Search Consoleに並ぶCTRの数字を見て、「1.2%というのは低いのだろうか」と手が止まった経験はないでしょうか。調べてみると「1位は39.8%」といった数字が出てきて、かえって分からなくなります。
株式会社街中文学は、東証プライム上場企業のECサイトから月間4,500万セッション級のメディアまで、SEOの支援を担当してきました。そこで何度も確かめてきたのは、他社の平均値をいくら集めても、自社の答えは出てこないということです。
読み終えるころには、自社のCTRが判断できる状態にあるかを自分で見分けられ、まだ判断できないときに次へ進む道筋まで分かります。
コンテンツ監査からトピッククラスター設計、KPI・CVR設計まで、検索流入と問い合わせにつながるメディア戦略を整えます。記事は増えたのに成果が伸びない、という企業向けのコンサルティングです。
CTRはクリック数を表示回数で割った数字
CTRはClick Through Rateの略で、日本語では「クリック率」と呼ばれます。式そのものは単純で、クリック数を表示回数で割るだけです。
ところが自社の数字が高いのか低いのかを判断しようとすると、この分母である「表示回数」が何を数えているかで話がまるで変わってきます。ここを押さえないまま平均値だけを探しても、比べる相手を間違えることになりかねません。まずは定義を、Googleの公式資料で確かめておきましょう。
分母になる「表示回数」の数え方
CTRは「検索結果に出た回数のうち、何回クリックされたか」を表す割合です。Search Consoleのヘルプには「クリック率: クリック数を表示回数で割った値です。」と書かれています。英語版でも「Click-through rate: The calculation of (clicks ÷ impressions).」と、同じ式が示されていました(Search Console ヘルプ「表示回数、掲載順位、クリック数とは」)。
表示が100回でクリックが2回なら、CTRは2%になります。なお分母の表示回数は、インプレッションとも呼ばれます。管理画面や代理店の報告書ではこちらの言い方を見かけることも多いのですが、指しているものは同じです。
分子と分母に何が入るのかを、公式の記述にそって整理しておきます。
| 位置 | 数えるもの | 公式が定めている条件 |
|---|---|---|
| 分子 | クリック数 | Google検索・Discover・Googleニュース以外のページへ移動させたクリックだけを数える |
| 分母 | 表示回数 | 検索結果ページに載っていればカウントされる。スクロールされたかどうかは問わない |
分子のほうは、水増しされにくい数字です。公式の説明では、クリックとして数えるのは原則としてユーザーをGoogleの外のページへ移動させた場合で、クリックしてもGoogle内に留まるときは数えません。ただし、モバイルで速く表示するために用意された軽量ページの仕組みであるAMPについては、Google側のビューアーが開いてもクリックとして数える、という例外が原典に添えられています。
くり返しのクリックについても定めがあります。「検索結果をクリックして外のページに移動した後、元のページに戻って同じリンクをクリックしても、クリック数としてカウントされるのは 1 回のみです。」と書かれていました。同じ人が行ったり来たりしても、1回として扱われるわけです。
つまりCTRを読むときに気をつけるべきなのは、分子ではなく分母のほうになります。
スクロールしないと見えない位置でも数える
表示回数は「見られたかどうか」ではなく、「載っていたかどうか」で数えます。ここがCTRを実感より低く見せる、いちばん大きな理由です。
公式の記述はこうです。「表示回数は通常、現在表示されている検索結果ページに項目が掲載されていればカウントされます。その項目が画面に表示されるまでスクロールされたかどうかは関係ありません。なお、ユーザーがクリックして検索結果の続きを表示する必要がある場合(そのリンクを表示するには「もっと見る」をクリックしなければならない場合など)は除きます。」
検索結果の1ページ目の下のほう、10位に表示されたページを想像してみてください。検索した人が上から3件だけ見て画面を閉じたとしても、そのページには表示回数が1回積まれます。誰の目にも触れていないのに分母だけが増えるのですから、CTRは下がります。順位が低いページのCTRが小さくなるのは、興味を持たれなかったからというより、この数え方の構造によるところが大きいのです。
ただし、どんな場所でもスクロール無関係というわけではありません。公式が例外として挙げているのは、次の3つです。
- カルーセルのように、横へ流して見る領域
- クリックしないと開かない展開領域
- モバイルの画像検索やDiscoverのような無限スクロール
これらは実際にスクロールされて表示されて、はじめて回数が積まれます。
なお同じ検索の中でリンクが画面外に出て再び表示された場合や、いったんページを離れて戻ってきた場合も、表示回数が二重に数えられることはありません。
Search Consoleのどこで見られるか
自然検索のCTRは、Search Consoleの「検索パフォーマンス」レポートで確認できます。画面上部にある「平均CTR」のカードを押すと、グラフと下の表に数値が加わります。表はクエリ・ページ・国・デバイス・検索での見え方・日付のタブに分かれていて、どの切り口で見るかを選べる作りです。ここでいうクエリとは、実際に検索窓へ入力された言葉のことを指します(検索クエリとは?キーワードとの違いと直すべき場所の決め方)。
注意したいのは、タブによって集計の単位が変わることです。公式には「グラフのデータはすべてプロパティごとに集計されます。たとえば、1 つのクエリに対して同じサイトから 2 件の検索結果が表示された場合、グラフの合計では 1 回のインプレッションとしてカウントされます。」とあります(Search Console ヘルプ「検索パフォーマンス レポート」)。
表のほうは、まとめ方によって単位が切り替わります。
| 選んだタブ | 集計の単位 |
|---|---|
