「原稿を書き終えてチェックツールに通したら2.1%と出た、この数字は良いのか悪いのか」。そんなところで手が止まってしまうことがあります。外注のライターさんから「キーワード出現率は何%にすればいいですか」と聞かれて、答えに詰まった経験のある方もいらっしゃるでしょう。
当社は自社でこのメディアを運営していて、記事ごとに狙う言葉を決めたうえで公開しています。今回、狙った言葉が記録として残っている44本について、出現率を実際に測り直しました。分かったのは、数え方を変えるだけで真ん中の値が20倍以上動くという、目標には置けない性質でした。
この記事ではまず、出現率が何を何で割った数字なのかを整理します。そのうえで、よく見かける「適正◯%」がどこから来たものなのかを、検索の上位11件を1件ずつ開いた調査でお見せします。読み終えたときには、数字の代わりに何を見て原稿の可否を決めればよいかが分かるはずです。
コンテンツ監査からトピッククラスター設計、KPI・CVR設計まで、検索流入と問い合わせにつながるメディア戦略を整えます。記事は増えたのに成果が伸びない、という企業向けのコンサルティングです。
先に結論:キーワード出現率に正解の数値はありません
まず最初に、結論からお伝えします。
- Googleは最適なキーワード密度という概念を持っていないと公式に述べています
- 出現率は数え方を変えるだけで数倍動くため、目標値には向きません
- 見るべきは割合ではなく狙った言葉がはっきり書かれているかです
1つ目は、Googleの立場についてです。Googleの担当者は公式の文字起こしのなかで、最適なキーワード密度という概念はないと明確に答えています。この記事の後半で、その原文をそのままお見せします。
2つ目は、数字そのものの頼りなさについてです。出現率は「キーワードが出てきた回数」を「文章全体の量」で割った割合ですが、この割り算の分母と分子には決まった置き方がありません。当社の公開記事44本で試したところ、数え方を変えただけで真ん中の値は20倍以上ひらきました。
3つ目は、では何を見るのかという話になります。Googleの同じ回答には続きがあり、密度は重要ではないけれども、何について書いたページなのかを明確にすることは重要だと述べられていました。つまり比率を調整する作業ではなく、読者が使う言葉できちんと書けているかどうかを点検する作業に置き換えるということです。
ここから先は、お困りの内容に応じて読み進めてください。
| いま困っていること | 読んでいただきたい場所 |
|---|---|
| ツールが出した数字の意味が分からない | 出現率とは何を何で割った数字か |
| 「適正2〜5%」を信じてよいか迷っている | 適正とされる数値の出どころ |
| Googleの見解を原典で確かめたい | Googleが実際に言っていること |
| 実際のデータで確かめたい | 自社記事44本を測った結果 |
| 明日から原稿の見方を変えたい | 数値の代わりに何を見て判断するか |
なお、そもそもどの言葉を狙うかを決める工程については、SEOキーワード選定のやり方をまとめた記事で扱いました。狙う言葉が決まっている前提で、この記事は「その言葉をどう扱うか」に絞ってお話しします。
キーワード出現率とは何を何で割った数字か
出現率という言葉は、計算式を見ればすぐに分かるように思えるでしょう。ところが実際に手を動かして測ろうとすると、分子も分母もひととおりに決まらないことに気づきます。この節では、言葉の意味を整理したうえで、なぜ数字が一意に決まらないのかまでご説明します。

出現回数を総単語数で割った割合です
キーワード出現率とは、そのページに含まれる単語のうち、狙ったキーワードがどれだけの割合を占めているかを示した数字です。狙った言葉が20回出てきて、ページ全体の単語が1,000語なら、20を1,000で割って2%と計算します。
ここで押さえておきたいのは、出現率が「量」ではなく「割合」だという点でしょう。同じ20回でも、本文が短ければ割合は上がり、長ければ下がります。文章を足しただけで数字が動く性質を持っているわけです。
そして割合である以上、分子と分母をどう置くかで答えが変わります。次の3つは、いずれも「出現率」と呼ばれうるものです。
| 置き方 | 分子 | 分母 |
|---|---|---|
| 語数で按分する | 出現回数 × キーワードの語数 | 本文の総単語数 |
| 1回を1語と数える | 出現回数 | 本文の総単語数 |
