「読み終えたのに、次に書いた原稿は前と同じだった」。ライティング本を1冊買ったあとに、そう感じたことはないでしょうか。並んでいるリストはどれも似た顔ぶれで、決め手が見つからないまま時間だけが過ぎていきます。
足りていないのは本のほうではありません。読んだ内容を当てる場所、つまり自分の原稿のどこを直すかが決まっていないだけです。当社が自社メディアの原稿47本を書き上げ直後に測ったところ、72%で同じ文末が3文続いていました。文体のルールを文書にしていても、この結果でした。
この記事では、12サイト・延べ173冊を数え、繰り返し挙がった16冊の書誌を1冊ずつ照合して分かったことをお出しします。読み終えるころには、買う本が1冊に決まっているはずです。
キーワード選定から構成、AIによる一次執筆、人による編集、WordPress入稿まで一括で対応します。制作リソースの不足や、記事ごとの品質差にお困りの企業向けサービスです。
先に結論:買う本より先に、直す場所を1つ決める
まず最初に、結論からお伝えします。
- ライティング本のリストは、すでに十分に出そろっています
- 足りないのは、読んだあとに自分の原稿を確かめる仕組みです
- 本は系統ごとに答える範囲が違うので、課題に合わせて選びます
1つ目は、本のリストがもう足りているという点です。2026年8月に5つの検索語で繰り返し上位に出てきた12サイトを開き、紹介されていた本をすべて数えました。延べ173冊、1サイトあたり平均14.4冊です。
上位3冊にいたっては、12サイト中9サイト・8サイト・7サイトが挙げていました。顔ぶれはすでに固まっているため、冊数をもう一度並べ直しても読者の決定は前に進みません。
2つ目は、読んだ内容が初稿では守られないという点です。当社は自社メディアの原稿47本を、書き上げた直後の状態で機械チェックにかけています。同じ文末が3文続いていた記事は34本あり、割合にすると72%でした。
当社は文体のルールを文書にまとめており、書く前から全項目を把握しています。それでもこの結果になりました。知識があることと、初稿で守れることは別だからです。
3つ目は、本ごとに答える範囲と答えない範囲があるという点です。文章の基礎を扱う本では検索での見つかり方が手薄になり、SEOの本では文章表現そのものを鍛える部分が手薄になります。ところが調べた12サイトのうち、書籍ごとの限界に触れていたサイトは0件でした。
買う前に「この本が答えない範囲」を1つ言えるかどうかが、外れを引くかどうかの分かれ目になります。以下の表から、いまの状況に近い章を先にご覧ください。
| いまの状況 | 先に読むとよい章 |
|---|---|
| 1冊読んだが、原稿が変わった実感がない | 読んでも原稿が変わらない理由 |
| どのサイトも同じ本を挙げていて決められない | 定番の重なりと4つの系統 |
| 古い本を買ってしまわないか不安 | 買う前に確かめる3つのこと |
| 自分に必要な1冊を決めたい | 原稿の弱点から1冊を決める手順 |
| AIで書いているので、本が要るのか迷う | AIで書く時代の使い方 |
ライティング本を読んでも原稿が変わらない理由

1冊読み終えたのに、次に書いた原稿が前と変わらなかった。この経験の原因は、読み方が足りなかったことではありません。学習の研究と、当社が自社メディアで測った記録の両方から、何が起きているのかを見ていきましょう。
読み返すより思い出すほうが身につく
本を読み返す時間を増やすより、読んだ内容を自分から思い出す機会をつくるほうが定着します。これは学習の分野では繰り返し確かめられてきたことです。
米国教育省の教育科学研究所は、2007年に学習のための実践ガイドを公表しました。ガイドは7つの推奨を示し、そのうち5番目と6番目はさらに下位の項目に分けて根拠の強さを判定しています。最高水準と判定されたのは2項目だけで、そのうちの1つが、クイズによって学んだ内容へもう一度触れさせる方法でした。
ガイドの説明はこうです。同じ時間をさらに教材を読ませるより、テストを受けさせるほうがほぼ常に強力な学習手段になります。とくに、情報を自分から思い出す必要があるテストほど効果が大きいというのがガイドの指摘です。
