「うちの業界で一番大きい言葉で1位を取りたい」と言われて、返事に詰まったことはないでしょうか。ビッグワードSEOは難しいと聞くけれど、どれくらい難しいのか、どこからがビッグワードなのかを自分の言葉で説明できない。その状態では、狙うとも狙わないとも決められません。
結論からお伝えすると、判断を分けているのは言葉の太さではなく、自社サイトのいまの現在地です。当社が公開記事112本を検索回数の帯に分けて測ったところ、太さと到達率にはっきりした関係は出ませんでした。
この記事では、検索結果に並んでいた10ページの定義を確かめた結果と、自社データの実測をそのままお見せします。読み終えるころには、今期その言葉を狙うかどうかを、根拠を添えて社内で説明できるはずです。
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先に結論|太さではなく現在地で決まります
まず最初に、結論からお伝えします。ビッグワードを狙うかどうかは、その言葉の太さではなく、自社サイトのいまの現在地で決まります。
言い換えると、月に何回検索されているかを見ても、その言葉が自社にとって難しいかどうかは分かりません。
- ビッグワードの線引きに、公式に定められた基準はありません
- 難しさを決めているのは検索回数ではなく、自社がいま取れている位置です
- 次の段階へ進む条件は、3つの数字で自分で判定できます
1つ目は、ビッグワードの線引きに公式の基準がないということです。検索結果に並んでいた10ページを1件ずつ確かめたところ、数値を挙げていた7件はすべて月間1万回以上で一致していました。ところが、その数字の出どころを示していたページは1件もありません。
それどころか4件は、その線が明確に定められたものではないと自ら本文に書いていました。数字は揃っているのに、根拠は誰も示していないのです。
2つ目は、難しさを決めているのが検索回数の多さではないということです。当社が公開した記事112本を検索回数の帯に分けて測ったところ、帯によるはっきりした差は出ませんでした。むしろ、いちばん太い帯のほうが検索結果に出られた割合は高かったのです。差が出ていたのは表示ではなく、そこから上へ行けるかどうかのほうでした。
3つ目は、次の段階へ進む条件を自分で判定できるということです。「まずはスモールワードから」という進め方は、その10ページのうち7件が勧めています。ただし、いつ次へ進むのかを読者が測れる形で書いていたのは1件だけでした。当社が実際に見ている3つの条件は、この記事の後半でそのままお渡しします。
読み終えるころには、「今期はこの言葉を狙う」または「今期は狙わない」を、根拠を添えて社内で説明できる状態になるはずです。
ビッグワードSEOでつまずくのは言葉の線引き
ビッグワードSEOの話を始めると、たいてい最初に「で、どこからがビッグワードなんですか」で止まります。社内で共有しようにも、人によって思い浮かべている範囲が違うからです。
そこで、この言葉がどう説明されているのかを調べました。2026年8月に検索結果へ並んでいた10ページをすべて取得し、定義の文と数値の基準を1件ずつ書き出しています。結果は、想像していたものとは逆でした。

ビッグワードとは検索回数が多い言葉のことです
ビッグワードとは、検索される回数が多い言葉のことをいいます。「ビッグキーワード」と呼ばれることもあり、検索するときに「ビックワード」と打つ人も少なくありません。どれも同じものを指しています。
反対に、検索回数が少なく条件が細かく指定された言葉を、スモールワードやロングテールキーワードと呼びます。その中間がミドルワードです。当社もこの3分類を用語としては使いますが、次に何をするかを決める物差しとしては使っていません。理由は後半で触れます。
ここで押さえておきたいのは、この3分類が検索する人の側から見た区分ではないということです。検索している本人は、自分がビッグワードを打ったかスモールワードを打ったかを意識していません。あくまで、記事を作る側が優先順位をつけるために持ち込んだ物差しです。
3つの分類そのものをもう少し詳しく知りたい方は、SEOキーワードとはの記事で種類と使い分けを整理しています。この記事では分類の話は最小限にとどめ、「では自社はどうするか」に絞って進めます。
「月間1万回以上」という線に根拠はあるのか
調べた10ページを、3つの観点で数えたのが次の表です。