| 文字数で数える | 出現回数 × キーワードの文字数 | 本文の総文字数 |
どれが間違いということはありません。ただ、どれを採ったかによって出てくる数字は変わります。ツールが出した数字を見るときは、その道具がどの置き方を採用しているのかまで分からないと、本当は比べられないのです。
密度・含有率・比率はすべて同じ数字です
調べていると、同じものを指す言葉が何種類も出てきます。結論からお伝えすると、キーワード出現率・キーワード密度・キーワード含有率・キーワード比率・キーワード割合は、同じものを指す言葉として使われています。実際、この記事で狙っている言葉の周辺には、含有率・比率・割合といった言い方がどれも検索語として並んでいました。
呼び名が割れているのは、もとの英語が Keyword Density であり、その訳し方が定まらないまま広まった事情によるものとみています。密度と直訳したもの、率という日本語に寄せたもの、含有率や比率という言い方を選んだものが、それぞれ別々に使われ続けてきました。
| 呼び名 | よく使われる場面 |
|---|---|
| キーワード出現率 | 日本語のSEO記事やチェックツールで最も多い言い方です |
| キーワード密度 | 英語の Keyword Density をそのまま訳した言い方で、Googleの公式文書でもこちらが使われています |
| キーワード含有率・比率・割合 | 意味は同じですが、SEOの解説記事ではあまり使われていません |
この呼び名の違いは、あとで効いてきます。Googleの公式ドキュメントを探すときに「出現率」で検索しても見つからず、「密度」で探すと出てくるという場面が実際に起きるからです。
回数と頻度は出現率とは別の数字です
出現率とよく混同されるものに、出現回数と出現頻度があります。回数は絶対的な数、出現率は全体に対する割合で、この2つは連動しません。
たとえば5,000字の記事に狙った言葉が20回出てくるとします。ここに読者の疑問に答える章を足して10,000字にしても、その言葉を新たに書かなければ回数は20回のままです。
けれども割合は半分に下がります。中身をよくしたのに数字は悪化した、という奇妙なことが起きるわけです。
頻度という言葉は、出現率とほぼ同じ意味で使っている解説も多く見かけます。この記事では区別して、同じ語がどれくらいの間隔で出てくるかという意味で使います。
冒頭の3段落に集中して10回並び、そのあと一度も出てこない記事と、全体に散らばって10回出てくる記事では、読んだ印象がまるで違うでしょう。ところが割合で見るかぎり、この2つは同じ数字になります。
当社でも語の数を数えることはあります。ただしその目的は、割合を整えるためではありません。
同じ言葉を狙った記事が社内で重なっていないかを確かめるときと、扱うべき論点が抜けていないかを点検するときの2つに限っています。数えること自体が無駄なのではなく、何のために数えるのかが違うということです。
日本語には総単語数の正解がありません
ここが、日本語で出現率を扱うときの一番の落とし穴です。英語は単語がスペースで区切られているので、総単語数は数えれば決まります。ところが日本語は言葉の切れ目が書かれていないため、どこで区切るかを機械が判断しなければなりません。
この区切る処理を形態素解析と呼びます。そして区切り方は、使う道具と辞書の設計によって変わるのです。日本語の解析ツールとして公開されているSudachiの公式説明には、こう書かれていました。
「Sudachi では短い方から A, B, C の3つの分割モードを提供します。」
同じ説明に載っている例を見ると、答えは明らかでしょう。「選挙管理委員会」というまったく同じ7文字が、モードによって次のように変わります。
「A:選挙/管理/委員/会」
「B:選挙/管理/委員会」
「C:選挙管理委員会」
(Sudachi 公式リポジトリ・2026年8月確認)
同じ文字列が4語にも3語にも1語にもなります。総単語数が分母である以上、これは出現率そのものが揺れることを意味するのです。
同じ記事を別のツールに通して違う数字が返ってきたとしても、どちらかが壊れているわけではありません。区切り方の設計が違うだけなのです。
適正とされる数値の出どころとGoogleの見解
「適正な出現率は2〜5%」といった数字は、調べればいくらでも出てきます。ではその数字は誰が決めたのでしょうか。
