逆SEO費用は何に払うのか|押し下げと削除で変わる払い方

逆SEO費用の見積書と電卓を前に支払いの内訳を確認する様子

「逆SEO対策一式、月額15万円」。見積書にそう書かれていても、それが何に対する対価なのかは読み取れません。逆SEOの費用として公開されている金額は月額3万円から数十万円まで開きがあり、自社の事案がどこに当てはまるのかも見えないままです。

街中文学は逆SEO対策のサービスを提供していません。ただ、当社のライティングチームは2023年の創業以来、顧客向け記事を累計1,000本以上納品してきました(2026年7月時点)。SEOの見積もりと契約を日常的に見ている立場です。お伝えしたいのは、比べるべきなのは金額ではなく、押し下げと削除のどちらで解決する問題なのかという切り分けだということです。

読み終えるころには、見積書のどこに質問すればよいかがわかり、お金を払う前に自分でできることまで判断できるようになります。

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目次

先に結論:逆SEOの費用は2種類に分かれます

まず最初に、結論からお伝えします。

  • 押し下げと削除はまったく別の費用です
  • 押し下げの成功は11位以下で、消えることではありません
  • 削除は金額ではなく通るかどうかで決まります

1つ目は、ひとくちに逆SEOと呼ばれていても、お金の出方が2通りあるという話です。ネガティブな検索結果への対処には、別のページを上げて相対的に順位を下げる押し下げと、ページそのものを消してもらう削除の2つがあります。

押し下げはSEOの施策ですから、支払いは毎月いくらという形が中心です。削除は弁護士に頼む法的な手続きなので、着手金と報酬金、それに実費という3つに分かれます。同じ表に並べて安いほうを選ぶ、という比べ方ができません。

2つ目は、押し下げの「成功」が何を指すのかという話になります。逆SEO対策を提供している会社の解説記事を読むと、成果報酬の条件は、対象のページが検索結果の1ページ目から2ページ目に下がった日数で定義されていました。つまり支払いが発生する成功とは、対象のページが11位以下になった状態です。

ページ自体はウェブ上に残り続けます。社名を検索した人が2ページ目までめくれば、これまでどおり読めてしまうのです。

3つ目は、削除できるかどうかは支払う金額で決まらない、という話です。法務省の人権擁護機関が違法性を判断したうえでプロバイダに削除を要請した事案でも、3年間で36.15%は削除されていませんでした。公的機関が動いても3件に1件は残るということです。

いくら払えば消えるのかという問いには、そもそも答えがありません。判断するのはお金を受け取る業者ではなく、書き込みを載せているサイトの運営者と、最終的には裁判所だからです。

いま起きていること 先に検討する道 お金の出方
事実無根の書き込みが上位にある 削除の請求・発信者情報の開示 着手金+報酬金+実費
事実だが古い情報が残っている サイト運営者への直接の依頼 無料でできる場合がある
口コミサイトの低い評価が出る 押し下げ(削除は通りにくい) キーワード単位の月額
競合の順位を落としたい どちらの道も選べません 自社が損をします

なお、この記事では逆SEO業者の一覧やおすすめの並べ方を載せていません。当社は逆SEO対策のサービスを提供していないからです。売る立場にないぶん、発注する前に確かめておきたいことだけを、公的な資料と自社の実務からお渡しします。

逆SEO費用の見積書は何に対する金額なのか

「逆SEO対策一式 月額15万円」。こう書かれた見積書を前にしても、高いのか安いのかは判断できません。当社が2026年8月6日に、逆SEO対策を提供している21社の公開情報を確認したところ、金額の付け方そのものが通常のSEOとは違っていました。何を数えて金額が決まるのか、どこまでできたら成功と呼ばれるのか、そして終わったあとに何が残るのかを順に見ていきます。

逆SEO対策の見積書を工程ごとに分解して担当者を割り振る打ち合わせ

課金の単位は1検索キーワードあたり

逆SEOの見積書を読むときに最初に確かめるのは、金額の大小ではありません。その金額が何個分なのかです。

通常のSEO対策では、料金はサイト1本に対する月額として提示されます。ところが逆SEO対策の料金表では、単位が「1検索キーワードあたり」で立っていました。会社名で1つ、社長の個人名で1つ、サービス名で1つ対策したいなら、同じ月額が3つ並ぶという構造です。