| 調べた項目 | 結果(母数10件) |
|---|---|
| 検索回数の下限を数値で示していた | 7件(いずれも月間1万回以上) |
| その数値の出どころを示していた | 0件 |
| その線は明確に定められたものではないと本文に明記していた | 4件 |
数値の表現は「10,000を超える検索ボリューム」「概ね月間検索ボリュームが1万回以上」などと少しずつ違いますが、線の位置は同じです。ここまでなら、業界で合意された基準があるように見えます。
ところが、その断り書きの中身がまちまちでした。「明確な定義はありませんが」と書くページもあれば、「Googleが公式に定めているわけではありませんが」と踏み込むページもあります。そう断ったうえで1万回という数字を挙げていたのが、そのうち3件でした。
私たちも念のためGoogle側を確認しました。Google検索セントラルの主要な公式ドキュメント5本を取得して本文を検索したところ、「ビッグ」も「検索ボリューム」も1件も出てきません。確認した5本には、キーワードを検索回数で階層化する記述はありませんでした。この2026年8月時点の確認では、公式に近い出どころは見つからなかった、というのが正確なところです。
つまり「月間1万回以上」は、共通言語としては立派に機能しているものの、難易度の基準として検証されたものではありません。社内で線を引くのは構いませんが、その線が難しさを表していると考えると判断を誤ります。
語数で決まるという説明と決まらないという説明
もうひとつ、同じ調査で割れていた点があります。語数の扱いです。ここは良し悪しの話ではなく、単純に流儀が2つあるという事実の確認です。
| 語数の扱い | 件数 |
|---|---|
| 語数では決まらない(回数が多ければ複合語でもビッグ) | 5件 |
| 1語であることを特徴として挙げる | 3件 |
| 語数で分類する | 1件 |
| 語数に触れていない | 1件 |
5件のうち1件は「1語のみの単ワード、2語以上で組み合わされた複合キーワードであるかの区別はありません」とはっきり書いています。別の1件も「必ずしも『語句が多いからスモールキーワード』ではないことに注意してください」と念を押していました。一方で3件は、1語であることをビッグワードの特徴として挙げています。どちらの説明を読んだかで、同じ言葉が別の箱に入ることになるのです。
さらに、その下の線と呼び名も揃っていませんでした。多くはミドルとスモールの境目を月間1,000回に置いています。ところが1件はミドルを5,000〜6,000回、スモールを10〜200回としており、その間の範囲がどこにも属しません。別の1件は、他がミドルと呼ぶ1,000〜1万回の範囲を「スモールワード」と呼んでいました。
ここから言えるのは単純なことです。「うちはビッグワードを狙います」という会話は、相手と同じ範囲を指していない可能性があります。社内やパートナーと話すときは、呼び名ではなく具体的な言葉そのものを机に載せてください。それだけで行き違いはほぼ消えます。
そもそも検索ボリュームの数字は概数です
線を引く前提になっている検索回数そのものにも、押さえておきたい性質があります。あの数字は実測値ではありません。
Google広告のキーワードプランナーのヘルプには、「検索ボリュームのデータは概数です」と明記されています。同じヘルプによれば、月間平均検索ボリュームは「キーワードとその類似パターンが検索された平均回数」です。対象は、指定した月単位の期間と検索ネットワーク上の地域に限られます。1つの言葉だけを数えた実数ではない、と読めます。ただし同じページには「検索ボリュームには完全に一致したキーワードのみが含まれます」という記述もあるため、どこまでを1つの言葉として数えているかは、この説明だけでは確定できません。
この性質を知っていると、いくつかの判断が変わります。たとえば9,800回と10,200回の言葉を「ビッグかどうか」で分けても、その差はもともと概数の誤差の範囲に収まっているかもしれません。桁が違うときだけ意味がある、と考えたほうが実務では安全です。
数字の調べ方そのものや、どこまで無料で確認できるかは検索ボリュームの調べ方の記事にまとめています。ここでは「線を引く材料が概数である」という一点だけ持ち帰ってください。次の章では、その概数とは別の物差しで難しさを測ります。
難しさを決めているのは検索回数ではない