気になったので、検索の上位に並んだページを1件ずつ開いて、数値とその根拠を数えました。この節では、その調査結果と、Googleが公開している文章そのものを続けてご覧いただきます。
- 上位11件のうち8件が数値を挙げていた
- 数値の根拠にGoogle公式を挙げた例はゼロ
- 最適なキーワード密度という概念はありません
- 禁止されているのは不自然な繰り返しです
- ただし言葉を明示することは大事だと続きます
- 文字数についても同じ構図で否定しています

上位11件のうち8件が数値を挙げていた
調査は2026年8月9日に実施しました。「キーワード出現率」と、その関連語である「適正」「目安」「調べ方」を組み合わせた3通りで検索し、上位に並んだページのうち実際に開いて中身を確認できた11件が母数です。
見出しを写すだけでなく、本文の数値とその根拠づけを1件ずつ読み取りました。
結果として、具体的な数値を挙げていたのは11件のうち8件でした。残る3件は数値を出さず、気にしなくてよい、あるいは別のことのほうが大事だという書き方をしています。
その8件を並べてみると、ひとつの目安に収束しているようには見えません。内訳が次の表です。
| 示されていた数値 | 件数 | 添えられていた言い方 |
|---|---|---|
| 2〜3% | 1件 | 一般的には推奨されることが多い |
| 2〜5% | 1件 | 多くのSEOメディアやツールでは適正範囲とされている |
| 3〜5% | 2件 | 読みやすい文章を観察した結果 |
| 3〜7% | 1件 | 憶測として紹介し、筆者自身は否定 |
| 4〜6% | 3件 | 目安・多くのSEO専門家は |
下は2%から、上は7%まで広がっていました。最も多かったのは4〜6%の3件で、数値を挙げた8件の過半数にも届きません。
ここで押さえておきたいのは、幅の広さそのものよりも意味のほうでしょう。仮に自分の記事が3%だったとすると、ある目安では適正で、別の目安では不足していることになります。基準として使えるものなら、こうはならないはずです。
あわせて分かったことが2つあります。1つ目は道具の話で、出現率を測るツールに触れていたページは11件のうち10件と、ほとんどすべてでした。数字を出す道具の紹介だけが行き渡っている状態です。
2つ目は呼び名でした。前の節で触れたとおり、含有率や比率という言い方で調べる方も多くいらっしゃいます。
ところが「含有率」という語を使っていたページは、呼び名まで確認できた10件のうち0件でした。読者が使う言葉と、上位ページが使う言葉がずれているわけです。
なお、数字の出どころを確かめてから使うという姿勢そのものは、検索ボリュームの見方をまとめた記事でも触れました。
数値の根拠にGoogle公式を挙げた例はゼロ
調査でいちばん確かめたかったのがここでした。示された数値の根拠として、Googleの公式ドキュメントを挙げていたページはいくつあるのか。
数値を挙げた8件は、いずれもGoogle公式を根拠にしていませんでした。数値を出していない3件を含めた11件全体で見ても0件です。
代わりに書かれていた根拠は、次のようなものでした。
- 多くのSEO専門家は、という伝聞の形
- 上位表示されている記事を分析した結果、という自社調査
- 読者にとって読みやすい文章を観察した結果
- 一般的には、という主語のない書き方
Google公式への言及そのものは4件にありました。ただしその引用箇所は、キーワードの詰め込みがスパムにあたるという説明か、文脈に合った有用なコンテンツを作るようにという呼びかけのどちらかです。数値の裏づけとして公式文書を引いていたページは1件もありませんでした。
もうひとつ見落とせないのが、書き手側の姿勢です。数値を挙げた8件のうち3件は、同じページのなかで自らその数値に留保をつけていました。
その3件に見られたのは、俗説の範囲を出ないという書き方と、Googleが公式に推奨している数値ではないという明記でした。もう1件は、SEO業者の憶測であって公式見解ではないと言い切っています。
とりわけ最後の1件は、3〜7%という数値をSEO業者の憶測として紹介したうえで、筆者自身はその考え方を否定していました。
つまり少なくともこの3件は、その数値を確かな基準として提示してはいませんでした。それでも読み手の側には、数字だけが基準として残ります。
これは誰かを責めたい話ではありません。根拠の示されない数字がここまで広く共有されている状況そのものが、この数字の性質を表していると考えています。
最適なキーワード密度という概念はありません