この現象を実験で確かめた研究もあります。2006年に心理学の学術誌 Psychological Science で発表された、ローディガーとカーピキーの報告です。
最終テストを5分後に行った場合こそ、繰り返し読んだ側の成績が上でした。ところが日をおいてから測ると、先にテストを受けた側の成績が明らかに上回ったのです。
興味深いのは自信のほうです。繰り返し読んだ人のほうが「覚えられている」という手ごたえは強かった、と報告されています。読み返しているときの実感は、実際の定着とずれるわけです。
| 出典 | 調べたこと | 分かったこと |
|---|---|---|
| 米国教育省 教育科学研究所の実践ガイド(2007年) | 学習方法ごとの根拠の強さ | 最高水準と判定された2項目の1つが、クイズで学んだ内容にもう一度触れさせる方法 |
| ローディガーとカーピキーの実験(2006年) | 読み返しとテストで記憶の残り方がどう違うか | 5分後は読み返しが上。日をおくとテストを受けた側が上回り、自信は読み返した側が強かった |
どちらも学校教育や大学生の学習を対象にした研究であり、文章術の本を読む場面を直接調べたものではありません。それでも、読み返す時間を増やすことが答えではないという方向は共通しています。ライティング本にあてはめるなら、思い出す機会にあたるのは自分の原稿を点検する作業です。
知っていても初稿では守られない
結論から言えば、知っていても初稿では守られませんでした。当社は記事を書き上げたあと、公開前に機械チェックを通す運用をしています。
その最初の実行結果が残っている47本を集計しました。機械チェックを最初に通した時点の原稿に、何が残っていたかの記録です。
| 測った項目 | 母数 | 1件以上あった記事 | 合計 | 1本あたり中央値 |
|---|---|---|---|---|
| 同じ文末が3文続いた箇所 | 47本 | 34本(72%) | 196箇所 | 4箇所 |
| 一文が60字を超えた文 | 14本 | 14本(100%) | 432文 | 30文 |
| 4文以上入った段落 | 14本 | 14本(100%) | 254段落 | 14段落 |
集計日は2026年8月9日で、測定には当社の記事制作で常用しているチェックスクリプトを使いました。表の母数が項目によって違うのは、一文の長さと段落の文数を後から測定項目に加えたためです。
この2項目は、数値を持つ14本だけを対象にしています。47本のうち14本で起きた、という読み方にはなりません。
もう1つ添えておきたい条件があります。この47本は生成AIを使って書いた原稿であり、人が手書きした原稿の統計ではありません。
60字という基準も当社が測定に使っている値で、文章術の本が示す目安とは別のものです。1メディアの47本の記録なので、世の中一般の傾向として読まないでください。
そのうえで注目していただきたいのは、当社が文章のルールを知らなかったわけではないという点です。2026年7月23日には、文体のルールを社内で明文化しました。結論から書くPREP法を使う、体言止めを使わない、「1つ目」で文を切らずに最後まで書く、といった内容です。
きっかけは、「先に結論」の節で箇条書きと短い断片が二重に並び、内容が散らばって見えるという指摘です。つまり、直すべき点を言葉にして全員が把握している状態でした。
それでも初稿の7割超で文末が3回続きました。知っていることと、初稿で守れることは別だと考えるほうが実態に合います。
崩れる場所は1か所に集中している
崩れ方は散らばっていません。3連続した箇所の内訳を見ると、9割以上が1種類の文末に偏っていました。
| 3回続いた文末 | 箇所数 | 割合 |
|---|---|---|
| 〜ます | 186 | 95% |
| 〜です | 7 | 4% |
| 〜ません | 2 | 1% |
| 〜こと | 1 | 1% |
文末を「です・ます」でそろえて書くかぎり、意識していても同じ場所に戻ります。裏を返せば、点検する場所は1つに絞れるということです。
本に書かれた原則を全部覚え直す必要はありません。自分の原稿で「ます」が3回続いていないかを見るだけで、崩れの大半は見つかります。読んでも原稿が変わらない本当の理由は、読んだ内容を当てる場所が決まっていないことにあります。