2026年8月に確認した範囲では、課金の単位に次のような型がありました。

課金の単位 何が増えると総額が増えるか
1検索キーワードあたりの月額 対策したい語の本数
1キーワードあたりの日額×日数 成果が出ている日数
対象の種類別(個人名・会社名など) 対象が個人か法人か
キーワード本数のレンジ別プラン 本数の階段を1つ上がるかどうか

そもそも金額を公開している会社自体が多くありません。21社のうち、自社サイトに具体的な金額を載せていたのは9社でした。残る12社は問い合わせを促す表示のみです。税込か税別かを明記していない料金表も過半を占めていましたので、比較する前に税区分をそろえる作業が要ります。

もうひとつ見落としやすいのが最低契約期間で、6ヶ月からと定めている会社が複数ありました。月額5万円という表示は、実質30万円からという意味になります。料金体系そのものの読み方はSEO対策費用の相場と内訳で整理していますので、あわせてご覧ください。

成功の定義は消えることではありません

成果報酬型と聞くと、成果が出なければ払わなくてよい安全な契約に思えます。確かめておきたいのは、その「成果」が契約書でどう書かれているかです。

対策会社が公開している解説記事で成果報酬の条件を読むと、成功はおおむね次のように定義されていました。対象のネガティブなページが11位以下に落ちること。検索結果の1ページ目から2ページ目に下がった日数に応じて費用が発生すること。出したい語を検索窓の予測候補に表示させる対策では、その語が表示された日だけ課金されるという条件でした。

どれも順位や表示の状態を指しており、ページが消えることは含まれていません。成功しても、書き込みはウェブ上にそのまま残ります

ここが読者の期待とずれやすい部分です。多くの方は「取引先や応募者にこの記事を読まれたくない」と思って相談に行きます。ところが契約で約束されるのは「1ページ目には出ない状態」であって、読まれない状態ではないのです。

成果報酬という言葉のわかりにくさは逆SEOにかぎった話ではありません。通常のSEOでも同じ論点があり、成果報酬SEOの仕組みで契約前に見る点をまとめました。逆SEOの場合はさらに、成功した状態を維持するために支払いが続くという性質が加わります。

一式を工程に割ると質問が決まる

見積書に「一式」と書かれるのには理由があります。当社がSEOの相談を受けるときも同じことが起きるからです。

見積もりは、範囲が決まっていなければ出せません。それでも金額を先に求められた場合、こちらで範囲を仮に置いて計算することになります。困るのはそのあとで、仮置きだったはずの金額だけが「前に聞いた金額」として一人歩きします。何に対する金額だったのかは、双方とも思い出せなくなるのです。

ですから読者が最初にすべきなのは、金額を聞くことではありません。範囲を決めることです。当社が支援の相談で使っている方法は、工程を1つずつ並べて、それぞれに「手を動かすのは誰か」「決めるのは誰か」の2つの印をつけていくやり方になります。この2つはずれるほうが普通で、こちらが調べて案を出し、決めるのは発注側という配分が最も多く見られます。

逆SEOの依頼に置き換えると、確認したい工程は次の7つです。

工程 手を動かすのは誰か 決めるのは誰か
現状の調査と対象URLの特定
対策するキーワードの決定
掲載先サイトの確保
掲載する文章の制作と確認
公開と運用
順位の測定と報告
成果が出たあとの監視

この表を空欄のまま持って行き、相手に埋めてもらってください。埋まらない行が出てきたら、そこが「一式」に隠れていた部分です。とくに4行目の文章の確認と6行目の報告は、発注側の手間が発生するにもかかわらず見積書には現れません。

報告については、根拠の種類まで聞いておくと後が楽になります。順位が下がったという報告が、担当者の体感なのか、Search Consoleで測った数字なのか、順位計測ツールの値なのかで、意味がまったく違ってくるためです。

