「成果が出なければ費用はかかりません」。成果報酬型のSEOの提案でこの一文を見たとき、多くの担当者の方が同時に別のことも考えます。それなら試してみてもいいのではないか、けれど何か見落としがあるのではないか、という迷いです。
街中文学は、月間4,500万セッション級メディアの支援実績を持つ立場から、依頼先を検討する場面に立ち会ってきました。成果報酬という言葉の受け取り方で判断が分かれるところも、何度も見ています。
お伝えしたいのは、確かめるべきは料率ではなく、成果の測り方と終わり方だということです。この記事を読めば、契約書のどこを読めばよいかが分かり、自社に噛み合う形かどうかを判断できるようになります。
コンテンツ監査からトピッククラスター設計、KPI・CVR設計まで、検索流入と問い合わせにつながるメディア戦略を整えます。記事は増えたのに成果が伸びない、という企業向けのコンサルティングです。
先に結論:確かめるのは測り方と終わり方です
成果報酬型のSEOは、次の3点で整理できます。
- 費用がなくなるのではなく、引き受けた側が先に負担しています
- 成果を何の数字でどう測るかを決めておきます
- 条件を満たさなかったときに何が残るかを先に確かめます
1つ目は、仕組みの理解です。作業にかかる人の時間は、条件を満たすかどうかに関係なく発生しています。その分を引き受けた側が立て替えているため、対象になる言葉は自然と絞られます。
2つ目は、契約の中身です。順位で測るのか、訪問数や問い合わせで測るのかで話が変わります。さらに、誰がいつどの条件で測るのかまで決めておく必要があります。
3つ目は、終わり方です。条件を満たさなければ支払いは生じませんが、使った時間と期間は戻らず、サイトに加えられた変更は残ります。
「無料で試せる」と読むと、判断の材料が足りません。何を負担していて、終わったときに何が残るのかまで見てください。
成果報酬型のSEOはどういう仕組みか
成果報酬型は、決めた条件を満たしたときに支払う形です。払う側から見ると負担が後ろにずれますが、その分だけ引き受ける側の事情も変わります。仕組みから順に見ていきましょう。

払うのは決めた条件を満たしたとき
成果報酬型では、あらかじめ決めた条件を満たした場合にだけ費用が発生します。条件を満たさなければ、その分の支払いは生じません。
条件としてよく使われるのは、指定した言葉での検索順位です。「この言葉で10位以内に入った日数」といった形で数え、日ごとに単価をかけて請求する方法がとられます。
成果型、成功報酬型といった呼ばれ方もありますが、考え方は同じです。仕事をした量ではなく、決めた条件を満たしたかどうかで金額が決まるという点が共通しています。
なお、月額固定型やスポット型を含めた料金体系の全体像はSEO対策費用の相場と内訳をまとめた記事で整理しました。本記事は成果報酬型に絞ってお伝えします。
引き受ける側が先に費用を負担します
ここで見落とされやすいのが、費用がなくなるわけではないという点です。作業にかかる人の時間は、条件を満たすかどうかに関係なく発生しています。
つまり成果報酬型は、その費用を引き受けた側が先に立て替えている形になります。条件を満たせば回収でき、満たせなければ回収できません。各方式の向き不向きそのものはSEO対策費用の相場と内訳をまとめた記事で扱ったので、ここでは負担のかかり方だけを並べます。
| 支払い方 | 費用を先に負担するのは誰か | 条件を満たさなかったとき |
|---|---|---|
| 月額固定型 | 依頼した側 | 費用は発生している |
| 成果報酬型 | 引き受けた側 | 費用は発生しない |
| スポット型 | 依頼した側 | 作業は完了している |
この立て替えには、回収できない可能性がついて回ります。だから引き受ける側は、回収できる見込みが立つ案件を選ぶことになるのです。
だから対象は絞られます
回収の見込みを立てる必要があるため、成果報酬型では対象になる言葉が限られます。どんな言葉でも引き受けてもらえるわけではありません。
絞られ方には、いくつかの形があります。競合の少ない言葉に寄る、すでにある程度の順位にある言葉を選ぶ、対象の数を限る、といった形です。
これは相手の都合が悪いという話ではなく、立て替えを回収する仕組みから自然にそうなるということです。仕組みを知っていれば、提示された対象を見たときに理由が読めます。
対象の言葉をどう決めるかについてはSEO対策費用の相場と内訳をまとめた記事で扱いました。そちらとあわせて読むと、提案された言葉が自社の目的に合っているかを判断しやすくなります。
「成果」を何の数字で測るか
契約の中身でいちばん効いてくるのが、成果を何の数字で測るかという取り決めです。同じ「成果」という言葉でも、指す数字によって金額の出方が変わります。3つの論点で見ていきましょう。

順位で測るときに起きること
もっとも多いのが、検索順位を成果とする決め方です。分かりやすい反面、順位という数字には性質上の揺れがあります。
