に付く担当者の力量とは別の話になります。
3つ目は、選ぶ基準です。自社が何をしたいかで、探すべき型は変わります。検索からの集客だけを伸ばしたいのか、広告と合わせて設計したいのかで、当たる相手が分かれます。
会社の大きさを比べる前に、自社の課題がどの型と噛み合うのかを見てください。順番を逆にすると、候補は増えても選べません。
SEO会社と呼ばれる会社は業態で4つに分かれる
SEO会社、SEO業者、SEO対策会社、SEO代理店と呼び方はさまざまですが、区別する軸は1つです。もともと何を本業にしてきたかで、得意な工程が変わります。4つの型を順に見ていきましょう。

総合的なマーケティング会社・広告代理店
1つ目は、広告運用を主戦場としてきた会社です。SEOは提供メニューのひとつという位置づけになっていることが多くなります。
強みは、集客の手段をまとめて相談できることです。広告とSEOのどちらに予算を寄せるか、両方をどう組み合わせるかまで含めて設計してもらえます。
確かめておきたいのは、SEOが主力なのか付随のメニューなのかという点になります。担当する方が過去1年でSEOの案件を何件担当したかを聞いてみてください。答えが具体的に返ってくるかで、社内にどれだけ知見が蓄積されているかが見えます。
SEO専門会社
2つ目は、検索からの集客だけに絞ってきた会社です。SEO専門会社、SEOの専門家という呼ばれ方をします。
強みは、深さです。サイトの構造を直すテクニカルSEO、記事の設計、検索の数字を読む分析まで、工程ごとに担当が分かれていることもあります。込み入った課題に当たったときの引き出しが多いのです。
一方で、扱う範囲は検索に限られてしまいます。広告やSNSまで含めて考えたい場合は、別の会社と組み合わせるか、自社で束ねる必要が出てきます。何をどこまで任せるかの切り分けは、外注で任せる範囲をまとめた記事で詳しく扱いました。
制作会社のSEO部門
3つ目は、サイトを作ることを本業としてきた会社です。制作とセットでSEOを請けるという形になります。
強みは、サイトを直す作業がそのまま社内で完結することです。ページの構造を変える、表示の速さを改善するといった作業に、外部との調整なく手を入れられます。サイトを作り直す予定があるなら、この型が噛み合います。
確かめておきたいのは、公開したあとの改善まで請けられるかという点です。作ることが本業の会社では、納品が区切りになっている場合があります。公開後に誰が数字を見るのかを、契約の前に聞いておいてください。
個人・フリーランス
4つ目は、特定の工程に強い個人です。記事を書く、サイトの技術面を診断する、といった形で関わります。
強みは、費用を抑えられることと、その人の専門領域では会社より深いことがある点です。工程が決まっていて、そこだけ手が足りない場合には最も無駄がありません。
気をつけたいのは、範囲外の工程が自社に戻ってくることです。記事だけを頼めば、テーマを決める仕事と公開後の分析は自社に残ります。長く続ける前提なら、進め方を社内に書き留めながら発注してください。
| 型 | もともとの本業 | この型に頼むと自社に残る仕事 |
|---|---|---|
| 総合・広告代理店 | 広告の運用 | SEOの優先順位を決める判断 |
| SEO専門会社 | 検索からの集客 | 広告やSNSとの配分を決める判断 |
| 制作会社のSEO部門 | サイトを作ること | 公開後に数字を見て次を決める仕事 |
| 個人・フリーランス | 特定の工程 | 工程と工程をつなぐ段取り |
提案を受けるときは、説明がどこから始まるかを見てください。広告の話から入る会社は広告が本業、画面の見た目から入る会社は制作が本業、検索の数字から入る会社は検索が本業です。当社が他社の提案を拝見するときも、まずこの順番を見ています。
「大手」「上場」「有名」から読み取れること
これらの情報が示すのは会社が続く見込みであって、自社の成果ではありません。大手かどうか、上場しているかどうかは、社内を説得する材料としても使いやすいため気になります。だからこそ、何を示していて何を示していないのかを分けて考えてください。

上場が示すのは会社が続く見込み
上場しているという情報は、その会社が一定の基準を満たし、外部の目にさらされながら経営していることを示します。財務の状況が公開され、決算の説明義務も負っているのです。
つまり、その会社が続いているかどうかを自分で確かめられる状態にあるということです。SEOは成果が出るまでに時間のかかる取り組みですから、数年単位で続ける前提なら、この確認できることには意味があります。
一方で、上場はその会社が自社の業種で成果を出せるかどうかとは別の話です。当社も東証上場企業のSEO支援に複数関わってきました。そこで問われたのは自社が上場しているかではなく、その業種の検索行動をどれだけ具体的に説明できるかでした。
看板は入り口の信頼をつくりますが、成果をつくるのは中身になります。