| クエリ・国・デバイス・日付 | サイト単位でまとめられる |
| ページ・検索での見え方 | ページ単位でまとめられる |
同じサイトの2ページが1回の検索で同時に表示された場面を考えると、違いがはっきりします。サイト全体では表示回数1、ページ別に見ると表示回数2です。サイト全体のCTRと、ページ別CTRを足し合わせたものは一致しません。どちらが正しいという話ではなく、見ているタブによって分母が別物になっている、と理解しておけば十分です。
もうひとつ、公式が表示回数について添えている注意があります。「ただし、表示回数を増やすだけでなく、意味のある表示回数になるようにする必要があります。」という一文です。分母は増やせばよいものではない、という立場がここに示されています。この考え方は、あとで自社の実測を読むときにもう一度効いてきます。
1位の平均CTRは8%から47%まで開く
「1位の平均CTRは何%か」という問いを調べると、記事ごとに違う答えが返ってきました。どれかが間違っているのだろうと考えたくなりますが、原典に当たると事情はもう少し複雑です。
当社は2026年8月6日に、日本語圏でよく引用される調査の原典ページを1本ずつ取得し、数値・母数・調査時点・対象を突き合わせました。1位のクリック率として確認できたものは、8.17%から46.9%まで開いています。この章では、その数値と、差が生まれる理由を整理します。

原典で確認できた数値を並べる
下の表は、原典のページで数値そのものを確認できたものだけを並べたものです。前提を書かずに数字だけを取り出すと意味が変わってしまうため、各原典に書かれていた条件を必ず添えています。
| 1位のCTR | 出所 | 原典に書かれていた前提 |
|---|---|---|
| 8.17% | seoClarity 2021 | PC・クリックストリーム計測・2021年5月までの30日間 |
| 9.13% | seoClarity 2021 | 米国・デバイスの区分の記載なし・2020年7月〜2021年6月 |
| 13.7% | SISTRIX | モバイル・ショッピング枠が上部にあるSERP |
| 13.94% | seoClarity 2021 | 日本・デバイスの区分の記載なし・2020年7月〜2021年6月 |
| 23.35% | Advanced Web Ranking | 2021年1月・情報を集める意図の検索 |
| 27.6% | Backlinko | Search Console集計・デバイス区別なし |
| 28.5% | SISTRIX | モバイルのみ・全レイアウトの平均 |
| 33.92% | Advanced Web Ranking | 2021年1月・商品を買う意図の検索 |
| 34.2% | SISTRIX | モバイル・自然検索の結果だけで構成されたSERP |
| 39.8% | First Page Sage | 他社調査のメタ分析・他の要素が何もないSERP・母数の記載なし |
| 46.9% | SISTRIX | モバイル・サイトリンクが表示されたとき |
最小と最大では約5.7倍の開きがあります。SERPというのは検索結果ページのことで、広告・地図・画像・動画などが混ざる度合いによって見え方が大きく変わる場所です。同じ「1位」でも、隣に何が置かれているかで数字が倍以上動いていることが、この表から読み取れます。
もうひとつ、日本の担当者にとって見逃せない点があります。日本の検索結果を切り出した数字として原典に当たれたのは、seoClarity 2021年調査のJapanセクション(13.94%)だけでした。Advanced Web Rankingは対象国を米国・英国・オーストラリアの3か国と明記していて、日本は独立した集計対象に入っていません。その他の調査も、日本を対象に含めていないか、対象国の記載そのものがありませんでした。
そして大切な但し書きがあります。これらの調査はいずれも、他調査との差について説明していません。上の整理は、当社が各原典に書かれた前提を突き合わせた結果であって、各社が公言したものではありません。
最も引用される39.8%は二次情報だった
日本語の解説記事でいちばんよく見かけるのは、First Page Sageの「1位=39.8%」です。当社が確認した上位13サイトのうち、6サイトがこの数字を引いていました。ところが原典を読むと、同社自身が一次調査ではないと書いています。
- 他社調査を統合したメタ分析であり、一次調査ではありません
- 分析したキーワード数・表示回数の記載がありません
- 他の要素が何もない検索結果ページの値だと明記されています
原文はこうです。「Recently, our team conducted a meta-analysis, combining research on click-through rates (CTRs) within the Google Search environment and presenting the results in a unified form.」(First Page Sage「Google Click-Through Rates (CTRs) by Ranking Position in 2026」)。メタ分析とは、他の人が行った調査の結果を集めて統合する手法のことです。
ページ末尾のSourcesには8件の出典が並んでいます。しかし、どれをどう重み付けして39.8%という値を出したのかの説明はありません。分析したキーワード数も表示回数も書かれていないため、この数字が何件のデータに支えられているのかは分からないのです。対象の国や言語、PCとモバイルの区別についても記載がありませんでした。
そのSourcesの中にはBacklinkoが挙がっています。一方でBacklinkoの記事を開くと、冒頭でFirst Page Sageの39.8%を引用しています(Backlinko「We Analyzed 4 Million Google Search Results. Here’s What We Learned About Organic Click Through Rate」)。AがBを出典にし、BがAを引用している状態です。どちらをたどっても、もとの実測にはたどり着けません。