Search Consoleのヘルプには、こう書かれています。「クエリがリストに表示されていても、Google 検索で同じクエリを実行した際に、検索結果にサイトが表示されない場合があります。これは、検索が行われた時間、場所、デバイス、ユーザーの最近の履歴に基づいて異なる検索結果が表示されるためです。」検索パフォーマンス レポート(Search Consoleヘルプ)
つまり同じ言葉で調べても、いつ・どこで・どの端末で見たかによって結果が変わるということです。自分のパソコンで10位に見えていても、別の場所の別の端末では違って見えることがあります。
ですから順位を成果とする場合は、どの環境で測った順位を採用するのかまで決めておく必要があります。ここが曖昧だと、達成したかどうかで話が食い違ってしまうのです。
なお「順位を保証します」という書き方をどう読むかは、格安プランの構造をまとめた記事で扱いました。
流入や問い合わせで測るとき
順位ではなく、訪問数や問い合わせ件数を成果とする決め方もあります。事業の数字に近づくぶん、こちらのほうが目的には合っているでしょう。
ただし、別の難しさが出てきます。訪問数や問い合わせは、SEO以外の要因でも動くからです。広告を出せば増えますし、季節や景気でも変わります。
そこで必要になるのが、どこまでを対象に数えるかの線引きです。検索から来た訪問だけを数えるのか、広告経由も含めるのか。問い合わせなら、資料請求も1件と数えるのかどうか。
線引きが決まっていないと、増えた分がどちらの働きによるものかで議論になります。契約の前に、数える対象と数え方を文字にしておいてください。
誰がいつどこで測るのか
数字が決まったら、次は測る人と測る条件です。ここまで決めて、はじめて成果の判定ができます。
確かめておきたいのは、次の4点になります。
- どの道具で測るのか(Search Console か、別のツールか)
- いつ測るのか(毎日か、月末の1回か)
- どの条件で測るのか(地域や端末の設定)
- その記録を双方が見られるか
とくに最後の1点が大切です。片方だけが見られる記録で判定すると、確かめようがありません。Search Consoleなら、依頼した側が自社のアカウントで同じ数字を見られます。
契約前に何をそろえて確かめるかは、見積もりの取り方をまとめた記事でも整理しました。測り方の取り決めは、その延長線上にあります。
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「完全成果報酬」の契約を読む
「完全成果報酬」と書かれていると、成果が出なければ1円もかからないように読めるはずです。ただし実際にどうなるかは、契約書の書き方で決まります。法律の考え方と合わせて見ていきましょう。

民法が定めている原則
まず、成果に対して報酬を払う形は法律にも定めがあります。民法の請負の条文には、こう書かれています。
「請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。」民法(e-Gov法令検索)
さらに知っておきたいのが、仕事が完成しなかった場合についての条文です。同じ民法には、次のように書かれています。
「次に掲げる場合において、請負人が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなす。この場合において、請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができる。」
読み解くと、この条文が働くのは仕事を完成できなくなったときと、途中で解除されたときです。その場合に依頼した側が利益を受けている部分があれば、その割合に応じた報酬が発生しうるという内容になります。2020年に施行された改正では、この考え方が委任の形にも準用されると定められました。
この条文より契約書が優先します
ここが大切なところです。いま見た条文は、当事者が別の取り決めをすればそちらが優先される性質のものになります。
ですから「完全成果報酬の契約は法律に反する」という話ではありません。契約書で「条件を満たさない場合、報酬は発生しない」と定めていれば、その定めが働きます。
逆にいえば、契約書に何も書かれていない場合には、法律の考え方が出てくるということです。だから確かめるべきなのは、法律の条文ではなく契約書の書き方になります。
読むべき箇所は3つです。「完全」という言葉ではなく、この3か所の文章を読んでください。
- 条件を満たさなかったときの扱いはどう書かれているか
- 途中で終わったときの精算はどう書かれているか
- 着手金や実費が別に定められていないか
途中でやめるときの扱い
もうひとつ確かめておきたいのが、期間の途中でやめる場合の条件です。成果報酬型では、ここが月額固定型より複雑になりがちです。
条件を満たしている状態でやめる場合、その時点までの分をどう精算するのかという話が出てきます。日ごとに数える契約なら、途中までの日数分が対象になるはずです。