太い言葉は上位表示が難しい。この説明はよく見かけます。ただ、当社が調べた10ページでも、その難しさが具体的にどこに現れるのかまでは書かれていませんでした。
表示すらされないのか、表示はされるけれど上に行けないのか。この2つはまったく別の問題です。
そこで自社のデータで測りました。当社が公開した記事を検索回数の帯に分け、狙った言葉で実際にどこまで届いたかを数えています。結果は、通説とは少し違う形になりました。

自社112本を検索回数の帯で切って測りました
当社はキーワード設計を1枚の表で管理しており、そこには狙う言葉と、その言葉の月間検索回数、そして書き終えた記事の番号が並んでいます。この表とSearch Consoleの実績を突き合わせました。
母数は112本です。設計した552行のうち、記事を公開済みで、検索回数が数値で入っていて、計測の終わりより前に公開されていた記事をすべて拾いました。条件に合わないものの内訳は、まだ書いていない435行と、予約投稿で計測期間に入っていなかった5本です。データの欠けによる除外は0件でした。計測期間は2026年5月15日から8月12日までの90日間です。
| 月間検索回数の帯 | 本数 | 何かの言葉で表示された | 狙った言葉で表示された | その言葉で20位以内 |
|---|---|---|---|---|
| 〜100回 | 9本 | 8本(88.9%) | 3本(33.3%) | 1本 |
| 110〜300回 | 34本 | 21本(61.8%) | 8本(23.5%) | 2本 |
| 310〜1,000回 | 38本 | 28本(73.7%) | 11本(28.9%) | 3本 |
| 1,100回〜 | 31本 | 22本(71.0%) | 12本(38.7%) | 1本 |
表を縦に見ると、検索回数の帯と到達率のあいだにきれいな坂が現れていません。いちばん太い帯が、狙った言葉で表示された割合ではもっとも高くなっています。「太い言葉ほど検索結果に出してもらえない」という説明は、少なくとも当社のデータでは支持されませんでした。
ただし、この数字の読み方には注意が必要です。Search Consoleは検索された回数が少ない語句を伏せる仕組みになっているため、細い言葉ほど「出た」と判定されにくくなります。つまり細い側の数字は本来より低く出ているはずで、それでもなお太い側が上回った、という読み方になるのです。
もうひとつ、期間の短さも申し添えておきます。公開からの経過日数の中央値は帯ごとに11日から49日で、いずれも計測時点ではまだ日が浅い状態です。長い時間をかけたときにこの形がどう変わるかは、この計測では分かりません。
20位以内に入れた7本はすべて月間1300回以下
差がはっきり出たのは、表示ではなく順位のほうでした。112本のうち、狙った言葉で平均掲載順位20位以内に入れたのは7本だけです。その7本を並べると、共通点がひとつ見えてきます。
| その言葉での平均掲載順位 | 狙った言葉の月間検索回数 |
|---|---|
| 7.3位 | 110回 |
| 9.6位 | 320回 |
| 12.7位 | 320回 |
| 14.9位 | 70回 |
| 16.0位 | 110回 |
| 18.9位 | 590回 |
| 20.0位 | 1,300回 |
7本すべてが月間1,300回以下でした。いちばん太いもので1,300回、残る6本は600回にも届いていません。そして月間2,000回以上を狙った22本からは、20位以内に入った記事が1本も出ていないのです。
この結論が線の引き方に左右されていないかどうかも確かめました。ビッグワードの下限を1,000回、2,000回、3,000回、5,000回、1万回と5通りに変えて計算し直しています。結果は、太い側から20位以内に入った記事が多くて1本、ほとんどのパターンで0本でした。
むしろ線を上げるほど、太い側の平均掲載順位の中央値は40位から69位へと下がっていきます。ただしこの中央値は、その帯で狙った言葉が実際に表示された記事だけを並べたものです。40位のほうは13本、69位のほうは2本の中央値なので、傾向の目安として受け取ってください。
もっとも、ここで示せているのは当社1サイトの実測にすぎません。当社のメディアはドメインが比較的新しく、被リンクを増やす施策も行っていないため、評価の積み上がったサイトでは違う形になり得ます。それでも、体力のないサイトが太い言葉に正面から向かうとどうなるかの一例としては読んでいただけるはずです。