では、その当てる先をどう決めればよいのでしょうか。まず、世の中で定番とされている本がどう重なっているかを見ておきましょう。
ライティング本の定番12サイトの重なりと4つの系統
検索して出てくるリストがどれも似て見えるのは、気のせいではありません。当社が12サイトを全数調査した結果と、本を4つの系統に分けて見る方法をお伝えします。系統が分かると、冊数を比べる必要がなくなります。
12サイトが挙げた本の重なり方
先に結果からお伝えすると、リストの顔ぶれは上位3冊に強く偏っていました。調べ方はこうです。2026年8月9日に、「ライティング本 おすすめ」など5つの検索語で検索し、繰り返し上位に出てきたサイトを1件ずつ開きました。
紹介されていた本は、すべて書き出して数えています。対象は実際にアクセスできた12サイトで、候補に挙がったURLのうち3件は本文を取得できなかったため除外しました。
集まったのは延べ173冊、1サイトあたり平均14.4冊、中央値は13.5冊でした。最も少ないサイトで5冊、最も多いサイトでは25冊が並んでいます。
重なりは上位に集中しています。とくに次の3冊は、12サイトのうち7サイト以上が挙げていました。
| 書名 | 著者 | 出版社 | 掲載サイト数 |
|---|---|---|---|
| 沈黙のWebライティング —Webマーケッター ボーンの激闘— | 松尾茂起 | エムディエヌコーポレーション | 9 / 12 |
| SEOに強い Webライティング 売れる書き方の成功法則64 | ふくだたみこ | ソーテック社 | 8 / 12 |
| 新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング | 唐木元 | インプレス | 7 / 12 |
どのサイトでもおすすめとして名前が挙がるのは、この3冊です。
一方で、2サイト以上に登場した書名は32だけでした。残りはどこか1サイトにしか出てきません。つまり、上のような定番が繰り返し現れる一方で、それ以外の本はサイトごとにばらばらだという構造になっています。
選書の根拠についても数えました。選定の手続き・母数・実体験のいずれかを書いていたのは12サイト中6件でした。そのうち、実際に自分で読んだ冊数まで書いていたのは2件です。
良し悪しの話ではなく、選ぶ側から見ると、なぜその順番なのかが見えにくいということです。
表記の面でも迷いが生まれやすくなっています。同じ本でも副題や版の記載がサイトごとに違うため、読者が同じ本かどうかを判断しづらい状態でした。書名の一部だけで検索すると、別の版を買ってしまう可能性があります。
4つの系統は読む目的が違う
12サイトのうち3サイト以上に登場した本は16冊ありました。文章術の本もWebライティングの本もまとめて並んでいますが、この16冊は大きく4つの系統に分かれます。文章の基礎、Web特化、SEO、コピー・セールスの4系統です。
系統が違えば重心の置き方が変わるので、取り違えると読んでも自分の課題は進みません。次の表で、それぞれが何に答えて、どこが手薄になりやすいのかを確かめてください。
| 系統 | 重心のある範囲 | 手薄になりやすい範囲 | この調査に出てきた例 |
|---|---|---|---|
| 文章の基礎 | 一文の長さ、段落の切り方、語順、構成の組み立て | 検索での見つけてもらい方 | 新しい文章力の教室/20歳の自分に受けさせたい文章講義 |
| Web特化 | Webでの読まれ方、見出しの付け方、離脱を防ぐ書き方 | 商品を売る文章の設計 | 世界一やさしい Webライティングの教科書 1年生/デジタル時代の実践スキル Webライティング |
| SEO | キーワードの選び方、検索意図の捉え方、検索エンジンの考え方 | 文章表現そのものを鍛えること | 10年つかえるSEOの基本/沈黙のWebライティング |
| コピー・セールス | 買ってもらうための言葉、見出しの引き、条件の見せ方 | 長い記事の構成の作り方 | セールスライティング・ハンドブック/セールスコピー大全 |