ここからは、伝聞ではなくGoogleが公開している文章を見ていきます。1つだけ先にお断りしておくと、当社が確認した範囲では、Googleが使っている言葉は「キーワード密度」であって「出現率」ではありません。前の節で整理したとおり同じものを指しますので、以下は原文の表記のまま引用します。
Googleは検索セントラルというサイトで、担当者が寄せられた質問に答える回の記録を文字起こしとして公開しています。2023年1月の回に、まさにこの質問が取り上げられていました。見出しは「Google はキーワード密度を使用しますか?」です。
「いいえ。Google には最適なキーワード密度という概念はありません。」
(Google 検索セントラル・2023年1月のオフィスアワーより。2026年8月確認)
回答はここから続きます。Googleのシステムは年月をかけて、キーワードがまったく書かれていなくてもそのページが何についてのものかを認識できるようになった、と説明されていました。
注意していただきたいのは、これが「◯%は多すぎる」という話ではないという点です。否定されているのは特定の数値ではなく、最適な密度という考え方そのものになります。ですから「では何%なら安全なのか」という問いは、この回答の前では立ちません。
禁止されているのは不自然な繰り返しです
では、詰め込みすぎたときに何が起きるのでしょうか。Googleはスパムに関するポリシーという文書で、やってはいけないことを名指しで挙げています。
「キーワードの乱用とは、Google 検索結果のランキングを操作する目的で、ウェブページにキーワードや数字を詰め込むことです。」
例として挙げられているものの1つが「同じ単語や語句を不自然なほど繰り返すこと」でした。
(Google 検索セントラル・スパムに関するポリシーより。2026年8月確認)
このページを最後まで読んで、確かめたことがあります。ここには「密度」という語も、パーセントを表す記号も、1度も出てきません。当社でページ全体の文章を取得して数えたところ、いずれも0件でした。
つまりGoogleが引いている線は、割合ではなく状態のほうにあります。判定の言葉として使われているのは「不自然なほど」であって、数値の閾値ではありません。
| このページに書かれていること | このページに書かれていないこと |
|---|---|
| ランキングを操作する目的で詰め込むこと | 上限となる割合や回数 |
| 不自然なほど繰り返すこと | 「密度」という語そのもの |
| 関連性のない場所にキーワードを置くこと | パーセントを表す記号 |
読んで不自然かどうかという、人の感覚に近いところで線が引かれているわけです。
ただし言葉を明示することは大事だと続きます
ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。先ほどの回答には続きがあり、締めくくりはこうなっていました。
「キーワード密度は重要ではありませんが、明確にすることは重要です。」
(出典は前掲の Google 検索セントラル・2023年1月のオフィスアワーと同じ回答です。2026年8月確認)
回答のなかでは、住宅を塗装するビジネスなら「そのように言えばいいのです。」、塗料を販売するビジネスなら「そのように言いましょう。」という例まで挙げられていました。
ページが何を提供しているのかを、検索エンジンの推測に委ねてはいけないという趣旨です。
密度は重要ではないという前半だけを取り出すと、この後半が落ちてしまいます。Googleが言っているのは、割合を調整する必要はないが、何について書いたページなのかは書き手が明示せよという二段構えです。この2つはセットで受け取る必要があるでしょう。
言い換えると、狙った言葉を減らせばよいという話でもありません。Googleはタイトルリンクの公式ドキュメントで、同じ語句を何度も繰り返しても無意味なだけだと書いています。増やす方向に意味がないというだけで、避けて通ることが勧められているわけではないのです。
文字数についても同じ構図で否定しています
Googleが数値の基準を持っているという思い込みは、出現率にかぎった話ではありません。有用で信頼性の高いコンテンツの作成という公式ページには、自分のサイトを点検するための質問リストが載っています。そのなかの1つがこちらです。
「Google が優先する文字数があるとどこかで聞いたか読んだかしたために、特定の文字数になるように記事を書いていますか(そのような設定は存在しません)。」