壁は表示ではなく順位の側にあります
ここまでの2つの数字を並べると、ビッグワードの難しさがどこにあるのかが見えてきます。検索結果に出ること自体は、太い言葉でも起きています。どの帯でも6割から9割の記事が、90日のあいだに何かの言葉で表示されていました。もっとも低い帯で61.8%、もっとも高い帯で88.9%です。
越えられていないのは、そこから上へ行く部分です。112本のうち10位以内に入れたのは2本、しかもその2本ともクリックはゼロでした。表示という入口には立てているのに、読者の目に入る場所までは届いていないという状態です。
この見方が実務でどう効くかというと、判断の順番が変わります。太い言葉を狙った記事が伸びないとき、多くの担当者は「載っていないのでは」と疑います。けれども当社のデータでは、表示は立っていることのほうが多いのです。
だとすれば確かめるべきは、Googleに登録されている状態、いわゆるインデックスの有無ではありません。その言葉で何位あたりにいるかのほうです。
なお、公平を期すために書いておくと、表示がなかったからといってインデックスされていないとは言えません。逆向き、つまり表示があった記事はインデックスされている、とだけが言える関係です。順位が付かないときの調べ方はSEO記事が上がらない原因の記事で順を追って整理しています。
Googleが見ているのは回数ではなく言葉の具体さ
では、検索回数でないとすれば、何が難しさを決めているのでしょうか。手がかりはGoogleの公開資料の中にあります。
Googleは検索品質の評価者にGeneral Guidelines(検索品質評価ガイドライン)を配っています。その2025年9月11日版に、一般的な検索語と具体的な検索語を対比した節がありました。そこに載っている例は、椅子という言葉から、ダイニング用の椅子へ、さらに製品名まで指定した検索へ、と段階的に具体さが増していく形です。回数の階層ではなく、言葉の細かさの階層で説明されているところが要点になります。
同じ節には、太い言葉の扱いについての記述もあります。カフェやレストラン、ホテルのように広いカテゴリを指す検索では、人気があり広く知られている実例が非常に役立つと見なされ得ると書かれているのです。ここでいう実例とは、有名なカフェや広く読まれている本のように、検索された分野の中で目立つ存在を指しています。
ここから先は当社の解釈です。広いカテゴリの検索では、その分野で目立つ存在が答えとして期待されやすい。だとすれば、まだ知られていない会社が同じ土俵で選ばれるのは簡単ではありません。なお、この節はGoogleがランキングの仕組みを説明した箇所ではなく、評価者が結果の役立ち度を採点するための基準を示した箇所です。順位の決まり方そのものを説明したものではないという点は、あわせて押さえておいてください。
加えて、1つの検索語に複数の意味が同居することもガイドラインで説明されています。ある言葉が果物を指すのか会社名を指すのかは、検索した人によって違うからです。Googleはそれらを「解釈」として扱い、最も多くの人が意図するものを主要な解釈と呼んでいます。ただしすべての検索語に主要な解釈があるわけではないとも明記されています。そして太い言葉ほど、この解釈は複数に割れやすいのです。自社が答えられるのがそのうち1つだけなら、残りの意図を持つ読者にとって自社の記事は最適解ではありません。
なお、この多様性を「QDD」という略称で説明している記事を見かけます。当社はGoogleのランキングシステムの解説と、評価ガイドライン182ページの全文を調べました。この2つの文書に、その名称は1件も出てきません。名称を使っている側にも「正式名称は不明」と断っている例があります。この2文書で仕組みとして説明されているのは、同じサイトのページが検索結果の上位に並びすぎないようにする「サイト多様性システム」のほうでした。
「まずスモールワードから」の次の条件
ビッグワードについて書かれた記事を何本か読むと、ほぼ必ず同じ着地に出会います。「いきなり太い言葉を狙わず、まずは細い言葉から積み上げましょう」というものです。この助言そのものは、当社の実測とも矛盾しません。
困るのはその先でした。細い言葉をどれだけ積んだら次へ進んでよいのか。そこが書かれていないため、読者はいつまでも「まだ早い」と言われ続けることになります。この章では、その空白を埋めます。