最後にもうひとつ、39.8%には重い前提がついています。原典の表の直前に「These CTRs apply to Google Search pages with no other elements on them (e.g. no maps, images, videos, or shopping results).」と書かれているのです。地図も画像も動画もショッピング枠もない検索結果ページの値、という意味になります。そうした結果ページは、いまのGoogleではほとんど見かけません。
差が出る5つの理由
原典で確認できた事実の範囲で、差の要因は5つに整理できます。順番に見ていきましょう。
1つ目は、そもそも一次調査ではないものが混ざっていることです。前の見出しで見たとおり、最もよく引用される数字が他社調査の統合結果でした。統合の方法が公開されていないので、検証のしようがありません。
2つ目は、データの出どころが2系統あることです。Advanced Web Ranking・Backlinko・SISTRIXは、サイト所有者が提供したSearch Consoleのデータを集計しています。この方式では、参加したサイトが表示された分しか見えません。
一方でseoClarity 2021は、利用者の閲覧行動そのものを記録するクリックストリームという方式です。seoClarityは自らのレポートで、Search Console方式には参加者の偏りがあると批判しています。
3つ目は、分母の定義が同じとは限らないことです。Advanced Web Rankingは自社サイトの中で、CTRの分母を「そのキーワードの総検索回数」と書いているページと、「表示された回数」と書いているページの両方を持っています。総検索回数を分母にすると、自社が表示されなかった検索まで分母に入るため、値は当然低く出ます。どちらの式で算出されているかは原典から確定できませんでした。
4つ目は、デバイス・国・SERPレイアウトを分けているかどうかです。seoClarity 2021の中だけを見ても、切り口を変えるだけで1位の値は動きます。同じ調査でも、モバイルの1位は6.74%と、上の表にあるPCの値より低い結果でした。国別に分ければ、最も低い米国に対して最も高いインドは14.88%まで上がります。表に載せた日本の値は、分析された国のなかで2番目に高いものでした。
SISTRIXはモバイル限定の調査で、しかもSERPレイアウト別に見ると最小と最大で3倍以上の差が出ていました。同社は全データを集計した順位別の平均CTRのグラフを示し、その直後に「Averages, as shown in the diagram above, distort the reality.」、つまり上の図が示すような平均は現実をゆがめる、と書いています(SISTRIX「Why (almost) everything you knew about Google CTR is no longer valid」)。
5つ目は、調査の時点がバラバラなことです。これは見た目に気づきにくく、いちばん誤解を招きます。次の見出しで詳しく扱います。
「2026年最新」でも中身は数年前のことがある
ページに書かれた日付は、調査を実施した時点とは限りません。当社が原典のHTMLと構造化データを両方確認したところ、表示されている日付と中身の年がずれている例がいくつも見つかりました。構造化データというのは、公開日や更新日などを機械が読める形でページに埋め込んだ情報のことです。
| 調査 | ページ上の日付表記 | 実際のデータ時点 |
|---|---|---|
| Backlinko | Last updated on Apr. 16, 2025 | 構造化データの公開日は2019-08-27。取得期間の記載なし |
| First Page Sage | タイトルに in 2026、ヘッダーは May 28, 2025 | 本文の比較記述は2025年まで。構造化データの更新日は2025-12-23 |
| seoClarity 2025 | Published July 2025 | 2024年4月7日と2025年4月8日の2日分の比較(原典は両日を月曜と表記) |
Backlinkoの例が分かりやすいと思います。本文には2025年4月の更新日が出ていますが、構造化データ上の公開日は2019年8月です。2025年の日付は「ページを更新した日」であって、「調査した日」ではありません。しかも、いつからいつまでのデータを集計したのかは原典に書かれていませんでした。
First Page Sageの場合は、タイトルだけが「in 2026」で、本文のヘッダーは「May 28, 2025」、構造化データのdateModifiedは2025-12-23と、どちらも2025年でした。本文の比較記述も2025年までの話です。タイトルの年号だけが1年先を向いていることになります。
seoClarityの2025年の調査にいたっては、前年の1日と当年の1日、合わせて2日分を比べたものでした。しかもこの調査には、日付そのものに気になる点があります。
原典は「Monday, April 7, 2024, and Monday, April 8, 2025」と両方を月曜として挙げ、同じ曜日で比べることで曜日による差を抑えたと説明しています。ところが当社がカレンダーで確かめたところ、この2日は日曜日と火曜日でした。曜日をそろえたという説明と、書かれている日付が合っていません。
なお、両年の日付を入れ替えた2024年4月8日と2025年4月7日は、どちらも月曜日にあたります。日付の側が入れ違っている可能性はありますが、どちらが正しいのかは原典に書かれていません。ここで確かめられるのは、説明と日付が一致していないという事実までです。
いずれにせよ、比べたのが2日分である点は押さえておく必要があります。なおこの調査は、本文に順位別CTRの絶対値がなく、示されているのは前年比の変化量だけでした(seoClarity「Mobile & Desktop CTR Study: The True Impact of AI Responses in Google」)。