ただし、1冊で複数の系統にまたがる本もあります。たとえば『SEOに強い Webライティング 売れる書き方の成功法則64』は、キーワードの選び方と伝わる文章の書き方の両方を章立てに持っています。系統はあくまで、その本が中心に据えているものを見て判断してください。
「手薄になりやすい範囲」の欄が、この表でいちばん大事なところです。読みにくいと指摘され続けている人がSEOの本を選んでも、重心が検索側にあるぶん、指摘そのものは残りやすくなります。逆に、文章は褒められるのに読まれないという人が文章の基礎の本を読み直しても、状況は動きにくいでしょう。
なお、延べ173冊のなかには、写真や映像の照明を扱う本やエッセイの書き方の本も混じっていました。「ライティング」という言葉が指す範囲は広く、リストの中身もその分だけ散らばります。
この4つの関係を先に整理しておきたい場合は、ライティングの種類と基礎もあわせてご覧ください。検索で見つけてもらう書き方だけを知りたいのであれば、SEOライティングの手順のほうが近道になります。
16冊は16の情報源ではない
この16冊は、16の独立した書き手によるものではありませんでした。出版社の公式ページで著者の所属を1件ずつ確認して分かったことです。
そのうち3冊は、いずれも株式会社グリーゼに関係する書き手によるものでした。1冊は著者名が同社の名義そのもので、1冊は著者プロフィールに同社の所属が明記されています。残る1冊は、著者名から同社のサイトへリンクが張られていました。
これも良し悪しの話ではありません。リストの冊数と、書き手の多様性は別物だということです。同じ立場の人が書いた本を3冊読んでも、得られる視点は3つには増えません。
読む冊数を増やすより、系統をまたぐほうが視点は広がります。とはいえ、系統が決まってもまだ買う本は決まりません。次は、買う前に確かめておきたい3つの点を見ていきましょう。
ライティング本を買う前に確かめる3つのこと

系統が決まっても、買う本はまだ決まりません。ここでは、レジに進む前に確かめておきたい3点をお伝えします。当社が16冊の書誌情報を全数照合して分かったことが土台になっています。
初版から何年経っているかを見る
初版から2026年8月時点までの経過期間は、平均で8年7か月でした。冊数が偶数なので中央値は真ん中の2冊の平均をとっており、こちらも8年8か月ほどです。
調べ方はこうです。12サイトのうち3サイト以上に登場した16冊について、初版がいつ出たものかを1冊ずつ調べました。照合には国立国会図書館サーチの書誌データと出版社の公式ページを使い、書名・著者・出版社・発行年が両方で一致したものだけを記録しています。
| 書名 | 著者 | 出版社 | 初版 | 現行版 |
|---|---|---|---|---|
| 沈黙のWebライティング —Webマーケッター ボーンの激闘— | 松尾茂起 | エムディエヌコーポレーション | 2016年11月 | 2022年4月 アップデート・エディション |
| SEOに強い Webライティング 売れる書き方の成功法則64 | ふくだたみこ | ソーテック社 | 2016年8月 | 初版のまま |
| 新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング | 唐木元 | インプレス | 2015年8月 | 初版のまま |
| セールスライティング・ハンドブック | ロバート・W・ブライ | 翔泳社 | 2011年3月(邦訳初版) | 2021年5月 増補改訂版[新訳] |
| 世界一やさしい Webライティングの教科書 1年生 | グリーゼ | ソーテック社 | 2020年9月 | 初版のまま |
| 10年つかえるSEOの基本 | 土居健太郎 | 技術評論社 | 2015年4月 | 2026年6月 改訂新版 |
| 20歳の自分に受けさせたい文章講義 | 古賀史健 | 星海社 | 2012年1月 | 初版のまま |
| スピードマスター 1時間でわかる Webライティング | ふくだたみこ/さかたみちこ | 技術評論社 | 2018年11月 | 初版のまま |