契約終了後の維持費は料金表に載らない

21社を確認していて、いちばん驚いたのはここでした。料金ページに「対策が終わったあとの維持費」を項目として立てていた会社は、1社もありませんでした

金額に触れていたのは、料金表ではなくコラム記事の中の2件だけです。一方の会社は維持費を定額費用の半額程度と書き、もう一方は継続的な監視を月2万円から5万円程度としていました。前者の説明によれば、成果が出た時点で終わりではなく、順位を保つために更新を続ける必要があるとのことです。

その裏づけとして、監視そのものが別商品として売られている実態があります。ブランドの検索結果を見張るサービスが月額5万円から、複数のプランを持つ会社では月額18万円までの設定を公開していました。押し下げが終わっても、支払いは監視という名前に変わって続く構造です。

予算を組むときは、総額を12等分しないことをおすすめします。当社がSEOの予算相談で使っている考え方ですが、立ち上げの期間と続ける期間は分けて組んだほうが実態に合います。着手直後は調べる仕事と作る仕事に負荷が集中し、そのあとは見る仕事に移っていくためです。

分けておく実利は、予算が足りなくなったときに削る場所を選べることにあります。一律に月額を下げると、いちばん効く初期の調査から削れてしまいます。

社内で決裁を取るときにも、この分け方が効いてくるはずです。押し下げは毎月の役務に対する支払いですが、削除や開示は事案が起きたときに一度だけ出ていく費用だからです。稟議を2本立てで書いておくと、経理から支出の性質を尋ねられたときにも答えが用意できます。先ほどの7つの工程の表は、そのまま「何に対して払うのか」の説明資料として使えるはずです。見積書に載らない費用の数え方でも触れましたが、契約書に書かれていない支出こそ、あとから効いてくるものです。

押し下げで戻せる範囲と、戻せない範囲

払う価値があるかどうかは、その施策で何がどこまで変わるのかを知らないと決められません。押し下げには実際に効果があります。ただし効く範囲には境界があり、境界の外側は追加でお金を払っても動かせない部分です。検索結果での閲覧がどこまで止まるのか、AI検索にはどう影響するのか、そして押し下げ用のサイトを増やす方法に何が起きるのかを見ていきます。

検索結果の順位と表示回数をパソコンの画面で確認する様子

2ページ目まで下げると閲覧はほぼ止まる

押し下げに意味があるのかどうかは、検索結果の何位がどれだけクリックされるかというデータが教えてくれるのです。結論を先に言えば、2ページ目まで落とせば、閲覧はほぼ止まります

Semrushが提供したSearch Consoleのデータをもとに、約400万件の検索結果と1,200万件を超える検索語句を分析した米国のSEO情報サイト Backlinko の集計では、2ページ目のいずれかがクリックされた割合は0.63%でした。モバイル検索を対象に8,000万を超えるキーワードを調べたドイツのSEOツールベンダー SISTRIX の調査でも、2ページ目は各順位とも1%を大きく下回ると報告されています。片方はページ全体の合計、もう片方は順位ごとの数値ですが、いずれも1%未満の水準を示しました。

気をつけたいのは、1ページ目の下のほうに落としただけでは足りないことです。SISTRIX の数字では10位でも2.5%のクリック率があり、閲覧がゼロになるわけではありません。10位と11位のあいだに、はっきりした段差があります

ただし、これらの数値を絶対的な基準として受け取るのは避けてください。同じ1位のクリック率でも、母数や集計方法によって数値は大きく変わります。日本語の検索を代表するデータと呼べるものも見当たりません。

調査の時点にも限界があります。SISTRIXの調査は2020年に実施されたもので、検索結果の上部にAIの回答が表示されるようになる前のデータです。Backlinkoは調査の時期そのものを公開していません。

それでも、押し下げが目指している状態そのものは、この2つの調査から読み取れます。1ページ目から出すことに、はっきりした意味はあるのです。

AI検索は上位10位の外からも引用する

ここからが、押し下げでは越えられない境界の話になります。検索結果の順位を下げても、AIが生成する回答からネガティブな情報が消えるとはかぎりません。

SEOツールを提供する Ahrefs が2026年3月に公開した調査では、86万3,000件のキーワードの検索結果と、AIの概要に引用された400万件のURLを分析しています。その結果、引用元のうち検索結果の最初の10枠に入っていたのは37.9%でした。この10枠には、広告や強調スニペットなども1つの枠として数えられていました。残りのおよそ6割は、その枠の外にあるページから引かれていたことになります。