(Google 検索セントラル・有用で信頼性の高いコンテンツの作成より。2026年8月確認)
これは文字数についての記述であって、出現率について書かれたものではありません。ただ、構図はよく似ています。どこかで聞いた数値に合わせて書いていないかという問いかけであり、括弧のなかでその設定の不在をGoogle自身が打ち消しているわけです。
この一文が置かれているのは、避けるべき書き方を集めた箇所になります。数値に合わせて書くという行為そのものが、直すべき兆候として並べられています。出現率の話をここに重ねると、追いかけていた数字の位置づけが見えてくるでしょう。
自社記事44本のキーワード出現率を測りました
ここまでは他のページとGoogleの文書を見てきました。最後は自分たちの記事です。
当社が運営するこのメディアの公開記事44本について、対策キーワードの出現率を6通りの数え方で実際に測りました。数え方で数字が動くという話を、自分のデータで確かめた結果をお見せします。

数え方を変えると中央値が22倍動きました
測定は2026年8月9日に行いました。対象は当メディアの公開記事のうち、狙った言葉が記録として残っていて本文を取り出せた44本です。単語への区切りには形態素解析ツールのMeCabを、辞書にはipadicを使いました。
数え方は、分子の置き方が2通り、分母と重みの置き方が3通りで、掛け合わせて6通りになります。分子の2通りとは、検索語がその並びのまま出てきた回数を数えるやり方と、検索語を構成する語それぞれの出現回数のうち、いちばん少なかった回数を採るやり方です。
44本すべての数字を出し、真ん中の値を並べたものが次の表になります。
| 分子の数え方 | 分母と重みの置き方 | 44本すべての中央値 |
|---|---|---|
| 並びのまま数える | 1回を1語として総単語数で割る | 0.07% |
| 並びのまま数える | 語数で按分して総単語数で割る | 0.20% |
| 並びのまま数える | 文字数で割る | 0.36% |
| 語をばらして数える | 1回を1語として総単語数で割る | 0.30% |
| 語をばらして数える | 語数で按分して総単語数で割る | 0.70% |
| 語をばらして数える | 文字数で割る | 1.57% |
同じ44本、同じキーワードを測っているのに、真ん中の値は0.07%から1.57%まで動きました。低いほうと高いほうで、およそ22倍のひらきがあります。
低いほうの数字は、次で述べる「並びのまま数えると0回になる記事」に引っ張られています。その15本を除き、残る29本だけで6通りをそろえて計算し直しても、0.19%から1.79%まで、9倍以上の幅が残りました。
もうひとつ気づくことがあるでしょう。どの数え方をとっても、中央値は前の節で見た「適正2〜5%」に届いていません。目安に合わせようとすれば、44本すべてを書き直すことになります。
検索語がそのまま出てこない記事が15本
測っていて手が止まったのが、この結果でした。44本のうち15本は、狙った検索語がその並びのまま本文に1度も出てきません。この数え方をとる道具にかければ、出現率は0%と表示されます。
主な理由は、検索語と自然な日本語の文がずれることにあるとみています。たとえば「SEOキーワード選定」という言葉を狙っていても、本文では「SEOキーワードの選定」と書くほうが読みやすいでしょう。ところが「の」が1文字挟まるだけで、機械は別の文字列として扱うのです。
実際、検索語を構成する語をばらして数え直すと、44本のうち42本で1回以上見つかりました。0%と判定された15本のうち13本は、言葉としては書かれているのに、並びが違うという理由だけで0%になっていたことになります。
ここで気をつけたいのは、0%という表示の意味です。この0%は「その言葉について書いていない」という意味ではありません。ツールの数字を根拠に加筆を判断すると、すでに書いてある話をもう一度書くことになりかねません。
上位5本のうち3本は出現率0%でした
では、出現率が高い記事のほうが検索で上に出ているのでしょうか。Google Search Consoleで2026年5月9日から8月6日までの90日間を取り出しました。
この期間に表示回数が10回以上あった15本について、平均掲載順位と並べました。次の表は、そのうち上位6本と最下位の1本を抜き出したものです。