| 「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。 | 藤吉豊/小川真理子 | 日経BP | 2021年1月 | 初版のまま |
| Web文章の「書き方」入門教室 | 志鎌真奈美 | 技術評論社 | 2016年5月 | 初版のまま |
| 一生使える Webライティングの教室 | 片桐光知子 | マイナビ出版 | 2022年3月 | 初版のまま |
| 10倍売れるWebコピーライティング | バズ部 | 技術評論社 | 2014年4月 | 初版のまま |
| 売れるコピーライティング単語帖 | 神田昌典/衣田順一 | SBクリエイティブ | 2020年4月 | 2024年2月 増補改訂版 |
| セールスコピー大全 | 大橋一慶 | ぱる出版 | 2021年1月 | 初版のまま |
| デジタル時代の実践スキル Webライティング | 佐々木ゴウ | 翔泳社 | 2022年8月 | 初版のまま |
| 100倍売れる文章が書ける!Webライティングのすべてがわかる本 | KYOKO | ソーテック社 | 2023年1月 | 初版のまま |
最も新しい本は3年6か月前の刊行です。初版がいちばん古いのは15年4か月前ですが、この本は2021年に増補改訂版が出ています。改訂されないまま最も長く経っているのは、14年6か月の1冊でした。
改訂版が出ているのは16冊中4冊にとどまり、残る12冊は初版から一度も改訂されていません。そのうち初版から10年以上経っているものが4冊ありました。
表について1点だけ補足します。『10倍売れるWebコピーライティング』の著者表記は、資料によって分かれています。技術評論社は「バズ部」、国立国会図書館サーチの著者典拠は「ルーシー」で、表では出版社の表記を採りました。
古いこと自体が問題なのではありません。一文の長さや段落の切り方といった文章の基礎は、10年で入れ替わるものではないからです。
ただしSEOやWebの系統は前提が変わります。検索エンジンの動きや読まれ方を扱う本は、いつ書かれたかで内容の当たり外れが出るとお考えください。
改訂版が出ていないかを確かめる
調査の最中に、まさに版が入れ替わっていた本がありました。『10年つかえるSEOの基本』です。2026年6月15日に改訂新版が出ており、出版社の説明ではAI検索への対応を織り込んで全面的に作り直されています。
調査日の時点では、12サイトの記事本文にこの改訂新版への言及がありませんでした。ただしこれは更新の遅れというより、時期の問題です。
調査日は2026年8月9日で、発売から2か月弱しか経っていません。リストを載せている記事の更新が追いつく前の時点だった、というのが正確な言い方になるでしょう。
言い換えれば、リストの情報はどうしても版の動きから遅れます。上の表で現行版が別にある4冊は、いずれも初版とは書名の表記が変わっており、副題や版の表示が加わっています。書名の一部だけで検索すると、古い版にたどり着きやすくなるということです。
この記事で書籍への購入リンクを置いていないのも同じ理由からです。版が変われば、リンク先が指すものも変わります。
書名と著者を控えて、出版社の公式ページで現行版を確かめてから買うという手順を踏んでください。ひと手間で、買い直しを防げます。
その本が答えない範囲を先に知る
3つ目は、その本が答えない範囲を買う前に1つ言えるかどうかです。当社が12サイトを調べた範囲では、「この本を読んでも何が身につかないか」という書籍ごとの限界に触れたサイトは0件でした。
本を読むだけでは足りない、実際に書いてみることが必要だ、という趣旨の記述なら5件あります。ただしいずれも記事のまとめ位置に置かれた一般論で、どの本が何に答えないかという形にはなっていません。
限界が書かれにくい事情は想像がつきます。1冊ずつ読んで範囲を見極めるのは手間がかかりますし、紹介する側にとって書きにくい部分でもあるからです。だからこそ、買う側が自分で確かめる意味があります。
やり方は簡単です。目次を開いて、自分がいま困っていることが章として存在するかどうかを見てください。存在しなければ、その本はあなたの課題には答えません。
- 初版から何年経っているかを奥付か出版社ページで見る
- 同じ書名の改訂版・増補版が出ていないかを確かめる