実務での結論は単純です。数値を引くときは、発行年ではなくデータの取得期間を確認してください。取得期間が書かれていない調査は、いつの検索結果の話なのかが分かりません。5年前のGoogleと今のGoogleでは、検索結果ページの見た目そのものが変わっています。
自社の90日実測は順位の階段にならなかった
ここまで他社の調査を見てきましたが、自分たちのデータを出さずに人の数字を論じるのは公平ではありません。当社が運営するこのメディアの直近90日分を、Search ConsoleのAPIから順位帯別に集計しました。
結果を先にお伝えします。順位が上がるほどCTRが高くなるという、あの見慣れた階段の形にはなりませんでした。むしろ1位のCTRが0.0%で、クリックが出ているのは6〜10位帯と21〜50位帯だけ、という結果になりました。なぜそうなるのかまで含めて見ていきます。

順位帯別のCTRを測った結果
集計の条件から先に示します。対象は当社の自社メディア1サイト、期間は2026年5月6日から8月3日までの90日間で、Search ConsoleのAPIから2026年8月6日に取得しました。表示のあったクエリは641本、表示回数の合計は4,496回、クリックの合計は9回、全体のCTRは0.20%です。
| 平均掲載順位 | クエリ数 | 表示回数 | クリック | CTR |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 4 | 28 | 0 | 0.0% |
| 2〜3位 | 10 | 15 | 0 | 0.0% |
| 4〜5位 | 11 | 88 | 0 | 0.0% |
| 6〜10位 | 65 | 623 | 5 | 0.8% |
| 11〜20位 | 86 | 526 | 0 | 0.0% |
| 21〜50位 | 325 | 2,623 | 4 | 0.15% |
| 51〜100位 | 140 | 593 | 0 | 0.0% |
出典: 当社自社メディアのSearch Console実測(2026年8月6日取得・期間2026年5月6日〜8月3日)
クリックが出ているのは、6〜10位帯と21〜50位帯の2つだけでした。一般に流通している「上位ほどCTRが高い」というカーブとは、まるで形が違います。
ここでお断りしておきます。これは当社1サイトの実測値であり、一般化できるものではありません。皆さまのサイトで同じ形が出るとは限りません。ただ、この形になった理由には、どのサイトにも当てはまる仕組みが隠れています。
1位帯は28表示でクリック0だった
1位帯の内訳を見ると、答えが出てきます。90日でクエリは4本、表示は合計28回、クリックは0回でした。集計表には「CTR 0.0%」と出ます。
この0.0%を「当社は1位を取ってもクリックされない」と読むのは誤りです。28回のうち1回でもクリックがあれば3.6%、2回あれば7.1%になります。刻める値がとびとびで、その間の数字が存在しないのです。0.0%と3.6%のあいだに答えがある可能性を、この母数では否定できません。
2〜3位帯はもっと極端で、表示が15回しかありませんでした。1クリックあれば6.7%です。上位帯ほど母数が小さいという逆転が起きているため、上位ほどCTRが高いという関係が数字の上に現れようがない状態でした。
逆に、いちばん母数が大きいのは21〜50位帯です。325クエリ・2,623表示と、他の帯を大きく上回ります。順位が低い帯ほど該当するクエリが多く、母数が積み上がるのは、多くの中小サイトに共通する形だと考えています。上位に届いているクエリが少ないうちは、上位帯の数字ほど当てになりません。
平均表と比べても答えが出ない理由
では、前の章で見た他社の平均表と、この実測を並べたらどうでしょうか。結論から言うと、並べても判断材料になりません。理由は2つあります。
1つ目は、前提がそろっていないことです。外部調査の値には、デバイス・国・SERPレイアウト・調査時点という条件がついていました。自社の数字にもまた別の条件があります。条件をそろえずに引き算をしても、出てきた差が実力の差なのか条件の差なのかを区別できません。
2つ目は、母数の桁が違いすぎることです。参考までに並べてみます。
| 対象 | 集計された表示回数 |
|---|---|
| seoClarity 2021(原典に記載あり) | 約7,502億回 |
| Backlinko(原典に記載あり) | 1,312,881ページ・12,166,560クエリ |
| 当社の自社メディア(90日・クエリ単位) | 4,496回 |
なお当社の4,496回は、クエリ単位で集計したときの合計です。ごく少数の人しか使っていないクエリは匿名化されて一覧から落ちるうえ、クエリ単位ではサイト全体としてまとめられるため、ページ単位で足し上げた数とは一致しません。集計の単位が変われば分母も変わるという、この記事で繰り返しお伝えしている点がここにも出ています。
数億から数千億の表示回数をならした平均値と、90日で4,496回の実測を比べても、意味のある差は取り出せません。比較というのは、比べられる条件がそろって初めて成立します。
それでも他社の平均値を目標に置いてしまうのは、目標として分かりやすいからです。当社は文字数についても同じ迷い方をした経験があり、外部の平均値ではなく自社239本の実測から判断する方法にたどり着きました(SEOの文字数は目標ではなく結果|自社239本の実測と決め方)。CTRでも考え方は変わりません。
ここは言い切っておきます。他社の平均CTRを、自社の目標値に置いてはいけません。条件がそろっておらず、母数の桁も違うので、達成しても未達でも意味を読み取れないからです。目標にするなら、自社の数字から引いた線でなければ機能しません。
大切なのは、ここで挙げた数値そのものではなく、自分のデータで確かめるという手順のほうです。そして自分のデータを見にいくと、次の壁にぶつかります。そもそも母数が足りているのか、という問題です。