また、最低契約期間が設けられていることもあります。成果が出るまで時間がかかる取り組みですから、引き受ける側としては一定の期間を確保しておきたいという事情があるのです。
ここでも見るのは条文ではなく契約書です。解約の申し入れから何か月後に終わるのか、その間の扱いはどうなるのかを確かめておいてください。
成果が出なかったときに残るもの
成果報酬型でいちばん見落とされるのが、条件を満たさなかった場合に何が残るかです。費用は発生しませんが、何も起きなかったわけではありません。3つに分けて見ていきましょう。

費用は残らないが時間は戻らない
条件を満たさなければ支払いは生じません。ただしその期間に自社が使った時間は戻ってきません。ここが実質的な負担になります。
成果報酬型でも、依頼した側にはやることがあります。打ち合わせに出る、原稿を確かめる、サイトの修正を社内で通す、といった作業です。半年続けて条件を満たさなかった場合、その半年分の時間が消えることになります。
そしてもうひとつ、期間そのものも戻りません。SEOは結果が出るまでに時間のかかる取り組みですから、半年を別のやり方に使っていれば違う結果になっていた可能性があります。
ですから「無料だから試してみよう」と考える前に、自社が出す時間と期間を数えてみてください。そこまで含めると、判断の材料が変わってきます。
サイトに加えた変更は残ります
もうひとつ残るのが、作業の過程でサイトに加えられた変更です。契約が終わっても、これは消えません。
当社が成果報酬型のご相談を受けたときには、契約が終わったときに何が残るかを先に決めておくようお伝えしています。確かめるのは次の3つです。
| 確かめること | 聞き方 | 決めておかないと |
|---|---|---|
| 条件を満たせなかった言葉の記録 | 効かなかった言葉について、何を試したかの記録はもらえますか | 同じ言葉で同じ失敗を繰り返す |
| 作った記事の扱い | 公開した記事は契約後も残せますか | 取り下げを求められる場合がある |
| サイトに加えた変更 | 外部から付けたリンクは含まれますか | 契約終了後に外れて順位が戻ることがある |
とくに3つ目を確かめてください。外部から付けたリンクが施策に含まれている場合、契約が終わるとそれが外れることがあります。そうなると、上がっていた順位も元に戻ってしまうのです。
この3点は、成果が出た場合にも同じように効いてきます。乗り換え全般で何が残るかはSEO会社の4つの型をまとめた記事で扱いました。契約前に一度聞いておくと、終わり方が見通せるようになるのです。
向く場面と向かない場面
ここまでを踏まえると、成果報酬型が噛み合う場面ははっきりしてきます。合う合わないは、自社の状況で決まります。
噛み合うのは、狙う言葉が絞れていて、その言葉で上位に入ること自体が売上に直結する場合です。地域名を含む言葉や、商品名に近い言葉がこれにあたります。
反対に噛み合いにくいのは、幅広い言葉で少しずつ流入を積み上げたい場合になります。1つの言葉の順位では成果を測れないため、条件の設定そのものが難しくなるのです。
自社がどちらに当てはまるかは、何を任せて何を自社に残すかの整理から見えてきます。この点は外注で任せる範囲をまとめた記事で扱いました。会社の型による得意分野の違いはSEO会社の4つの型をまとめた記事で整理しています。
今泉の視点:成果報酬のご相談で私が最初に伺うのは、料率ではありません。「条件を満たした月と満たさなかった月で、やることは変わりますか」という質問です。
この問いに具体的に答えられる相手なら、月ごとの作業設計ができているということでしょう。答えが返ってこない場合は、条件を満たしやすい言葉を選んで待つ形になっている可能性があります。
もうひとつ、契約が終わったときに何が残るかも先に伺います。調べた内容の資料と、公開した記事と、サイトに加えた変更の3つです。ここを決めておくと、成果が出た場合も出なかった場合も、次に進みやすくなります。
成果報酬型のSEOについてよくあるご質問
まとめ
成果報酬型のSEOは、費用がなくなる仕組みではありません。作業にかかる時間は発生しており、それを引き受けた側が先に立て替えています。だから対象になる言葉は絞られますし、条件の決め方が契約の中心になります。
確かめるべきは料率ではなく、成果を何の数字でどう測るか、そして条件を満たさなかったときに何が残るかです。とくにサイトに加えられた変更は、契約が終わっても消えません。
提案を受けたら、まず契約書の3か所を読んでみてください。条件を満たさなかったときの扱い、途中で終わったときの扱い、着手金や実費の有無です。この3か所で、その提案の輪郭が見えてきます。
コンテンツ監査からトピッククラスター設計、KPI・CVR設計まで、検索流入と問い合わせにつながるメディア戦略を整えます。記事は増えたのに成果が伸びない、という企業向けのコンサルティングです。