- 目次に、いま困っていることが章として載っているか見る
では、その「いま困っていること」をどう特定するのでしょうか。次の章で具体的な手順をお伝えします。
自分に必要な1冊の決め方とAI時代の使い方

ここからは手を動かす番です。用意するのは最近書いた原稿1本だけで、買う本もまずは1冊に絞ります。自分の原稿を材料に買う本を決め、そのうえでAIと併用するときの使い方まで見ていきましょう。
原稿の弱点を1つだけ特定する
まず、自分が最近書いた原稿を1本開いてください。そのうえで、次の3つだけを数えます。
- 同じ文末が3文続いている箇所がいくつあるか数える
- 一文が60字を超えている文がいくつあるか数える
- 4文以上入っている段落がいくつあるか数える
- 最も件数が多かった項目を1つだけ選ぶ
- 選んだ1項目を直す軸に決め、1冊目は文章の基礎の系統から1冊だけ買う
この3つを選んだ理由は2つあります。どれも読み手の負担に直結すること、そして目で見て数えられることです。特別な道具は要りません。
一文の長さについては公的な目安もあります。文化審議会が2022年1月7日に建議した公用文作成の考え方は、文の書き方の第一に「一文を短くする」を挙げています。
適当な長さは一概に決められない、というのが前提です。そのうえで、50〜60字ほどになってきたら読みにくくなっていないか意識するとよい、という目安が示されています。当社が測定に使っている60字は社内の基準ですが、この公的な目安とほぼ重なる位置にあります。
数え終わったら、最も件数が多かった項目を1つだけ選んでください。3つとも直そうとしないことが大切です。
当社の実測では、文末の3連続の95%が「ます」の1種類に偏っていました。崩れは1か所に集中しているので、直す場所は1つに絞れます。
今泉の視点:本の相談を受けたとき、私が最初に聞くのは「どの本を読みましたか」ではありません。「直近の原稿で、同じ文末が何回続いていましたか」とお聞きします。読んだ本の話から入ると、次に読む本の話で終わってしまうからです。自分の原稿の数字から入ると、買う本はその場で1冊に決まります。私自身、文体のルールを文書にしていても、初稿では同じ語尾に戻っていました。知識を増やすより先に、測る場所を決めるほうが順番として正しいと私は判断しています。
つまずきと本の系統を対応させる
いま数えた3項目は、どれも文章の基礎にあたります。つまり3項目のどれが最多でも、1冊目は文章の基礎の系統から選んでかまいません。
系統を変える判断材料になるのは、周囲から言われている指摘のほうです。「検索から人が来ない」「問い合わせに至らない」といった指摘を受けているなら、次の表で系統を選び直してください。
| いま起きていること | 当てる系統 | 本の探し方 |
|---|---|---|
| 「読みにくい」「回りくどい」と毎回言われる | 文章の基礎 | 一文・段落・語順を扱う章がある本 |
| 何から書けばいいか分からず手が止まる | 文章の基礎(構成寄り) | 書く前の準備と構成の組み立てを扱う本 |
| Webでの読まれ方そのものが分からない | Web特化 | 見出しの付け方と離脱を扱う本 |
| 書けているのに検索から人が来ない | SEO | キーワードと検索意図を扱う本 |
| 読まれてはいるが問い合わせに至らない | コピー・セールス | 見出しの引きと条件の見せ方を扱う本 |
ここで大事なのは、複数の系統を同時に買わないことです。1つの弱点に1冊を当てて、その1冊を読み終えるまでは次を買わないでください。この進め方のほうが、結果として早く目的地に着きます。
書く本より準備の本を先に読む
読む順番についても、当社の失敗からお伝えできることがあります。ある記事で、執筆に着手する前に社内の制作仕様書を読まないまま4章を書き進めたことがありました。
結果は全章の書き直しです。見出しの体裁、表の形式、画像の置き場所、リンクの設定がすべて抜けていました。文章そのものの出来ではなく、着手前に決めていなかったことが原因です。
同じ記事では、小見出しを1本あたり450字から550字で書いた結果、全体の分量が想定を大きく超えました。短くする作業だけで4往復かかっています。これも書く力の問題ではありませんでした。