段階を勧める7件のうち条件を示したのは1件
前の章と同じ10ページを、今度は「段階の進め方」の観点で読み直しました。細い言葉から始めることを勧めていたのは7件です。残る3件のうち1件は段階論に触れず、1件はサイト構造の話にとどめ、1件は太い言葉を狙うこと自体を勧めていませんでした。
問題は、その7件が次の段階へ進む条件をどう書いていたかです。
| 移行条件の書かれ方 | 件数 | 実際の表現 |
|---|---|---|
| 読者が測れる数値がある | 1件 | 特定の指標で50以上 |
| 程度を表す言葉にとどまる | 4件 | 「ある程度」「徐々に」「多数」 |
| 移行条件を書いていない | 2件 | — |
読者が自分で判定できる数値を挙げていたのは、10件中1件だけでした。残りはサイトの評価がある程度上がったら、コンテンツが徐々に充実してきたら、ページを多数追加していけば、といった程度を表す言い回しにとどまっていました。読んだ人がその日に何を確かめればよいのかは分かりません。
しかも、唯一の数値として挙げられていたのはドメインパワーと呼ばれるスコアで、Googleが公表しているものではありません。外部のツールが独自に算出しており、計算の方法はツールごとに違います。批判したいのではなく、上位表示を狙う段階へ進む条件の唯一の数値が、自社の外にある物差しだったという事実の確認です。だからこそ、自分の手元で測れる条件が要ります。
条件は自分で動かせる数字に置いてください
移行条件を自分で決めるとき、置き場所を間違えやすいポイントがあります。自分の裁量では動かせない数字を条件にしてしまうことです。
先ほどのドメインパワーがまさにそれでした。計算の中身を自社で確かめられないため、数字が動かないときに、自社の取り組みが足りないのか、ツール側の集計が変わったのかを切り分けられません。
同じことが施策の側にも起きています。10ページのうち、その施策を独立した見出しとして立てていたものを数えました。被リンクや外部対策が6件、内部リンクや内部対策も6件で、どちらも同じくらい繰り返し出てくる助言です。けれども実務での性質はまったく違います。
| よく挙がる施策 | 自分の裁量だけで実行できるか |
|---|---|
| 記事の中身を良くする | できる |
| 内部リンクを整える | できる |
| サイトの構造を設計し直す | できる |
| 被リンクを増やす | 相手が必要になる |
被リンクを増やすには、リンクを張ってくれる相手が要ります。自社の努力だけでは今月中に動かせません。それを移行条件に据えると、進むかどうかの判断が他人の行動待ちになってしまいます。
ですから当社は、条件を毎月自分で測れて、自分の行動で動かせる数字だけで作りました。具体的には、この章の最後に挙げる3つです。被リンクそのものの考え方は被リンクとはの記事で扱っているので、施策として取り組むかどうかは別途ご判断ください。
本数を積めば届くという前提も成り立ちません
「では何本書けばよいのか」という問いも、よく受けます。ここにも公式の見解がありました。
2026年7月に更新されたGoogleの生成AI機能向けの最適化ガイドには、「ページ数が多いからといってウェブサイトの品質が高くなったり、ユーザーとの関連性が高くなったりするわけではないためです。」と書かれています。本数それ自体は品質の代わりにならない、という趣旨です。
当社の実績も同じ方向を示していました。3か月で本数をおよそ3.67倍に増やしたところ、月間の表示回数は3.05倍にとどまり、1本あたりの表示回数はむしろわずかに減っています。1本あたりの表示は、表示がゼロの記事も分母に含めた平均値です。
この検証はSEO記事数の決め方の記事で母数と計算方法まで詳しく扱っているので、数字の中身を確かめたい方はそちらをご覧ください。この章で持ち帰っていただきたいのは一点だけで、本数は移行条件にならないということです。何本書いたかではなく、書いたものがどこに届いているかを見てください。
当社が次の段階へ進むときに見ている3つの条件
ここまでを踏まえて、当社が実際に使っている判断をお渡しします。記事1本の順位ではなく、そのテーマについてサイトが取れている位置を見るのが要点です。
- そのテーマの細かい言葉で、10位以内に入っているものが複数あるか