Google自身は、SEOで有効とされてきた取り組みがAIの概要やAIモードでも引き続き有効だと説明しています。あわせて、関連する複数の小さな話題に検索を分けて実行し、それをもとに回答を組み立てる手法を使う場合があるとも書かれていました(Google 検索セントラル「AI 機能とウェブサイト」)。順位を下げた語では出てこなくても、別の言い回しで引かれる余地が残るということです。

さらに厳しい事実があります。AIの生成機能に自分のページを使わせない設定は用意されていますが、これはすべてサイトの所有者だけが使える手段です。他人が書いたネガティブな記事を、こちらの操作でAIの回答から外す手段は、Googleの公開している資料には示されていません。

AIの回答が誤っていた場合の評価ボタンも、機能を改善するための意見であって削除の窓口ではありません。Googleの説明にも、AIによる概要が常に正しいとはかぎらないと明記されているだけで、対応の期限や削除の約束は書かれていません(Google「AI による概要について」)。

新しく作るサイトは評価ゼロから始まる

押し下げの見積もりでは、掲載先のサイトを何本用意するかで金額が変わることがあります。本数を増やせばそのぶん早く上がる、という前提が置かれているためです。ここについては、当社が自分のサイトで測った数字をお見せします。

2026年3月に公開した自社の新しいサイトを、同年7月10日に調べました。

測った指標 実測値
Search Console上の外部からのリンク 合計0件
外部ツールが示すサイトの評価スコア 2
被リンク(うち検索エンジンに評価される形式) 13本(うち3本)
リンク元のドメイン数 10
掲載企業の名前で検索したときの詳細ページの順位 46位〜95位

2026年3月に公開した自社1ドメインについて、2026年7月10日時点で測った値です。公開から4ヶ月たっても、指名検索ですら1ページ目に届いていません。1つのドメインの実測値ですから一般化はできませんが、新しく作ったサイトがゼロから始まるという構造は変わらないはずです。

掲載先の質については、もうひとつ考えておきたい点があります。消費者庁が2025年11月に実施した令和7年度消費者意識基本調査では、情報源によって信頼度がはっきり分かれました。

情報源 信頼している(計)
一般の人によるレビューや口コミ 40.9%
販売事業者自身が発信する情報 35.4%
有名人やインフルエンサーによる投稿 20.3%

回答者は5,473人でした(消費者庁「令和7年度 消費者意識基本調査」)。

押し下げに使うページの多くは自社が発信する情報です。第三者の口コミよりも信頼されにくい種類の情報を並べて、書き込みを覆おうとしていることになります。掲載先を増やす提案を受けたときは、本数ではなくその1本が誰の言葉として読まれるかを確かめてみてください。リンクの質をどう見分けるかは被リンクとは?質を見分ける5つの物差しで扱っています。

削除と開示にかかる費用は性質が違う

ページそのものを消したい場合、相手は検索エンジンではなく、書き込みを載せているサイトの運営者になります。ここから先は法律の手続きなので、費用の出方も、成功の意味も、押し下げとはまったく別物です。裁判所に納めるお金、弁護士に払うお金、そして払っても目的を果たせない場合があることを、公的な資料で確かめていきます。

削除請求や発信者情報開示など法的手段を象徴する法の天秤

裁判所に納める費用は1申立て1,000円

裁判所を使う手続きは高額だと思われがちですが、裁判所そのものに納めるお金は驚くほど少額です。

書き込んだ人物を特定するための発信者情報開示命令について、東京地方裁判所は申立手数料を次のように案内しています。開示命令の申立て、提供命令の申立て、消去禁止命令の申立てのそれぞれについて、一申立てにつき各1,000円です(東京地方裁判所「発信者情報開示命令申立て」)。3種類すべてを申し立てても合計3,000円で、これに郵便物のための費用が相手方の数だけ加わります。