| 平均掲載順位 | 並びのまま数え、語数で按分した出現率 | 同じ数え方での出現回数 |
|---|---|---|
| 8.0位 | 0.43% | 6回 |
| 11.9位 | 0.00% | 0回 |
| 22.0位 | 0.00% | 0回 |
| 26.8位 | 1.53% | 27回 |
| 28.2位 | 0.00% | 0回 |
| 31.9位 | 2.72% | 63回 |
| 81.8位(15本中の最下位) | 1.57% | 65回 |
平均掲載順位が良かった5本のうち3本は、狙った言葉がその並びのまま本文に1度も出てきていません。いっぽうで、この15本のなかで出現回数が最も多かった65回の記事は、いちばん低い順位でした。
順位の並びと出現回数の並びがどれくらい一致しているかも計算しました。出現回数と平均掲載順位の順位相関は、同じ回数の記事を平均順位で扱ったうえでプラス0.45です。出現率で計算するとプラス0.21からプラス0.40で、いずれも同じ向きでした。
これは回数が多い記事ほど順位が下だった側に傾いていることを示します。少なくとも、多く入れるほど上がるという並びにはなっていません。
この15本で言えることと言えないこと
ここは慎重にお伝えします。15本という数で、出現率を上げると順位が下がると結論づけることはできません。記事のテーマも競合の強さも公開時期もばらばらですし、順位を動かす要素はほかにいくらでもあります。
この実測から言えるのは、次の1点だけです。
当メディアの記事を平均掲載順位の順に並べたかぎりでは、出現率が高い記事ほど上位にいるという並びにはならなかった。むしろ上位のほうに、狙った言葉がその並びで1度も出てこない記事が複数あった。
言えるのはここまでです。少なくともこの15本では、出現率を上げれば順位が上がるという読み方ができる並びにはなっていませんでした。
数字を追いかけていた時間があるなら、その時間を別のところに使ったほうがよいのではないか。次の節では、代わりに何を見ればよいのかをお伝えしましょう。
コンテンツ監査からトピッククラスター設計、KPI・CVR設計まで、検索流入と問い合わせにつながるメディア戦略を整えます。記事は増えたのに成果が伸びない、という企業向けのコンサルティングです。
数値の代わりに何を見て判断するか
数値目標を外すと、今度は何を基準に原稿を見ればよいのか分からなくなります。ここでは当社が実際に使っている見方をお渡しします。
いずれも数えるのではなく、読んで確かめる形の問いです。最後に、外注や社内のライターへ渡す指示の書き換え方までまとめます。

見出しと本文で主語がずれていないか
1つ目の問いは、見出しで名指しした言葉が、その下の本文でも話の中心に置かれているかどうかです。原稿を読んでいて手応えが薄いとき、たいていここがずれています。
たとえば見出しで費用の話をすると書いておきながら、本文が制作の進め方の説明で終わっている、といった具合です。書いた本人は続きのつもりでも、その節だけを読んだ人には別の話に見えます。読み手にとっての節の主語が、見出しと合っていないわけです。
この点検には、共起語という考え方が役に立ちます。上位のページが同じテーマを書くときに揃って出てくる語のことで、当社ではこれを本文に入れる語としてではなく、書き終えたあとの点検の道具として使っています。
出てくるはずの言葉が出てこないなら、扱ったつもりで扱えていない論点があるという合図になるからです。詳しい考え方は共起語の使い方をまとめた記事にまとめました。
同じ言い回しが続けて出てきていないか
2つ目は、繰り返しの見つけ方です。Googleが線を引いているのは「不自然なほど繰り返すこと」でした。ではどこからが不自然なのかというと、割合ではなく同じ段落のなかで、同じ言い回しが役割を変えずに出てくるかどうかで判断できます。
役割を変えずに、という部分が肝になります。1つの段落で狙った言葉が3回出てきても、1回目が話題の提示、2回目が具体例、3回目が結論であれば、読んでいて引っかかりません。ところが同じ意味で3回並んでいると、読み手はそこで止まります。
直し方は削ることだけではありません。2回目を指示語に変える、3回目を具体的な言い方に置き換える、といった手当てで解消することが多いでしょう。回数そのものを減らそうとすると、今度は何の話か分からない文章になってしまいます。
言い換えに逃げて曖昧になっていないか
3つ目は、2つ目とちょうど逆向きの問いです。繰り返しを避けようとするあまり、遠回しな言い方ばかりになっていないかを見ます。