実績の多さが示すのは経験の幅
「支援実績◯◯社」という表記からは、それだけの数の案件を回してきた経験の幅が読み取れます。多くの業種を見ている会社ほど、引き出しは増えるはずです。
ただし件数そのものより、自社と近い条件の案件があるかどうかのほうが重要です。Googleは業者へ尋ねるとよい質問を挙げており、そこには同業種での実績とあわせて「創業年数はどれくらいか。」という項目も含まれています。SEO 業者の利用を検討する(Google検索セントラル)
件数の多さは、自社の業種の実績がゼロでも成立します。総数を見るのではなく、自社と同じ業種・同じくらいの規模で、何をしてどうなったかを聞いてください。答えが出てこないなら、その会社にとって自社は初めての領域である可能性が高いと考えられます。
看板が保証しないもの
ここまでを整理すると、会社の属性情報は候補を絞る材料にはなっても、決める材料にはなりません。読み取れることと読み取れないことを、一度並べてみます。
| 会社の属性 | どこで確かめられるか | 確かめても分からないこと |
|---|---|---|
| 上場している | 公開されている決算資料 | 自社の業種で成果を出せるか |
| 支援実績の件数が多い | 支援先の業種の内訳を尋ねる | 自社と同じ条件の案件があるか |
| 知名度がある | 発信の中身を読む | 自社に付く人が何を語れるか |
右の列は、会社を調べても分かりません。担当者の力量や体制をどう確かめるかは依頼前に決める3つと任せ方をまとめた記事で扱いました。価格の差の読み方は格安プランの構造をまとめた記事で分解しています。
看板で絞れるのは入り口までです。そこから先は、次の章で見る「自社の課題とどの型が噛み合うか」で決めていきます。
代理店と専門会社をどう使い分けるか
4つの型のうち、多くの会社が迷うのは総合型と専門型のどちらかです。判断の分かれ目は自社が何を伸ばしたいかにあります。状況別に見ていきましょう。

検索からの集客だけを伸ばしたいとき
広告はすでに別で回している、あるいは当面は検索だけに集中したい。この場合は専門会社が噛み合います。
理由は、判断の解像度です。専門会社は検索の数字を毎日見ている分、「順位は上がったのに問い合わせが増えない」といった込み入った状況で、原因の候補を多く持っています。
広告と合わせて設計したいとき
検索と広告のどちらに予算を寄せるかを含めて相談したい場合は、総合型が向いています。同じ担当者が両方の数字を見られるためです。
広告はすぐに反応が出る一方、止めれば流入も止まります。検索は積み上がるまで時間がかかる代わりに、あとに残るものです。この性質の違いを前提に配分を決めるなら、両方を扱える相手のほうが話が早くなります。
確かめておきたいのは、SEOを担当するのが社内の人なのか、提携先なのかという点です。提携先が実務を担う形は珍しくありませんが、窓口を経由するぶん、判断が伝わるまでに時間がかかります。誰が手を動かすのかを、提案の段階で聞いておいてください。
途中で乗り換えるときに残るもの
SEOは長く続ける取り組みですから、途中で依頼先を変えることもあります。そのときに問われるのが、自社の手元に何が残っているかです。
残るのはキーワードの一覧と、どの記事にどう手を入れたかの記録、そして分析ツールの権限です。これらが自社にあれば、次の会社は現状を把握するところから始められます。逆に何も残っていなければ、また一から調査することになり、その分の費用と時間がかかります。
契約の段階で、作業の記録を自社に渡してもらう取り決めを入れておいてください。乗り換えを前提にする必要はありませんが、残るものを決めておくと、長く付き合う場合でも社内に知見が積み上がります。費用の内訳の見方は相場と料金体系をまとめた記事にまとめました。
| 自社の状況 | 噛み合う型 | 商談で最初に聞く一言 |
|---|---|---|
| 検索だけを伸ばしたい | SEO専門会社 | 順位が上がっても問い合わせが増えないとき、次に何を見ますか |
| 広告と合わせて設計したい | 総合・広告代理店 | 検索と広告の配分は誰がどの数字で決めますか |
| サイトを作り直す予定がある | 制作会社のSEO部門 | 公開の翌月、御社は何をしていますか |
| 特定の工程だけ手が足りない | 個人・フリーランス | 範囲外の作業が出たとき、どなたに回りますか |
この表の1行が決まれば、社内への説明もそのまま書けます。「当社は◯◯を伸ばしたいので、△型を当たります。会社の大きさではなく、この型が自社の課題と噛み合うためです」。稟議の一文として、そのままお使いください。
コンテンツ監査からトピッククラスター設計、KPI・CVR設計まで、検索流入と問い合わせにつながるメディア戦略を整えます。記事は増えたのに成果が伸びない、という企業向けのコンサルティングです。
特殊な要件があるときの確かめ方