CTRは母数が足りないと判断材料にならない
CTRは率です。率である以上、分母が小さいうちは数字として機能しません。当たり前のことのようですが、Search Consoleの画面には0.0%も33.3%も同じ顔で並ぶので、見ているうちに忘れてしまいます。
この章では、母数の不足が実際のデータにどう現れるのか、そして数字を見る前に何を決めておけばよいのかを扱います。ここがこの記事でいちばんお伝えしたい部分です。

641クエリの37%は表示1回だった
前章と同じ90日のデータを、今度は表示回数の分布で見てみます。
| 表示回数 | 該当クエリ数 | 641本に占める割合 |
|---|---|---|
| 1回だけ | 237本 | 37.0% |
| 5回以上 | 213本 | 33.2% |
| 10回以上 | 111本 | 17.3% |
| 30回以上 | 26本 | 4.1% |
| 100回以上 | 6本 | 0.9% |
出典: 当社自社メディアのSearch Console実測(2026年8月6日取得・期間2026年5月6日〜8月3日)
いちばん多いのは「表示1回」のクエリで、全体の4割近くを占めています。表示が1回のクエリでは、CTRは0%か100%しか取りえません。中間の値が存在しないのですから、平均と比べるという行為そのものが成り立ちません。
もうひとつ、この90日でクリックが1回以上あったクエリは、641本のうち8本でした。残る633本には0.0%と表示されます。この0.0%は「クリックされなかった」という事実ではありますが、「クリックされにくい」という評価ではありません。事実と評価は別のものです。
皆さまがSearch Consoleで自社のクエリ一覧を開いたときも、同じように表示1回のクエリが多くを占めることがあります。並んでいる0.0%の大半は、まだ何も語っていない数字だと考えてください。
タイトルを変えても判定できなかった
母数の不足は、改善の効果を測る場面でもそのまま壁になります。当社の失敗に近い実例をお出しします。
2026年7月10日、当社は自社メディアのある記事のタイトルに「音楽教室」という言葉を足しました。判断の根拠は、変更前28日間の実測です。その記事で最も順位が高かったクエリが、38表示・0クリック・平均6.2位・CTR 0.0%だったのです。6位台に出ているのにクリックがゼロなので、タイトルの言葉が検索した人の期待と合っていないのではないか、と考えました。
ではその後どうなったのか。90日累計で同じクエリを見ると、次のようになっていました。
| 時点 | 表示 | クリック | 平均掲載順位 |
|---|---|---|---|
| 変更前の28日間 | 38回 | 0 | 6.2位 |
| 90日累計(変更後を含む) | 49回 | 0 | 6.6位 |
ここが肝心なところです。変更前の28日ですでに38表示を積んでいるので、変更後に積み上がった表示は多くても11回にしかなりません。しかも90日の期間には、変更前のさらに前の時期も含まれています。
11回の表示では、CTRが動いたのかどうかを判定できません。効果があったとも、なかったとも言えない状態です。当社はこれを失敗ではなく判断保留として扱い、母数がたまるまで結論を出さないことにしました。もし「変わらなかったから元に戻そう」と動いていたら、まだ答えの出ていない施策を、根拠なく打ち消していたことになります。
見る前の足切りを先に決めておく
母数が足りないクエリを毎回その場で見分けようとすると、判断がぶれます。忙しい日はつい0.0%の行に目が行きますし、余裕のある日はいくらでも深読みできてしまうからです。
当社は、隔週で回している分析スクリプトの中に、この足切りを条件式として固定しました。人の気分が入り込む余地をなくすためです。
- 母数の足切り:表示回数15回未満のクエリは、CTRを見ない
- 順位帯ごとの合格ライン:5位以内はCTR 3%未満、5位超〜10位以内は1.5%未満のときだけ改善候補にする
合格ラインを順位帯で分けているのは、順位が違えば期待できるCTRも違うからです。1本の基準値を全順位に当てはめると、上位のページが甘く、下位のページが厳しく判定されてしまいます。
この条件で2026年7月10日に抽出したところ、該当したのは1件だけでした。前の見出しで挙げた、音楽教室のクエリです。数十本のクエリを目で追う作業が、条件式ひとつで1件に絞られたことになります。
この3%や1.5%は、外部の平均値でも業界の基準値でもありません。当社のデータに合わせて置いた社内のしきい値です。したがって数値そのものを真似する必要はありません。持ち帰っていただきたいのは、「表示◯回未満は見ない」と先に決めてから画面を開くという手順のほうです。
当社は別の集計でも、同じ理由で判断を降ろしたことがあります。読者の検討段階ごとに記事を分類して、Search Consoleの実績を集計したときのことです。
1本あたりの表示回数には、段階によって差が出ていました。ところが期間中のクリックは全体で11しかなく、クリックでの比較は成立しないと記録に明記しています。数字が並んでいても、比較に使わないと決めるべき場面はあるのです。
今泉の視点:私はご相談の場で、CTRの話が出たときに順位の話から入らないようにしています。先に聞くのは「そのクエリ、90日で何回表示されていますか」の一問です。だいたいの場合、ここで会話が止まります。
止まること自体は悪いことではないと考えています。数字が足りないと分かった時点で、その日にやるべきことが「タイトルを直す」から「母数がたまる設計にする」へ変わるからです。私自身、変更後11回の表示しかない施策を評価しようとして、危うく打ち消すところでした。判断を保留する勇気は、施策を打つ勇気と同じくらい必要だと思っています。
クエリで足りなければページ単位で見る
では、母数が足りないときは何も見られないのでしょうか。そんなことはありません。集計の単位を上げれば、分母は積み上がります。
同じ90日のデータをページ単位で見ると、表示があったページは162本ありました。そのうち表示10回以上が106本、30回以上が52本、100回以上が17本、300回以上が5本です。クエリ単位では100回以上が6本しかなかったところが、ページ単位なら17本になります。比べられる粒度に近づくわけです。