Googleの回答が二段構えだったことを思い出してください。密度は重要ではないけれども、明確にすることは重要だと述べられていました。同じ言葉を避けた結果として何の話か分からなくなるのは、詰め込みとは別の失敗です。
実務では、記事の冒頭200字を読み返す方法をよく使います。ここだけを読んで、何についてのページか、誰に向けたものかが分かるかどうかを見るのです。分からなければ、狙った言葉を足すというより、名指しの一文を1つ置き直すほうが早く直ります。
- 見出しで名指しした言葉が、その節の本文でも主語になっているか
- 同じ段落のなかで、同じ言い回しが役割を変えずに繰り返されていないか
- 繰り返しを避けた結果、遠回しな言い方ばかりになっていないか
- 冒頭200字だけを読んで、何についてのページか分かるか
4つとも、数えずに答えられるものです。ツールを開かなくても、原稿を1度読み通せば判断がつく形にしてあります。
外注に渡す指示を数値から言葉に変える
最後は、人に頼むときの言い方です。数値の指示がなくなると、何をどう伝えればよいのか迷われる方もいらっしゃるでしょう。当社ではキーワードを置く場所だけを指定し、量は指定しないという形をとっています。
置く場所とは、タイトル、記事の冒頭、各見出しといった、読み手が最初に目を通すところです。ここが揃っていれば、本文中の回数はテーマについて素直に書いた結果として決まります。逆に本文の回数を指定してしまうと、書き手はその数を満たすために不自然な一文を足すことになるでしょう。
よくある数値の指示を、置き換えた形にしたものが次の表です。そのまま指示書に転記してお使いいただけます。
| よくある数値の指示 | 置き換えた言い方 |
|---|---|
| 出現率を3%以上にしてください | 各見出しの最初の段落で、その節が何の話なのかを名指ししてください |
| キーワードを20回以上入れてください | タイトルと冒頭、それに各見出しに、狙った言葉かその言い換えを置いてください |
| 出現率が高すぎるので減らしてください | 同じ段落で同じ意味のまま2回以上出ている箇所を、指示語か具体的な言い方に変えてください |
| 共起語を10個以上入れてください | 書き終えたあとに、扱えていない論点がないかの点検に使ってください |
言葉をどこに置くかという考え方そのものは、SEOキーワードの入れ方をまとめた記事で扱っています。あわせてお読みいただくと、指示書を書き直すときの材料が揃うはずです。
今泉の視点:当社が記事を公開する前に通している機械チェックには、出現率にあたる項目が1つも入っていません。
主に見ているのは、本文の長さ、見出しの構造、箇条書きの1項目が長すぎないか、同じ語尾が3回続いていないか、使わないと決めた表現が混ざっていないか、といったところです。作ったのは私ですから、出現率の項目を入れようと思えば入れられました。
それでも入れていないのは、数字が表示された瞬間に、その数字を直す作業が始まってしまうからです。直すべきは割合ではなく伝わり方のほうだと考えているので、最初から数字を出さないことにしました。
キーワード出現率についてよくあるご質問
ご相談の場で実際によくいただく質問を4つ選びました。
まとめ
キーワード出現率に、追いかけるべき正解の数値はありません。Googleは最適なキーワード密度という概念を持たないと述べています。
よく見かける「適正◯%」も、当社が調べた範囲では公式を根拠にしたものが1件もありませんでした。加えてこの数字は、数え方を変えるだけで大きく動きます。
- Googleは最適なキーワード密度という概念を持たないと述べています
- 上位11件では、数値の根拠にGoogle公式を挙げたページが0件でした
- 自社44本では、数え方だけで中央値が0.07%から1.57%まで動きました
次にやっていただきたいのは1つだけです。手元の指示書やレビューの観点から「出現率◯%」という行を消し、この記事の対応表にある言い方へ置き換えてみてください。それだけで、原稿の見方が数える作業から読む作業に戻ります。
自社の記事で何から手をつけるべきか迷われている場合は、当社でも記事の設計から運用までお手伝いしています。お気軽にご相談ください。
コンテンツ監査からトピッククラスター設計、KPI・CVR設計まで、検索流入と問い合わせにつながるメディア戦略を整えます。記事は増えたのに成果が伸びない、という企業向けのコンサルティングです。