つまり、削除や開示にかかる費用の大半は手続きの対価ではありません。代理人である弁護士に払う報酬が費用のほとんどを占めているのです。この構造がわかると、見積書の読み方が変わります。

逆SEOの見積書を受け取ったとき、その中に法的な手続きの項目が含まれているなら、誰がその手続きを行うのかを確かめる必要があります。手数料が1,000円の手続きに数十万円が計上されているとしたら、その差額は誰の、どんな仕事に対する対価なのかという問いが立つからです。

弁護士費用は着手金・報酬金・実費に分かれる

弁護士に払う費用は、月額いくらという形をとりません。日本弁護士連合会が2009年に公開した「市民のための弁護士報酬ガイド」によれば、費用は弁護士報酬と実費の2種類に分かれ、報酬はさらに着手金と報酬金に分かれます。

着手金は「結果に成功・不成功があるときに、結果にかかわらず弁護士が手続を進めるために着手時に支払う」お金だと説明されています。報酬金のほうは「結果の成功の程度に応じて支払う成功報酬」で、完全に敗訴すれば発生しません。実費には収入印紙代や通信費のほか、保証金や供託金、つまり相手方に損害が出た場合に備えて裁判所に預けておくお金も含まれます(日本弁護士連合会「市民のための弁護士報酬ガイド」)。

費用の種類 発生のしかた 結果が出なかったとき
着手金 依頼した時点 戻ってきません
報酬金 結果が出た時点 発生しません
実費(供託金を含む) 手続きの必要に応じて 供託金は要件を満たせば取り戻せます

金額そのものは事務所ごとに異なります。同じ資料に、2004年4月1日から弁護士会の報酬基準は廃止され、弁護士がそれぞれ自由に料金を定められるようになったと書かれているためです。実際、削除の任意交渉という同じ手続きでも、公開されている着手金には3倍以上の開きがありました。

判決を待たずに暫定的な措置を求める仮処分では、担保を求められることがあります。この金額にも基準はありません。民事保全法14条は、担保を立てさせて命令を発することも、立てさせないで発することも認めているためです。要否も金額も裁判所の判断ですから、世に出回っている目安の数字は各事務所の経験則にすぎないのです。

ここで、当社が自分の事業で置いている数字をお伝えします。匿名の投稿を扱うサイトを立ち上げるにあたり、サーバーなどの運用費は月額数百円と見込む一方で、弁護士に対応してもらう場合の予備費を1件あたり10万円から30万円で別枠に計上しました。

これは相場ではなく、自社が事業を始めるにあたって用意すると決めた額です。毎月出ていくお金と、起きたときに一度に出ていくお金は、同じ表に並べても比べられません。

今泉の視点:当社が口コミを受け付けるサイトを立ち上げたとき、私は機能を作るより先に、ネットの誹謗中傷に慣れた事務所とスポットで契約する話をまとめました。合意したのは連絡先と費用感、それに何かあったときの初動の流れという3点です。この3つが決まるまで、投稿機能の実装には着手しないと決めました。

順番を逆にすると、起きてから探すことになります。急いでいる人は選ぶ余裕がないので、最初に見つけた相手に頼むしかありません。逆SEOの相談も同じで、私は業者に連絡する前に、弁護士に相談する道が開いているかを先に確かめておくほうがよいと考えています。

公的機関の削除要請でも36%は残った

削除は、支払う金額を上げれば通るというものではありません。この点を、公的な統計がはっきり示しています。

法務省の人権擁護機関は、寄せられた相談のうち違法性があると判断したものについて、プロバイダなどに削除を要請します。令和4年1月から令和6年12月までの3年間にこの要請を行った1,610件のうち、情報の全部または一部が削除されたのは1,028件、割合にして63.85%でした。裏を返せば、582件、36.15%は削除されていません法務省「令和6年における『人権侵犯事件』の状況について」)。なお同資料は、要請と削除の因果関係を厳密に特定できるものではないと断っています。

お金を払った民間業者ではなく、国の機関が違法性を判断したうえで求めた場合の数字です。それでも3件に1件は残りました。削除できるかどうかは、依頼する相手の力量や支払う金額よりも、書かれている内容が権利の侵害にあたると認められるかで決まっているのです。