それでも足りないときは、さらに単位を上げます。当社はロングテール、つまり検索数の少ない言葉を狙った記事について、1本ずつ評価せず同じテーマの束ごとに表示回数を合計して見る運用をとっています。1本あたりの数字が小さすぎて、伸びなのか誤差なのか区別できないからです。
| 集計の単位 | 母数 | 分かること |
|---|---|---|
| クエリ | 最も小さい | どの言葉で期待と合っていないか |
| ページ | 中くらい | どの記事に手を入れるべきか |
| テーマの束 | 最も大きい | その領域全体が伸びているか |
階段を上がるほど母数は増え、率は安定します。そのかわり、どこを直せばよいかの特定は粗くなります。細かく見たいのか、確かに言いたいのかを決めてから単位を選ぶ、という順番になるわけです。
なお、順位の下落そのものの原因を切り分けたい場合は、この記事の範囲を越えます。どこから調べればよいかは、範囲と日付の絞り方から別の記事にまとめています(検索順位が下がった原因の見つけ方|範囲と日付で2つに絞る)。
コンテンツ監査からトピッククラスター設計、KPI・CVR設計まで、検索流入と問い合わせにつながるメディア戦略を整えます。記事は増えたのに成果が伸びない、という企業向けのコンサルティングです。
Search Consoleの数字と調査データは別物
自社のCTRと外部調査の順位別CTRを、つい同じ土俵に乗せたくなります。片方に「1位 39.8%」と書いてあり、もう片方に「平均掲載順位3.2位・CTR 1.2%」と出ているのですから、比べるなという方が無理な話です。
けれども、この2つは指標としての作りが違います。順位の意味も、集計の単位も、一致していません。どこがどうズレているのかを、3つの角度から見ていきます。
平均掲載順位は小数で期間内が混ざる
Search Consoleの「平均掲載順位3.2位」は、3.2位に表示されたという意味ではありません。公式の説明はこうです。「これは、すべての表示について掲載順位の平均をとったものです(リンクの掲載順位は表示されるたびに変わるため)。」
公式は計算の例まで示しています。あるクエリで2位・4位・6位に出たなら最上位の2位として数え、別のクエリで3位・5位・9位に出たなら3位として数えます。そのうえで「2 つのクエリの平均掲載順位は (2 + 3)/2 = 2.5 となります。」と書かれていました(Search Console ヘルプ「表示回数、掲載順位、クリック数とは」)。
つまり画面に出ている小数には、複数のクエリと、期間中に上下した表示機会が、まとめてならされて入っています。公式自身も「掲載順位値は複雑な指標なので、微妙な部分まで理解していないと誤解を招くおそれがあります。」と注意を促しています。
そのうえで「パフォーマンス レポートではページの掲載順位が 5 位なのに、実際の検索では 8 位になる」という見出しを立て、この食い違いをわざわざ説明していました。検索履歴や場所によって、実際の順位は平均と変わるからです。
一方、外部調査の順位別CTRは「1位」「2位」という整数の枠にデータを分けて集計しています。片方は平均されて出てきた小数で、もう片方は整数で区切った枠です。この時点で、比べる軸そのものが違います。
ページ全体と最上位クエリが逆転した
「ならされている」という説明だけでは、実感がわきにくいところです。当社の実測に、それがはっきり出た例があります。前章でタイトルを変えた、あの記事のデータです。
| 見ている単位 | 表示 | クリック | CTR | 平均掲載順位 |
|---|---|---|---|---|
| ページ全体(変更前28日) | 259回 | 3 | 約1.16% | — |
| 同期間で最も順位が高かったクエリ | 38回 | 0 | 0.0% | 6.2位 |
| ページ全体(90日) | 596回 | 8 | 1.34% | 20.2位 |
| 同じクエリ(90日) | 49回 | 0 | 0.0% | 6.6位 |
出典: 当社自社メディアのSearch Console実測(2026年8月6日取得・期間2026年5月6日〜8月3日ほか)
表を読むと、奇妙なことが起きています。ページ全体では1%台のCTRが出ているのに、そのページで最も順位が高いクエリのCTRは0.0%なのです。順位が良いほうがクリックされていない、という逆転が起きています。
種明かしをすると、「平均掲載順位20.2位でCTR 1.34%」という1行は、6位台のクエリと40位台のクエリが混ざった結果です。どの順位のCTRでもありません。この数字を持って外部調査の順位別CTRの表を見に行っても、照らし合わせる先が存在しないわけです。
もうひとつ、分母そのものが動くという問題があります。当社が自社239本の記事で本文の文字数と検索成績を突き合わせたところ、文字数が多い記事ほど1本あたりの表示回数は伸びていた一方で、順位は上がっていませんでした。ただし長い記事ほど公開が新しいという偏りがあるため、これは因果とは言えません。
ここで増えていたのは順位ではなく、露出の機会でした。つまり動いたのはCTRの分母のほうだったわけです。
クリックが変わらないまま表示回数だけ増えれば、CTRは下がります。加筆したあとにCTRが下がっても、それだけでは失敗の証拠にならないのです。
AI概要のCTRは分けて見られない
「AIの回答が出るようになってからCTRが下がった気がする」というご相談を、この1年でよくいただくようになりました。確かめられる範囲と、確かめられない範囲を分けて整理します。
まずSearch Consoleでの扱いです。公式には、AIによる概要で外部ページへのリンクをクリックした場合はクリック数としてカウントされ、表示回数には標準のルールが適用されると書かれています。掲載順位については「AI による概要に付与される掲載順位は検索結果内で 1 つのみです。」とあり、概要内のすべてのリンクに同じ順位が割り当てられます(Search Console ヘルプ「表示回数、掲載順位、クリック数とは」)。