- その太い言葉を含む長い言葉で、すでに表示が立っているか
- その太い言葉に、自社の複数の記事が同時に当たっていないかどうか
1つ目は、同じテーマの細かい言葉で10位以内が複数あるかどうかです。当社は施策の進み具合を見るとき、時期によって見る指標を切り替える約束をしています。着手から8週の時点で確かめるのは、週間クリックと10位以内のキーワード数の2つです。問い合わせの件数を見るのは12週を過ぎてからと決めています。
1本だけ上位に入った状態は、偶然と区別がつきません。複数あれば、そのテーマで通用し始めた合図として扱えます。
2つ目は、その太い言葉を含むより長い言葉で、すでに表示が立っているかどうかです。太い言葉の周辺で読者に見つけてもらえていないうちは、太い言葉そのもので選ばれる理由もまだありません。逆にこの表示が積み上がっていれば、Googleがそのテーマと自社を結びつけ始めている手がかりになります。
3つ目は、その言葉に自社の複数の記事が当たっていないかどうかです。同じ言葉で自社のページが2つ以上表示されている状態は、外から見れば強そうに見えますが、実際には評価が割れています。ここを整理しないまま新しい記事を足すと、票の分散を広げるだけになってしまうのです。
3つの条件がこの形になるのは、当社が判断軸として次のように考えているからです。検索エンジンは、そのテーマに関する情報の総量を見ています。そして細かい言葉で取った評価が太い言葉へ波及するのは、両者の意図が階層的につながっている領域に限られます。調べたいことがまったく別なら、細かい言葉をいくら積んでも太い言葉には届きません。
進むと決めたあとも、この3つはそのまま毎月の進捗指標として測り直します。考え方をロングテール側から整理したものはロングテールキーワードの記事にあります。
キーワード選定から構成、AIによる一次執筆、人による編集、WordPress入稿まで一括で対応します。制作リソースの不足や、記事ごとの品質差にお困りの企業向けサービスです。
順位を取る以外のビッグワードの使い道
3つの条件に照らして「まだ早い」と分かったとき、太い言葉は完全に忘れてよいのでしょうか。当社の答えは違います。順位を取りにいかないだけで、置いておく価値はあるからです。
この章では、当社が実際にどう扱っているかを開示します。うまくいっている話だけでなく、いま抱えている課題も含めてお伝えしましょう。

当社は正面突破をやらないと文書に書いています
当社が2026年7月に作った自社メディアの流入戦略の文書には、「やらないこと」という欄があります。そこに書かれている項目のひとつが、ビッグワードの正面突破です。SEOコンサルティングのような、この業界でもっとも競争の激しい言葉を正面から取りにいくことを、明示的に外しました。
ただし太い言葉をゼロにしたわけではありません。同じ文書の中で、検索需要の大きい言葉を内部リンクのハブとして位置づけています。読者が最初にたどり着く入口として記事を用意し、そこから具体的な内容の記事へ渡していく役割です。順位を取る対象と、通り道を作る対象を分けました。
今泉の視点:「この言葉で1位を取りたい」とご相談を受けたとき、私が最初に聞くのは順位ではなく「その言葉で1位になったら、何が起きてほしいですか」です。答えが問い合わせなら、太い言葉は遠回りになることが多いと感じています。当社自身、自分のメディアでは太い言葉の正面突破をやらないと決めて文書に残しました。決めた理由は、勝てないと思ったからではありません。同じ時間を細かい言葉に使ったほうが、問い合わせまでの距離が短かったからです。狙わないという判断も、書き残しておけば立派な戦略になります。曖昧なまま「いつかやる」にしておくのが、いちばん時間を失う進め方でした。
太い言葉を狙った記事は長い言葉で拾われる
太い言葉を狙って書いた記事が、実際には何の言葉で読まれているのか。これも自社のデータで確かめました。対象は月間1,100回以上の言葉を狙って公開した31本で、期間は先ほどと同じ90日間です。
| 90日間の状態 | 本数 |
|---|---|
| 狙った言葉そのもので表示された | 12本 |
| その言葉を含む、より長い言葉だけで表示された | 7本 |
| まったく別の言葉だけで表示された | 3本 |
| 一度も表示されなかった | 9本 |