それでも多くの方が求めているのは削除です。総務省が支援する違法・有害情報相談センターが令和7年度に回答処理した件数は6,715件で、そのうち「インターネット上の情報を削除したい」という内容が4,039件、60.1%にのぼりました(複数回答。総務省「インターネット上の違法・有害情報対応 相談業務等の請負」令和7年度報告書)。押し下げを希望する相談として集計されている項目は見当たりません。

読者の本音が削除にあるのだとすれば、押し下げの見積もりを取る前に、削除が通る事案かどうかを見極める順序のほうが自然だと言えます。

開示は間に合わないことがあります

書き込んだ人物を特定する手続きには、費用とは別の壁があります。時間です。

発信者情報開示命令の事件を多く扱う東京地方裁判所民事第9部の裁判官が、東京弁護士会の会報に次のように書いています。「実際に、せっかく苦労して開示命令等を申し立てたものの、プロバイダ側の保有期間の経過等により、その目的を遂げることができないことも少なくない」(東京弁護士会「LIBRA」2025年4月号)。

通信の記録には保存期間があり、それを過ぎると誰が書いたかをたどれなくなります。着手金を払い、手続きを進めたにもかかわらず、目的を果たせないまま終わる可能性があるということです。同じ記事では、申立ての件数が制度の施行以降増え続けており、2年目には前年比で約4割増えたことも報告されています。知的財産権に関する事件を除いた、同部集計の概数として書かれた数字です。

ここから導かれる判断は1つです。特定まで視野に入れているなら、押し下げの見積もりを何社も比べている時間そのものが、費用として効いてきます。逆に、いま起きているのが古い情報や低い評価の問題であって特定までは望まないのであれば、急いで法的手続きに入る必要はありません。どちらの道を選ぶかで、時間の価値がまるで変わります

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業者に払う前に無料でできる4つのこと

見積もりを取る前に、お金をかけずに確かめられることがあります。しかも、ここを飛ばすと見積もりの前提そのものが狂ってしまうのです。対策の相手を取り違えていたり、無料で消せる状態だったり、自社側にまだ触っていない部分が残っていたりするためです。当社が自分のサイトで実際にやったこと、そして公的機関が案内している手順を順に見ていきます。

Search Consoleで自社ページの表示状況を無料で確かめる手元

どのページがそのクエリを受けているか調べる

最初にやることは、対策したい語で実際にどのページが表示されているかを特定する作業です。思っていたページと違うことがあります。

当社が運営している比較サイトで、2026年7月10日にSearch Consoleを調べたときのことです。掲載している企業の名前とネガティブな語を組み合わせた検索語句、およそ10種類で表示が発生していました。合計40回の表示に対して、クリックは0回です。

問題はどのページが表示されていたかでした。当たっていたのは、その企業の詳細ページではありません。会社の一覧ページが31位、条件で絞り込んだ結果のページが16位で表示されていたのです。原因は、一覧や検索結果のページが各社の紹介文を丸ごとページ内に持っていたことにありました。

もしこれが自社を対象にした風評だったとしたら、押し下げるべき相手も、削除を求める相手も、調べる前と後で変わっていたことになります。悪意のある記事だと思っていたものが、比較サイトの仕組み上たまたま表示されているページだった、という場合があるのです。

もうひとつ、40回表示されてクリックが0回だったという事実にも意味があります。検索結果に出ていることと、読まれていることは別です。自社のSearch Consoleで表示回数とクリック数を分けて見れば、いま何が起きているのかを自分の目で確かめられます。急いで契約する前に、この数字だけは押さえておいてください。

サイト運営者への直接依頼という道がある

削除を求める相手は、検索エンジンではなく書き込みを載せているサイトの運営者です。そして総務省は、まず運営者に依頼することを案内しています。

総務省のページには、権利を侵害する情報があった場合、本人または代理人からサイトの管理者などに削除の依頼をすることが可能だと書かれている状態です。手続きがわからない場合の相談先として、同省が支援する違法・有害情報相談センターも案内されています(総務省「インターネット上の違法・有害情報に関してお困りの方へ」)。専用のフォームがないサイト向けに、民間の協議会が作った依頼の書式も無料で公開されている状態です。