2026年6月3日には、生成AIパフォーマンスレポートの提供開始が発表されました。AIによる概要とAIモードでの露出を、専用の画面で見られるようにするものです。
ただしこのレポートで表示される指標は表示回数だけで、クリック数やCTRの記載はありません。提供先も一部のサイトに限られています(Search Console ヘルプ「生成 AI パフォーマンス レポート(検索)」)。
したがって2026年8月の時点では、AIによる概要だけのCTRをSearch Consoleで算出することはできません。「AI概要のせいでCTRが下がった」という仮説は、自社のデータでは検証できない状態です。
- AI概要から外部ページへのクリックは、クリックとして数えられます
- AI概要内のリンクには、すべて同じ掲載順位が割り当てられます
- AI概要だけのCTRは、Search Consoleでは算出できません
- 生成AIパフォーマンスレポートで見られるのは表示回数だけです
では外部調査はどうでしょうか。原典に当たれたものが2本ありました。
| 調査 | 結果 | 母数と条件 |
|---|---|---|
| Pew Research Center(2025年7月) | AIの要約に遭遇した訪問では8%、遭遇しなかった訪問では15%が検索結果のリンクをクリック | 米国成人900人・68,879件の検索・2025年3月のデータ |
| Ahrefs(2025年4月) | AI Overviewがあると上位ページの平均CTRが34.5%低いという相関 | 30万キーワード・PCのみ・情報を集める意図の検索に限定 |
ここで注意していただきたいのは、Pewの8%と15%は「訪問に占める割合」であって、順位別CTRとは別の指標だという点です。自社のSearch Consoleに出るCTRと直接は比べられません。
Ahrefsのほうは、読むときに一段の注意が要ります。同じ34.5%という数字が、置かれている場所によって言い方を変えているからです。
| 出てくる場所 | 原文の表現 | 読み取れること |
|---|---|---|
| 記事のタイトル | AI Overviews Reduce Clicks by 34.5% | クリックを減らす、という因果の言い方 |
| 本文の冒頭 | correlated with a 34.5% lower average clickthrough rate | 低いCTRと相関した、という言い方 |
調査の作りは、AI Overviewが出るキーワード群と出ないキーワード群を比べたものです。どちらが原因かを確定できる設計ではありません。見出しの強さのまま受け取らないほうが安全です(Ahrefs「AI Overviews Reduce Clicks by 34.5%」)。
なお同社が情報を集める意図の検索に絞ったのは、AI Overviewが出るキーワードの99.2%がその種類だったからです。検索の意図には大きく4つの型があり、型が違えば結果ページの作りも変わります(検索意図とは?4分類と調べ方・Googleの評価軸を解説)。
そしてGoogle自身の説明です。2025年8月6日の公式ブログで、サイトへ向かう自然検索のクリック総量は前年比で比較的安定していると述べています(Google「AI in Search is driving more queries and higher quality clicks」)。
ただしこの記事にあるのは「毎日数十億のクリックをウェブへ送り続けている」という概数だけで、安定していると述べた根拠になる増減率が示されていません。母数も期間も対象も書かれていないのです。第三者の調査を「前提が不透明だ」と批判する一方で、Google側の説明も前提が開示された数字ではない、というのが現状になります。
結局のところ、いま確かに言えることは1つしかありません。AI概要の影響を自社のデータで切り分ける手段は、まだ用意されていないのです。切り分けられないものを見積もろうとするより、表示回数とクリック数の実数がどう動いたかを追うほうが、判断としては堅いと当社は考えています。
検索広告のCTRとは数える対象が違う
マーケティングの現場では、広告でも自然検索でも同じCTRという言葉が使われます。社内の資料に「CTR」と書かれていて、それが自然検索の話なのか広告の話なのか分からなくなった経験のある方も多いはずです。
結論からお伝えすると、計算式は同じですが、指標としての意味も、数えている対象も違います。ここを混ぜたまま数字を比べると、判断を誤ります。公式ドキュメントで一つずつ確認していきましょう。

広告のCTRは費用に直結する
まず式を確かめます。Google 広告のヘルプには「クリック率は、広告のクリック数を表示回数で割った値で、クリック数 ÷ 表示回数 = クリック率(CTR)の式で表されます。たとえば表示回数が 100 回でクリック数が 5 回の場合、クリック率は 5% です。」とありました(Google 広告ヘルプ「クリック率とは」)。Search Consoleとまったく同じ式です。
違うのは、その数字の先に何があるかです。Google 広告にはクリック単価制という課金の仕組みがあり、公式は「クリック単価制では、ユーザーがお客様の広告を見て、関心を持って広告をクリックした場合にのみ広告料金が発生します」と説明しています(Google 広告ヘルプ「個別クリック単価制について」)。CTRが上がるということは、同じ表示回数でもクリックが増えるということですから、費用も一緒に増えます。
掲載への影響も見逃せません。公式には「クリック率は、広告ランクを決定する一要素であるキーワードの推定クリック率にも影響します。」と書かれていました。ここでいう広告ランクとは、どの広告をどの位置に出すかを決める仕組みのことです。
| 観点 | 自然検索のCTR | 検索広告のCTR |
|---|---|---|
| 計算式 | クリック数 ÷ 表示回数 | クリック数 ÷ 表示回数 |
| 費用との関係 | クリックされても費用は発生しない | クリック単価制なら費用が発生する |