表示があった22本のうち、10本は狙った言葉では1回も出ていませんでした。代わりに表示を生んでいたのは、その言葉を含むより長い検索語か、まったく別の言葉です。ある記事は、狙った言葉では1件しか表示がない一方、その言葉を含む18種類の長い言葉で表示されていました。
表示を運んだ検索語224件を語数で分けると、2語以上が152件で全体の67.9%を占めます。ただしここは数え方に限りがあり、空白で区切って数えているため、日本語の「文章と文書の違い」のような語も1語に入ってしまいます。意味のうえでの語数は、この集計より多いはずです。
この結果が実務に効くのは、成果の見方が変わるところです。太い言葉の順位表だけを眺めていると、その記事は「効いていない」と判定されます。ところが別の場所では表示が立っているのです。当社は、狙った言葉で動かない記事を捨てる前に、その記事がどんな言葉で表示されているかを必ず開くようにしています。
太い言葉ほど自社の記事どうしで票が割れます
太い言葉を扱うときに、もうひとつ起きやすいことがあります。自社の複数の記事が、同じ言葉で同時に表示される状態です。
当社の直近28日の実測では、同じ検索語に複数のページが当たっているものが4件ありました。たとえばある費用系の言葉では、2つの記事がそれぞれ21.7位と46.3位で表示されています。近い意味の言葉を別々の記事で扱った結果、どちらも決め手にならない位置で並んでいる状態です。
検出された4件のうち、見積もりに関する言葉が2件を占めていました。いずれも近い意味の内容を別々の記事で扱っていたことが原因です。
ただし太さで層別した集計は行っていないため、太い言葉ほど起きやすいと言い切ることはできません。言えるのは、意味の近い記事を増やすほど、この重なりが生まれる余地は広がるということだけです。
なお、ここで示した順位はSearch Consoleの平均掲載順位で、順位計測ツールの定点データとは別のものです。重なりを見つけたときの直し方はキーワードのカニバリの記事で整理しているので、そちらをご覧ください。太い言葉に進む前に、その言葉で自社の何本が出ているかを数えてください。この一手間が、あとの整理を軽くします。
狙わないと決めたときの社内への説明の仕方
最後に、実務でいちばん難しい部分に触れます。「今期は狙いません」を、どう社内に説明するかという話です。
ここで効くのは、体制の現実を数字で共有することでした。総務省の令和7年版 情報通信白書には、「日本での取組状況を企業規模別にみると、大企業では約25%、中小企業では約70%が「未実施」と回答しており」とあります。各国を比べた調査のうち、日本の企業についての数字です。
同じ白書では、日本企業が挙げた課題の1位が「人材不足(48.7%)」でした。他国と比べて際立って高い割合だとも示されています。
つまり多くの会社にとって、SEOに割ける人と時間はそもそも限られているのです。その限られた資源をどこに置くかという配分の問題として説明すれば、「勝てないから逃げる」という話ではなくなります。狙わない判断は、ほかの言葉に資源を集める判断そのものです。
説明するときは、この記事の3つの条件をそのまま持っていってください。条件を満たしていないという事実と、満たすために今期は何をするのかをセットで示せば、判断の理由が伝わります。そして次の期に条件を測り直せば、進むかどうかを同じ物差しでもう一度議論できます。
ビッグワードSEOのよくあるご質問
まとめ
- 「月間1万回以上」は7件が一致していますが、根拠を示したページは0件でした
- 越えられていないのは表示ではなく順位で、20位以内は全て月間1,300回以下です
- 次へ進む条件は、10位以内の数・長い言葉での表示・重なりの3つで測れます
10ページと自社112本を調べて分かったのは、太さそのものは難しさを説明していないということでした。判断に使えるのは、自社がそのテーマでいまどこにいるかという事実だけです。
次にやることは1つです。狙いたい太い言葉を1つ決め、そのテーマの細かい言葉で10位以内に入っているものが何個あるかを数えてください。ゼロなら今期は見送り、複数あるなら進む価値があります。どの言葉から積むかの設計から見直したいときは、当社の記事制作の支援もお役に立てるかもしれません。
キーワード選定から構成、AIによる一次執筆、人による編集、WordPress入稿まで一括で対応します。制作リソースの不足や、記事ごとの品質差にお困りの企業向けサービスです。