受け取る側の実際もお伝えします。当社が匿名の投稿を扱うサイトを設計したとき、通報への対応をこう定めました。1件の通報で即座に消すことはしません

まず一時的に非表示にしたうえで人が判断し、複数の通報が残っているあいだは1つを退けても表示を戻さない、という運用です。1件で消える設計にすると、通報そのものが荒らしの道具になってしまいます。

あわせて当社は、断定的なスコアやランキングをそのサイトに実装しないことも決めました。載せる側も名誉毀損の一次責任を負うためです。「どうせ消えない」と決めつける前に、載せている側が何を気にしているのかを見ておくと、交渉の余地があるかどうかの見立ても変わってきます。

一方で、投稿した本人からの取り下げ要求には即座に応じ、そのURLは消えたことを示す応答を返して、24時間以内にサイトマップからも外すと決めました。誰が依頼するかで、通りやすさも速さも変わるということです。

制度の面でも動きがあります。2025年4月1日に施行された情報流通プラットフォーム対処法により、指定された大規模な事業者は、削除の申出に対して原則7日以内に判断し通知することが義務づけられました(総務省「情報流通プラットフォーム対処法の施行に係る省令・ガイドラインの策定」)。指定されているサービスには、風評の相談で名前の挙がりやすい掲示板やブログサービスも含まれています。

ただし2つの注意点があります。7日以内とされているのは判断と通知であって、削除そのものではありません

もうひとつは対象の範囲です。指定はサービス単位で行われており、Googleについて指定されているのは動画サービスのみでした。Google検索の検索結果そのものは、この義務の対象に入っていません総務省「情報流通プラットフォーム対処法」)。法改正で検索結果もすぐ消えるようになった、という説明を見かけたら、そこは正確ではありません。

公的な窓口とGoogleの窓口を使い分ける

無料で使える窓口は複数あり、それぞれ扱える範囲が違います。どこに何を持ち込むかを整理しておけば、遠回りをせずに済むはずです。

窓口 できること 注意点
違法・有害情報相談センター(総務省支援) 削除依頼の方法や開示請求の進め方の相談 Webフォームからの相談のみ
法務省の人権相談窓口 相談と、違法性が認められた場合の削除要請 令和4年1月〜令和6年12月の3年間の要請では3割強が削除されていません
Googleの削除リクエスト 検索結果からの表示の削除 要件を満たす場合に限られます

法務省は「インターネット上の誹謗中傷 書き込み削除依頼の手引き」も無料で公開しています。電話とインターネットの相談窓口があり、費用はかかりません。

Googleの窓口については、要件を正確に押さえておく必要があります。とくに知られていないのが、削除に金銭を要求してくるサイトへの対応です。Googleは次の3つの条件をすべて満たす場合に、検索結果からの削除を受け付けています。

  • 対象のコンテンツで言及されている人物が本人であること
  • そのサイトがビジネスレビューのサイトではないこと
  • 削除に料金の支払いが必要であること

この3点は、Googleのヘルプページに明記されています(Google 検索ヘルプ「削除料金を請求しようとする搾取的なサイトに掲載されているあなた個人に関するコンテンツを削除する」)。

裏を返すと、口コミサイトや企業レビューサイトに書かれた法人の評判は、この窓口では扱えません。使える人と使えない人がはっきり分かれます。またGoogleが受け付けた場合でも、消えるのは検索結果への表示だけで、コンテンツはウェブ上に残ると明記されています。

法的な理由による削除にも、範囲の限定が置かれているのです。特定の国の法律に違反していると判断された場合、削除や制限が行われるのは原則としてその国や地域だけだと説明されています(Google「コンテンツの削除に関するよくある質問」)。日本のGoogleから見えなくなっても、世界中から消えるわけではありません。

自社ページの検索結果での見え方を握る

押し下げとは、自社に関係するページを上位に並べることでもあります。だとすれば、いま自社が持っているページが検索結果でどう見えているかは、真っ先に確かめる対象です。当社の失敗をお伝えします。