この経験を個人の学習に置き換えると、順番が見えてきます。うまい文章の書き方を扱う本より、書く前に何を決めるかを扱う本を先に読むほうが、やり直しは減ります。
手戻りは工程の後半ほど高くつくからです。書き上がったあとで構成が違ったと分かると、直す範囲は全体に及びます。
- 1冊目は、書く前に何を決めるかを扱う本を選ぶ
- 表現を磨く本は、決め方が身についてからで間に合う
- 手戻りは工程の後半ほど高くつくと考えて順番を決める
4つの系統でいえば、文章の基礎の系統には構成の組み立てを扱うものが含まれます。買う前に構成の作り方の全体像だけ押さえておきたい場合は、記事構成案の作り方もご覧ください。1冊目を選ぶときの判断材料になります。
AIに書かせても型崩れは起きる
ここまでの手順は、AIで下書きを作っている人にもそのまま当てはまるはずです。むしろ、AIを使う人ほど本で原則を知っておく意味が大きくなります。
先ほどお見せした47本は、生成AIを使って書いた原稿です。人が一から手書きしたものではありません。それでも、先ほどの表のとおり7割を超える記事で同じ文末が3文続いていました。
つまり、AIに任せても文章の型崩れは起きます。文末を「です・ます」でそろえさせるほど、同じ語尾に戻りやすくなると見ておくとよいでしょう。
AIが使えるようになって変わったのは、本の役割のほうです。以前は自分で書くための知識でした。いまは返ってきた文章を判定するための物差しになります。
一文が長すぎないか、段落が詰まっていないか、結論が先に来ているか。こうした判断ができないと、生成された文章をそのまま出すしかありません。読む目的が「書けるようになるため」から「良し悪しを見分けるため」に移った、と整理すると分かりやすいでしょう。
変えないでほしい所を先に伝える
もう1つ、AIに直させるときのコツをお伝えしましょう。「読みやすくしてください」とだけ頼むと、読みやすさの方向にすべてが寄ってしまいます。
あえて短く切った一文は伸ばされ、繰り返して強調した言葉は整理され、業界で決まっている表記まで平らにされて返ってきます。本で身につけた型ほど、この平準化で消えやすい部分です。
| 頼み方 | 返ってくるもの |
|---|---|
| 「読みやすくしてください」だけを伝える | 全体が平らになり、意図して短く切った一文も伸ばされる |
| 変えないでほしい箇所を1つか2つだけ名指しする | 指定した部分が残り、その周りだけが整う |
| 守りたいものを3つ4つ並べる | 指定が分散し、どれも守られにくくなる |
当社の運用では、名指しは1つか2つまでと決めています。増やすほど良くなりそうに思えますが、実際には逆でした。
あわせて4つの情報を添えると、返ってくる指摘の粒度がそろいます。読ませる相手、書いた目的、直してほしい範囲、そして変えないでほしい箇所です。
無料のツールで試す場合の渡し方は文章添削AIを無料で使うときの注意点にまとめました。生成された文章が不自然に感じられるときは、AI文章が不自然に見える原因もあわせてご覧ください。
キーワード選定から構成、AIによる一次執筆、人による編集、WordPress入稿まで一括で対応します。制作リソースの不足や、記事ごとの品質差にお困りの企業向けサービスです。
ライティング本のよくあるご質問
まとめ
ライティング本のリストはすでに十分そろっていて、足りないのは読んだあとに自分の原稿を確かめる場所のほうでした。本は4つの系統に分かれ、系統が違えば重心の置き方も変わります。買う前に初版の年と現行版を確かめておけば、外れは大きく減らせるでしょう。
- 直近の原稿を1本開き、3つの項目をそれぞれ数える
- 最も件数が多かった1項目から、読む系統を決める
- 書名と著者を控え、出版社のページで現行版を確かめる
社内の体制や記事の本数まで含めてどう進めるかは、事業の状況によって変わります。判断に迷う部分があれば、記事制作・メディア支援でご相談を承っています。
キーワード選定から構成、AIによる一次執筆、人による編集、WordPress入稿まで一括で対応します。制作リソースの不足や、記事ごとの品質差にお困りの企業向けサービスです。