自社のサイトに特殊な事情がある場合、型の話より先に確かめることがあります。その要件を扱った経験があるかです。よくある2つの要件と、実績の聞き方を見ていきましょう。

海外向け・多言語のサイト
海外のユーザーに向けたサイトを持つ場合、作り始める前に決めなければならないことがあります。後から変えるのが難しい判断のため、経験のある相手を選ぶ意味が大きいのです。
Googleはまず、2つのサイトを区別しています。多言語サイトは「複数の言語でコンテンツを提供するウェブサイト」、多地域サイトは「異なる複数の国のユーザーを明示的にターゲットにしているウェブサイト」です。多地域、多言語のサイトの管理(Google検索セントラル)
そのうえで、国や言語ごとのページをどのURLに置くかという選択が必要になります。Googleは次の選択肢を挙げ、それぞれの長所と短所を示しています。
- 国別のドメインを使う(地域が明確だが費用がかかる)
- サブドメインに分ける(導入しやすいが判別されにくい)
- サブディレクトリに置く(管理しやすいが分割が難しい)
- URLパラメータで切り替える(Googleは推奨していません)
URLの階層をどう設計するかは、ディレクトリ構造をまとめた記事でも扱いました。
もうひとつ、実装で注意が要る点にも触れておきましょう。Googleは「サイトのある言語バージョンから別の言語バージョンにユーザーを自動的にリダイレクトすることは避けてください」と述べています。あわせて「IP アドレス分析に合わせてコンテンツを変更しないでください」とも書いています。よかれと思って入れた自動切り替えが、かえって不利に働くことがあるのです。
ページ数の多い大規模なサイト
商品や求人、施設の情報が数千・数万ページある場合も、通常の記事制作とは進め方が変わります。1ページずつ手で作る発想では追いつかないためです。
この規模で中心になるのは、ページの型の設計です。あわせて、どの階層にどれだけページを持たせるか、検索されない組み合わせをどう間引くかも判断が要ります。記事を書く力よりも、構造を設計する力が問われます。
確かめ方はシンプルで、同じくらいのページ数のサイトを扱った経験があるかを聞くことです。数千ページと数十ページでは、必要な考え方がまったく違うためです。経験がない相手に頼むと、手作業で回そうとして途中で行き詰まることがあります。
実績の聞き方
特殊な要件があるときほど、実績の確かめ方が効いてくるでしょう。Googleが挙げている質問の例には、「該当する国や地域でどのような実績があるか。」「外国語サイトの開発について、どのような経験があるか。」という項目が含まれています。
あわせて、過去の顧客に尋ねることも勧められているのです。「過去の顧客に対して、SEO 業者から提供されたサービスが役に立った、スムーズに連携できた、良好な成果が得られたと感じたかどうかを尋ねます」という記述です。
実際に聞くのが難しい場合でも、「その案件で最初に手をつけたのは何ですか」と尋ねるだけで見えるものがあります。順序を具体的に語れる相手なら、自社の状況でも同じように診断してくれるはずです。
今泉の視点:提案書を拝見するとき、私が見ているのは実績の数ではなく、説明がどこから始まるかです。広告の話から入るのか、画面の見た目から入るのか、検索の数字から入るのか。ここにその会社の本業が出ます。
以前、ご相談者が「大手だから安心だと思った」とおっしゃったことがありました。実際には担当された方が入社1年目で、その業種を扱うのが初めてだったのです。前提の説明から毎回始まるため、判断が1往復ずつ遅れていきました。会社の看板と、目の前の担当者の経験は別々に確かめる必要がありました。
看板で絞れるのは候補までだと考えています。決めるのは、自社の課題がどの型と噛み合うかです。
SEO会社についてよくあるご質問
まとめ
SEO会社は、もともとの本業によって4つの型に分かれます。総合型と広告代理店、SEO専門会社、制作会社のSEO部門、そして個人の4つです。同じ看板でも、得意な工程はそれぞれ違います。
- 呼び方ではなく、もともとの本業で4つに分かれます
- 「大手」「上場」が示すのは会社が続く見込みです
- 選ぶ基準は自社の課題と業態が合っているかです
「大手」「上場」「有名」という情報は、会社の継続性や対応できる規模を示します。ただし自社に付く担当者の力量は別に確かめてください。とくに海外向けや大規模なサイトを持つ場合は、その要件を扱った経験があるかが先になります。
まずは自社が何を伸ばしたいのかを一言で書き出し、その隣に噛み合う型を書いてみてください。ここが決まると、候補を探す作業がぐっと軽くなります。どの型を当たるべきか迷われている場合は、そこからご一緒します。
コンテンツ監査からトピッククラスター設計、KPI・CVR設計まで、検索流入と問い合わせにつながるメディア戦略を整えます。記事は増えたのに成果が伸びない、という企業向けのコンサルティングです。