2026年8月4日に調べたところ、自社メディアで公開していた記事235本すべてで、検索結果に表示される説明文と、SNSで共有されたときに使われるタグが出力されていませんでした。説明文の原稿そのものは235本すべてに書いてあり、記入率は100%です。原稿はあるのに、それが表示に使われていない状態が続いていました。

説明文がない場合でもGoogleは本文から文章を抜き出して表示しますので、検索結果に何も出ないわけではありません。正確に言えば、読者が最初に読む一文を自社で決められていなかったということです。記事の中身には毎日手を入れていたのに、読者が最初に目にする画面だけは一度も見ていませんでした。

もし自社名で検索したときに、公式サイトや自社メディアの記事が並んでいるのであれば、その説明文が自社の意図した文章になっているかを見てください。ここは業者に払わなくても、今日直せる部分です。逆に言えば、自分で握れる領域を手つかずにしたまま外に支払いを始めるのは、順番が違います

あわせて、順位が落ちた原因が本当に外部からの攻撃なのかも確かめておきたいところです。作業の記録から切り分ける手順は検索順位が下がった原因の見つけ方にまとめました。原因が自社サイト側の変更であれば、逆SEOに支払う必要はそもそもありません。

逆SEO費用についてよくあるご質問

相談の場でいただくことの多い質問を4つ選びました。

競合の順位を落とす依頼はできますか

他社の順位を落とす行為は、費用の問題以前におすすめできません。Googleはリンクスパムを、検索ランキングの操作を主な目的としてリンクを作成する行為と定義し、違反したサイトは順位が下がることがあるとしています。同社はリンクの否認について、どのリンクが信頼できるかは詳しい情報がなくても評価できると説明していました。狙いどおりに相手の順位が落ちる保証はなく、自社の側がリスクを負う選択になります。

格安プランは何が削られているのですか

格安プランで削られやすいのは、対象にできるキーワードの本数と、成果が出たあとの監視です。逆SEOの料金は1検索キーワードあたりで決まることが多く、安く見える表示が1語分だけを指している場合があります。最低契約期間の有無でも総額は変わります。単価を比べるのではなく、何語分で何ヶ月分なのかをそろえてから並べてください。

契約を途中でやめると違約金はかかりますか

違約金がかかるかどうかは、契約書の定めで決まります。民法は委任について、各当事者がいつでもその解除をすることができると定めていますが、これは当事者の合意で修正できる規定です。最低契約期間や中途解約の条項があれば、そちらが優先します。なお事業として結んだ契約には、原則としてクーリングオフの制度が適用されません。署名の前に解約の条項を読んでおいてください。

削除代行の業者に頼んでもよいのですか

削除の代行は、弁護士法72条との関係を確かめておきたい領域です。同条は、弁護士でない者が報酬を得る目的で法律事務を業として取り扱うことを禁じています。個別の当てはめは事案ごとに異なるため、業態そのものを一律に評価することはできません。見積書に法的な手続きが含まれている場合は、その項目を誰が行うのかを確認し、必要なら弁護士にご相談ください。

まとめ

  • 押し下げと削除は別々の費用で、比べる土俵が違います
  • 押し下げの成功は11位以下で、書き込みは残ります
  • 払う前に無料でできることが残っています

金額の幅が広く見えたのは、相場がばらついているからではありませんでした。1つの語に対する月額なのか、法的手続きの着手金なのか、性質の違うものが同じ「逆SEO費用」という言葉で並べられていたためです。

次の一歩として、自社のSearch Consoleで、対策したい語にどのページが表示されているかだけ確かめてみてください。相手が変われば、選ぶ道も金額も変わります。検索結果の見え方を自社で握るところから整理したい場合は、街中文学へお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

株式会社街中文学 代表。DBSEO(データベース型SEO)・LLMO(AI検索最適化)・コンテンツマーケティングを専門に、東証上場企業や月間4,500万セッション級メディアのSEO支援を行ってきました。AIライティングSaaS「buncraft」を開発・運営。本メディアの全記事を執筆・監修しています。

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