| 掲載への影響 | 公式に順位への影響の記載はない | 広告ランクの一要素である推定クリック率に影響する |
| 見る立場 | 結果を確かめる指標 | 費用と掲載の両方に効く指標 |
広告運用の担当者がCTRの話をするときの切実さは、この違いから来ています。自然検索のCTRは結果を確かめるための数字ですが、広告のCTRは支出そのものを動かす数字です。同じ言葉で会話していると、温度差が生まれるのも無理はありません。
品質スコアについて公式が書いていること
広告のCTRの話には、品質スコアがほぼ必ず登場します。ここには、広く知られている説明と公式の記述が食い違う部分があるので、原文で確かめます。
まず算出の仕組みです。品質スコアは、次の3つの要素を総合して算出されます。
| 要素 | 公式が示している内容 |
|---|---|
| 推定クリック率 | 広告が表示された場合に、クリックされる可能性の高さ |
| 広告の関連性 | 広告が、ユーザーの検索の意図と一致する度合い |
| ランディングページの利便性 | クリックしたユーザーにとって、どの程度関連性があり有用か |
それぞれに「平均より上」「平均的」「平均より下」のステータスが付きます。そのうえで「この評価は、過去 90 日間にまったく同じキーワードに対して広告が表示された他の広告主様との比較に基づくものです。」と書かれていました。
問題はここからです。公式には次の一文があります。
「品質スコアは、広告オークションにおける評価材料にはなっていません。あくまで診断ツールとして、あるキーワードに対して表示される広告がユーザー エクスペリエンスに及ぼす影響を示したものです。」(Google 広告ヘルプ「検索キャンペーンの品質スコアについて」)
さらに「品質スコアは KPI(重要業績評価指標)ではないため、最適化したり、他のデータとともに集計したりするべきではありません。」とも明記されています。
「CTRを上げれば品質スコアが上がり、オークションで有利になる」という説明は、この記述とかみ合いません。オークションに効くのは広告ランクを決める推定クリック率のほうであって、診断ツールとしての品質スコアそのものではない、という整理になります。
推定クリック率が広告ランクに関わることは、前の見出しで引いた「クリック率とは」のページに書かれていました。品質スコアのページと定義のページを、あわせて読む必要があるわけです。
そしてもうひとつ、この記事の主題と重なる記述がありました。「[品質スコア] 列に「—」と表示されている場合、そのキーワードと完全に一致する検索の件数が不十分で、品質スコアを算出できないことを示します。」というものです。
件数が足りないときは、数字を出さない。広告の管理画面には、この処理があらかじめ組み込まれています。一方でSearch Consoleにこの仕組みはなく、表示1回のクエリにも0.0%と表示されます。足りているかどうかを判断する役目が、こちら側に残されているわけです。
登録キーワードと検索語句は違う
最後に、CTRが紐づく対象の違いを見ておきます。ここは実務で最も誤解が起きやすい部分です。
広告の管理画面には、2つの一覧が別々にあります。この2つは同じものではありません。
| 一覧の名前 | 何が並んでいるか |
|---|---|
| キーワード | 広告主が自分で登録した語。実際に入力された語とは限らない |
| 検索語句 | 実際に人が検索窓へ入力した語がそのまま記録される |
語句の範囲を広く受け止める設定にしていれば、登録した語とはかなり違う言葉で広告が出ることもあります。
公式の書きぶりも、この違いを前提にしたものでした。登録した語をどこまで広く受け止めるかの設定は、マッチタイプと呼ばれます。品質スコアについて「キーワードと完全に同内容の検索に対するインプレッション実績に基づく評価のため、キーワードのマッチタイプを変更しても品質スコアには影響しません。」とあります。登録した語と入力された語を区別したうえで、前者を単位にして集計する指標だと説明されているわけです。
広告の世界には、このように登録した語を単位に積み上げる指標があります。だからこそ当社は支援の現場で、広告のCTRを見るときに検索語句の側の記録もあわせて確認するようにしています。指定した語の並びを眺めているだけでは、人が実際に何を入力したのかが分からないからです。
これに対してSearch Consoleのクエリ一覧には、実際に入力された言葉しか出てきません。同じCTRという名前でも、片方は指定した語に紐づく数字が混ざり、もう片方は入力された語だけの数字です。比べる前に、何に紐づいた数字なのかを確認してください。
なお、CTRを上げるための具体的な打ち手は、この記事では扱っていません。指標の読み方が固まったあとの話になるからです。タイトルとメタディスクリプションの書き方は、別の記事にまとめています(タイトルタグとメタディスクリプションの書き方|CTR改善)。
CTRについてよくあるご質問
自社の数字を前にした担当者から、実際によく出る質問を4つ選びました。
まとめ
- 分母は見られた回数ではなく載っていた回数です
- 1位の平均CTRは原典どうしで約5.7倍開きます
- 判断できるかは率ではなく表示回数が決めます
他社の平均表と自社の数字を並べたくなるのは、比べる相手がそこにしかないからです。けれども当社の90日実測では、1位帯の表示は28回しかありませんでした。この母数では、良いとも悪いとも言えません。
次の一歩は決まっています。Search Consoleでクエリを1つ選び、CTRの前に表示回数を見てください。表示15回未満のクエリは見ません。5位以内はCTR 3%未満、5位超〜10位は1.5%未満のときだけ改善候補にします。この2つの線を先に引くだけで、見る対象は驚くほど絞られます。
まず足切りを引いてみて、それでも判断に迷うクエリが残る場合は、自社の基準づくりから街中文学へお気軽にご相談ください。
コンテンツ監査からトピッククラスター設計、KPI・CVR設計まで、検索流入と問い合わせにつながるメディア戦略を整えます。記事は増えたのに成果が伸びない、という企業向けのコンサルティングです。
